『目の前のことに集中してください』
爆風が辺りに吹き荒れたが、クレオもマリンも強風で弄られた程度の被害で済み、傷一つ負うことはなかった。
光が放たれた方向に視線を向けると、岩山の上に立つシャナの姿があった。
マリンの上着に袖は通しているが、体がほとんど隠れていない。思わず怒鳴ろうとしたがシャナは大きく揺らめき、そのまま意識を失ったように崩れる。
マリンは息を飲み込み、今すぐ駆け寄って受け止めたい衝動に駆り立てられたが、岩場に激突する寸前で町の人が抱き止めてくれたのを見て踏み止まった。
〈マリン。今は目の前のことに集中してください〉
シャナの行動に一喜一憂しているマリンが可笑しかったのか、ユーリはからかうように喉を鳴らした。
「分かってるわよ! 行くわよ!!」
〈はい〉
図星を突かれ、恥ずかしさを誤魔化すために大声を張り上げたマリンに、ユーリは未だに含み笑いで同意してくる。
マリンは改めて地面を強く踏みしめて踏ん張り、大きく大鎌を振り上げると、体の柔軟性を最大限に利用した、全力でしなやかな一撃を放った。
巨大な光の刃が空を切り裂き、戦闘機をなんなく通過した。
戦闘機はマリンたちの上空を通り過ぎると、まるでカッターで切られた紙のようにすっぱりと二つに切断されて、左右に別れて爆発した。
構えを解いて振り返り、戦闘機を見上げて相手を倒せたことを確認すると、とりあえずはホッと胸を撫で下ろした。自然と笑みが零れてくる。
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