『あれ味方。』

 タロットの援軍かと思い、マリンが目でユーリに鎌になるように促すと、思考を受け取ってくれたらしくユーリは頷くと鎌へ変身しようとした。


「二人とも待ってぇ。あれ味方。」


「え?」


「あらあら、もう少しで攻撃してしまうところでしたね」


 彼女にしては焦った様子で二人に制止を掛けるクレオに、マリンは驚いてクレオを振り返り、ユーリは肩を竦めて、だけどどこか楽しそうに喉を鳴らした。

 飛行軍艦が近付いてくるに連れ、以前にも見た、船底に描かれた、マントを着けた十字架が王冠を被っている、水のアニマムンディのシンボルマークが見えてきた。


「アニマムンディ?」


「うん。通報しといたの。必要かなって思って」


「もう少し早く到着してくだされば、ずっと楽に勝利できましたのに……」


 飛行する軍艦を見上げてマリンがなんとなしに問い掛けると、クレオが自分の功績だとばかりに得意になって言うが、ユーリが少し不満そうに冷ややかに見つめた。


「だけど、だから私たちは本当のパートナーになれたのよ?」


 マリンはそう言ってユーリを見つめた。アニマムンディの到着が早ければ、確かにここまでの疲労や怪我はなかっただろうが、ユーリと本当の意味で分かり合えることはなかっただろう。


「そうですね」


 ユーリは頬を赤らめてはにかみながら瞳を伏せた。

 その姿はまるで恋する乙女のようで、そんな仕草を取られるとマリンもなんだか照れてしまう。

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