④ハロウィン編3【みさゆき】

雪音「...何故、照れるのですか?」


雪音「子孫を育む為に

   は必要な事なのでは?」


晴華「本の中だけでのお話だもんねー、

   ゆっきー。それに私達未成年には

   まだまだ先のお話かもー」


美紗「でも、ネットをしてると広告で

   そういうのって結構出てきちゃい

   ますよね...。」


晴華「出ないようにプログラムを書き

   換えればいいんだよー、バレない

   ようにねー?」


美紗「それ出来るの晴華さんだけ

   じゃ...。けどネットが無かったら

   そういうのって」


美紗「やっぱりあんまり知る機会って

   ないのかな?」


美紗「柚夏も知らなかったし。ネット

   がなかったら赤ちゃんはコウノ

   トリが運んでくるものだって」


美紗「私、今でも信じてたかも」


晴華「保健体育で勉強するから、その

   辺りは大丈夫なんじゃない

   かなー?」


晴華「なんで未成年の高校生に教える

   のかは考えない方が良さそうだね

   ー」


雪音「跡継ぎを作るためには性交渉の

   段階が必要不可欠です。流石の

   私も接吻をしたら生まれるなど

   とは思っていませんよ」


美紗「もしかして、前までは思ってたの...?」


雪音「昔晴華さんがそう言ったから

   です...。断じて、私の知識不足

   ではありません」


晴華「あははー、ゆっきーは結構根に

   持つタイプだねー、そういう

   とこも可愛いよー♥️」


雪音「間違えて覚えるなど...断じて許されない

   事です...、私は完璧を以て良しとしま

   す。」


雪音「晴華さんの悪戯のお陰で、知らぬが一生

   の恥という言葉の意味を私は理解しました...。」


晴華「ねー?美紗ちゃん、ゆっきー可愛い

   でしょ?」


晴華「私の初めてを奪ったのはおねー

   ちゃんのせいなんだからねっだってー」


晴華「恥かいたんだから、もぉーって

   感じかなー?」


美紗「感じですね!!」


美紗(...やっぱり晴華さんが雪音の事

   一番分かってるなぁ。ボディー

   ガードさんは凄い怖い人だったけ

   ど...、)


美紗(晴華さんとは見た目がそっくり

   なだけで)


美紗(おんなじ顔だけど、晴華さんとは

   全く違う人...っ!!別人...!!。)


美紗(それに、今だってこんなに楽しく

   お話出来てるもん。だから...

  大丈夫)


美紗(...ふぅ、)


美紗(せめて晴華さんは...怖がらない

   ようにちゃんと接さないと...。)


美紗(晴華さんは雪音をちゃんと思って

   る凄く...、良い人だもん)


雪音「そのような事は一言も発してはいない

   はずなのですが...。...一体、何故そのよ

   うな結果になってしまったのでしょう

   か...」


※キャプション


奈実樹「そろそろ戻らんとなぁ...あの子

    達にずっと任せておくんも悪い

    し」


樹理「んー、そうだね」


樹理「それに縁蛇にずっと任せておく

   のも不安かも...。...んー、そろ

   そろ戻らなきゃ」


樹理「またね、美紗ちゃんー」


美紗「はいまたー」


と私は笑顔で先輩達を見送る。


晴華「私達も行こっか、朝乃ちゃん」


晴華「樹理ちゃん達のスープも食べに

   行きたいなー」


朝乃「じゃぁ行きましょうか」


美紗(あ...先輩達も行っちゃうんだ...、)


晴華「えへへ、やったぁー」


と、ドラマに出てくるような少女が小躍りするようにとても嬉しそうな顔でくるりと回る晴華さん。


美紗(....)


美紗(可愛いけど...、、)


美紗(可愛いけど...っ!!、あの人の顔

   見た後だと...、)


美紗(麗夜さんがあの顔で小躍りする

   イメージが...何か、わきそうで

   わいてこないっ...!!)


樹理「へへー、晴華ちゃん達タイミング

   すっごい良いね」


樹理「そろそろなくなりそうだから、

   丁度出来立て作ろうかなって

   思ってたの!!」


美紗「あ、じゃぁ私達も食べに行こうかな」


 と席を立とうとすると、晴華さんが笑顔で近付いてきて


 私の肩を軽く持ってすぐ隣で話かけてきた。


美紗(せ...、晴華さん...?)


晴華「大丈夫、二人の分も頼んでおく

   からー」


晴華「ゆっきーと美紗ちゃんは此処で

   ゆっくりお話しときなよー。

   ...ね?」


美紗「そうですか...、」


美紗「...じゃぁ、晴華さんのお言葉に

   甘えて...」


晴華「うん。話せるうちに沢山お話は

   しておいた方が良いもんねー」


晴華「じゃぁ、私達はそろそろ行くよ。

   二人とも待っててねー」


美紗「...皆、行っちゃった」


雪音「そうですね」


 さっきまで皆が座っていたテーブルは今では私と雪音の二人だけが座ってる...。


 少し寂しさはあるけど海の時みたいな切なさはあまり感じなかった


美紗(雪音といるから、かな...。...全然

   寂しくない...。無言でも、気まずいとか

   思わないし...)


美紗(...別にこのままでもいいんだけど)


 雪音とお話するのも、...好きだから。


美紗「これ、あの時多めに持って

   来たから雪音にあげるよ。

   今なら誰もいないし」


美紗「雪音も食べたいかなって思って」


美紗「家に帰ってからゆっくり食べて」


雪音「人前では受け取れません

   からね。有り難く頂戴します」


美紗(...雪音と何のお話をしようかな)


→A「晴華さんについて」

→B「麗夜さんについて」


美紗「ねぇ、雪音」



→A「晴華さんについて」


美紗「雪音は晴華さんの事どう思ってる?」


雪音「晴華さんですか?」


雪音「そうですね...。」


雪音「...優しい方だと思いますよ。

   私には勿体ないくらいの」


雪音「太陽のような方と言っても、

   言い過ぎではないでしょう」


美紗「ふふ、そっか。太陽かぁ...」


美紗「確かに晴華さんといると元気

   になるし」


美紗「太陽って言われても全然不思議

   じゃないよね。」


美紗(...雪音は本当に晴華さんの事を

   慕ってるんだ)


美紗(晴華さん...、すっごい良い人

   だもんなぁ。雪音が信頼する

   のも分かる)


美紗「でもなんで白髪になっちゃった

   んだろう。白髪になる前は何色

   だったんだろうね」


雪音「黒だと思いますよ」


雪音「椿様が発見した際、黒髪がまだ    

   少し残っていたと仰っていました

   から」


美紗「黒かぁ、晴華さんは黒でも似合い

   そうだね」


美紗「でも今と真逆の色か~...」


 白髪になった人と言えばマリー・アントワネットが思い浮かぶけど...


(※マリー・アントワネットは処刑になる前に髪が白くなった事で有名。)


→「昔の晴華さんのことを聞く」

→「今の晴華さんのことを聞く(※これ以上詮索しない)」



→「昔の晴華さんのことを聞いてみる」


美紗「小さい頃の晴華さんって

   どんな感じだったの?」


雪音「小さい頃の晴華さんですか。」


雪音「そうですね、...私が彼女と初めて

   会ったときは椿様があの部屋に...

   私をお呼びした日でしたね」


美紗「あの部屋?」


雪音「今の晴華さんのお部屋です。彼女が

   来る前は彼処は空き部屋だったのです

   よ」


雪音「椿様に連れられた私が見たのは

   今の晴華さんからは想像出来ない

   くらいの、」


雪音「何処か遠くを見詰める少女の

   姿でした。」


雪音「ですが、今ではそのような面影もない

   ほどに晴華さんは元気になられました

   ね。...それが過去の物だと思える程に」


雪音「...彼女があまり無理をしていな

   ければ良いのですが」



→「今の晴華さんのこと」


美紗「晴華さんって、普段どんな事

   してるの?」


雪音「ご両親を捜すためにモデル活動を

   し、休暇...お休みの時は、以前

   杏里さんがして頂いた様な事を

   なさっているようです。」


雪音「窓から時折、晴華さんの姿を見かける

   時がありますから。それと...」


 雪音はまるで何か嫌な事を思い出したかのようにほんの少しだけ罰が悪そうな瞳をしてる...。


美紗「何か困った事でもあるの?」


雪音「...捨てられた子犬や怪我をした小鳥など

   を拾って来るのは良いのですよ」


雪音「晴華さんが捨てられた動物を放っておけるような

   人ではないと理解してはいますので」


雪音「ですが...。時折脱走した、シリアルキラ

   ーが部屋に入って来る時がありまし

   て...、」


美紗「あー...、雪音猫苦手だもんね...」



→B「麗夜さんについて」


美紗「その...、雪音のボディーガード

さんの事なんだけど...」


雪音「...麗夜さんの件ですか。」


雪音「彼女には本当に困ったものです...。前回

   の件は本当にご迷惑をお掛けしてしまっ

   た事を彼女に代わって深く謝罪致します」


美紗「ううん、そういうのじゃなくて...!!

   えっと...。」


美紗「.....」


美紗「......うん、」


美紗「...私、あの人の事はまだやっぱり

   ちょっと怖いけど」


美紗「それでも...。いつか麗夜さん

   に認められるような人間に

   なりたいなって」


雪音「...無理に貴女が彼女の口車に乗る

   必要はありませんよ」


雪音「貴女は貴女のままだからこそ。私

   は杏里さんと友人になりたいと

   思ったのですから」


美紗「正直に言うと、...私あの時凄く

   悔しかったんだ」


美紗「...雪音の家族に雪音を好きな

   気持ちを真っ向から否定されて」


美紗「でも、本当に悔しかったのはそれ

   に対して...何も言い返せなかった

   こと」


美紗「雪音は私にとって大切な人なのに。」


 机の上に。...ぽたっぽたっ、と雫が二滴、落ちてきて


 その雫の後を追うようにどんどん雫の量は増えていった


美紗「....。」


...ふぅっと、手前に置いてあったお茶のその最後の一口を私はゆっくりと

喉に流し込む。


美紗(....やっぱり最後の方だと少し、

  ...苦いな、)


美紗「今まで何されてもそれが運命

   だから」


美紗「仕方ない事なんだってそう思う

   ようにしてた」


美紗「お父さんから殴られても」


美紗「それが運命なら仕方ないって、」


美紗「...いつか終わりが来るって信じて

   たけど。でも、現実の終わりって

   死ぬ事で」


美紗「死んだらハッピーエンドも何も

   ないって思ったんだ。」


美紗「大事なのは生きるうちにこの世界

   で何をして、何を学んで」


美紗「何を残して。何を愛したか...。」


美紗「麗夜さんに殺されるって思った

   時、私この世界から消えちゃうの

   かなって」


 大切な人達に助けて貰ってばっかりでお返しも何もしてあげられなくって。


それに、あの時のあれが


 本物の誘拐犯だったら?


 私は大事な人を、助ける事さえ出来ずにただ犬死にしてくだけだった。


美紗「事故とか病気とかで」


美紗「明日大切な誰かがいなくなる

   可能性だって」


美紗「こう言ってる私だって、いつ

   死ぬか分からない。」


美紗「生きてる事が当たり前だって

   思っちゃいけないんだよね。」


美紗(お父さんが捕まったからって、油断してたかもしれない...。)


美紗「だから...これからは、いつ死んで

   も後悔しない生き方をしたいな

   って。思ったんだ」


美紗「麗夜さんの事は今でも怖いよ。」


美紗「でも、死んでから認めて貰えば

   良かったなんて思いたくない」


雪音「...」


美紗「私が雪音の傍に相応しくない人物

   っていうのは分かってるよ、

   だってそれは事実だから。」


美紗「...でも、あんなに雪音を怒らせて

   まで手に入れた幸せって」


美紗「本当に幸せだって言えるのかな...。」


 多分ボディーガードさんが考える幸せと雪音にとっての幸せは、同じ物じゃないかもしれないって


あの時、気付いてしまったから...。


美紗「私はそれを確かめるまで雪音の前

   から消えるつもりはないよ。」


美紗「私が悔しいの」


美紗「...あの人に逆らわなければ

   良かった。より、」


美紗「私の勇気が足りなかったせいで、

   ボディーガードさんに雪音が望ん

   でもない幸せを決められるって方が」


美紗「...私はずっと、後悔すると思う。

   だから」


美紗「あの人の口車に乗ってるっていうより、

   私は私の意思であの人に分かって

   貰いたい」


美紗「私を雪音と別れさせる事が出来るの

   は、...古池、雪音。雪音だけだから」


美紗「世界にたった1人の高校生の女の子だけが

   私を別れさせる事が出来るんだよって」


雪音「...杏里、さん」




朝乃「中々混んでてねー。少し遅くな

   ちゃったけど」


朝乃「豚汁、持ってきたよー」


美紗「朝乃先輩、」


晴華「ただいまー、あー...。私達お邪魔

   だったみたいかな?」


美紗「いえ、大丈夫です!!」


 先輩達が入ってくると同時に、お味噌汁の良い匂いがする。


 この匂いは...豚汁っ!!


美紗(まぁ、豚汁って言ってたんだけど!!)


美紗「...わぁ、スープって豚汁の事

   だったんですね...///」


美紗「...すっごい、美味しそうー///」


晴華「今あげるから、ちょっと待ってねー」


雪音「...何かその言い方にデジャヴュを

   感じるのですが気のせい

   でしょうか」


晴華「あ、最近旅行行くからって

   ある人からハムスター預かってて

   ー」


晴華「その子。ご飯を持ってくると

   ゲージの前に寄ってきてくれて

   すっごく可愛いんだよー♥️」


美紗「豚汁♪豚汁♪」


 持ってきてくれた豚汁を晴華さんが机の上に置いてくれる。


 そっかぁ...もう、豚汁の時期かぁ...///身体も温まるし、秋の夜長に豚汁ってすっごい、良いよね~///!!


美紗(...んーーっ///、良い匂い...♥️)


 プラスチックの蓋をかぱっ、と開けると同時にもわっと湯気がたつ


美紗(外で食べるこういう割りばし

   付いてる外食って、良いよね♪)


 色鮮やかなオレンジ色の三角の人参...お味噌汁のだしをたっぷり吸った大根...、そして...沢山具が入った!!お肉!!


美紗(...ゴクリ。)


朝乃「お金はいいよ。先輩の奢り

   ってことで」


美紗「わぁいー!!先輩、優しー!!

   さて、では...///!!...頂きまーすっ///!!」


美紗「....、....ズズズ」


美紗「ぷ、はぁぁぁっ...///冷えた身体に

   染み渡る~...///」


雪音「暖房は付いていましたが...」


美紗「身体の内からだよ、雪音も食べて

   みれば分かるって」


美紗「寒い時の豚汁は本当に美味しいから」


美紗(...はぁ///、この味...元気出るなぁ///)


晴華「でも私達の分まで良かったの?

   朝乃ちゃん」


朝乃「晴華さんに出させるとかファン

   として失格ですし、これくらい

   なら安いもんです」


朝乃「それに憧れの人にお金を直接

   使えるのって本当に幸せな事

   ですから」


 割り箸を割りながらそういう朝乃先輩は、笑ってるけど...。


朝乃「グッズのお金が全部晴華さんに

   いくとは限らないので、」


朝乃「こうして直接何かを買ってあげら

   れるのはファンにとっては夢の

   ような話ですから」


朝乃「勿論、晴華さんを立てて下さって

   るスタッフさんやディレクター

   さんにもお金は回って欲しい

   ですけどね」


美紗(あー...なるほど...。好きな人が

   モデルさんだとそうなるのか、)


晴華「そんな裏の事まで...、朝乃ちゃん

   はファンの人達の中でも凄く

   優しい人だから」


晴華「いつも本当に助かってるよ♥️」


晴華「そこまで考えてくれる人って

   あんまりいないよー?」


朝乃「勿論、晴華さんは何もしなくても

   もうそれだけで良いんですけど...///」


晴華「朝乃ちゃんのえっちー」


朝乃「えっ、えぇ///!?」


美紗「あははは...、このままずっと

   こういう生活が続いたら良いの

   にね」


美紗「今日だけじゃなくて毎日が

   ハロウィンだったら楽しいのに」


雪音「...えぇ、私もそう思います。」


※キャプション



瑞撫「大変長らくお待たせ致しましたー

   ーーッ!!!」


瑞撫「最後のメインディッシュっ!!

   第5回!!ハロウィンコンテスト

   の結果発表だーーー!!」


瑞撫「皆盛り上がってるかーー!!」


生徒達「うおおおおぉぉっ!!」


美紗「皆帰ってきましたねー」


美紗「えへへ...///あっそれと、奈実樹

   さん達が作った豚汁すっごく

   美味しかったです!!」


奈実樹「ふふ、そうか。そりゃ良かった

    なぁ」


美紗「えへへ///」


 会場も凄く盛り上がってるし、雪音と二人っきりなのもいいけどやっぱり皆と居るのも楽しいな。


樹理「入(はい)れてるかなー...、

   入(はい)れてるかなー...

   でも皆、凄いもん...私

   自信ないよ...。ナミぃ...」


奈実樹「まぁ仮に選ばれん

    でもうちの一番は樹理には

    変わりないからな」


樹理「ナミぃぃ...///Love to meー///!!」


柚夏「あ、でも落ちたらファンの数も

   落ち着くかもしれない

   し...。」


柚夏「そう考えると此処に居るのも嫌

   な事ばっかりじゃないのかも」


美紗「それは、もう此処に居る時点で

   諦めた方が良いと思う。」


湾「....」


奈実樹「5人の中に入っとるだけでも

    凄い事やしな。自信持って

    えぇんやない?」


雪音「...明らかに予選敗退の未来図しか

   見えない此の状況下において、

   この場に私が立ち会う必要性は

   あるのでしょうか」


美紗「演説が無くても、雪音の美貌なら

   大丈夫でしょ」


美紗「私は雪音を一位にしたよ。」


雪音「...では私が三位以内に入っていな

   ければ杏里さんに何かして

   頂きましょう。」


美紗「えっ」


雪音「自らの発言には責任を持つべき

   ですよ。」


美紗「え、じゃぁ雪音が入ってたら

   私のお願い聞いてよ?」


雪音「...良いでしょう。此の場にいる

   方々が証人ですね」


美紗(雪音って意外と賭け事とか好き

   なのかな...、えぇ~...、雪音が

   順位に入ったら何お願いしよう)


美紗(どっちにしろ私にとって得しか

   ない事に変わりないんだけどね)


美紗(...でも、この中の誰が一位に

   なるんだろう...。)


美紗(一番ウケそうなのはやっぱり樹理

   さんとか晴華さんかな?)


美紗(雪音は好み分かれそうだし...。

   高嶺の華って感じで親しみ易さで

   言えば、難攻不落のダンジョンだけど)


美紗(でも才色兼備でスポーツも出来て

   頭も良い雪音が除外はないだろ、)


瑞撫「何枚か私の名前が書いてあった票が

   あったのだけれど、本来は駄目よー?」


瑞撫「まぁ、嬉しいからポイント0には

   しないでおきましたわ。」


瑞撫「適当に作ったあみだくじで選んで

   おいた私に該当者の諸君等は深く

   感謝すること、」


瑞撫「そっちの方が盛り上がると

   思ったから」


美紗(無効じゃないんだ。瑞撫さん

   らしいといえばらしいけど...)


瑞撫「あと、あみだくじで外れても

   私のせいではないですわよー?」


瑞撫「結果に文句がおありでしたら

   古池雪音会長が全て御伺い致し

   ますので」


瑞撫「部下の不始末は生徒会長に

   お任せ致します」


美紗「丸投げされてるけど...」


 ポンポンと、雪音は奥にあった予備のマイクを軽く触るとマイクに向かって話す。


雪音「生徒会長権限と致しまして、当事

   者の副会長の瑞撫様にご対応承り

   ますよう宜しくお願い申し上げます。」


瑞撫「あらあら、振られてしまいました

   わ」


瑞撫「私ですと玩具にしてしまいます

   から。古池の娘さんにお願い

   したかったのですけれど...まぁ、いっ

   か!!」


雪音「...良くはありませんね。」


雪音「真面目に司会の仕事をして

   下さいますようお願い致します。

   私からは以上です」


瑞撫「それもそうですわね。やり過ぎ

   ちゃうと時間通りに終わらない

   ですもの」


美紗(あれ...、瑞撫さん意外に

   すんなり...)


瑞撫「【妹ちゃんにドキドキして夜しか

   眠れない!!】略して、ドキ妹

   が見れないのはほんっっと、

   避けたいっ、、」


瑞撫「瑞撫さんは定時に帰りたい!!」


美紗(良かった、ちゃんと何時もの

   瑞撫さんだった。)


瑞撫「だからちゃっちゃっと始めちゃい

   ましょう♪」


瑞撫「前回ちょっと甘過ぎて先生に

   怒られてしまいましたので、」


瑞撫「今年は1位から3位の順番が

   当たったら目利きポイントが

   加算で貰えます。」


瑞撫「1位~3位を見事当てた人は

   どんなゴミみたいな衣装であって

   も」


瑞撫「A判定以上が付いちゃう!!、

   やったね。説明は以上です」


雀「因みに1人でも順位が当たって

  いれば、25%加算となります」


美紗「えっと...その、お疲れ様...?」


雪音「始末書は彼女に全て書いて頂き

   ますので困るのは主に教員の

   方々ですよ。」


雪音「瑞撫様の管理は生徒会の業務に

   は含まれてはいませんから」


雪音「保護者の方々はいらっしゃらない

   ので、多目に見られるはず

   でしょう」


美紗(瑞撫さん...実は雪音に構って

   貰いたいだけなんじゃ...、)


美紗(全く相手にされてないけど...)


雪音「あぁいった態度で生徒会を辞め

   させられない事に対しては若干

   疑問を感じますが...」


雪音「彼女に対する生徒の支持が

   絶大で教員の先生方もお手上げ

   状態の様ですね。」


美紗(...雪音には悪いけど、あの人

   だってすっごい面白いもん...。)


雪音(そりゃ皆辞めさせたくない

   よね...、、)


瑞撫「では、いきましょう!!気になる

   結果発表です...!!」


瑞撫「それにしてもかなり接戦した投票

   でしたわ。4位との差は...」


瑞撫「まさかっ、なんとわずか1票!!」


生徒達「おぉ...、」


瑞撫「私もまさかこのような結果に

   なるとは思っていません

   でしたわ」


瑞撫「1年生にして、まさかの大人気

   沸騰中っ!!」


瑞撫「ブラックウルフの公(きみ)

   !!芽月柚夏さんーーー!!」


瑞撫「おめでとう!!」


柚夏「は...?」


柚夏「...冗談でしょ?」


 もう完全に選ばれるとは思ってなかったのか流雨さんを左手で支えて肘を掛けてリラックスしてた柚夏は


 肘をずらして漫画のキャラみたいな、え?って顔をしたままこっちを見てる。


美紗「まさかゆずかーさんが選ばれる

なんてね。私も柚夏に入れとけば

良かったなぁ...、」


柚夏「一般の人からするとそんな私

   イケメンなのか...。あんま自覚

   ないけど」


 柚夏の膝の上に乗って満足気にぼーっとしてる流雨さん、本当猫さんみたい...。


柚夏「...なんか凄い複雑、皆狼好き

   なんだな」


流雨「おぉ...、」


瑞撫「入れた生徒の意見と致しまして、

  「普通に格好いい。抱いて

    欲しい、イケメン。襲われ

   たい」などの数多くの感想を

   頂いています」


柚夏「いやいやいや...、もう少しまとも

   な意見なかったの...?!」


柚夏「もう完全にネタ枠じゃん、」


柚夏「そんな無法地帯みたいな理由

   で私は選ばれたのか...、」


柚夏「選ばれた理由が納得いかない...。」


柚夏「いや、多分あの人が面白そうな

奴を選んでるだけなんだろうけど、」


美紗「でも凄いじゃん。柚夏っ!!」


美紗「おめでとう!!ほら、早く行って

   きなよ!!皆柚夏の事待ってるから」


 パチパチパチと、会場全体に拍手が鳴り響く。まさか私のマイふぇいばりっどゆずかさんが選ばれるとは


私も鼻が高い。


朝乃「へぇ、芽月さんって本当に

   凄いんだね。性格だけじゃなく

   見た目もか」


柚夏「先輩、変わって下さい」


朝乃「まぁ最初だけだよ(※人が寄って

   くるのも)。多分」


晴華「おめでとう、柚ちゃん」


 柚夏を引っ張って舞台に連れて行く途中。湾さんが柚夏に何か言いたそうに小声で喋っているのが聞こえた


湾「...だったら、絶対勝ってたのに...」


※スライド


瑞撫「はいー、それともう一人!!

   同票で3位に入った不思議の

   国のアリスっ!!」


瑞撫「我等が副会長!!、3年生の樹理

   シェリー・ルシェルさんですー!!」


樹理「えっ」


美紗「え”っ!?3位、2人...!?」


樹理「って事は、同票...?」


奈実樹「入とって良かったやん」


奈実樹「ほら、樹理も。」


樹理「う、うん...」


奈実樹「樹理。...おめでとうな」


樹理「....!!...うん///!!私、行ってく

   る!!」


 そういって、舞台に駆けていく樹理さん。駆けてく姿もなんというかもう女子力が高い。


美紗(樹理先輩みたいなお嫁さんが

   いたら良いなと思う人も多い

   だろうな、)


美紗「この場合どうなるんだろう...」


柚夏「普通にどっちも評価されるん

   じゃない?」


流雨「まぁ...一年生のうちはあんまり

   評価気にしないで良いと思う...。」


美紗(流雨さんが凄い先輩らしい発言を)


朝乃「樹理さん、選ばれて良かったじゃん」


奈実樹「まぁうちとしては3位辺り

    くらいが一番良ぇんやないか

    思うとるよ。」


朝乃「あら?どうして?」


奈実樹「一位やと人がぎょうさん来る

    からなぁ。三位のが、樹理を

    独占出来るやろ」


奈実樹「その上、うちは調理部副部長

    やからね。樹理と二人きりに

    なる機会も多い」


奈実樹「コンテストで樹理を好きに

    なった人からすればうちは

    めっちゃ良いとこおるんよ」


朝乃「それ本人の前で言ってあげなよ。

   私じゃなくてさ...、」


奈実樹「まぁたまにはな。樹理には

    あんま性格悪いとこみせたく

    なくてな」


奈実樹「真似されたくない...。うちに

    似んでほしい、」


朝乃「今更...」


奈実樹「そうなんやけど」


瑞撫「樹理ちゃん先輩を選んだ理由と

   して、一番多かった意見が

   【可愛い】でした。」


瑞撫「また他の意見として、とある三年

   生の方からは「こんなお嫁さん

   おったら幸せやろうな」と言った

   ご意見や」


奈実樹「誰や。そんなん書いたん」


朝乃「奈実姉ぇでしょ」


瑞撫「「料理教室で教えて頂いた時から

   ずっと好きでした。」」


瑞撫「「料理をいつも教えてくれて

   ありがとう!!」「教え方が凄く丁寧」

   などの意見もございましたわね。」


樹理「あ...、ありがとう////、ございます...////」


瑞撫「んー、きゃわ。」


瑞撫「ということで、両者お互いに

   じゃんけんをして下さいませ。

   勝った方が3位ですわ」


柚夏「また随分古典的な決め方で...」


瑞撫「先代が決めた方法ですもの、」


瑞撫「この辺りは私が勝手に変えては

   いけないものだと思っております

   わ」


柚夏「...なるほど、それなら仕方無い

   ですね」


柚夏「そうですね...。」


柚夏「不戦勝でしたら、繰り上がり形式

   になりませんか?」


柚夏「私は別にそういうのに興味は

   ありませんし、」


柚夏「入賞を望んでる副会長にとって

   貰った方が賞としても幸せだと

   思います。」


柚夏「それに先輩は三年生ですし、

   私は来年もありますから」


瑞撫「は?心までイケメンかよ。」


柚夏「応援して下さった方々には本当に

   申し訳ないですけど、私は降り

   させて頂きますね。」


生徒達「柚夏様ーーーー////優しすぎーーー///」


瑞撫「おおっと、期待の一年生が三年生

   の先輩に座を譲ったぁっ!!なんて美しい光景なのでしょう」


瑞撫「彼女が参加する来年のパーティに

   はさらなる期待と活躍をお願い

   します!!」


柚夏「では、先輩」


柚夏「おめでとうございます」


 と、柚夏はそれだけ樹理先輩に言ってからこっちに帰ってくる。


美紗「かっこいいー、」


柚夏「...というか、あんな綺麗な意見

   貰ってる人の期待を裏切って

   まで勝ったら不味いでしょ...。」


柚夏「本当に普段から慕われてる

   人の意見だよ、あれ」


美紗「ふふ、そっか。柚夏らしいね」


柚夏「...そりゃどうも」


柚夏「ごめんね、流雨。3位取れ

   なくて」


流雨「ううん、...柚夏は優しいから

   良いよ。凄くかっこよかった」


柚夏「...、....そっか、...どうしよう。

   凄い癒やされたかも...///」


瑞撫「樹理ちゃん先輩、入選、おめで

   とうございます。何か皆さんに

   お伝えしたいメッセージなど

   ございますか?」


樹理「嬉しくて...、上手な言葉が出なく

   て、皆...、ありがとう。」


樹理「譲って頂いたブラックウルフさん

   には後で何かお礼が出来たら、

   良いなって思います。」


柚夏「その名前で呼ぶのやめて欲しいん

   だけど...」


瑞撫「ありがとうございましたっ!!」


樹理「...っ、はい!!」


瑞撫「さてさて、無事三位の方が

   決まったところで!!次は2位の

   方をご紹介しましょう!!」


瑞撫「2位は...!!閃光のごとく、突如と

   して現れた青髪エルフ!!

   湾さん(仮)ですっ!!」


湾「....。」


美紗「行かなくて良いんですか...?」


湾「...大丈夫、」


湾「多分...、同姓同名の別人だから」


湾「こんなはしたない...醜い、格好で

  選ばれる訳ないでしょ...。」


湾「そりゃ、化粧とかしてるけど...どう..

考えたってそれだけじゃ無理ぃぃ...」


湾「というか、絶対小栗ちゃんのが絶対

  似合うのに...、なんで私が出てるの...、、、」


湾「ストレスで涙出そう...、、

  皆頭おかしいんじゃないの、それか

  絶対目が、腐ってる...。」


美紗(湾さん大丈夫かな...。)


柚夏「...まぁ、その気持ちは分から

   なくないけど...」


湾「...君は良いよね。」


湾「...格好良くて、頼りがいあって。

  力もあるし...人生苦労したりしない

  でしょ。」


湾「...私はそんな強いメンタルして

  ないんだよ...。そのくらい許して

よぉ...もぅぅ...、顔に免じて、、」


美紗(顔に免じて、)


湾「今...ストレスで吐きそうなの...、、」


柚夏「えっと...」


美紗「まぁ、まぁ...落ち着いて...」


美紗(柚夏、湾さんに凄い嫌われてる

   けど...。ゆずかーさん湾さんに

   何かした?)


柚夏「私、何かしましたか...?」


湾「...そういう自覚がないとこ

  だよ...。あなたには一生分からない

  よ...、私の気持ちなんて...」


湾「...周りからちやほやされてるから

  って調子乗らないで。というか

  話し掛けないで、イケメンが移る」


美紗(イケメンが移る、)


湾「....、」


湾「....」


湾「行けば良いんでしょ...、」


湾「はぁぁ...もぉ、だから普通の人の

  感覚って本当分かんないんだよ

  ね...。白羽ちゃん...」


??「あぁ...もう、見ていられないわ」


と、奥から小栗さんがやってくる。


 今日は雨宮先輩と一緒じゃないん

だ...、何か小栗さんと雨宮先輩ってセットなイメージがあるけど


今日は一人だけなのかな


小栗「...彼女は私の幼なじみの子

   なのだけれど、」


小栗「...まぁ見ての通り。精神的に少し

   問題があってね...、本当に問題児

   ばかりだわ...」


湾「....出る意味がよく、分からない。

  これで何が得られるって言うの...」


小栗「私が此処まで来たのだから」


小栗「今更出来ない、だなんて言わない

   わよね?」


小栗「それに...。」


小栗「嘘をつくような人を彼女は慕う

   かしら?」


湾「......」


 親の前で大事な壺を割ってしまった子供のような顔で、


 しぶしぶ椅子から立ち上がる湾さん...、大丈夫かな...。


小栗「良い子ね。」


小栗「...大丈夫よ。怖くないわ、

   ...後でご褒美にぎゅっとして

   あげるから」


湾「....こういうとき、...どう答えれば

  いいか分かんない」


小栗「その答えを知るためにも、

   さっさと行くの」


 と、湾さんは歩いて会場に向かってく。まるで小さな子供と接してる母親に近い感じ...。


美紗「あの人、小栗さんの知り合い

   の人だったんですね。えっと...

   雨宮先輩は一緒じゃないんですか?」


小栗「捜していたの?」


美紗「いや、いっつも一緒にいるって

   イメージで...。ちょっと気に

   なって...」


小栗「彼女なら途中で帰ったわよ?あの

   子はとても気紛れだし...。私が

   何を言っても聞きやしないもの」


小栗「授業には出なさいって、いつも

   言ってるのだけれどね...。私も

   狛の考える事はよく分からないわ」


美紗(そっか、狛さんらしいや。でも

   予選落ちとかで落ち込んでるって

   いう訳でもなさそうだし)


美紗(それはそれで良かったのかも)


柚夏「またあの人は...さぼったん

   ですか...。」


小栗「まぁ、勉強だったら首根っこ

   掴んででも引きずるけれど」


小栗「狛は騒がしいのが基本的に

   苦手だから」


小栗「仕方ないといえば仕方ないわ。」


小栗「...絶対音感なのよ、狛は。人より

   耳が良い世界を私達は知らない」


小栗「だから、自分の価値観を押し付け

   るのは良くないとは一応、理解は

   してるつもりよ」


柚夏「それは...。そうですけど...」


小栗「一応あれでも自分の事だもの。

   今自分がどういう状況におかれて

   いるのかは、」


小栗「本人が一番よく分かっているん

   じゃないかしら?」


小栗「貴女は...とても優しいのね。今の

   私にはそこまで出来ないわ」


小栗「...ちょっとした訳ありなの。」


小栗「...これくらいの事は私に免じて

   、許してあげてくれないかしら?」


柚夏「小栗先輩がそう言うなら...」


小栗「芽月さんもいつか分かるわ。」


小栗「それにしても...。凄いお菓子の山

   ね。私、こんなの初めて見るわ」


小栗「ふふ、何だか楽しそうね」


 と、机の上にある大量のお菓子の山の見ながらゆっくり歩く小栗さん。


美紗(あっ...、えーと...、..あった!!)


 急いで奥にしまってあるパイプ椅子を見つけて、持ってくる。


美紗「あ、良かったらどうぞ」


小栗「あら、ありがとう。ふふ、凄く

   助るわ...。貴女はとても気が効く

   子なのね」


美紗「...えへへ///」


奈実樹「小栗はんも食べてってな」


小栗「全部、美味しそうだけれど...。

   んーそうねぇ...果物に近いお菓子

   ってあるかしら?」


奈実樹「病院暮らしが長いとそっちのが

    やっぱ慣れとるん?」


小栗「そうね、お菓子は中々食べられない

   物だから。どっちかというと、水分が

   多いものの方が食べやすいわ」


奈実樹「心臓は色々制限が多いからなぁ...」


小栗「バナナとか栗が好きよって狛に言った

   ら、君は好みまでえっちなんだねって

   言われてしまったのよね...」


奈実樹「確かにそれはなぁ...なるわなぁ」


小栗「えぇ!?、奈実樹さんもそう思うの

   かしら。...だって、...手も汚れないし、

   味だって美味しいじゃない」


小栗「もぉ...誰よ。バナナや栗がそういうの

   の象徴なんて言った人...本当にいい迷惑

   だわ...、甘い物食べ過ぎるとこっちは

   動脈硬化で死に直結するのよ...」


美紗(へぇ、小栗さんバナナと栗が好きなん

   だ...。でも色々大変そう...)


瑞撫「さて!!この大会もそろそろ終わりが

   近付いてきました!!」


美紗「一位...、」


美紗(雪音か...晴華さんか...、)


美紗(晴華さん...、相手はモデルさん...。

   うぅぅ、どっちも勝って欲しい....!!)


瑞撫「このままなら無事に定時に帰れそう

   ね!!皆のお陰よ、ふふふ、えー、

   最後の栄えある第一位はっ!!」


瑞撫「この方ですっ!!」


※キャプション


瑞撫「不思議の国のアリスの世界から

   飛び出した時計を持った兎さん

   っ、2年生の橘、晴華ちゃーー

   ーん!!」


瑞撫「ハロウィン祭コスプレ大会優勝

   おめでとーーーっ!!」


パパン、っとクラッカーが鳴る


晴華「行ってくるね、」


雪音「おめでとうございます。」


 晴華さんの登場と同時にワー、っという生徒達の歓声があがった。


美紗(凄い人気...、晴華さん綺麗な

   白髪(しろかみ)してるもんね。)


パチパチ...※拍手


瑞撫「ぶっちぎりの大人気でした、」


瑞撫「橘晴華さんを選んだ人の理由と

   致しまして」


瑞撫「「毎月ファッション誌買ってる

   よー」や、「テレビで見てて感動

   しちゃった。」」


瑞撫「「同じ学校に通えて嬉しい」など

   本当に沢山の応援の声がありました」


 私としては雪音に優勝してほしかったんだけど、雪音落ち込んでないかな...。


 見た目は誰にも負けない容姿してるんだけど


美紗(今回は相手が悪かったと

   いうか...、皆性格の良い人を

   選びたがるよね)


美紗(雪音も結構可愛いとこあるんだ

   けどな。猫がすごい苦手なところ

   とか、)


美紗(お菓子を食べると人が変わる

   とことか。直った時の何とも言え

   ない表情も)


美紗「やっぱり晴華さんの人気

   凄いね」


雪音「えぇ、そうですね」


 雪音は瞳を閉じながら、ただ冷静にその結果を聞いていた。


美紗「でも、1票差だって言って

   たし」


美紗「途中で演説も終わちゃったから。

   普通に会話出来てたら雪音も

   順位に入ってたかも」


雪音「無理に気を使う必要はありません

   よ」


雪音「本当に優れた人物であれば、

   どのようなハプニングがあったと

   しても対応出来てしまうものです」


雪音「入選した方々の方が私より

   人望が優れていたというだけ。」


雪音「瑞撫様にあのように仰有られて

   しまったのも。私の人望の無さ

   から来るものでしょう」


雪音「...もっと精進しなければなり

   ませんね。」


柚夏「...古池さんって」


柚夏「ずっと高嶺の華ってイメージが

   あったけど、話してみると思った

   よりも人が出来てるんだね。」


美紗「普通の人なら「私の人望が

   無かったから」で終わるのに。

   雪音は育ちが良いので」


美紗「どんな時も勝者に対して敬う事を

   忘れないんだよね。そこに

   恋する、惚れられるっ!!」


雪音「...私がそのように言わせてるよう

   に見えるのでその辺りでやめて

   下さい。」


雪音「私より人望のある晴華さんの方

   が古池家の跡継ぎとしてもずっと

   向いていると思っていますよ」


瑞撫「皆さん、お手厳しいですわね~」


瑞撫「「演説がもっと聞きた

   かった」、「応援しています

   会長」などの会長に対する意見も

   ちゃんとございましたのよ?」


瑞撫「一票差でしたし...私がちゃんと

   彼女のお話を聞いていれば」


瑞撫「雪音さんはランキングに入って

   いる実力は備わっているお方

   ですわ。」


瑞撫「ですから...、少しだけハンデを

   与えてみたのだけれど...。」


瑞撫「失敗しちゃいましたわね~、流石

   の私も今回の件は深ーく反省して

   おりますわ...」


目立つ生徒

「他の人にも勝つチャンスを与えてくれる瑞撫様万歳っ!!!」


目立つ生徒

「瑞撫様は悪くないですよっ!!

   元気出してー!!瑞撫様ー!!」


目立つ生徒

「私達は瑞撫様の笑顔が大好き

   なんです!!」


 会場にいた一人の生徒が大声で瑞撫さんを庇ってる...、


 皆その声に続くように他の人からも瑞撫様、毎日面白くて大好きですー!!


 とかいつも瑞撫さんがいるから学園生活が楽しいですー!!とか


 立ち上がって声をあげる人がどんどん増えていく...。


美紗「こんな事されちゃったら、

   怒るに怒れないね...。」


雪音「そもそも怒ってはいないのですが...」


雪音「...彼女の事は今回の件で認め

   ざるおえませんね。」


雪音「少々、心配はしていま

   したが...。その必要はなかった

   ようです」


瑞撫「皆...、...っく、本当に粋なこと

   してくれるじゃない!!」


瑞撫「私も私達が好きな皆さんの事

   愛していますわーーっ!!」


瑞撫「北条さーーーん!!、貴女が年上と

   知らなければ今頃ちゅっちゅっして

   たわーーー!!ありがとう!!」


美紗(北条さんは泣いて良いと思う。)


※キャプション


瑞撫「明日はお休みになりますので

   各自小物を教室に運んだ後速やか

   にお帰り下さいませ。次の日程は...」


美紗「ハロウィン祭、楽しかったね。

   雪音」


 疲れたのか、結構真面目モードだった瑞撫さんの閉会式も終わって...。


 さっきまでとても賑やかだったハロウィン祭も少しずつ夜の静寂を取り戻しつつあった


美紗「雪音を助けようとした時は

   凄く怖かったけど、」


美紗「それでも1つだけ良かった

   って思う事もあるんだよ。」


雪音「あの事件が起きて良かった

   事ですか...?」


美紗「うん。私は最後まで雪音を見捨て

   ずに助ける事が出来たから」


美紗「それがあるから」


美紗「だから私は胸を張って。今も

   こうやって雪音の側に居れる」


美紗「最初は雪音が美人過ぎて、私が

   雪音の側にいるのはやっぱり

   可笑しいのかなって思ってたけど」


美紗「今はまだ隣に居ても恥ずかしく

   ないのかなって」


雪音「....そんな事...、」


雪音「...改めて貴女を友として迎え

   入れられた事に感謝しなければ

   なりませんね。」


美紗「雪音のお陰でこんな自分でも自

   信を持つ事が出来たから」


美紗「だから、ありがとう。雪音」


美紗「雪音を好きでいさせてくれて...。

   えっとね、前からそれがずっと

   言いたかったんだ。えへへ...///」


美紗「ちょっと照れちゃうね...///」


雪音「...」


美紗「雪、音...?」


 雪音はその雪のように美しい両手で私の手を添えて


 まるで包み込むように瞳を閉じて言った。


雪音「少しだけ...、」


雪音「...こうしていたいのです。

   私の我が儘を聞いては下さら

   ないでしょうか」


美紗「...うん。それで雪音が安心する

   なら」


 本当に、それはほんの少しの時間だったけど...。


 私にとってはとても大切な記憶。


 これからどんな事があっても、私はずっと雪音の味方でいれるから...。


雪音「麗夜さんとはあのような形に

   なってしまいましたが」


雪音「だからといって杏里さんを

   諦めるつもりはありませんよ。」


雪音「友人くらい認めて下さっても

   良いとは思うのですが...」


雪音「彼女は少し私の事を神様だと

   思っている節(ふし)があるので...。」


美紗「コガモみたいな。雪音はどっちか

   というと白鳥だけど」


雪音「醜いアヒルの子ですね。」


雪音「特におつむの方は...」


美紗「雪音さん!?!?」


美紗(雪音が言うって相当だよ!?!?)


※キャプション


 ハロウィン祭も終わって。流石にこの時期にもなると高校生活にもすっかり慣れてきた、11月の上旬...。


美紗(...もう、今年もあと二カ月かぁ。

   早いなぁ...)


美紗「そういえば、この間の

   ハロウィンからちょっと気に

   なってる事があるんだけど...。」


美紗「あ、それと今日は雪音と一緒に

   食べる約束してるからお昼は

   そっち行くね。」


柚夏「了解、」


柚夏「そっか...だったら私も流雨のとこ

   行こうかな...。美紗の場合相手が

   生徒会」


柚夏「その上、会長ともなれば中々

   一緒に居る機会も少ないだろうし」

    

美紗「本当ね?」


美紗(まぁちょくちょく生徒会に行って

   食べたりもしてるけど)


美紗(雪音一人で食べるのが好きそう

   なんだよね。)


美紗(まぁ...このくらいの距離感が

   丁度良いのもあるけど、雪音は

   普段から忙しいし)


美紗(別に寂しいっていう年齢でも

   ないからなぁ...。)


美紗(時間が経つのって本当早い

   よね...、)


柚夏「...で、気になる事って?」


あ、そうそうその事。


美紗「いや、なんで柚夏湾さんに

   あんなに嫌われてるんだろって」


 性格が合わないとかならまだ分かるけど、向こうは柚夏の事よく知ってるみたいだったし


 くゆにもみかげちゃんのお姉ちゃんと会ったってお話したいと思ってたから、丁度良いかなって。


 ついでに柚夏が何かしてたら私から伝えるのも良いし


柚夏「そんなのこっちが知りたいよ...。

   あの人とは殆ど初対面だし...」


美紗「あんまり関り合いないの?」


美紗「でも初対面...って、感じ

   の反応じゃなかったんだけどな。」


美紗「湾さんの方は柚夏の事知って

   るみたいだし」


柚夏「そんな事言ったって...。知らない

   ものは知らないし...」


美紗「柚夏もそうなんだ、なんか...

   不思議だね?」


美紗「でも会ったことはあるん

   でしょ?」


柚夏「いや、と言っても小栗先輩と       

   一緒に歩いてたのを一度見たこと

   があるくらいだよ」


柚夏「それに、あの時は...何か

   池に落ちた後みたいで...。」


柚夏「それで小栗先輩の服を借りて

   着てるところを見たんだけど...」


美紗「たんだけど...?」


柚夏「その...。胸のサイズがあんまり

   あってなくてさ、見るとこに

   困って...」


柚夏「...でも、あの時はすぐ視線

   逸らしたし...。」


柚夏「...というか、それが原因で嫌わ

   れても...。私にはどうしようも

   ないというか...」


美紗「絶対それが原因じゃん」


柚夏「だからってどうすれば良いの。

   胸見てごめんなさいって言う?」


柚夏「向こうが気にしてなかったら

   それこそ、変態だし...」


美紗「まぁ、柚夏は...ねぇ...?」


柚夏「私が...何?」


美紗「顔がイケメンだから、」


美紗「私が柚夏の事知らなかったら

   多分、見られたくないかも。」


柚夏「同性ですが...」


美紗「でも女の子ってそうの好きだから、」


美紗「ユズ王に見られるのが

   恥ずかしいだけだよ。きっと」


柚夏「クフ王みたいな。」


柚夏「あの人はどう考えてもファン

   じゃない気がするけど...」


柚夏「まぁ、そう考えてた方が良い

   よね...。」


美紗「んー、髪とか下ろしたらそう

   思われなくなるんじゃない?」


美紗(柚夏、ショートとか凄い似合い

   そうだよね。まぁそれだと意味

   ないから言わないけど...、)


柚夏「んー...そうだなぁ...。」


 と、柚夏は黒髪を指先でくるくると弄ぶようにいじりながら触ってる。


柚夏「セミロングとかありだと思う

   けど、髪結べないとバイトとか

   ですごい邪魔になるんだよね...」


美紗「あー...」


柚夏「それに、今更髪を下ろすっていう

   のも...ちょっと...。」


柚夏「ハロウィンの事もあって今は

   あんまり目立ちたくないし...、」


柚夏「ショートならまだ分かるけど、私

   一応髪は長い方なんだよなぁ...」


柚夏「サイドテールは結構勇気いる

   し...、まだポニーテールとかの方

   が女の子らしかったりするの

   かな...?」


美紗「ポニーテールは駄目っ!!!

   絶対、駄目!!」


柚夏「そこまで言うならしない

   けど...。」


柚夏「普通に走る時とかは楽だから

   ポニーテールの方が良いん

   だけどね、」


柚夏「でもまぁ...当分はこのまま

   かな」


美紗(麗夜さんの事思い出すし...、、

   取り敢えず当分は今までの

   ゆずかーさんで良いかな、、)


美紗(というか、あの人も

   柚夏と同じ...!!美系だからっ!!、、)


※スライド


美紗(....)


美紗(...、.....。)


美紗(あの雲、大きな綿あめみたい...。)


美紗(それにしても空って、本当に

   大きくて凄いよね...)


 授業も終わって、お昼放課。ぼーっ、と...屋上のベンチの上で座って先に雪音を待ってると


 誰かが階段に上ってる足音が聞こえた。


美紗(雪音かな?)


雪音「先にいらしていたのですね」


美紗(えへ、へ...///やっぱり、雪音だ)


美紗「ううん、私が早く来すぎただけ

   だよ。それに」


美紗「空を見るのも好きだから」


雪音「...そうですか。それなら、

   良かったです」


 雪音は隣に腰掛けて、私と同じ様に何処までも青く澄み渡る空を見る


 ...この広い空の先には一体どんな世界が広がってるんだろう。


 私の人生なんて、この空から見たらほんの一瞬の出来事で


 どんな悩みも空を見てると随分ちっぽけな物のように思えた。


美紗(...この広い空の下。雪音と私が

   こうやって一緒にいられるのも)


美紗(本当は凄い確率で、神様がくれた

   運命の出逢いだったりするの

   かな。そうだったら嬉しいな。)


雪音「...とても。...気持ちのよい晴天

   ですね」


美紗「うん。私もそう思う、」


雪音「最近は貴女と食事をする機会

   も増えましたね。主にイベント

   の際ですが」


美紗「あは、は...。そうだね、それに

   しても最初の方に比べたら凄い

   進展したよね」


雪音「そもそも一個人と仲良くする

   つもりもありませんでしたからね。」


雪音「今は考え方が少し違いますが、」


美紗「でも、まさか雪音の方から誘って

   貰える日がくるなんて思っても

   なかったよ。」


雪音「今更誘ったところで、遅い

   でしょうか?」


美紗「そんな事ないよっ!!

   すごい、嬉しかったから!!」


美紗「むしろもっと誘って欲しい

   くらい。」


美紗「でも良かったの?」


美紗「生徒会とか、」


雪音「約束を取り繕う事自体はそれ程

   難しい事ではありませんよ。」


雪音「たまには彼女も日頃の行いを

   知るべきでしょうから」


美紗(瑞撫さんに押し付けてきたんだ、

   まぁハロウィンの票の事もあるし

   ね...。)


美紗「でも雪音が私のために時間

   を作ってくれたのは嬉しいな。」


美紗「雪音にとってそれだけ価値

   のある人間って事でしょ?」


雪音「貴女程面白い人も中々いません

   からね。」


雪音「杏里さんは結果が予め分かって

   いることでも、最後まで手を緩め

   る事はないでしょうから」


雪音「特に私に関することは」


雪音「...私は時折、そんな貴女が

   羨ましく思う時があります。」


雪音「杏里さんのその胸の中に宿る

   芯の強さは私には...もう、

   無いものですから」


美紗(雪音、落ち込んでる...?)


美紗「私一人の力ではほんとに

   何にも出来ないけどね。」


美紗「雪音にくゆ。柚夏、それに

   私の好きな人達が側にいてくれる

   から」


美紗「私は自分が好きな自分でいられる

   んだ。」


美紗「私を必要としてくれる人達に

   誇れるような人になりたかった

   から」


美紗「だから今回、雪音にそう言って

   貰えてちょっと嬉しいかも。」


美紗「...でも雪音がもし自分には燃える

   ような感情がないっていうなら」


美紗「私が雪音の友達として。」


美紗「雪音の分まで嬉しいとか、悲しい

   とかそういう気持ちをいっぱい

   教えてあげるよ」


美紗「だから、これからは嫌な思い出

   ばかりじゃなくってさ」


美紗「嫌な思い出なんて全部塗り

   つぶしちゃうくらい。楽しい事

   いっぱいしよう?」


美紗「そしていつか雪音が本当に心の底

   から笑えるようになったら」


美紗「その時は私にとびきり美人な

   雪音の笑顔を見せてね。」


美紗(私も前まではそうだったから。)


美紗「勿論、雪音が嫌じゃなかったら

   だけど」


雪音「それは良いのですが...。」


雪音「今まで、私は誰かに感情を見せる

   のは弱い人間がすることだと

   思っていました。」


雪音「泣いたり、怒ったりする事は

   自分の感情をコントロール

   出来ない人がする事です」


雪音「杏里さんには出来ても、今の

   私には到底出来ません。」


美紗(落ち込むときは落ち込んでも

   良いと思うけど...。)


美紗(雪音のお家だとそうもいかない

   のかな...、)


美紗「楽しい話しよっか。」


美紗「んー...、なんのお話が良い

   かな...。雪音は何か聞きたい

   話とかある?」


雪音「あぁ、でしたら。杏里さんが

   懐かしいと思うお話を

   お聞かせ下さい」


 その声に反応したのかわからないけど。...雪音はその会話がくるのをまるで待っていたかのようにそう答えた。


美紗「懐かしい...?」


雪音「...」


美紗「...え、えっと」


美紗(...いつもの雪音だったら、)


美紗(杏里さんの話したい事で良いです

   よって言うと思ったから...、

   ちょっと意外かも...。)


美紗(ま、まぁ...私の事知りたいのは

   純粋に嬉しいけど.../// )


美紗(なんか、今日の雪音、ちょっと

   積極的...)


雪音「どうか致しましたか?」


美紗「あー、...う、うん。今考え

   てるから...ごめん、ちょっと

   待って...。」


美紗(うーん...懐かしい事...、)


 と、屋上を見ると皆でお弁当を食べたあの場所が目に映った。


 まるでそれが昨日の事かのように頭の中にあの時の映像が思い浮かぶ


美紗( 私にとってはもう大分、懐かしい

   けど...雪音はどうだろ?)


美紗(5ヵ月前って懐かしいかな...?)


 まぁ...、いっか...。これも私にとっては雪音との大事な思い出な訳だし 良いよね...?


美紗「始めて雪音とご飯一緒に食べた時

   は此処で柚夏と流雨さん、皆で

   一緒にご飯を食べたんだよね。」


雪音「そうですね。時が過ぎるのは

   本当にあっという間ですから」


雪音「それ故に残酷であり、人は

   そういったものに儚さを

   感じるのでしょうね。」


美紗「ね。」


美紗「あの時は雪音と柚夏が仲良く

   してくれたらなって思ってて」


美紗「それから海に行ったり、京都に

   行ったり...なんか、ほんとあっと

   いう間だったね。」


美紗「二人の仲が進展してるかはちょっと

   分からないけど、」


美紗「此処で柚夏が雪音に頭を下げた

   時、私本当に感動したんだよ。」


雪音「...そうなのですか」


美紗「あは、は...思ったより、

   他人事だね。」


雪音「...そうですね」


雪音「私は杏里さんにしか興味がない

   ようです。結局は赤の他人です

   から」


美紗「辛辣だね、」


雪音「私のそういう所が好きなの

   でしょう?」


美紗「嫌うより全然良いと思うよ。」


美紗「人間ぽくって、」


美紗「でも。人の為に頭を下げられるの

   ってほんとに凄いよね」


美紗「そういう人が本当に優しい人

   なんだと思う。」


美紗「あの時ね。柚夏が私の事本当に

   大切に思ってくれてたんだって、

   心の底から伝わったんだ。」


美紗「雪音はあの時どう思った?」


雪音「今だからこそ、お話出来ますが」


雪音「...当時の私は彼女のその言葉で

   さえも正直」


雪音「あまり興味は持ち合わせて

   はいませんでした。驚きこそ

   しましたが」


美紗「あー...、あの時...。

   やっぱり、そうだったんだね」


雪音「淡白ですよね。」


美紗「別に淡白でも良いんじゃない?」


美紗「そういう人が居ても。」


雪音「...このお話をするのはあまりよく思わ

   れない方もいらっしゃいますので、

   彼女に合わせました。」


雪音「ですが、同時に彼女の一方的な欲求に

   従う必要もないとそのように

   感じていました」


雪音「...麗夜さんの襲撃事件があるまでは。

   ですね。」


美紗「...そっか、でもちょっとでも分かる

   ようになったならそれは嬉しいな。」


雪音「実際その言葉を耳にした今でも、信じ

   られずにいます」


雪音「貴女の言葉を想定していても。」


雪音「人間の言葉には特に期待も何もして

   いませんでしたから」


雪音「貴女が私の言葉で喜んでも、いまいち

   どのような反応をすれば良いのか

   分からないのですよ。」


美紗「別ににへにへ笑ってるなーくらいで良い

   と思うよ。無理に私に合わせる必要も

   ないし、」


美紗『憂いを帯びた雪音の顔も素敵だから。』


美紗「って、今のは流石に冗談だけど」


美紗「人を信じられないのも分かるし、

   雪音の人生は雪音だけの物だから」


美紗「皆と違ってて当たり前なんだよ。」


美紗「自分に非がなくても、嫌われる

   時は嫌われるし自分が絶対

   嫌われてるだろうなって思っても」


美紗「その人の事が好きだったりする

   人も居たりするから」


美紗(雪音も柚夏のことそんなに嫌ってない

   みたいだし)


美紗(ただあんまり興味がないだけなん

   だよね。)


美紗「雪音は柚夏と違って結構真っ直ぐだから

   好きだよ。柚夏ってあぁ見えて結構

   性格悪いとこあるしね、」


雪音「...先程から、芽月さんの事を悪く

   言っていますが友人として良い

   のですか?」


美紗「だって私のこと凄い子供扱いしてくるん

   だもん。まぁどれだけ仲が良くても

   皮肉は結構出てくる」


雪音「貴女方は仲が良いのか悪いのか分から

ないですね...。」


美紗「でも尊敬してるとこは凄い尊敬してるし

   、柚夏が困ってたら全力で助けたいって

   思うよ」


美紗「私達はそういう関係だから。」


美紗「そんなピュアピュアの友人関係築いて

   ないよ。こんな事言ってる私のが、柚夏

   より性格悪いと思うけどね。」


美紗「柚夏はこんな言い方しないだろうし」


雪音「...一つ、宜しいでしょうか?」


美紗「ん?」


雪音「【友達】とは具体的に何をするものなの

   ですか?」


美紗「友達...?」


美紗「えっ、んー...?」


美紗「...凄い急だね。えー...と。人によって

   色々違うと思うけど」


美紗「例えば...」


美紗「悩みを言い合ったり、一緒に

   遊んだり...?」


美紗(友達ってなんだろ(哲学)、)


美紗(...でも。雪音とは友達以上で、友達で...

   うーん...、...多分深く考えると悲しく

なってくるから考えるのやめよっ!!

   うん!!)


雪音「...では杏里さんと芽月さんは親友と

いう関係ですが、それは友達とは一体

   どのように違うのでしょうか?」


美紗「親友は...友達よりも、もっともっと

   大事な人だよ。血の繋がってない

   家族みたいな...何でも話せる存在」


美紗「柚夏とは一緒に居ても疲れない

   し、嬉しいや楽しいっていう」


美紗「色んな気持ちを共感出来る、そんな存在を

   親友って言うんじゃないかな」


雪音「なるほど、つまり。友人である私より

   も親友の芽月さんの方が立場が上という

   訳ですか」


美紗「あはは...、でも、柚夏とキスとかは

   ちょっと考えられないかなぁ...。」


雪音「と言いますと...?」


美紗「柚夏はそういうのじゃなくて、血の繋が

   ってない兄弟みたいな感じ。だからつい

   つい、柚夏には甘えちゃうんだよね」


雪音「...杏里さんは私となら接吻を

   したいと?そのようにお考えなの

   でしょうか」


と、瞳を閉じながらマフラーを掴んでいる雪音。


 ...涼しい顔をしていても私は雪音の癖をちゃんと分かってるから。


美紗「私が今、一番欲しいのは雪音のキス

   より雪音がしたい事が叶うその環境

   かなぁ。」


美紗「今の雪音にキスされても私多分、

   前の二の舞だし...」


雪音「キスはしなくてよいのですか?」


美紗「前は恋人が出来て浮かれてたけど、

   別に好きだからってキスしないと

   いけない訳じゃないし」


美紗「私にはこれくらいがあってるんだよ。」


雪音「私が好きで、魅力を感じず...それで

   いて...私のしたい事が叶う環境を

   欲する...。」


雪音「私は与える側であり、そういったもの

   は初めてですね。」


美紗「もう充分、雪音からは大事なもの貰ってるからね。雪音にその自覚がなく

   ても」


雪音「...貴女は本当に人間ですか?」


美紗「人間だよ!?」


雪音「人は己の欲を優先に考え、利己私欲の

   ために何でもする生き物のはず」


雪音「私はそのために感情を無くし、古池の

   娘として理想的な存在となりました。」


雪音「...私は誰にも左右されない、揺るぎない

   存在でいなければなりません。」


雪音「貴女の望みは何なのですか。私に

   優しくする理由は?貴女の目的は

   私と付き合う事でしょう、」


雪音「もう...、...充分、ではありませんか...」


雪音「私の幸せを心から望む方なんて

   いません。私が古池の名を持って

   いなければ」


雪音「誰も、私など見向きもしない...。

   それが現状です。」


雪音「ハロウィンの時にも、それは

   証明されたはずです。」


美紗「あれは晴華さん達が特別

   凄かっただけだよ。雪音だって

   凄い努力してるし」


美紗「人には得意不得意があるから。」


美紗「晴華さん達は特に人望に関して

   は化け物並みに強いからね、」


美紗「そもそもあの人達と肩を並べて

   立ってる時点でおかしいん

   だけど...。」


美紗「雪音は変に才能あるから、」


美紗「雪音の近くには凄い人が沢山

   いるから気付かないと思うけど」


美紗「雪音だって充分凄いんだよ。」


美紗「ハロウィンの企画を考えたり、

   皆が危なくないように舞台の

   取り付けを指示したり」


美紗「雪音の事ちゃんと見てる人も

   ちゃんといるから」


美紗「道中で雪音にお礼言って

   欲しいって言われたりね。」




ハイイロ狼の被り物を被った生徒

「美紗ちゃん。」


美紗「あきら君、」


 あきら君は前に会った白色狼の池神さんの兄(女子高だけど)にあたる獣人だ。


 三年生らしいんだけどすっごい神出鬼没で滅多にお目にかかれないはずなんだけど...、


あきら君

「御宅の生徒会長って本当凄いよね。

 舞台作りもそうだけど」


あきら君

「人を見る目があるっていうか、

舞台裏の台を作ってた人がハロウィン祭までに出来るかなって」


あきら君

「全然人手が足りなくて本当に困ってたんだけど、古池さんが紹介してくれた子が趣味がDIYで凄い助かったよ。」


あきら君

「あっと言う間に作っちゃって、私もこれを被ったまんまじゃ見にくいし」


美紗「脱げば良いんじゃ...、」


あきら君

「あきら君は一応学園のマスコットだからね。誰にも中身を見られるわけにはいかないの」


あきら君

「指示も的確で生徒の人達の事をちゃんと見てくれてるって、皆言ってる」


あきら君

「仕事に就いたらあんな上司だったらいいのなー、まぁ俺は学園のアイドルなんだけどね。」




美紗「そもそも本当に人望が無かった

   らあの舞台にすら呼ばれて

   ないんだよ。」


美紗「だから私はもっと自信もって

   良いと思うけどな、」


雪音「....」


雪音「...私に感情はないですから、

   仮にあったとしても」


雪音「その言葉を聞いて嬉しいとさえ

   思えないのです。ありがとう

   という気持ちさえ」


雪音「杏里さんが私に気を利かせて

   いるのに、私は自分の事しか

   考えられない...。」


雪音「私にとってはそれが当たり前

   で」


雪音「杏里さんにどれだけ凄いと

   言われても私はそう思えない

   のです...。」


美紗(逆に縁蛇さんみたいに気に

しなさすぎも問題と思うけど...)


雪音「人は身勝手で、また己自身も...

   所詮は人間という欲の塊に

   過ぎないのでしょうか。」


美紗「...晴華さんや、雪音のお婆さん

もそうなの?」


美紗「同じ人間だけど」


美紗「確かに人には嫌なとこも

   あるし、本当になんでそんな事

   するんだろうって思う事もあるけど」


美紗「でも晴華さんみたいな人や。

   麗夜さんみたいな人もいるん

   じゃない?」


美紗「信じられない気持ちも分かる

   けど、でも」


美紗「好きな人の事をそんな風に

   言うのは悲しいよ...。」


雪音「...お婆様は、亡くなられ。」


雪音「...晴華さんは、」


雪音「貴女は晴華さんの事を

   何も知らないですからね...。

   彼女の事を...」


雪音「何も...。」


※キャプション


美紗「晴華さんの事を...?」


雪音「私とした事が、...迂闊な発言でした。

   どうか今のはすみません、忘れて

   下さい...」


美紗(晴華さんと何かあったのかな...?)


美紗「うん...、」


 と、薄くて白いお弁当箱を開けて箸を掴む雪音...。そこには晴華さんが作ったのか、I LOVE ゆっきーハートと海苔で書かれたお弁当が...


美紗(こっちも気になるけど...、それより今は

   雪音が此処まで不安定になってる理由を

   知るのが優先だよね...。)


雪音「....」


雪音「...絵画の課題が近頃、上手くいっていない

   のです」


美紗「課題?」


雪音「冬のコンテストに向けての課題です。」


雪音「今年中にある絵画を完成させなければ

   なりません。そちらの方が中々

   進んでいなくて」


美紗「天国にいるお婆さんに認めて貰える

   絵を描くのが雪音の夢だもんね。」


美紗「雪音なら、金賞も取れるよ。

   雪音の絵すっごい上手だし」


 と、雪音の顔を見ながら私はにか、っと微笑む。実際本当に上手いし


雪音「...えぇ、一般的なテーマの物でしたら...」


雪音「...ですが、今回は【感情】をテーマ

   にしたものです。」


美紗(感情が、テーマ...。そっか...、だから

雪音は焦ってたんだ。)


雪音「椿様が主催なされるとの事で、何としても

   椿様に気に入られたい企業の方々が

   プロの方を雇い入れてまで参加なさって

   いるコンテストです」


美紗「わぁ...。大人気なぃ...」


雪音「実際、権力者の方はそういう方

   も多いですよ。個人的に参加してる

   方もいますが」


雪音「ですが...。もう時間があまり残されて

   いないのも事実です...。」


美紗「高校生同士じゃない時点でフェアじゃない

   と思うけど...」


雪音「...それが通る人生なら、どれ程

   良かったでしょう...。椿様は実力主義の

   お方です、世の中結果が全て」


雪音「実力のない物に意見を申す資格など

   なく、その意思に反論するのであれば

   それ相応の結果を出さねばなりません。」


雪音「結果とは起こすものであり、また起き

   続ける物...。実力のある人には結果は

   必ず付いてきます」


雪音「...杏里さんはこの椿様の考えを

   どう思いますか?」


美紗「どう思うって...、んー...。確かに間違って

   ないと思うけど...」


美紗「でも。雪音のお母さんが本当に実力こそ

   全てって人なのは分かるかな...。」


雪音「金メダルのオリンピック選手は、優勝を

   強くイメージする事によってそのメダルを

   獲得する事が出来るそうです。」


雪音「それは絶対的なイメージによる予知

   で【絶対に勝つ】というイメージがより

   一層強い方が優勝を手にします」


雪音「...正直に申しますと、今回のテーマで

   金賞を取れる気がしないんですよね...。」


雪音「今の私にはそのビジョンがどうしても

   見えなくて...。」


美紗「絵に自信がない、って事か。」


雪音「...絶対に優勝したいという気持ちはあるの

   ですが、今の私にはそれに見合うだけの

   実力がありません。」


美紗「苦手分野だしね。」


美紗「今回は不参加って形にして、また来年参加

   して本調子の時にしたら?」


美紗「来年は雪音の得意なテーマになるかも

   しれないし」


雪音「...そうですね、」


雪音「...その選択もきっと悪くないのでしょう。

   いっそ、諦めてしまえば」


雪音「後悔も少なくなるでしょうから...。」


美紗「うん。後悔しないように

   生きる、だよね?」


雪音「...えぇ、その通りです」


雪音「....」


雪音「杏里さんは...。」


雪音「...麗夜さんと会うのは嫌ですか?」


※スライド


美紗「麗夜さんに?」


雪音「えぇ、...彼女にです」


美紗「えっ...凄い急だね。」


雪音「危険なのはわかっています...。

   ですが...ずっとこのままにして

   おく訳にもいかないので」


 雪音の手が首元に向かっていく...。雪音が白いマフラーに手を添えるその瞬間、雪音の手が止まった...。


美紗「....、」


美紗「分かった、麗夜さんのことは嫌い

   にならないって雪音には約束したし」


美紗「麗夜さんの事はまだちょっと苦手

   だけど、」


美紗「雪音が会って欲しいって言うなら私に

   断る理由はないよ。雪音のお願い

   だしね」


雪音「....」


美紗「それに、あの人とは一度会ってお話

   しないといけないと思ってたから、」


美紗「丁度良い機会かなぁ、」


雪音「目がとても泳いでいますが」


美紗「武者震いだよ。」


 雪音の右手は行き場を失って、少し経ってからマフラーを正すように触ってる...。


雪音「...あの時、貴女が芽月さんと私を

   合わせた気持ちはこのようなお気持ち

   だったのでしょうか。」


美紗「...あは、は。...分かってくれた?」


雪音「...私が自ら立ち会えば彼女も手出しは

   出来ないと思います。」


雪音「そうであっても。もし杏里さんに少

   しでも不安がおありでしたら、」


雪音「彼女の目の前で手を出したら自害します

   とでも命令致しますので、誓約書にて判子

   でも押させましょうか?」


美紗「んー...私ってそんな信頼ない...?」


雪音「命の危機に関わる事ですから。」


美紗「え?あの人、気に入らなかった

   人殺戮しちゃっても可笑しくないタイ

   プの人なの?」


美紗「流石にそれはないよね...?」


雪音「...彼女は、私が関わると人が変わる

   ので」


美紗「あは、は...、せめて否定して...。」


美紗(まぁ...あの人も雪音の事心から信頼

   しきれてなさそうだったから...、お互い

   疑心暗鬼なのかなぁ...)


→A「雪音に【緊張】を伝える」

※朝乃ちゃんがくる


→B「雪音に【決意】を伝える」

※朝乃ちゃん来ないけど、麗夜が微妙に優しい


→A「雪音に【緊張】を伝える」


美紗「んんっーーー!!、...でもやっぱり

   ちょっと冷静になってみるとちょっと不安

   かも...。」


美紗「なんか不穏だし...。考えただけ

で心臓バクバクする...」


雪音「あのような事があった後ですから。そう

   思ってしまわれるのも無理はありません」


雪音「少しでも杏里さんが緊張をなさらぬ

   よう、此方の方でも色々手配して

   おきます」


雪音「...と、言いましても彼女とお会するのは

   もう少し先になりそうですが」




→B「雪音に【決意】を伝える」


美紗「麗夜さんの事は、怖いけど...。でも...、

   雪音の事には本気で挑みたいから」


雪音「...頼もしい限りです。」


雪音「...と、言いましても彼女とお会するの

にはもう少し先にはなりそうですが」


※キャプション

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