『良く納得してくれたわね?』

「ううん。私は始めから知ってただけぇ。交渉したの私だし」


「ああ、そうだったの」


 マリンは安心したような納得したような気分で頷いたが、新たに腑に落ちない疑問が生まれてクレオを見つめた。


「って、アニマムンディと交渉なんて何時したのよ?」


「ああ。三日前のあの戦いが終わったとき。タロットのメンバーを連行して、町の人を保護したときにアニマムンディの中佐さんと話してたでしょう? あの時にね」


 確かにあの時ならそのくらいの時間あっただろう。しかし、シャナはタロットのメンバーと共に行動していた。転校してきた今ならともかく、あの時点では学園の名簿にも乗ってない。

 アニマムンディの調査ならば、そんなことは簡単に調べられたはずだ。


「良く納得してくれたわね……」


 マリンは少なからず驚いた。

 アニマムンディの中佐は、舌先三寸で煙に巻けるほど甘い相手ではない。

 いくらクレオがユグドラシルのエージェントでも、そんな駆け引きができるとは思ってなかったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る