『明日はなにが待っているかな?』

「あんた、今度アニマムンディとトラブッたときに、私の名前を出してやり過ごそうなんて考えてないでしょうね?」


「そっ! そんなこと考えてないよ!」


 力いっぱい動揺するクレオを、尻目にマリンは視線を逸らして小さく鼻を鳴らした。

 どうやら図星だったらしい。全く、何も考えていないようで油断も隙もない少女だ。

 しかし、指摘をした以上、もうこれ以上の追求はしてこないだろう。

 マリンはクレオから視線を外すと改めてシャナを見つめて微笑み掛けた。

 シャナも目が合うと柔らかな微笑みを返してくれた。


「だけど、そういうことならこれからはずっと一緒ね。

 よろしくね。シャナ」


 マリンは右手を差し出しながら微笑んでシャナに語りかけた。

 シャナは顔全体を破顔させると大きく頷いて、小さな手でマリンの手を握り返してきた。


 あの時、あの岩場で、ユーリのサポートを受けてシャナの深層心理に入り込んでから数日、あの時シャナが伸ばしてくれた手を、ここでようやく繋ぐことができた。


 マリンが満面の笑みを浮かべると、シャナも顔いっぱいの笑みで見返してくれた。

 明日からはこれまで以上に忙しくも楽しい日々になると、胸を期待に膨らませていた。

 そんな姿を夕日の光が優しく照らしていた。


「さて、明日はなにが待っているのかな……?」


 そんな夕日を見つめながら、思ったことを吐き出した。

 三人が小さく笑みを溢した声が聞こえてきた。

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聖獣遊戯 ふんわり塩風味 @peruse

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