『これで揃いましたね』
「う~ん、なんだろう……。やっぱり覚えがないんだけどなぁ」
理事長室に行くまでの間、マリンはなぜ呼ばれたのか考えてみたが、まったく思い当たる節がない。やはり何かの間違いか誤解だろう。
そんなことを考えながらもなにを言われるか分からず、多少不安になるも意を決し理事長室の扉をノックした。
「一年A組、マリン=イングヴァイです」
「ど~ぞぉ~」
中から大人の男性が、軽い口調で返答してきた。
「失礼します」
マリンは理事長室の扉を開いて中に入る。
シックなデザインで纏められた部屋に一人の生徒と三人の教員、そして理事長の席にはその場にそぐわない仮装パーティーにでも出るような、奇抜な衣装に仮面をつけた男とも女とも外見からは判別のつかない人物が座っていた。
この仮装している人物こそが学園の理事長、通称、道化師だ。
素性も出生も素顔も誰も知らないらしい、正体不明の人物。
この学園の創立者ということ以外、素性も明かされてない謎の人物であるが、教職員や生徒からの信頼は厚く、国外にも大きな影響力を持っている。
「これで揃いましたねぇ」
波打つ深い緑色の髪を胸の辺りまで伸ばした、細身で整った顔立ちの美少女がマリンを見ると意味深な笑みを浮かべて言った。
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