『接続!!』

最初の一撃に反応して移動を開始した戦闘機は、数秒後に開いた穴にそっちが本命かと移動を開始する。

 そこにまた数秒の後に全く別の場所に穴が開くのだ。戦闘機は一瞬でも動きを止めるだろう。この僅かに放射時間をずらすのも敵を迷わせるためのテクニックなのだ。

 流石に九回ともなると、敵も釣られて右往左往しなくなるだろうが、最初にユーリが開けたのと合わせて計十のトンネルが掘られている。

 これなら、マリンたちが何処から飛び出すかなど特定できないだろう。

 マリンとクレオは微笑み合うと二手に分かれて別々の通路を進んで地上を目指した。

 ゴツゴツとした歩き辛い通路を突き進むと、出口が近づいてきて光が大きくなっていくと同時に、戦闘機が発するジェットの音が大きくなってくる。

 マリンが穴から飛び出すと、すぐさま戦闘機が円を描くように旋回して向かってきた。かなり高性能なセンサーを取り付けているようだ。

 マリンが戦闘機の射程に捕らえられるよりも早く洞穴から光が迸り、宙に舞い上がったユーリが人の形を崩して大鎌へと変貌して、マリンの手の中に飛び込んでくる。

 マリンは大鎌を握り締めると、質感や重量を確かめるために両手でクルクルと回してから改めて両手で握り締め正面で構えた。

『接続!!』

 マリンとユーリの言葉が見事に重なり、マリンの体から波動が溢れ出して大鎌へ流れていくと、ユーリがマリンの波動を昂めてから自分の波動で包み込むように強化してマリンに返してくれる。

 マリンは二人の波動を身体と大鎌に纏いながら、けたたましい音と風圧を放ちながら、まるで爆撃を従えるように迫ってくる戦闘機と対峙する。

 身体から強い力が溢れてくるのが分かる。

 道中でトラップの媒介を切り裂いた、飛ぶ斬撃を打ち出すことができればユーリへの負担も少なく、一撃で戦闘機を切り裂くことができるはずだ。

 マリンはその機会を伺いながら、大鎌を握る手に力を込めた。

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