『ちょっと迷子になっちゃって』
二人は集団に近付いて行くクレオを岩山の影から見守った。
クレオの立てた作戦とは、まずクレオが迷った振りをして近付き、町の人たちに紛れ込んで動向や行き先を調べ、二人がサポートをするという作戦だ。
近付くクレオに気が付き、銃を持った複数の男がクレオを取り囲むように近付いてきた。
「いやぁ、ちょっと迷子になっちゃって。遅れました」
軽く両手を上げて無抵抗だと意思表示を示しながら、クレオはにんまりと笑った。
くすんだ緑色のフィールドジャケットに同色のポケットが多く着いたカーゴパンツ、ベルトループが幾つもぶら下がった幅の広いベルトに底の厚い革製のブーツ、収納がこれでもかというくらいに着いたベストに色着きのゴーグルと言った、これでもかと言うくらいに戦場の軍隊を主張した格好の男たちが手に持ったライフルをクレオに向けて取り囲んだ。
「ちょっとあれ!」
始めから話など聞く耳も持たず、クレオに逃げ場も与えず確実に仕留めようという男たちの陣形に、マリンはユーリに声を掛けた。
「ああ……。どうやら町の人間でないことを見抜かれているみたいですねぇ……。だけど、あの人なら大丈夫でしょう。波動術のかなりの使い手ですし、あのくらい……。
でも、一応助けに行きますか。どうせならこの混乱に一人でも多く倒しておきたいですしね」
相変わらずクレオの身を微塵も案じていないユーリに思わず苦笑を洩らしてしまったが、助けに行くということには賛成だ。
マリンは岩山の影を伝ってできるだけ男たちに近付くと、取り敢えず待機した。
見える場所にユーリも待機している。
男たちはクレオに声を掛けることなく、突然ライフルの引金を引き絞り、辺りに銃声が鳴り響いた。それを詠んでいたのかクレオは波動でバリアーを張って銃弾を防ぎ、それを合図にしてマリンとユーリは同時に岩山の陰から飛び出した。
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