風邪の中のサプライズ【ゆずるう】

柚夏「...はぁ 身体が動かない...。」


柚夏(...休みの日で本当助かった、学校一回でも

   休むと授業聞けないもんなぁ)


柚夏「もう1月かぁ...。」


ここ最近色々あったからなぁ...


 流雨と指輪を一緒に探したり美紗から古池さんの事に対して相談を受けたり、その事でパーティの用意をしたり。


熱を測ってみると38度くらいあった。


柚夏「マジか...」


柚夏「うわ...、これはバイト休みだな...。

   まさか風邪を引くだなんて...」


柚夏(...こんな時誰か居てくれると楽なんだ

   けどなぁ...。残念ながら、私は今1人だから

   動かないといけない...)


柚夏(流雨は風邪とか引いてないかな...。)


そういえば風邪を引いたとき、お母さんが小さい頃にポカリスイットとリンゴジュースを混ぜたジュースを用意してくれたな...


柚夏(...バイトに連絡しなきゃ)


柚夏「あ、もしもし。芽月です...」


 と半分死んだような状態でアルバイト先に電話する。


 向こうは一発OKで逆に来すぎてたぐらいだからたまにはゆっくり休みなさいという事だった。


柚夏(これで、ゆっくり寝れる...)


柚夏(...良い会社で助かった。)


柚夏「せめて濡れタオルくらい作るか...」


と立ち上がると、いつもより身体が重い。まるで身体に重りが付いてるかのようだ


柚夏(食欲湧かないなぁ...。)


柚夏(...横になっても、熱くて寝れない...)


柚夏「こんな時に誰か居てくれたらなぁ...」


その時、ピンポーンという音がした


柚夏(あぁ、出るのも面倒くさい...)


柚夏「ちょっと待って下さい...。」


??「柚夏」


柚夏「流雨、珍しい...」


一瞬インフルエンザの時に見る夢だと思った。こんな状態じゃなかったらもっと歓迎出来るんだけどなぁ...。


流雨「たまたま近くを通り掛かって。

   寮の場所知ってたから...」


流雨「お菓子をあげようと思って」


 と紙袋から高そうな珈琲のお菓子の詰合せが出てくる。私なんてその辺の三つ合わさったゼリーとかで良いのに、


というか風邪引いてて味分かんない。


流雨「前食べてたから、コーヒーとか

   珈琲ゼリー買ってきた」


柚夏「ありがとう...」


柚夏「丁度風邪引いてて、...本当助かったよ」


柚夏「食べる物に困ってたから...ゼリーなら

   食べられるかも」


 恋人に対して助かったって言うのはちょっとあれだけど、流雨なら大丈夫かな


流雨「熱出てるの?」


柚夏「タオルで冷やすのが精一杯で、

   情けない...。」


流雨「取り敢えず上がるよ」


流雨「ご飯食べる??」


柚夏「流雨って料理作れるの?」


流雨「調理部で見てるから。何となく

   作り方は分かる」


柚夏「ちょっと心配だなぁ...」


柚夏「お米は昨日ので良いから。おかゆとか

   作ってくれると大変有り難いです...」


というか今にも倒れそう。折角流雨が来てくれてるのにそれがこんな日だなんて


流雨「柚夏はそのまま寝てて」


柚夏「このまま寝てて良いのかな...」


柚夏「皆頑張ってるのに(アルバイト」


流雨「1月だから良いんだよ」


柚夏(1月だと休むのが許されるのか...)


柚夏「中々寝れなくて...」


流雨「じゃぁ汗とか拭く??」


柚夏「それは流石に...流雨はナースさん

   じゃないんだから」


柚夏「汗なんてそのうち乾くよ」


流雨「ふらふらしてるじゃん...」


柚夏「そういうのは看護師さんとかでいいの。

   好きな人に上半身を見られる気分

   分かる??」


流雨「私は気にならないけど...」


柚夏「ちょっとは気にしてよ...。」


流雨「...柚夏の身体綺麗だし別に気にならない

   けどなぁ」


柚夏(綺麗、とか美紗でも言わないよ...)


柚夏「流雨に見られるのが恥ずかしいの。」


柚夏「ゲームのイベントじゃあるまいし」


流雨「...乙女だね」


流雨「病人はベットで寝る。風邪引いてるん

   だから、そのまま寝てないと悪化

   するよ..?」


柚夏「んー。それは困る...」


柚夏(寝てる時になんか台所に立たれると

   それはそれで何か違和感...)


柚夏(...昔はそれが当たり前だったんだけどな)


流雨「別に料理を焦がした事とかないから

   大丈夫」


柚夏「それじゃ...寝てるけど、分かんない

   事あったら頼って良いからね」


流雨「今の状態で??」


 そして、ネギを切る流雨。プロ並みではないとしても普通に切れてるし


柚夏(基本はちゃんと分かってる...任せても

   大丈夫か)


※スライド


お母さん「柚夏、大丈夫...?」


流雨「柚夏」


柚夏「うわ、ちょっと夢見てたわ」


柚夏「少しだけ寝てた。」


流雨「梅干しとか欲しかったけど無かったから

   ネギだけで我慢して」


と、凄く美味しそうなお粥が出てくる。


柚夏「流雨って料理出来たんだ...」


流雨「奈実樹さんに教えて貰っただけだよ。

   あの人凄い料理出来るから」


流雨「チャーハンみたいに炒めてから

   鍋に入れて塩を振り掛けて、無難に

   卵で綴じてみました」


柚夏「うん。完璧」


柚夏「...人に作って貰うとこんなに美味しい

   のか、風邪で味を感じないのがちょっと

   残念だけど」


柚夏「ずっと自分のだけ作ってきたから

   流雨が作ってくれて嬉しいよ」


柚夏「...気持ちが嬉しい。」


流雨「...いつもお弁当を作って貰ってる

   お礼だよ。」


流雨「...初めて人を好きになった。

   柚夏の優しさが凄く嬉しかったの」


柚夏「...変わったね。」


流雨「そう?」


柚夏「昔の流雨は料理を人に作るとか

   しなさそうだったから」


流雨「多分しなかっただろうね...。人に

   作ろうとも思わなかった」


流雨「柚夏がそう思うならそうなのかも。」


柚夏「ご馳走さまでした。本当に美味し

   かったよ」


流雨「あと何か買って欲しい物とかある??」


柚夏「ないよ。...って言いたい所だけど...

ポカリスイットとリンゴジュースが

   欲しいかな」


とベットに仰向けになりながら言う。寝ていたら勝手に料理が出てくるなんて、どこのお嬢様だろう


柚夏(風邪引いて恋人に料理を作って

   貰うのって凄い贅沢だな...)


柚夏「でもパーティの日に風邪引かなくて

   良かった。」


流雨「パーティ??近頃誰かの誕生日でも

   あるの?」


柚夏「違うよ。古池さんには色々お世話に

   なったからその恩返しがしたくて...、」


柚夏「美紗の家でパーティを開く事になったん

   だよ」


柚夏「近々に大きなコンテストがあって

   その激励会。その日しか空いてない

   っていうから」


流雨「会長と随分仲良くなったんだね。」


柚夏「流雨が思ってる感じじゃないよ。

   あんまり良い雰囲気じゃないし」


柚夏「流雨が付いていってくれると

   助かるんだけど...」


※キャプション

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