⑤樹理の夢野編【なみじゅり】

奈実樹「ここは...」


奈実樹「どこやろ、なんか昔のゲーム

    とかでありそうな場所やな」


 ...長い迷宮みたいな場所。石で出来た柱や、大理石で出来た道の左右に小さな川が流れてる


奈実樹「それにしても広いな、なんや此処」


奈実樹「大理石もちゃんと冷たいし」


??「好きすぎて、ついにナミの幻影まで

  見るようになったかぁ...。」


奈実樹「誰や」


 視線を向けるとそこには長い尾ひれの付いた人魚のような女性が水の中に立っていた。


 人魚なのにタンクトップを着ていて下に立派なヒレが付いとる。


奈実樹「人魚や」


奈実樹「初めて見た」


??「私はナミの事、ずっと前から知ってるよ」


??「私が好きな人。でもナミにとって私は

  初対面のただの人魚だよね...」


??「人魚なのに...泳ぎも下手だし、ただ

  足の生えた何も出来ない金魚です...」


奈実樹「くっら、」


??「私ずっと此処に閉じ込められてて、

  迷宮から抜け出せないんです...。」


??「...泳いでも泳いでも全然出口が無

いんだよね」


と半泣きで指をいじいじと動かしながら足のヒレを動かす人魚。


奈実樹(昔の樹理みたいやな...)


奈実樹「名前は??」


??「名前??」


??「私の名前...、何でしたっけ??」


奈実樹「アクエリアスでいいか。なんか

    人魚っぽいし」


??「私は、水をどうにかしたりとか出来ない

  ですよ。水瓶座じゃないですし...」


??「脆弱人魚ですみません...。」


??「真っ直ぐ行っても戻って来るし、ずっと

  外に出られないの...もう。すっごい

  寂しかった、、」


とペチペチと人魚の半身を使って移動する樹理に似た女性。


奈実樹「無理せんでえぇよ」


奈実樹「ふぅ...、」


 歩けど歩けど出口と思わしき場所が見つからない。


奈実樹「うん。一回周ってみたが、同じ場所に

    帰って来とるな」


奈実樹「ゲームとかやったらかなり面倒い

    ギミックやで」


奈実樹「こういう場合はなんか石の数とか

    そういうので道の違いが分かるんや

    ろうけど」


奈実樹「本当に出口の行き方知らんか??」


奈実樹「結構長かったら場所ぐらいなんか

    うちより知っとると思うけど」


アクエリアス

「そうだね。知ってはいるけど"辿り付けない"

 って言った方が良いのかも」


奈実樹「辿り付けない??」


アクエリアス「奥の方に怖い蜘蛛がいるの」


アクエリアス「そこから先は行った事ない」


奈実樹「蜘蛛」


 と、自分の頭に違和感がして触ってみると角が生えていた。アクエリアスがいる水面を見てみると雄牛のような角と尻尾が生えている。


奈実樹「あぁ、そっか。そういう事か...」


奈実樹「ミノタウロス神話。」


奈実樹「乳がでかいからミノタウロスか??」


奈実樹「また安直言うか...、」


奈実樹「ということは、此処は神々の神殿の

    ミノタウロスを閉じ込めた迷宮か...」


奈実樹「なんでうちが閉じ込められとるんや」


奈実樹「神話では英雄に恋した蜘蛛の娘が

    道を教えてくれるんやけど」


アクエリアス「蜘蛛だけは絶対嫌!!、、」


奈実樹「樹理は虫、苦手やもんなぁ」


奈実樹「蜘蛛だって益虫なんやで」


奈実樹「樹理...?」


樹理「なんかその名前で呼ばれたのも凄い

   久々...」


奈実樹「樹理なんか!?!?」


樹理「樹理って言えば樹理なんだけど、

   私はあなたが知ってる樹理じゃない...。」


樹理「樹理の心の中の樹理、」


奈実樹「樹理の心の中の樹理」


奈実樹「つまりどういうことや」


樹理「私は、この世界を守ってるの。

   此処は樹理の心の中」


樹理「"樹理"の好きや嫌いが沢山詰まった場所」


樹理「私はその中でも門番と言われてる人

   なの」


ちゃぷっと手に水をやるアクエリアス。


樹理「人、というか人魚??」


奈実樹「ミノタウロス神話には登場しないが」


奈実樹「その姿、...多分セイレーンやろ。

    セイレーンは人を惑わせて誘惑

    してくるっていう怪物や」


奈実樹「航路上の岩礁から美しい歌声で航行中

    の人を惑わし、遭難や難破に遭わせ

    る。」


奈実樹「歌声に魅惑された挙句セイレーンに

    喰い殺されるという...」


樹理「私そんな怖い存在なの!?!?」


奈実樹「自覚ないんか...」


樹理「それに誘惑」


奈実樹「あはは、樹理にはまだ早いなぁ??」


樹理「そんな事ないもんっ」


樹理「好きな相手一人誘惑させられない

なんて私は...」


奈実樹「 そういう気持ちも大事やと思うで」


奈実樹「それだけ相手を大事に思っとる

    証拠や」


樹理「ナミは私と一緒にいるの嫌...?」


奈実樹「樹理は本当に綺麗なんや」


奈実樹「見た目だけやなくて心も」


奈実樹「星の数ほど人間はおって、何故うち

    なんやろ思うて」


奈実樹「嫌やないけど、こんなめんこい人と

    おれば分かるんよ。周りが樹理のこと

    見とるんが」


樹理「此処は二人だけの世界だよ。」


奈実樹「うちが死んだらどないする」


奈実樹「子供もおらんし、それでもうちが

    えぇんか」


樹理「それでも良い。私はナミを選んだの」


奈実樹「"うち"をなぁ」


奈実樹「うちには贅沢すぎる」


奈実樹「本当にそう思うとるんよ」


樹理「どこが贅沢なの」


奈実樹「樹理が憧れとるのは、料理を作って

    優しいうち」


奈実樹「”樹理が欲しい”」


奈実樹「ずっと前から好きやった。子どもの

    頃から好きやった。手を出してしまう

    かもしれん」


奈実樹「あの時はあぁ言ったけど」


奈実樹「小さい頃、うちは樹理と付き合う

    資格なんてなかった」


奈実樹「責任をとりたい。」


奈実樹「本当に好きになってしもうたら」


奈実樹「今の関係が壊れてしまうかもしれん」


奈実樹「うちはそれが怖い。」


樹理「ナミなら良いよ」


奈実樹「いや、良いよ。じゃなくてな...」


樹理「ナミになら」


と真剣な表情で見つめる樹理。


樹理「ナミにずっと触って欲しかったんだ」


と手を取って胸に当てる樹理。


奈実樹「ヒレとか、触ってえぇか...?」


樹理「良いよ」


樹理「あはは、くすぐったいからそんなに

   触らないで」


とヒレがペチペチ動く。


と樹理の頬にキスをするうち


奈実樹(この笑顔が好きなんや...)


奈実樹「こういうのやよ」


照れるように頭の角をかく。嬉しくてべちべちとヒレを動かす樹理。


奈実樹「こういう好きなんやけど」


樹理「....。」


奈実樹「いや、やったか...?」


樹理「ううん、嬉しくて」


樹理「そう思っててくれたんだ...。」


と唇を触る樹理。


樹理「昔はいっぱいキスしてたのにね。」


樹理「私も、好き。」


奈実樹「そっか...そうか」


奈実樹「でも、本当にどこなんやろな此処」


樹理「大きな神殿だよね」


樹理「入くねった道もあるし色んな道がある」


樹理「”私”はナミの事が大好きだし、此処に

   戻っても良いけど...」


樹理「出してあげたいけど、私もずっとこの

   辺をうろうろしても出口がないん

   だよね...。」


奈実樹「確かに歩いても同じ景色やなぁ」


??「だって惑わせてるのはその子だもの。」


と大きな蝙蝠の翼を広げて飛んでくる先生。


奈実樹「先生!?!?」


豆雲「もう夢から覚めさせなさい。そうしない

   とこの子の魂が此処から離れられなく

   なる」


樹理「....。」


樹理「もっと一緒に居たかったのに」


樹理「どうして邪魔するの??あなたはずっと

   そっちに居られるから良いけど、

   私は見てるだけなんだよ」


樹理「好きな人が向こうから来てくれた。

   私は...」


豆雲「"ラビリンス"、分かってるでしょう」


豆雲「それは"駄目"だって」


豆雲「それは禁則事項よ」


豆雲「私達と彼女は違う」


豆雲「時の流れも何もかも。」


樹理「....。」


豆雲「元の世界に戻しなさい」


豆雲「貴女は子供じゃない。もう大人なのよ」


樹理「...大人になんかなりたくないっ!!!、、」


と、先生を尻尾でうち付ける樹理。するとモヤのようなものがどんどん大きくなっていく


樹理「こっち!!」


奈実樹「えぇんか??」


樹理「良いも何も勝手に入ってきた人の言う事

   なんか聞かない。それが先生であっても」


樹理「"現実の私"と"この世界の私"は違うから」


豆雲「私に鬼ごっこで勝てると思う??」


豆雲「早く出てきなさい」


 ビュオオオォォと向こうの方で強い突風が吹き荒れる音がする。


豆雲「居なくなったか、」


豆雲「かくれんぼする時間なんて無いんだけど...」


※スライド


樹理「私が嫌って暴れても」


樹理「ただの人魚だから、捕まえられるのは

   分かってるし。反発しても...エラで

   思いっきり水を掛ける事くらいし

   か出来ない」


樹理「先生強そうだし...」


樹理「だから先生から見えなくしたの」


樹理「時間がないっていうのは分かってる。

   でも、少しでもナミと一緒に居たい」


樹理「なんかかくれんぼみたいじゃない??」


樹理「小さい頃一緒にしたもんね」


樹理「でも、こういうのってドキドキするよね。」


樹理「先生は強いから、どうしたら良いかな」


樹理「風ですぐに霧をはらわれちゃう。」


奈実樹「樹理なら水の中に入ってればバレないん

    ちゃうか」


樹理「それだと大人げないでしょ」


樹理「先生には私達を見つけてほしいの」


樹理「見付からないかくれんぼなんて楽しく

   ないでしょ?」


豆雲「見付けた。」


樹理「早速、っていうかめちゃめちゃ怒ってる」


豆雲「能力を使ってまで私の邪魔をしたいの??」


豆雲「これは仕方ない生徒だ」


と、笑顔でグングニルを投げてくる先生。


豆雲「夢の中で私に勝てると思うなよ」


先生がそう言うと、霧が晴れたかのようにモヤが薄くなっていく...


奈実樹「セイレーンやん」


空中で一回転する樹理。モヤを晴らすその姿は幻想的でとても綺麗だった


樹理「私戦うの別に好きじゃないから...」


樹理「ただ蜜時を邪魔した先生とかくれんぼ

   したかっただけ」


樹理「此処の迷宮一部屋だけ行ってない所が

  あるんだけど、」


奈実樹「蜘蛛の部屋やな」


樹理

「でもそこには行きたくなくて、夢から

 覚めたらナミが居なくなっちゃう...」


樹理「この楽しい時間も...。」


樹理

「ここならずっと優しいナミといられる」


樹理

「此処のナミならずっと私を愛して

 くれる」


樹理「ナミをずっと一緒に居たい...。」


樹理

「でも、恐いの。あなたが目の前から

 居なくなることが」


奈実樹「別に居なくならへんよ」


奈実樹「うちの中ではまだ子供やからな。」


樹理「ごめんなさい...」


樹理「ナミを独り占めしたかったの...。」


奈実樹「よしよし。」


樹理「...私は"ラビリンス"『迷宮』の意味を持つ

   門番」


奈実樹「ラビリンス自身が迷宮やったんか」


ラビリンス

「貴女を迷宮に閉じ込める役をになってる。」


奈実樹「迷宮に??どうしてや」


ラビリンス

「ずっと一緒に居たいから。それを樹理が

 心から望んでるから」


ラビリンス「"一緒に居たい"って」


ラビリンス

「お互い側に居たいって願ったから

 それが叶ったんだよ」


ラビリンス

「神様だって万能じゃない。それを聞き

 分けて願いを叶えるのが神様の役目」


ラビリンス「私はその試作の第一号なの」


ラビリンス

「そしたらどうなるか。神様はそれを

 見て判断を下す」


奈実樹「それをうちらが願ったってことか」


奈実樹「でも。うちはあっちで樹理と一緒に

    居たい」


ラビリンス

「そうだよね...。こんな訳の分からない

世界、嫌だよね...。」


豆雲「楽しい時間はあっという間に過ぎるから

   ね。こっちの時間と向こうの時間は

   ちょっと違うの」


豆雲「っていうか若い人達の恋愛を楽しみ

   にしてたのに、こういう事されると

   本当に困るんだよね...」


豆雲「私が校長にドヤされる」


豆雲「あの犬耳先生に」


奈実樹「どこでも怒られるのは嫌やからな」


奈実樹「というか、なんで此処に豆ちゃん

    先生がおるんや」


豆雲「この子が"迷宮"の意味を持つ門番

   だからよ」


豆雲「たまに凄い能力を持つ子がいてね」


豆雲「選択肢とかなら良いけど、神クラスの

   能力になると私も迷うの」


豆雲「神様に祝福された子とか」


豆雲「...此処だから話せるけど、私って結構

   古くから生きてる悪魔なのよ」


豆雲「そりゃ最初のうちは悪魔っぽくしてた

   けど。(カパッ...」


奈実樹(普通にカップ酒開けとる...)


豆雲「...段々人間(こっち)の生活にも慣れて

   来てね」


豆雲「まぁ現実でこんな事言ったら笑っちゃう

   けど。」


豆雲「その神様に言われてこっち来たわけ」


豆雲「...言われたっていうより、"無理矢理

連れて来られた"って感じだけど」


豆雲「神様は融通が利かないから。」


豆雲「向こうもこれじゃ駄目だって分かった

   んじゃない??」


豆雲「だからって私を使うなって話だけど」


とアタリメを食べながら言う先生。


豆雲「くはーーっ、、仕事帰りはやっぱり

   ワンカップ酒にイカだわ」


ラビリンス「今までの雰囲気全部台無し」


豆雲「私達もあなた達が閉じ込められるのを

   黙って見てる訳じゃないのよ??」


豆雲「運が良いと私みたいにひょっこり

   そういう存在が現れる事もあるし」


豆雲「さぁ早く此処から脱出しましょう。」


奈実樹「先生も一緒に閉じ込められた口か」


豆雲「そうともいう。」


豆雲「...まぁ私がいなかったら詰んじゃう

   しね。その子の思ってる力はわりかし

   強力よ」


豆雲「自分では自覚してないけどね」


そう言いながらもちゃもちゃとアタリメを食べる豆雲先生


奈実樹「おっさんみたいやな...」


豆雲「一言余計よ」


ラビリンス

「...最後に確認させて。ナミが本当に私の事が

 好きなのか」


ラビリンス「私の名前は」


→A「樹理・シェリー・ルシェル」

 B「樹理・シェリー・ルシエル」

 C「樹理・シェリー・シルエル」


正解→「A」


ラビリンス

「正解したから、正しい道を教えるね。

 そこは右」


ラビリンス「樹理が一番好きな映画は」


→A「ラプンツェル」

 B「人魚姫」

 C「美女と野獣」

 D「白雪姫」


正解→「人魚姫」


ラビリンス「そこは左」


ラビリンス

「なんで私は人魚姫が一番好きなの??」


→A「人魚のように泳ぎたいから」

 B「ナミを安心させるため」

 C「王子様との恋に憧れるから」

 D「歌が好きだから」


正解→「B」


ラビリンス

「確かに人魚みたいに泳ぎたいって

 いうのもあるけど、本当の理由はナミに

 泳げるって安心して貰うため」


ラビリンス

「泳げない私なんかのためにナミが

 助けてくれて、あの時からナミが自慢

 出来る女の子になろうって思ったんだ」


ラビリンス「そこは確か前かな。」


ラビリンス「私の将来の夢は何」


→A「ナミのお嫁さん」

 B「思い出の料理を作ること」

 C「ナミと一緒に料理屋さん」

 D「カフェを作ること」


正解→B


ラビリンス

「ナミのお嫁さんは夢じゃなくて現実だから」


ラビリンス

「"思い出の味を作ること"。私がナミの

 料理を初めて食べたあの日みたいに、

 大事な人を思い出すような料理が

 作りたい。」


ラビリンス「そんな料理が出来たらきっと

      素敵な事だと思うの」


ラビリンス「ナミの邪魔をせずにたまに

      お店を開いて、知る人ぞ知る」


ラビリンス「バーみたいなお店を作ろうと

      思ってる。」


ラビリンス「旅館の仕事は続けて欲しいから」


ラビリンス「此処からは左だよ」




ラビリンス「...そして、これが最後の門題。」


ラビリンス「私の髪飾りは蝶ですが、

      なんで蝶なのでしょうか」


奈実樹「えっ。それは知らんな」


奈実樹(確かに蝶は嫌いなはずなのに樹理の

    髪飾りは蝶の形をしとる)


奈実樹「んー...??」


樹理『待って、ナミ...、、』


奈実樹『山で迷子になったら頂上を目指すと

    良いんだよ』


奈実樹『そうすると迷わない』


奈実樹『頂上登ったら今自分が何処にいるかも

    分かるしな』


奈実樹『これだけは覚えとき』


奈実樹『あと少し』


奈実樹『やっぱ頂上はえぇなぁ』


奈実樹『ほら、綺麗やろ。山の中の自然の

    花に蝶々が飛んどる光景』


奈実樹『樹理には蝶が似合うな』


→A「元々蝶が好きだから」

 B「蝶々のレースが気に入ったから」

 C「ナミが似合うって言ったから」

 D「本当は蝶々が苦手だから」


正解→C


奈実樹「うちが似合うって言ったから...」


ラビリンス

「ナミの好きなものを身に付けてたら、

 いつか綺麗だって言ってくれるかなって」


ラビリンス「そんなちょっとした出来心。」


ラビリンス「思い出して欲しかったんだ。

      二人の大切な思い出だから」


ラビリンス「うーんと...、前っ!!」


すると奥にものすごい仰々しい扉が見える。


ラビリンス「そこにはあなたの待つ"娘"が

      いる」


ラビリンス「そこに行って」


奈実樹「えぇんか」


ラビリンス

「うん。私はもう長いこと此処にいる

 から」


ラビリンス「だから もう一人は慣れっこ。」


そして、開く扉。


あなたはラビリンスと樹理どちらを取りますか??


A「ラビリンス」

B「樹理」



→B「樹理」の場合


夢の中ならまたいつでも会える。


奈実樹「ラビリンス、また会おうな」


いつかきっと


そしてその扉の先には大きな蜘蛛がいた。上半身は姉はんで下半身が蜘蛛の姉はん


奈実樹「姉はんやん」


幹白「アリアドネです。」


奈実樹「アリアドネってミノタウロスを

    倒す役割を持っとるけど、それで

    えぇんか」


幹白「別に奈実ちゃん何もしてないからね。

   というか、ただ母親が牛に恋して

   子供を産んでそれを隠すため」


幹白「ラビリンスに幽閉されてたのに、

   生贄を捧げて、そんな生活じゃ

   向こうもやさぐれるっての」


幹白「今回は人魚とミノタウロスの恋の

   お話でしたが そういう物語があっても

   良いと思います」


幹白「じゃぁ帰りましょう。奈実ちゃん」


豆雲「私は!?!?」


幹白「あぁ...、先生はこのアリアドネの糸を

   辿ったら帰れます」


豆雲「雑だなぁ...。まぁ良いけど」


幹白「先生は招かねざる客なので。

   早く帰って下さい」


豆雲「いや、もう慣れてると思ってたけど

   やっぱり夢野は他の客に対しては理不尽

   だなぁ...。」


幹白「そりゃそうですよ。人の心の中なんです

   から」


幹白「先生って立場だから入れてるんですよ」


豆雲「そりゃ、先生じゃなかったらただの

   変質者だよな」


豆雲「こんな格好してるし」


豆雲「じゃ。帰るわ」


と、先生は翼を広げて帰っていった。


幹白「さて、これで奈実ちゃんと二人っきり」


奈実樹「門開いとるけど」


幹白「わぁ、、待っていかないで奈実ちゃん」


奈実樹「じゃぁ行くな?」



→A「ラビリンス」の場合


奈実樹「やっぱもうちょい居る」


ラビリンス「ほんと??」


と、裸足になり水の中に入ってく


奈実樹「水遊びしようや」


奈実樹「えいっ」


と向こうに水を掛ける。するとラビリンスは勢いよくヒレで水を振るってきた


ラビリンス「ごめん...、力加減間違えた...。」


奈実樹「見事にビショビショやな...」


奈実樹「本気すぎやろ...。人魚姫」


奈実樹「脱ぐか」


ラビリンス

「脱いじゃ駄目っ////!!!」


ラビリンス

「私がナミのこと好きだって分かって

 言ってるの///!?!?」


奈実樹「けど、ビショビショやしな...」


ラビリンス「そこに水着あるから、水着に

      着替えてR18禁になっちゃう!!」


ラビリンス「後ろ向いてるから」


と、いつの間に置いていたのか水着が折りたたまれた状態で置いてある。


奈実樹「女性同士だから気にする必要ない

    のにな」


そう言って律儀に後ろを向いてるラビリンス。


奈実樹「やっぱラビリンスのが似合うな」


ラビリンス「前みたいに私が変な人だったら

      どうするの!!!」


奈実樹「そんな目で見とるんか」


ラビリンス「見てないとは言い切れない...。」


奈実樹「まぁ、樹理にそんな度胸あると

    思ってへんけどな」


奈実樹「...お風呂にも一緒に入ったことある

    のにな」


ラビリンス「小さい頃にね!?!?」


ラビリンス「もうそろそろ帰らないと...」


ラビリンス「ほんとに帰れなくなっちゃう。」


奈実樹「そうやな」


ラビリンス「もう門は開いてるから...」


ラビリンス「...ナミっ、、」


ラビリンス「....。」


奈実樹「ラビリンス、」


奈実樹「また遊ぼうな」


ラビリンス「...うんっ。」


※スライド

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