第192話 一行怪談192
鏡に映る私の顔は、いつまで経っても十歳の少女のままだ。
悪ふざけで妹の手鏡に指紋をつけてからというもの、鏡に映る僕の顔は白く曇って表情が分からない。
寝ている母の顔を鏡に映すと、鏡の中の母が私をギロリと睨み、「悪ふざけはやめなさい」と私を叱った。
夜中に合わせ鏡を試してみると、見知らぬ老人たちの顔がたくさん現れ、私をじっと見つめている。
トイレの鏡越しに後ろの個室を見ると、便器から出てきた少年の顔がニコニコと笑いながら、私に「おいで」と語りかける。
風呂場の鏡が曇ったので手で拭こうとすると、「見ないで」という知らない女の声が後ろから聞こえてきた。
洗面所の鏡に映った娘の額には、見開かれた大きな赤い目がある。
玄関の隣に立てかけられた大きな鏡には、夜中になると白いワンピースを着た髪の短い女の後ろ姿が映る。
鏡の中の自分とジャンケンをし、もし負けてしまうと鏡に自分の姿が映らなくなってしまうらしい。
鏡に吸い込まれる人間を見てしまった場合、二時間以内に他の人間にその話をしないと、今度は自分が鏡に吸い込まれてしまう。
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