『奇襲は無理かな?』
クレオの端末を頼りに、三人は岩山に身を隠しながら点滅する光点に慎重に近付いた。
端末のマップで見るとすぐ近くに感じたが、実際に歩くと一時間程度の距離があった。
携帯端末に従い、一面に広がる荒野を縦断している道路からも外れ、足場もないような岩山の狭間を抜けて先に進むと開けた場所にでた。
広さで言えばチーム戦の球技ができるほどの面積で、三方は高い岩山で囲まれ、一方はここからでは良く見えないが崖になっているようだ。
なるほど、ここなら大人数で纏まっていても道路を走る車には岩山が目隠しになって見つかることもないし、飛空挺を使えば一度で移動ができる。恐らく、この誘拐劇のために、わざわざ人目のつかない岩山を崩して造ったのだろう。
その開けた場所の中心に大勢の人間が集められていて、それを見張るように十人程度の人間で囲んでいる。
武装した男が七人、和服とスーツを着た男が各一人ずつ、そして町で会ったあの金髪の少女の計十人だ。
目的も関連性も掴めないそんな集団に囲まれていても、子供さえ一人として取り乱すこともなく直立不動で立っている町の人々に、マリンはただならぬものを感じた。
「いた!」
マリンは岩山の影に身を潜めながら、小さな声で二人に告げた。
「結構距離があるね。奇襲は無理かな?」
マリンの横からそっと開けた場所の状況を覗き見て、クレオが苦笑を浮かべた。
見張りが三人ならば、各個に攻撃を仕掛ければ或いは敵を倒し、町の人を助けることも可能だったかもしれない。だが相手にそれ以上の人数がいる今、迂闊には動けない。
三人が戦闘をしている最中に、他のものに町の人を人質に取られてしまうからだ。
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