第二十部「夢野世界」【ゆずるう】

??「...私は、今凄っく感動してる...。」


柚夏(リアルな夢...)


 目の前で変な格好をした少女がしゃがみながら何か言ってる


??「...そう!!、、これこそまさに神様が

  起こした奇跡っ!!、 神様は本当に居るん

ですよっ!!」


...目をキラキラと輝かせるコスプレをした少女


柚夏(...こういう光景)

柚夏(どこかで見たことあるような...

  どこだっけ...)


 頭の中の記憶を辿っていると、絵本を描いてる時の美紗と倒れてる私に対して話掛けるコスプレ少女の姿が妙に重なる


柚夏(...あー ...なるほど...)


 コスプレをした少女は私の返事を期待するように、じーっと此方を見つめている。


柚夏(喋らなかったらずっとこのままなのか??)


柚夏(...すごく、何かを期待されている)


→「なにそれ...」

→「...宗教勧誘はお断りしてます」

→「...かぼちゃパンツ、見えてますよ。」


→「なにそれ...」


柚夏「なにそれ...」


??「...ガーーーーンッ!!酷い!!、、 

  私の感動を今すぐ返してッ!!」


柚夏「いや...そう言われても...」

柚夏「というか何、そのリボン」

※胸がはだけてるくらい結ぶのが下手くそに結んでる

??「柚夏のえっち///、、そういうとこばっかり

  気にしてるからむっつりスケベなんて

  言われるんだよ。 私から」

柚夏「あんたからかい。」



→「宗教勧誘はお断りしてます」


柚夏「...宗教勧誘はお断りしてます」


??「...宗教勧誘っ!?!?!?、、」

??「というか私は別に宗教とか

  そういうのじゃないよ。高額な壺とか

  パワーストーンとか売ったりしないし」


柚夏「...いや、その...ちょっと待って」

   

柚夏「...え...? テンション 高くない...???」

??「むしろ柚夏はテンションないよね。胸も」


柚夏「一言余計だ」

??「ちょっと、、ほっぺた引っ張んないで

  よー、、」

??「起きてるなら起きてるって言ってよ、、」

??「私の感動、、返してぇぇぇぇーー!!」




→「...かぼちゃパンツ、見えてますよ。」


柚夏「...かぼちゃパンツ、見えてますよ。」


??「""ドロワーズっ!!!""」


??「ド、ドロワーズだから...///...見えても

  良いのっ!!!」


 スカートを引っ張りながら顔を真っ赤にしてかぼちゃパンツを隠す女の子。


柚夏「いや、見えちゃだめでしょ」

柚夏「変な人に見せてる方が悪いんだよとか

   言われても知らないよ??」

??「私にも恥じらいはあるんだよ///!?!?、、」




??「...そんな事だから、柚夏ちゃんは私の事も

  忘れるんでしょっ!!」


 コスプレをしたその少女の一言に。...自分でもわからないほど心の中で"何か"がざわつく


 完成した一歩手前でパズルのピースが1つ足りないような漠然とした不安。


 そんな焦燥的感情を彼女の言葉から感じる


何か、『大切な約束』をしたような


柚夏「.....。何か分からないけど ...忘れてたら

   ごめん」


 美紗に似た少女の悲しそうな表情に私は罪悪感を感じた


柚夏(花がある...)


(夢の中だから大丈夫だろう)


花畑の花を、一本ちぎってその子に見せる。


柚夏「見て」


 そして私は掴んだ花を美紗に似た少女の前で一瞬にして消して見せた。


それをまた、瞬時に指から取り出し 犬耳の魔法少女のコスプレをした女の子にあげる


柚夏「あげるよ」


その辺(へん)で拾った花だけど


??「...、ありがとう。」


 それを見た少女の顔に 美紗を思い出させるような笑顔が戻る


??「柚夏の心の中は凄い綺麗だね。私のとは

  全然違う」

柚夏「え??」

??「綺麗な花畑だなって、思って」


??「それで...私が出てきた理由なんだけど」

??「柚夏ちゃんは今心の中に『余裕』がなくて」

??「私との結構大事な記憶を忘れちゃって

  てね。それを思い出させるため 私は

  "現れたの"」

??「柚夏ちゃんの中にある大切な記憶」

??「嫌な思い出ばっかりで、この『夢野原』

  だって本当に掃除するの大変だったん

  だからね!!」

??「柚夏の門番さんは何してるの??

  職務怠慢じゃない??休みちゃんと

  とってる??」


柚夏「夢野原...? ...缶でも落ちてたの??」


 一見綺麗な花畑にタバコの吸い殻はないし 汚れてる様子もない


柚夏(夢だからか、なんという固有名詞...。)


??「...そう。此処は ー夢野(ゆめの)世界ー。」

??「この世界の名前。ここはお互いの思いを

  理解するためのゲートの前なんだけど...」

??「そこで私はこの門番をしてるの」

門番「柚夏に呼ばれたから」

柚夏「呼ばれた??」

門番「『美紗に謝れなくてごめん』

   って。柚夏の底に眠る記憶が私を

   引き出したんだよ」

門番「多分本人そんな気にしてないのに。」

門番「いや、、暗すぎwwって」

門番「なんでそんなほっぺた引っ張るの!?!?、、」

柚夏「どれだけ伸びるかなって」

門番「私は""人間ハムスター""じゃないんだけど」


門番「とにかく、、柚夏があまりにも陰湿

   過ぎて、扉に続く霧がやまないの。

   そもそも人の心とか他人がどうにか

   出来る訳ないよね」


門番「この霧さえ晴れれば」

門番「結構良い景色してると思うんだけどね。」

柚夏「霧なんてどうしようもなくない...??」

門番「こうすれば良いんだよ」


門番「疾風、練牙斬!!(しっぷう、れんがざん!!)」


 そう言ってジャキっと魔法のステッキから結構柄の短い短剣を引き抜いて、大きくふりかぶるコスプレの女の子


 するとぶわっと風圧によって花が大きく揺れる


  が...、それから特に何も起こることなく時間だけが通り過ぎていった。


門番「.....。」

柚夏「美紗さん...??」

門番「ごめん...、ちょっとガス欠みたい」

門番「さっきまでずっと振りかぶってたから」

門番「もーー、こんな時に限って///、、」


 そう言って恥ずかしそうにしゃがみ込んで顔を隠しながら誤魔化す魔法少女の格好をした少女。


柚夏「というか魔法じゃないんかい、

   そんなんじゃ草刈りしか出来ないよ」

門番「いや、振ったらちゃんと凄い勢いで風が

   飛んでくんだよ??魔力消費が激しいから

   数回しか撃てないけど...」

門番「霧が全然晴れないんだもん。」

門番「そもそも相性が悪いよ」

門番「私達が持ってる武器って本人の本質が

  かなり影響してて、...一番真剣が使い

  やすいの」

門番「私は居合いの型だけど」

門番「魔法適性0の人が魔法を使える訳ないでしょ??」

門番「やっぱ"才能"なんだよね。」


 彼女がそうやって喋っている間にも


 曇天のようにも見える霧がどんどん濃くなっていくのが分かる。


柚夏「...というか、さっきから気になってた

   けど...、この霧どんどん深くなって

きてない...?」

門番「そう、だから凄い大変なの!!キノコが生えて

くるくらいなら良いんだけど」

柚夏(良いのか...)

門番「このままだと"疑心暗鬼"が出てくる

   かも」


柚夏「"疑心暗鬼"...???」

門番「"疑心暗鬼"、、知らないの??」

柚夏「いや、疑心暗鬼は知ってるけど」

柚夏("鬼"、か...)

門番「人の心に付け込んで人を不安に

   陥(おとしい)れる悪い鬼(ようかい)

   だよ。長い髪で現れて」

門番「その人と一緒に乗り移られるっていう」

柚夏「えっ、急に怖っ...、、」

柚夏「というか...そっちも人か怪しい見た目

   してるけど...」

柚夏「え??妖怪??」

門番「そこに疑問を持たないで」

門番「『お菓子獣人』だって立派な"人"だよ」

柚夏「おかし獣人、か」

柚夏「悪い人じゃないんだよね??」

門番「イントネーションが違うよ。

   "お菓子!!"おかし(い)じゃない」


 大きくて丸い甘い香りのする尻尾を抱き締めながらそういう少女。なんかちょっと可愛いかもしれない


使うのは"短刀"だけど


 『ガトーショコラ』を擬人化したらきっとこの子みたいな感じなんだろうな


 尻尾から漂ってくる匂い(けはい)もそんな感じだし。黒茶の尻尾から所々生えてるのはくるみ...か??


柚夏「ガトー、ショコラ...??」


門番「というか、本当に鬼が出る前に!!」

門番「ちゃっちゃっと進めちゃおう!! 

   説明はもう良いよね!? ね?!」


柚夏「...え、っと。ようするに。...此処は」


柚夏(急いでって言われてもな...。現実離れ

   し過ぎて...)

柚夏(どうにも理解が追い付かない...)


→「夢の世界って事?」

→「私の頭の中って事?」



→「夢の世界って事?」


門番「だから、夢じゃないよぉ!!これは

  『奇跡』!!だって柚夏ちゃんの世界では

   私"喋れない"もん!!」


柚夏「喋れない...? え? なんで?」


門番「そんな事聞かれても困るよ。逆に柚夏

   ちゃんは"なんで喋れるの??"って

   言われたら、なんて答え...」



→「私の頭の中って事?」


門番「え? ...まぁ、...平たく言っちゃえば

   そんな感じだと思ってくれて良いかも」

門番「『夢乃(ゆめの)』は頭の中よりも

   もっと深い潜在意識で繋がってるって

   事だけ覚えてくれれば...」


コツ....、コツ...、


...誰だろう? ...霧の奥から誰かが歩いてくる。


門番「"疑心暗鬼"と話したら、駄目だよ!!、、」


 切羽詰まった声で門番を名乗る少女は私を引っ張る。...けど、私はその視線の先に引き寄せられるように立ち止まった


この声から"目を離せない"


??『行かないで...』


その声に..."抗ってはいけない"。そんな気さえした


??「...」


柚夏「...わ...たし...?」


 深い霧から出てきた"鬼"と呼ばれた少女は、紛れもない《私》自身だったのだから






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