『 』
この学園は都市ほどの大きさではあるが、地図にも載っている独立した一つの国である。
元々は国の領土の一つだったらしいが、領主が爵位を剥奪する事件を起こして領地は国に返上され、領民は他の領土へと割り振られ、打ち捨てられた地を道化師が買い取り、独立して一つの国家となったのだ。
特殊な学園のため、どこかの国の一部であると法律に引っ掛かり、思うように教育ができないというのが主な理由らしい。
理事長が国王を兼ねていれば、確かに教育方針が法律に引っ掛かることはないだろう。
そんな理事長を良く思わないものや、人と同等の知能を持ち、人を超えた力を持つものであるこの学園の生徒を良く思わないものは割りと少なくない。
あるものは畏怖か嫌悪か理不尽に迫害し、あるものは差別し、人とは認めず捕らえて見世物にしたり、物や動物のように売買するものもいる。
国は子供たちの保護のため、高い城壁で国を囲み、入出国者は厳重に管理されて、国の関係者を除けば生徒の肉親以外は入国できない。
それも学園祭や体育祭、入学式や卒業式のみであり、基本的には国外のものとの繋がりを一切拒絶している閉鎖された国である。
学生はもちろん寮での生活を義務つけられていて、国の敷地から出るには教員の許可が必要になり、基本的には長期休暇の時と冠婚葬祭しか認められていない。
国内で自給自足もしているが、実質、鎖国状態でありながら、この国の技術だけでは説明のつかない技術や文化をもっている。
マリンはそれを不思議に思っていたが、同盟国があるのなら頷ける話だった。
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