第10品「奈実樹争奪戦」【なみじゅり】

 秋といえば文化祭。という訳で個人的におやつでも出そうかとハロウィンと被らないよう


 さつまいもがいっぱいあったのでスイートポテトにしてそのまま売ろうと思う。


奈実樹「大学芋とかもえぇな」


奈実樹「白い粉とかまぶして」


 それとは別に柚夏はんから教わったひなあられの用意もする


樹理「可愛いよね。雛あられ」


奈実樹「まぁ今日は下準備やけどな」


 本当にこれで売れるかどうか試作する日。一回作ってみて、味見や値段を決めたりする大事な日だ


奈実樹「時期的にはちょっと過ぎたけど。

    月見団子とかあるとそれだけで

    テンションあがるよなぁ」


樹理「クリーム団子はハロウィンの時に

   やったから、今回はお芋や栗のパイ

   でしょ」


樹理「栗きんとんも良いなぁ...」


奈実樹「うちではやるで」


奈実樹「十五夜の1回じゃ物足りへん」


奈実樹「11月はなんもないからな。松茸や

    椎茸ご飯でも炊くとするか」


樹理「松茸ご飯食べた〜い」


奈実樹「今度うちに泊まりに来てな」


樹理「あっ、着色料」


奈実樹「雛あられはカラフルでえぇよな」


樹理「なんかクッキーみたいだね」


奈実樹「抹茶とか赤とか色々あるで」


樹理「私、ピンク食べたい」


奈実樹「ところで樹理、最近雨宮はんと

    仲えぇよな。また会いに行った報告

    が入っとるんやけど」


樹理「あぁ、あの人ナルシストで有名だから。

   なんか女性にモテる程格好良いって

   思ってたから...」


樹理「そうじゃないよって訂正しておいたの。

   相手の方も可哀想だと思って」


奈実樹「そんな話しとったん??」


樹理「うん。あの人恋愛の事よく分かってない

   みたいだから、デイズニー映画勧めて

   おいた」


樹理「そういうのも見たことないんだって」


樹理「小さい頃は精神病院に居たから。」


奈実樹「精神病院か。なんかあの人自体

    特別な感じはするよな」


奈実樹「良い意味でも悪い意味でも」


奈実樹「小栗はんに聞く限りもう諦めてる

    らしいけどな」


樹理「そっちの子の事はよく知らないなぁ」


樹理「でも一番に思ってるみたい」


奈実樹「樹理は恋愛においては完全

    エキスパートやもんな」


奈実樹「うちよりも」


樹理「実際の恋愛は物語みたいに上手く

   いかないよ。私だってナミにエスコート

   してほしいし」


樹理「こうしてあぁしてって言う人嫌でしょ」


奈実樹「別にそうでもないけどな」


樹理「女性はそういうのも含めて期待してる

   の」


樹理「サプライズとか、向こうからの気持ちが

   こっちに向いた時初めて充実感を

   得るの」


奈実樹「サプライズ、な」


奈実樹「樹理は最近なんか困ったこととか

    あるか」


樹理「分かる??」


奈実樹「なんか疲れとるからな」


樹理「...なんだか、最近誰かに見られてる感じ

   がするんだよね」


奈実樹「...ストーカーか」


樹理「いや、そういうのじゃなく...こっちを

   じっと見てるような...」


奈実樹「ホラーか??」


奈実樹「ちょっと気を付けて見るわ」


と、早速窓から人の気配がする。


奈実樹「おるな」


樹理「でしょ...?」


樹理「ちょっと怖いよね...。」


奈実樹「行ってくるか、」


樹理「えっ」


奈実樹「後は頼むな 樹理」


樹理「本当に行くの??」


奈実樹「問題は早く解決した方がえぇやろ」


奈実樹「怖がっとる人がおるんや。それを

    向こう側はのうのうと楽しんで

    撮っとるのが許せん」


樹理「スマホかな」


 と立ち上がる。うちは地味めだし気配を殺して近付けば簡単に犯人は見付かるやろ。


するとうちの気配に気付いたのか早速逃げる犯人


奈実樹(ほんまにおったわ)


奈実樹「盗撮魔か。」


 でも、逃げると言うより隠れるという感じに近かった。そして逃げる寸前に見えた、あの一眼レフ


奈実樹「調理関係の脚力と筋肉舐めんなや」


※スライド


??「ふぅ、びっくりした。まさか気付かれる

なんて...」


 体育館裏の倉庫で犯人がカメラを見た瞬間背後を狙う。


奈実樹「先生に頼んどったらその分長く

    なるし、今のうち捕まえとった方が

    良いと思ってな」


??「なっ、、なんですか!?!?、」


奈実樹「写真部やからって隠し撮りはよく

    ないな」


 と、鍛え抜かれた筋肉で盗撮魔を羽交い締めにする。


奈実樹「悪いがちょっと触らせてもろうで」


生徒E「あっ...///、それ以上はいけません...///、、」


奈実樹「(反応)ちゃうやろ。」


奈実樹「なんでうちが襲う側になっとるんや」


奈実樹「というか、よく来る生徒さんやん」


生徒E「こんな近くに、、しょ、

    鐘鏡さんが...///」


奈実樹「取り敢えず、写真見せてもらうな」


生徒E「はい...♡」


奈実樹「どう考えても此処から同人誌展開

   には持ってけへんからな...」


奈実樹「てか、うちのばっかやん!!、、」


生徒E「すみません...///、」


と謝る犯人。


奈実樹「話の流れ的にも樹理やろ!!」


生徒E「最初は見るだけで満足していたの

   ですが、段々写真も撮りたくなって

   しまって...」


奈実樹「そういうのは樹理に言ってくれ」


奈実樹「うちやなくて」


生徒E「奈実樹さんが好きなんです。でも

   ルシェルさんがいるので...」


生徒E「奈実樹さんは母性もあるし、こう

    遠くで見てるだけで抱かれてるような

    険しい目が素敵なんです...♡」


生徒E「因みにルシェルさんにはあまり興味が

    ありません」


生徒E「やっぱり和風お姉さんが最強だと

   思うんです。」


奈実樹「今の状況分かっとるか??」


生徒E「はい。私が推しに壁ドンされながら

    隠し撮りしちゃ駄目だよって言われてる

    シーンですね」


奈実樹「シーンって言っちゃっとる!!!」


生徒E「胸をはだけた鬼のような姿も最高

    でしたし、大和撫子...私和服の黒髪

    ロング女性が大好きなんです///。」


奈実樹「そんな所で急に性癖暴露されても...」


奈実樹「...巨乳、好きなんか」


生徒E「どちらかといえば、胸に視線が

   行きますね」


奈実樹「はい、消しまーす。その潔さ

    嫌いじゃないけどな」


生徒E「あぁ...。」


樹理「心配になって来てみれば、ナミを隠し

   撮りってどういうこと!?!?」


生徒E「あっ、ルシェルさんには興味ない

   んで安心して下さい」


生徒E「一切バブみを感じませんから」


樹理「全然安心出来ないよ!!!」


樹理「というか、高校生にバブみを感じるな!!」


生徒E「...、クソ正論で草」


奈実樹「樹理が言いたいこと全部言って

くれるな...」


樹理「私の方がナミを愛してるからっ!!」


生徒E「いえ、私の方がルシェルさんより

    愛してますね」


生徒E「自作のグッズとか推しの売り物を

    5回くらい買いに行ってますし」


生徒E「そのうち旅館も泊まりたいって思って

   たんです...///奈実樹先輩に接待して

   貰って...。」


奈実樹「いっぱい買いに来てくれとるやん」


奈実樹「あと勝手にグッズ作んな」


樹理「それはありがたいけど...」


生徒E「別にあなたの為じゃないですから」


樹理「盗撮魔だよね!?!?なんでそんな偉そう

   なの」


生徒E「お母さんに作って貰ったつもりで

   食べてます」


奈実樹「本当のお母さんおるよな??」


生徒E「好きな食物はスイーツ全般、でも

    和菓子も結構好き。食べ物を見ては

    これ家でも作れそうやなと」


生徒E「家で試作して美味しかったらルシェル

    さんにも分けてあげる聖母っぷり」


生徒E「困った生徒には自ら声を掛けて風の

    ように去っていく...、あぁ、なんて

    お母さん!!」


奈実樹「お母さんやないけどな」


奈実樹「撮るなら普通に撮ってくれへんかな」


生徒E「やっと良い被写体を見つけたんです、、

    まぁ奈実樹さんが普通に撮ってほしい

    と言うなら普通に撮りますけど」


奈実樹「話が分かる生徒で助かる」


生徒E「隠し撮りをしてたのに、この器の

   広さ...♡♡」


生徒E「に対してルシェルさんは何怒ってる

   んですか」


生徒E「やっぱりバブみが足りない...」


生徒E「赤ちゃんには分かりませんか」


樹理「いや、だからなんで上からなの」


そして、樹理と二人で写真を撮る。パシャリと手をピースにして


樹理「良い写真だね。撮影する時はちゃんと

   許可を撮るんだよ」


生徒E「はい」


と生返事する写真部。


奈実樹「写真部も大変やな」


※スライド


樹理「今日はナミの部屋で一緒に寝る!!」


樹理「お泊りグッズ持ってくから!!」


奈実樹「なんや久々に一緒の部屋で寝たい

    んか。樹理はまだまだ子供やな」


奈実樹「うちなんか多分すぐ寝てまうで」


奈実樹「食器洗いと食べ終わったら」


樹理「私も手伝うから」


奈実樹「樹理にそんな事させられへん。

    樹理はお客さんや前みたいにゆっくり

    寛いだらえぇ」


樹理「...やっぱりナミにも好きな人がいた」


奈実樹「なんや、嫉妬しとるんか」


奈実樹「うちが盗撮魔なんて好きになる訳

    ないやろ」


奈実樹「なったとしても友達どまりや」


奈実樹「なんでか分かるか??」


樹理「分からない...」


奈実樹「そこに樹理がおるからや。」


奈実樹「うちの相手は樹理以外考えられへん」


奈実樹「綺麗で美人で、それでいて不器用で

    裁縫が好きな樹理」


奈実樹「うちらは長くい過ぎたんや」


奈実樹「樹理がいない生活なんて考えられ

    へん」


奈実樹「喧嘩もせず、迷惑掛けて気が向いたら

    一緒に遊んで。樹理とはそういう

    関係でいたい」


奈実樹「これからもずっと」


奈実樹「その関係がうちにとっては凄く楽

    なんや」


奈実樹「そもそも喧嘩するのも好きやない

    しな。」


奈実樹「だから取られるとか気にする必要は

    ないで」


奈実樹「...樹理がうちのハートを奪ったんや

    からな」


奈実樹「樹理のお陰で今のうちがおる。きっと

    樹理と同じ道を歩んで無かったら、

    今頃一人でぼーっとしとったかも

    しれん」


奈実樹「うちが花だとすれば樹理は蝶やな。」


奈実樹「お互い何かあったら話して樹理は

    外の事を話してくれる」


奈実樹「その関係がうちは好きやから」


 そして疲れきった私達は久し振りに一緒の布団で寝た。


樹理「また、あぁいうのが出てきたら私が守る

   から。」


奈実樹「いや別に珍しい事例やと思うし、

    個人的に撃退するから良いんやけどな」


樹理「ナミだって女の子なんだよ。」


樹理「それに隠し撮りは普通によくない」


奈実樹「樹理やなくて良かったやん」


奈実樹「そうあんまり怒ってやるな。可愛い

    顔が台無しやで」


奈実樹「なんかこうやって一緒に寝るのも

    久し振りやな」


奈実樹「なんか色々大きくなりおって」


樹理「うん。ほんと久し振りだね。ナミの顔が

   凄い近い...///」


奈実樹「...昔はなんも思わんかったのにな。」


樹理「そうなの...?」


奈実樹「今は本当に綺麗なまつ毛しとるなって」


樹理「そ、そうかな...///」


奈実樹「樹理は宝石箱みたいやな」


そうしてそろそろ眠くなってきたので寝る。


奈実樹「もう寝るわ」


樹理「おやすみなさい、ナミ」


奈実樹「おやすみ。樹理」



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