『接続!!』

「方法は簡単です。私が波動の性質を彼女に合わせますので、イングヴァイさんは私としているときのように同調してください」

 ユーリは微笑みを浮かべて頷くと、全身が発光して体の輪郭が崩れて行き、大鎌になって宙を舞ってマリンの手元に振ってきた。

 マリンは大鎌を手に取ると、バトンのように手元でくるくると回して両手で掴んで構えた。

「分かったわ! よろしくね。取り敢えずはどうしたらいい?」〈私と接続(コンタクト)してから、何でもいいので彼女と接触してください。

 そこからは私が何とかしてみます〉

 ユーリの言葉は耳から聞こえてくると言うよりは、大鎌を持つ手を伝って直接脳に染み渡ってくるようだ。昨日知ったことだが、この声はマリンにしか聞こえないらしい。

「接続?」

〈町の入り口で媒介を壊したときのあれです〉

 マリンの脳裏に、斬撃を飛ばして、人型の爆弾を作り出していた罠を斬り裂いた時の光景が蘇った。だが、あの時ユーリは苦しそうにしていたことも同時に思い出してしまい、マリンは躊躇った。

〈なにを躊躇っているのですか? イングヴァイさんの覚悟とはそんなものなのですか?

 あの人と対話をして、説得するのではなかったのですか?〉

 マリンの動揺や迷いが伝わったのか、ユーリが叱咤してくる。

 武器化した彼女を扱うと言うことは、言葉にしないものも伝わってしまうようだ。

「だけど、あなたが……!」

〈私は大丈夫です。ほら、今もこうして元気でいるでしょう?〉

 厳しかったユーリの言葉が優しくなって、安心させるように静かに響いてくる。

 そのユーリの言葉が、マリンの背中を優しく押してくれているのを感じた。

「本当に大丈夫なのね?」

〈はい〉

 確認の為に問い掛けると、ユーリが迷うなとばかりに力強く応えてくれた。

 それでマリンの覚悟は決まった。

「行くわよ!」

〈はい〉

 マリンは大鎌を身構えたままで瞳を閉じると意識を集中させてユーリを感じ、大きく息を吸い込むと瞳を見開いて力強く言葉を放つ。

『接続!!』

 マリンとユーリの言葉が見事にハモり、マリンの体から波動が溢れ出して大鎌に吸い込まれるように流れ込んで行き、ユーリの波動で倍化されてマリンの体を満たしていく。

 

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