『斬撃は飛ばせますね?』

 自分が落とされることなど微塵にも視野に入れていない、避けることも防ぐことも全く考えていない動きで、戦闘機は真っ直ぐに向かってくる。

 その傲慢にさえ見える戦闘機の動きが勘に触り、撃ち落してやりたくなってマリンは力強く大鎌を握り締めた。

〈まずはあの爆撃の中に一撃入れましょう。斬撃は飛ばせますよね?〉

 戦闘機に狙いを定めた矢先に突如目標の変更を告げられ、一瞬蹈鞴を踏んだがすぐに気持ちを切り替えると、空から降ってくる爆撃という名の破壊の雨に目を向けた。

 飛ぶ斬撃、あれを使ったのはトラップの媒介を切り裂いたときの一回だけだ。だが、あの感覚は今も体に染み付いている。放てる自信はあった。

「分かったわ!」

 戦闘機に向けて取っていた構えを、角度を変えて調整すると、柄を長く持って腰を落とし、鎌に波動を流し込んで昂めた。

 そして、技が完成したのを感じると、力強く一歩踏み込み、それを軸に体を捻り、遠心力をも味方につけた、今放てる最高の斬撃を解き放った。

 大鎌の刃と同じ形をした三日月型の波動の塊が回転しながら空襲の中に切り込むと、爆弾を切り裂いて次々と無数に爆発を引き起こし、周囲の爆弾をも誘爆させて大爆発を起こした。

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