第9品「文化祭決勝戦」【なみじゅり】
奈実樹「そろそろハロヴィンやなぁ。
出し物決めんと」
縁蛇「縁蛇は食べれれば何でも良いですっ!!!」
奈実樹「議題なのでちゃんと考えて下さい。」
奈実樹「うちらにとっては最後の思い出
やからな」
縁蛇「そうですか...もう奈実先輩の料理は
食べられなくなるのですね...」
奈実樹「そうやな。だから真剣に取り組んで
くれ」
奈実樹「候補としてはかかぼちゃや秋の味覚を
ふんだんに使ったお菓子やな。2、3年生
は成績に入るから必死やで」
縁蛇「ぶどうはどうですか??」
奈実樹「剥(む)くのが面倒くさい。」
縁蛇「私達も剥(む)くのを手伝いますよっ」
奈実樹「まぁ、たまにはそういうのも
良いかもしれんな」
ガラガラ...
流雨「こんにちは...」
奈実樹(普通に猫耳付けてきとる...。)
奈実樹「こんにちは」
樹理「流雨さん、可愛い〜♡」
樹理「そろそろハロウィンだもんね。」
流雨「試着運転と宣伝を兼ねて。」
奈実樹(おかんみたいな理由やな...)
奈実樹(猫耳だけやから 恥ずかしく
ないんか??)
流雨「可愛かったから...、」
奈実樹(あ、これ心ん中では照れとる奴や...)
樹理「うんうん。可愛いのは大事だよね」
樹理「凄くよく似合ってるよ。」
奈実樹(樹理の母性本能が爆発しとるや
ないか、)
奈実樹(...どちらにせよ、可愛いから成せる技
やな。うちがやったら違和感丸だし
やし)
奈実樹「2年生は文化祭何やるんや??」
流雨「劇。演劇部と一緒に」
奈実樹「うちは調理部やから、どっちかと
いうとそっちに集中しそうやなぁ」
奈実樹「今日は林檎で何か作ろうと思ってな」
奈実樹「どうや、流雨はん」
ガララ...
奈実樹「来たか、凄い名前だけは聞くけど
あんまり会ってない人」
柚夏「...こんにちは。美紗に呼ばれて来ました」
柚夏「何か緊急事態だそうで」
奈実樹「緊急事態...?」
美紗「私が何か食べたい緊急事態!!」
柚夏「.....」
美紗「頬、引っはんひゃいで」
と後ろから美紗ちゃんが出てくる。
柚夏「というか、猫耳」
美紗「わぁ、可愛い。」
奈実樹(皆突っ込むな。)
奈実樹「"可愛いから"やって」
柚夏「ハロウィン祭のを今付けてるの可愛い...」
流雨「猫耳だけど...。柚夏に可愛いって
言ってほしくて...」
柚夏「うっ...、、」
奈実樹(これは心撃たれたな...)
柚夏「猫娘だとしたら袴とか可愛いんだろう
なぁ...。ちっちゃくて、可愛い...///」
奈実樹(柚夏はんは女の子っぽいのが好き
なんやな)
奈実樹(うちにもそんな色気のついた話の
一つや2つあれば...)
樹理「私もアリスの格好した方が良い!?!?」
奈実樹「なんでそれをうちに聞くんや。」
奈実樹「どうせ汚れるからやめときや」
そして流雨はんをぎゅっと抱き締める柚夏はん。...意外と母性強い方なんやな
樹理「ナミって滅多に甘えないよね」
奈実樹「甘えられる事は多くても、自分から
甘える事はまずないな」
柚夏「甘えるためにはどうすれば良いん
ですか」
奈実樹「今実際しとるやん」
柚夏「あっ」
と、無意識に抱き締めていたのか慌てて体勢を立て直す柚夏はん。今更カッコ付けても遅いで...
奈実樹「なんや、甘えるのが苦手なんか」
奈実樹「可愛い見た目で『お姉ちゃん』とか
言ってれば可愛がって貰えるで」
樹理「それはナミのお姉さんの話でしょ。柚夏
さんが言いたいのは好きな人にだよ」
柚夏「...いえ、好きな人だけじゃなくて。他の人
の甘え方を上手に受け止める方法も
知りたいのですが...」
柚夏「人に奢ってもらった時とか返さずには
居られなくて...。どこか心の距離を
感じるんです」
奈実樹「真面目やね」
奈実樹「奢った方はなーんも考えとらん。
ただ気に入った人に奢っただけやで」
奈実樹「何時も貰っとるからありがとう、
困った時には相談に乗って忖度
(そんたく)なしで付き合えれば
良いんとちゃうん??」
樹理「ナミはそういう性格だからね」
樹理「ちょっとガサツだけどそこが素敵
なんだ。」
柚夏「先輩達みたいに、上手く付き合える
コツを知りたいんです」
樹理「私達みたいに上手く付き合えるコツ!?!?」
奈実樹「別に何もないけどな。」
樹理「告白はナミからしてくれたから...///」
奈実樹「今までの記憶全部失ったか」
樹理「あんなの好きって言ってるうちに
入らないし、、」
奈実樹「じゃぁ樹理の好きはなんなんや」
樹理「えっ、あっ...////」
樹理「そんなの恥ずかしくて言えない
よーー///!!!、、」
奈実樹(マジでなんなんや...。樹理の好きの
定義がよく分からんけど)
奈実樹(...樹理が恥ずかしいやつっていうのは
分かった。)
奈実樹(樹理が恥ずかしいやつ、な。)
樹理「取り敢えず何か美味しい物でも食べれば
良いんじゃない?」
樹理「そうすれば元気でるよ。柚夏さん
ちょっと痩せすぎじゃない??」
樹理「ちゃんと食べてる??」
と柚夏はんを見る樹理。隠し方下手か
奈実樹「...相手から求められたらしか、うちは
答えへんからな」
樹理「そう言って色々と助けてくれるのが
ナミなんだよね。"おもてなし"だよ」
柚夏「お互い大変ですね。」
奈実樹「特に女性相手は厳しいなぁ...」
奈実樹「後でうちもなんか言われそうやわ」
樹理「ところでどうしてここに来たの?」
樹理「流雨さんを探して??」
奈実樹「昨日のこと忘れたんか」
樹理「最近忙しくて...」
奈実樹(確かに副会長の仕事と調理部の部長と
忙しいもんな。まぁ、この慌ただしい
時期に忘れるのも無理ないか...)
奈実樹「美紗ちゃんが料理対決の場を用意
してくれるって。」
柚夏「美紗が副会長と料理対決をしたいって。
もしかして違ってましたか??」
柚夏「と言っても、今聞いた話なんですけど」
美紗「目が怖いよ。柚夏」
美紗「ちょっとしたサプライズじゃん」
樹理「あー、海の時の。お菓子は食べたいって
言ったけど料理対決なんて言った
っけ?」
美紗「あははー...」
奈実樹「まぁどっちでもえぇやんか。」
奈実樹「と言うわけで」
奈実樹「うちの樹理とスイーツ対決と
洒落込もうか、柚夏はん」
美紗「奈実樹さん結構乗り気」
樹理「なんでナミが乗り気なの??」
奈実樹「うちは参加せーへんからな」
奈実樹「ただで飯が食える」
樹理「たまにはそういう時間も大切だよね」
樹理「ナミはvery甘党なんだよ。」
奈実樹「コンビニの新作スイーツは全部網羅
しとるで」
美紗「夏には出来なかったけど、お菓子勝負と
でもしゃれこみましょうか」
柚夏「二番煎じだけどね。というかやるの私...」
美紗「勝ったらうちの柚夏が一番って事で」
柚夏「あんたが言うな。」
縁蛇「おー、何か食べれるんですか??」
と、なんやかんや勢いにおされる中
柚夏「あ...、はい」
柚夏はんだけはあんまり乗り気やないみたいやな。
※スライド
樹理「お題は文化祭に出すお菓子。ハロウィン
とかぶらないようにね」
奈実樹「今丁度考えとったところやからな」
と、言うことで料理対決なんやけど
昼時間にはそんな時間がないし、勝負は授業が終わってからになった。
美紗「審査員です。」
流雨「...同じく」
縁蛇「今日はお客さんがいっぱい来てます
ですねっ!!」
縁蛇「あんみつさんもお久しぶりなの
ですよっ」
美紗「うん。惜しいけど違うね??」
代茂枝「...人がいっぱいいる...////、、」
縁蛇「人に慣れる練習にはもってこい
の練習場ですねっ。よも」
美紗「おー、代茂枝さんも」
代茂枝「あ、...こんにちは...、、」
と、縁蛇の方を向いて話すよもぎはん。目を逸らして顔が真っ赤になっとる。この子の病気も人を通して慣れるとえぇんやけどな
奈実樹「という訳でお菓子対決を行います。」
美紗「わ〜い♡」
流雨「私は良いの?...此処の部活の人
じゃないけど」
樹理「部外の人の方が新鮮な感想をくれるから
OKです。それに、流雨さんには餌付け
してるからこっちに味方してくれるかな〜
って」
流雨「餌付けされてるの私??」
流雨「でも勝負は公平...」
柚夏「そりゃそうだ。」
樹理「と、いうわけで負けないよ。海の日から
随分お預けされてたんだから」
樹理「柚夏さんのお菓子!!、」
縁蛇「見事に私念が混ざってますですねぇ」
樹理「縁蛇は柚夏さんのお菓子を食べた事が
ないからそう言えるんだよ。」
奈実樹「樹理もないけどな」
とシャカシャカと卵白を混ぜる樹理。
奈実樹(相変わらず卵白系のお菓子は作るのが
大変そうやな。)
と、あちらは熱湯の中に混ぜたものを千切りながら入れ茹でた物を表面がすべすべになるまで捏ねている。
奈実樹(白玉団子か??和菓子もえぇなぁ)
美紗「何作ってるの?」
柚夏「お煎餅」
奈実樹「お煎餅!?!?」
樹理「What's お煎餅!?!?、、お菓子勝負に
お煎餅!?!?」
樹理「好きだけど、」
その後柚夏はんは真剣な顔でトースターで焼色を付けながら様子を見て醤油を塗る。
その瞬間、じゅわっと部室の中で甘じょっぱい醤油の匂いがした
樹理「うわ、良い匂いー...」
奈実樹(なんか昔の煎餅屋さん思い出すなぁ...)
※スライド
もうお店はなくなってしまったけど。
奈実樹『あられと不揃いのお煎餅下さい』
おばあちゃん『お嬢ちゃん買い物上手だねぇ』
奈実樹『安い方が得した気分になるから』
おばあちゃん『そうかい』
奈実樹『おばあちゃん。煎餅以外は
売らないの??』
おばあちゃん『田楽も売ってるよ』
奈実樹『そういうのじゃなくて、みたらしも
あんこに付ければ美味しいのに』
奈実樹『あそこのお店ではクリームも乗せて
たよ』
おばあちゃん『今までそれでやってきたから
ねぇ。』
奈実樹(あの時のおばあちゃんはもう手が
かじかんでて、あんこを作ったり
クリームを作ったり出来なかった
んや)
奈実樹(機械を導入するのもお金が掛かるし
跡継ぎもいないとすれば、まぁ
店仕舞いにするしか無かったんやな)
奈実樹(気に入っといた店だけに閉まってた
時は子供ながらに寂しさを感じた
もんや)
奈実樹(昔は旅館の営業も古い古い思いながら
やっとったけど、色んな人を通して
成長していったと思う)
奈実樹(まぁ、新しい物好きなのは昔から
変わってへんけどな)
パリッ
気になる結果発表は...
奈実樹「普通に美味い。絶対ハロウィンと
被らん物でもあるし、雛あられとかも
ありやな」
奈実樹「新しい発想を貰ったわ。」
樹理「色んな色があって美味しいし可愛い
からね。悔しいけど、お煎餅っていう
発想はなかったなぁ。」
樹理「..."懐かしい味"というか」
樹理「あと家ではスイーツばっかり食べてる
から お煎餅の味が余計に染みるんだよね。
私の家、三ツ星ホテルだから」
美紗「初めて聞く事実...!!」
縁蛇「パイセンが作ったマカロンも美味しい
ですよ。」
樹理「なんで上から!?!?」
樹理「ナミが喜ぶからマカロンを作ったんだ
けど、やっぱり美味しい??私の得意
料理だもん」
奈実樹「まぁうちは食べ慣れとるからな」
奈実樹「食べ慣れとっても美味い。でも
そこで勝敗を付けたらあかんやろ?」
奈実樹「うちは『文化祭で出す料理』と言った
からな。マカロンはハロウィンやろ」
奈実樹「イメージ的に」
代茂枝「...私は、っどちらも良いと思い
ます...っ、、」
樹理「ありがとっ、代茂枝さん」
代茂枝「い、いえ....///」
煎餅、マカロンと並んで選ばれる。残るは美紗ちゃんだけやで...何を選ぶんやろ
奈実樹(まぁ、マカロンも美味いんやけどな)
美紗「優勝者は、、マカロンとお煎餅ですっ!!」
柚夏「えー、そんなのあり??」
奈実樹(美紗ちゃんらしい回答ではあるな...。
無理に順位を付ける必要はない、か...)
奈実樹(ハートのマカロンとかも可愛いし、
うちやて樹理のを選んでやり
たかった)
奈実樹(それこそ。美紗ちゃんの答えは
完璧やな)
美紗「だってどっちも美味しかったから。
甲乙付け難いよ。お煎餅はお煎餅で
美味しいし、」
美紗「マカロンはマカロンで美味しいし」
流雨「私もどっちも好き。樹理先輩も柚夏も」
樹理「はい、優勝!!、、流雨さんが優勝っ!!」
樹理「可愛さ選手権。」
お菓子対決勝負はどこに行ってしまったんやけど、皆でおやつを楽しそうに食べる光景を見ているとこれが本当の優勝なんやなって。思った
奈実樹
「マカロンもえぇけど、甘いのはしょっぱいのにも合う。ハロウィンのおやつとしては最高やで」
奈実樹「星やハートの見栄えもえぇな。」
樹理「それはそうなんだけど...やっぱり一番の
得意料理って言ったらマカロンで...」
流雨「マカロンの後に食べると美味しい」
樹理「やっぱり勝負事は難しいよ...。」
樹理「...ナミに選んで欲しかった。」
奈実樹「勝負事になるとどうしてもなぁ...」
奈実樹「勝負事はどうしてもテーマや時事
問題が掛かってくるからなぁ。
個人的には樹理が1位やで」
奈実樹「なんか昔のうちみたいやな...。」
奈実樹「おかんや姉はんに凄い人が側に
いるとそれだけで霞むんよ」
奈実樹「色々考えた結果がこれやから。
楽しいからで勝てるのは子供の
うちだけなんやで」
奈実樹「うちに足りないのはそういう"雰囲気"
なのかもしれんなぁ。」
奈実樹「...まぁ、でも。こうやってほっこりする
終わり方も悪(わる)ないな」
奈実樹「なぁ、本当に調理部入らんか...??」
柚夏「バイトの時間とかぶるので...それは...」
奈実樹「そか。それは残念やわぁ。まぁ、
たまにはうちらの硬い頭を助けて
やって貰うと助かるわ」
奈実樹「うちかて樹理の機嫌をとるのに
必死なんや」
奈実樹「たまには来てくれるとありがたい」
奈実樹「その代わり悩みでもなんでも聞い
たるで」
柚夏「ありがとうございます。」
奈実樹(うちの方が柚夏はんより真面目
なのかもしれんなぁ。...人のこと
言えんわ)
※キャプション
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