第8品「調理部と料理」【なみじゅり】
夏の蝉も大人しくなった9月上旬、授業が終わって私達は調理部に入ってく
奈実樹「もう、学校かー。早いなー」
という訳で樹理とは恋人の中になった訳だけど、別に何が変わるという訳でもなくそのまま時が進んでく感じだった。
奈実樹「手でも繋ぐか」
樹理「良いよ」
奈実樹(まぁこっちも忙しいしな。ゆっくり
時間ができた時にそういう事は
する事にして)
樹理「海に行ったのが昨日の事みたい」
奈実樹「そうやな」
樹理「ナミに泳げるとこ見てもらって
良かった。」
奈実樹「そんなに気にしとったんか」
樹理「私のせいでナミが責任感じてたら
どうしよって。海とか嫌いになったら
私のせいだって思ってた...」
奈実樹「例えうちが海を嫌いになったとしても
それはうちのせいで、樹理のせいや
あらへん」
奈実樹「それにちゃんといけたやん。うちが
めんどくさがりなのは樹理も知っとる
やろ」
樹理「最初海に行くの嫌がってたから...」
奈実樹(...こういうのの感は凄いんよな。)
樹理の頭を撫でながらいう。
奈実樹「こんなクソ暑い真夏の中でクーラーで
過ごすのは一瞬やったからなぁ」
奈実樹「部屋から出たくなかったんよ」
あんな小さかった樹理に悟られるのもなんちゅうかなぁ...。
樹理「クーラーの中に居ると一瞬で時間
過ぎるよね」
樹理「料理とか手芸とかしてても一瞬で
時が過ぎちゃうもん。もうこんな時間!?!?
って」
と、何かの気配がして調理部のドアをじっと見つめる。
奈実樹「なんかいるな」
樹理「えっ、そこに何かいるの。もしかして
ゴキ」
ガラッとドアを開けると、小さな水色の少女が窓の隅っこにいた。
流雨「...あっ」
奈実樹「隅っこ暮らし」
飼い主に突然見つかった猫みたいに瞳孔を開いたまま驚いて固まる少女。
奈実樹「ビックリし過ぎやろ。」
樹理「あぁ...、夏の時一緒に居た...」
流雨「来て良いって...。」
奈実樹『お粥の作り方教えたるわ』
奈実樹「...そういえば海に行った時そんな事
言ってたな」
奈実樹「まさか本当に来るとは」
樹理「料理部に入る気は」
流雨「ない...。」
樹理「ないんだ」
流雨「他の部活に入ってるから...」
樹理「それなら仕方ない」
樹理「何の部活に入ってるの?」
流雨「陶芸部」
樹理「陶芸部。お皿とか作るの良いよね」
流雨「土から作るのが良い...。暑いけど
絵を書いたりするのは楽しい」
流雨「暇な時は彫刻掘ったりしてる」
樹理「暇のレベルが高い...。」
奈実樹「よし。1年生が来る前に終わらせるぞ」
奈実樹「なんか恥ずいから」
と、乾いたタオルとまな板を用意しネギや薬味を切っていく。
奈実樹「みょうがみょうが」
奈実樹「中華スープは余った野菜の皮とか
でスープを作ると栄養満点で
美味(うま)いぞ」
奈実樹「...一流の職人はいかに無駄なく食材を
余らせないように作るのも仕事やから
な。」
奈実樹「味昆布を入れるとラーメンみたいな
味になる」
奈実樹「すぐ出来るからな。」
カチンッ、カチャカチャ
奈実樹「卵を溶かす時はこうやって菜箸に
卵を当てながらやると、綺麗に
玉(だま)なく出来る」
奈実樹「卵スープとかそういうのは基本的に
そうやな」
とついでに中華スープも作る。
樹理「美味しそうー...。良い匂い...♡」
奈実樹「樹理は片栗粉があんまり好きやない
から入れないでおくけど、とろみ
はその人の好みとかあるから」
奈実樹「事前に聞いといたりするとえぇな」
奈実樹「この後に中華そばとかうどんとか
入れるとキマるで」
奈実樹「今回は作らへんけどラードとごま油
を入れたりするとお店の中華屋さんの
スープになる」
奈実樹「はい、お待ちどうさん」
カタン
樹理「Delicious♡(うっまー♡)」
流雨「卵が綺麗」
奈実樹「料理にはやり方があるからな。料理は
見栄えも大事ゆうか」
奈実樹「ん??」
樹理「どうしたの?」
奈実樹「なんか外からやな気配がしたん
やけど、気のせいか」
ガラガラ...
縁蛇「あっ、何か作ったのですか。縁蛇には
あるんでしょうね!!」
奈実樹「と言うてもおかゆと中華スープ
やけどな」
縁蛇「食べれれば何でも構いませんっ!!」
奈実樹「(食い)意地はっとるなぁ」
代茂技「縁蛇ちゃんがすみません...」
奈実樹「まぁそれも調理部の一種の
醍醐味やからな」
※スライド
流雨「...ん」
奈実樹「また来たんか」
流雨「迷惑...??」
奈実樹「迷惑やないけど最近よく来るなぁ
って」
ガラガラ
奈実樹「まぁ流雨はん少食やから別に困ら
へんけど、陶芸部の方はえぇんか??」
流雨「まぁ...良い匂いに誘われて来たのは
やぶさかではない」
流雨「最近は料理週間なの」
流雨「あっちは結構ゆるゆるだから
調理部行くって言ったらおkって」
奈実樹(それにしても相変わらずちっちゃい
なぁ...。なんか食わせたるか)
樹理「そう言いながらナミはちゃんと
お世話するよね」
樹理「面倒見が良いと言うか...」
奈実樹「そうやってお客人を無下にするのも
いかんやろ。お世話しとるつもりは
別にないんやけどな」
奈実樹「料理を提供する代わりにうちに
恋愛を教えてくれ」
流雨「良いよ...」
奈実樹「あれから柚夏はんとの関係はどう
なんや」
流雨「柚夏は結構人見知りだから...」
ガラガラ
奈実樹「おー、美紗ちゃん」
奈実樹「珍しい」
樹理「待ってたよ」
奈実樹「樹理が呼んだんか」
樹理「廊下でたまたま会ってね。」
樹理「丁度、流雨さんと美紗ちゃんも
いるし」
樹理「そろそろあれを始めても良い頃
なんじゃないかなって」
奈実樹「"あれ"か?」
樹理「うん、あれ。」
奈実樹「"あれ"ってなんや」
樹理「今、知ってるみたいな雰囲気だったのに!!」
樹理「柚夏さんとの"料理対決"だよ!!」
樹理「ずっとお預け食らってたんだからね!?!?
分かる!?!?私だけ柚夏さんのSweetsを
食べたことないの!!!」
樹理「あれだけナミが絶賛するSweetsをっ!!」
奈実樹「あー、」
美紗「柚夏のクッキーね。」
美紗「じゃぁ私が明日呼んでくるよ。柚夏と仲
良いし」
※スライド
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