『優しいのはわかるけどさぁ……』

「説得できないかな? ユグドラシルは敵じゃないって……」

 このまま彼女の本心に触れることなく、力づくで闇に葬ってしまったら、スーツの男と一緒になってしまうような気がした。

 もしも彼女と話すことができたら、自分を信じてくれたら、こんな無意味な争いは必要ないはずだ。

 もちろん、タロットが彼女の居場所であり、完全に敵として拒絶されるかもしれない。

 それは仕方のないことであるが、それならそれでマリンも迷いを断ち切ることができる。

 なによりマリンは、もっと彼女と話したかった。

 そんなのはただの自己満足だというのは分かっている。彼女にしては迷惑な話だろう。

 彼女の為などではなく自分がそうしたいだけなのだ。

「んぅ……。それはちょっと難しいかな? 少しでも攻撃に躊躇があるならまだ可能性もあるかもだけど、本気で殺す気で来てるし……。

 優しいのはわかるけどさぁ、話を聞く気もない人を説得するのはやっぱり難しいよ」

 苦笑を浮かべながら困り果てた顔で、クレオは悩みながら言葉を選んで言う。

 ただ、無理だから止めようと言ったところでマリンが大人しく従わないのは見抜いているようだ。丁寧に、優しく諭してくる。

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