『廊下走っていいの!?』
少女が曲がった角を曲がると階段だった。彼女が上に上がったのか下へ降りたのかも分からなかったが、あの身長なら恐らく一年生だろう。
一年生の教室が並ぶ階上だと選択して、マリンは階段を駆け上がっていく。
「ちょっと、風紀委員が廊下走っていいの!?」
「ごめん、見逃して」
踊り場でぶつかりそうになった赤茶の髪をおかっぱ頭にした、可愛い犬歯が特徴的な級友の少女の苦情に、軽く手を合わせて詫びると、そのまま階段を駆け上がる。
少女はいまだになにかを言っているが、悪いけど今は相手をしている場合ではない。
階上に上がると周囲を見回して彼女を探すが、やはり見つけることはできなかった。
マリンはやっぱりかと自嘲して溜息を吐く。
金髪の少女などこの世に幾らでもいる。この学園だけでも百はくだらないだろう。
彼女ではないと分かっていることなのに自分はなにを期待していたのだろう……。
マリンの淡い希望は無残に打ち砕かれ、込み上げてくる寂しさに堪えていた。
元々自分の教室に行くつもりだったのだ。気を取り直してこのまま教室に顔を出すことにした。
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