『頭に血が上ってたわ』

 本当はマリン同様、今すぐにでも外に飛び出したいのだろう。

 だが、それをしたところで、彼女が言った通りに犬死にするのが関の山だ。

 今なら二人が言わんとすることが良く分かる。今、ここで命を掛けて少しくらい時間を稼いだところで町の人たちは逃げることもできない。

 三人も倒されて任務も失敗、最悪の事態で終わってしまう。

 何を焦っているのだろうと自己嫌悪すると、両手で音が響き渡るくらいに自分の頬を強く張り、深く深呼吸をすると笑みを浮かべて二人を見つめた。

「ごめん。頭に血が上ってたわ。こんなんじゃダメね。

 なんとか活路を見出さないと。 

 実際に戦ってみてなにか気付いたことない?

 脆そうなところとか、動きにくせがあるとか……」

 ゆっくりと洞穴の奥へ歩いて行きクレオの斜め前に腰を下ろすと、ユーリも二人と三角形を作るように座った。

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