『よしっ!』

 腕で瞳を隠して仰向けで寝転がっていたがどうにも落ち着かず、それでも今は心と体を休めるべきだと、右に、左に寝返りを打って暫しごろごろするが、睡魔はやってこない。

 ベッドの中で目を閉じて、どうにか眠ろうと布団を被るがやはり眠ることはできない。


「だぁああああ!!」


 マリンは布団を蹴り飛ばして飛び起きた。

 眠くもないのに義務的に寝ようとするのも、ここにいないシャナのことを考えて不必要な寂しさや不安に駆り立てられるのも自分らしくない。

 もう元気なのに、無理に体を休めようとするから悪いのだ。

 これなら定期巡回でもしていたほうがましだと思えた。


 マリンは起き上がると、誰かが着替えさせてくれたらしく、薄い浴衣のような服を着せられていて、アドリックが術を使ってくれたのか傷は完全に治っている。

 ベッドの枕側の壁にはハンガーに制服が掛けてあった。ちゃんとユーリやクレオの分もそれぞれ用意してあるのだから、これはマリンのために準備されたものだろう。

 任務でボロボロになったのを見兼ねて、きっと学園で用意してくれたのだ。


「よしっ!」


 こんなところでぐずぐずと考えているから、同じことが頭の中をグルグルと回り、段々と悪い考えが浮かんでネガティブ思考になっていくのだ。

 心配ごとがあるならなおのこと、体を動かしたほうが気も紛れる。

 ご丁寧に風紀委員の腕章や黒のニーソックスまで添えてあり、普段通りのスタイルへと着替えを済ませると、二人を起こさないようにそっと部屋を後にした。

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