⑮雪音の夢野編~最後の審判~【みさゆき】


ドッ、ドッ、ドッ、ドッ...、


美紗「雪音っ!!」


柚夏「そんな大声出したら、」


美紗「ッ、頭が...、」


柚夏「言わんこっちゃない...まだ倒れて

   からそんな時間経ってないん

   だから、あんま無理すんな、」


雪「美紗さん!?戻って来たのですか、」


雪「どうかなされたのですか...?」


美紗「うん、ちょっと色々あって...

  (頭、痛い...」


美紗「でもちゃんと放送局の人に伝え

   られたんだね、雪音、」


柚夏「雪音、って...えっ、あ"っ、」


美紗(...そういえば雪さんが女王様なの

   柚夏は知らないんだっけ...)


美紗「それより、ゴーレムの正体が

   分かったの。黒沢さんが話して

くれて、」


雪「"彼女"がですか?」


雪(ゴーレムを起動したかと思えば、次は

  "美紗さんに解除方法のヒントを教え

  る...?")


雪(彼女の目的は一体、何なのか...

  本当に読めませんね...、)


美紗「確証は持てないけど、多分

   うまく行けばゴーレムが止まる

   かも」


美紗「雪さん言ってたよね。"ゴー

   レム効果とは逆の言葉の意味

   がある"って、」


雪「..."ピグマリオン効果"の事ですね」


美紗「そう、さっき雪さんが『私の事が

   知りたい』って"心の底から強く願った

   ら"声が聞こえるようになったけど、」


美紗「その逆で『ゴーレム効果』っていうのが

   あるんだって。」


柚夏「ゴーレム効果?」


雪「"洗脳効果"の一種です、"出来が

  悪いと言われ続けてきた人"は"本当に

  出来が悪くなってしまう"という

  ように」


雪「ゴーレムが、"街の皆の恐怖"によって

  凶暴化...しているのではないのかと

  美紗さんはお考えのようですね。」


美紗「それがゴーレムを狂わせてる

   根本的な原因だと思う」


柚夏「ゴーレム効果...」


美紗「皆が"ゴーレムを安全な物"だって

   認識出来れば、ゴーレムの力も

   弱まると思ったんだけど...、」


雪「...確かに、私はそれを実際に体験

  していますから 試してみる価値は

  充分にあると思います。」


雪「私と美紗さんはゴーレムの事をよく知って

  いて"襲われないと分かっていたから"

  ゴーレムは私達を無視して先に行きました」


雪「ですが...。一度広まってしまった

  "恐怖"(うわさ)というものは、そう簡単に

  払拭出来るものではありません」


雪「"あれだけ街を破壊してしまっている

  ゴーレムに対して"、"安全だ"と思う方

  はまずそう居ないでしょうね」


美紗「そうだよね...、どうにかして

   "ゴーレムは人間に被害を与える

   存在じゃない"って認識して貰わ

   ないと」


美紗(『本当に人を襲っちゃう存在』になっ

   ちゃう、特撮の練習でしたとか?

   それじゃあまりにも無理がある...)


美紗(特撮の練習で街壊すわけないし)


美紗「何か良い方法が...、、」


??「ちょ、」


??「ちょっと、待って...っ!!」


 はぁ、はぁと息を切らしながら入ってくる女性の声。


その声は


雪「...晴華、さん...?」


美紗(あれ、雪さん晴華さんと

   知り合いなの...?)


美紗(最初凄い勢いで逃げてったから

   この世界じゃ知り合いじゃないと

   思ってた、)


晴華「"私が言えば"皆信じてくれる

   と思う、から...、」


雪「どうして貴女が此処に...、貴女は此処

  に来る理由なんてないのに」


雪「今は外でゴーレムが暴れているの

  ですよ!?何故、"一般人の貴女"が此処

  に来ているのですか!!」


晴華「それを言うなら、ゆっきーだって

   人の事言えないよっ!!」


晴華「"ゆっきー"が女王様になってから

   ゆっきーの姉として居候させてもらって、

   今のままじゃ駄目だって。」


晴華「...ずっと関わっちゃ、駄目、だって、

   ...思ってたけど」


晴華「もう、我慢の限界だよっ、」


晴華「ゆっきーが頑張ってビアンカに

   乗って、皆から色々言われてて

   も、必死に、なって叫んで...、」


晴華「もうやだよ、こんな生活っ、、

   他の人と居ても全然、楽しく

   ない!!」


晴華「私は"ゆっきーのお姉ちゃん"だから!!

   血が繋がってなくても、ゆっきーの"家族"

   なんだよ」


晴華「家族が苦しんでるのに、自分だけ

   "幸せになろう"なんて思えないよ...。」


 そう言って、ぎゅっと雪さんを強く抱き締める晴華さん。


雪「晴、華さん...、」


 初めて会ったとき晴華さんが逃げたのは、雪音を邪魔しないようにっていう晴華さんなりの"愛情"だったのかな...。


雪「....、」


雪(晴華さんが私の"意思"に反して、

  初めて、反応を...)


雪("逃げれば助かる命なのに"、どうして

  彼女はこんな行動をとるのですか

  ...、"私"を 助けるため...?)


雪(理解出来ない)


雪(彼女は散々苦しんで来ました。

  両親を失って沢山の悲しい思いを

  して...、)


雪(感情がなくなってから私が『辛さ』を

  感じなくなったのは...晴華さんも

  知っているはずです、)


雪(なんですか... それは...、"自分の命

  よりも大事な物などないでしょ

  う"、)


雪(それだけのために、彼女は私の

  "言いつけ"を...破ったのですか....?)


晴華「だから後は私に任せて、先に

   行って...!!」


雪「...、」


晴華「だから、絶対戻って来てね。」


雪(私の事が"邪魔"じゃないの...?、

  同じ姉妹じゃないから付き合いづらい

  んじゃないの...?)


美紗「行こう」


 そうして晴華さんは、彼女のお得意のラジオで緊急放送を行う。


晴華「"橘、晴華"です。現在この国の女王様

   がゴーレムを止めるために尽力を

   尽くして下さっています、」


晴華「そこで一つ"分かった事"があります。」


晴華「"ゴーレムは人の恐怖"を元に動いて

   います、"我々の恐怖心"がゴーレム

   を更に強くさせているのです。」


晴華「ゴーレムの驚異を止めるには

   "皆さんの協力"が必要です。ゴー

   レムは一見凶悪に見えますが、」


 すぐにその放送は街中に響いていった...、


 それを聞いた一人の車椅子に乗った人が、家から出て大声をあげた。


「ゴーレムが皆の言うとおりほんとに

 "破壊神"なら、私はとっくの昔にやられてる!!」


「女王様の言った事はほんとだ!!」


 それを聞いた、もう一人の人が声をあげる。


「私は女王様にこの世界の本当の美しさ

 を教えて貰ったの、そんな雪音女王が言う

 んだから私は信じるわ!!」


「娘の目の事を気遣ってくれた。"色彩眼鏡で

 良い"って言う人達もいるけど、私達は本当に

 嬉しかった」


「大事な俺達の街を守れっ!!」


「女王が愛したこの街を次は俺達が

 護るんだ!!」


美紗「..."街を守りたい"って思ってるのは

   私達だけじゃない、皆、この街の

   事が大好きなんだよ。」


美紗「雪さんの事も」


 ズシン、ズシン、とゴーレムの歩く振動が徐々に大きくなる。此処からでも見えるくらい


 ゴーレムは本当に私達の目の前まで迫っていた。


美紗「ちゃんと雪音を見てくれてる

   人達はいる、雪音の努力は全部

   無駄じゃなかったんだよ。」


雪「..."女王である私が"心から祈れば、

  ゴーレムは止まるのでしょう

  か...、」


雪「私は街の人達を信じられなかった

  のに、もし、"少しでも街が壊れれば

  良い"って心の中で思っていたら...」


美紗「大丈夫」


美紗「信じてるから、」


美紗(その時はその時で。また何か考えよ、)


雪《さっき信じられなかった分、"今度

  こそ"美紗さんを信じる時なのでは

  ありませんか...、》


雪「.....分かりました、」


雪「貴女が言うように出来るだけ

やってみます。」


美紗「そのいきだよ、雪音っ!!」


※キャプション


ズシン、ズシン...、


 急いで電波塔の屋上に登って、雪音の声がゴーレムの位置にまで届く場所に移動する。


柚夏「"マイクの準備"、おk!!」


美紗「こっちはいつでも良いよ!!」


雪(私を信じてる人がいる、

  せめてその人達だけでも)


雪("安心して過ごせる世界"を私は作りたい。)


 "私達に気付いた"ゴーレムがこっちに向かって、向きを変える。


晴華「頑張って!!、ゆっきーなら出来る

   よ!!」


雪「私は幼い頃に誘拐をされた事もあり、

  "一国の女王"にも関わらず」


雪「...今まで人が"恐くて"、仕方

  ありませんでした。」


雪「ですが、こんな私でも"慕って下さる

  人がいる"。こんなにも弱い私のため

  に"大丈夫"だと声を掛けてくれる」


雪「優しい人達がいる、」


雪「私は皆様が思う"女王"とは程遠い

  人物だと思います。ですが、」


雪「そんな私を"信じてくれる人達"。

  そんな私を"応援して下さる方達"、」


雪「私は"そんな人達が残した"この大切な街を

  『護りたい』、私の祈りがあなた方に届く

  のなら」


雪「私は"全力"を持って、その気持ちにお答えし

  たい。」


雪「だから、聞いてください。私の《思い》を」


 ワァァッァア!!っと歓声の声が聞こえる。


 そして、天に向かって目を瞑り。両手を合わせて祈りの姿勢を取る雪音。


雪「この願いよ、"届いて"。」


....美紗さん、


雪《私が失敗しても、私の事を嫌いに

  ならないで下さい》


美紗そんなの、当たり前だよ。


 その瞬間、ゴーレムの手が、雪音の目の前に迫って。


 おもわず、私は雪音の背中を押していた...


美紗「大丈夫、」


美紗「信じてるから、」




雪「美紗、さん...?」


 "彼女"の視界が、ゴーレムの大きな手で消える


ザザッ...※ノイズ音


 なんで、そこまで、私は貴女の知ってる"雪音ではないのに"、


 なんで今日初めて会った人のためにそこまで貴女は身体をはれるの、


どうしてっ...、、


雪「貴女はそこまでして私のために、

  ...!!」


雪「っ、、美紗さん...ッ!!」


雪「...嫌、」


雪(嫌、嫌....!!!!!)


美紗(くゆ、お母さん、)


美紗(あ"ぁ...もっと生きて色々して

   あげたかった、な...、)


黒沢『....《その者を傷付けるな》、と

   私はあなたに"命令"したはずですよ。』


恐ろしい程 冷たい声が聞こえた


黒沢『ゴーレム、』


 その瞬間、ゴーレムの影が目の前で時が止まったかのように停止する。


美紗「.....、」


美紗「とまっ...、た...?」


黒沢「...私は 今"とても怒っています"。」


黒沢「どんな事があっても彼女を"見捨て、

   逃げろ"と言いましたよね?」


黒沢「貴女はどうしてそんな簡単な事も

   分からないんですか!?」


ゴーレム《ピピ、ピピ...、》


ゴーレム《命令、遂行...優先度A.》


ゴーレム《不審なナアクセスニヨルcord

     エラーヲ確認致シマシタ。

     修正プログラムヲ起動...、》


ゴーレム《全機能ヲ緊急停止致シマス》


黒沢「...私は、この世界で貴女を失って

   しまった世界線の雪音です。」


黒沢「私の居た世界では美紗さんは

   "あの男が狂わせたゴーレムの手に

   よって"、」


黒沢「"この世界で貴女は殺されて

   しまいました"。私を救ったために

   貴女は《死んだ》のです、」


黒沢「...そして、魂を失ってしまった

私の世界では"今も尚貴女の身体

   は植物状態のまま眠り続けていま

   す"。」


美紗「え...、えっ?」


黒沢「貴女を"助けるために"わざわざ《未来》から

   友人の力を使って来たんですよ。」


黒沢「...私はこの世界にとっての《エラー》の

   ような存在、存在自体が、あって

   はならない"悪夢(バグ)"のようなもの

   です。」


黒沢「"2つの世界"の異常を感知したゴーレムが

   私を"排除"しようとしています、なので

   その前に貴女に言っておきたい事が」


黒沢「あぁ、もうほんと涙が出てく

   る...、」


黒沢「この世界で"雪音が死んでも廃人

   化するだけで"すぐ死ぬわけじゃ

   ないんですよ!!」


黒沢「でも、"魂を破壊された"貴女は◆ぬ!!!!」


黒沢「つまり、今の貴女の行動は無駄な

   "犬死に"です!!分かりますか?!?!」


黒沢「それで私が"植物状態の貴女に"どれだけ

   の額を"出費"してるのかも!!!!」


美紗「え、あっ、」


黒沢「《二度目》はありません、私を

   見捨てて貴女...」


黒沢「は...、生き残、」


 そして、黒沢さんは、消えてしまった...、


美紗「えぇ...?」


 あまりに突然な光景に私は片腕をあげて、呆気にとられてしまっていた。


美紗(助けたのに、怒られた...、、)


美紗(というか、未来の私は《植物状態》で

   "死んでる...?")


さっきのゴーレムにやられて...?


あれが、未来の"私"...、ですか...?


美紗(まぁ、でも...今のは確かに死んで

   てもおかしくなかったよね...、

   未来の雪音が"助けてくれた...?")


美紗(でも見た目和メイドさんだし...、

   えぇ...??)


雪《未来の私が、ゴーレムで"街を破壊"

  していたのですか...?》


美紗「雪さん、それは違う!!」


雪《美紗さんをとめるためとはいえ、未来の

  私が"国民の人達を危険な目にあわせて..."、、》


雪《私のせいで...、"美紗さんが死ぬとこ

  だった...?"》


「最初っから女王が怪しいと思ってたんだ!!」


「あれが未来から来た女王だっていうなら、いずれ"女王様が街を破壊する"って事でしょ?危なくない?」


「俺の家も壊された、どうしてくれるんだ!!」


「そうだ、そうだ!!!、」


 女王なら、責任取れよ!!とさっきまで応援してた人達の一部の人が声をあげてそう言った。


黒沢『行き場のない、溜まりに溜まった

   その感情は一体何処に消えてしま

   うのか、』


黒沢『"それがわからなかった方々の

   末路"、と言った所ではないでしょ

   うか。...この光景は』


 "あの時"黒沢さんが言った言葉の本当の意味が分かる


 『雪音が必死に守ろうとしていた世界』はこんな"不条理"な世界で、


 "そんな人達"が人間以外の全く別の生き物のように見えた。


 今まで誰が貴女達を守ろうとしてたのか"もう忘れたのか"


晴華「誰かが変装したって可能性も!!」


「そんな証拠どこにもないだろ!!」


晴華「どう考えても"見た目"が違うじゃ

   ないですか!!」


美紗(...雪音も、こんな感じだったの

かな)


美紗(こんな人達と"まともに会話

   するの"自体が、無駄だって)


雪「もう、...良いのですよ」


雪「...晴華さん」


雪「私は今まで"貴女"と居られてとても

  幸せでした。」


雪「"本当の姉妹ではない"私を貴女は

  本当に可愛がって下さいましたね」


ゴーレム《私ハ皆様ニトッテ"危険"ナ

  存在、不良品ダッタ私ヲドウカオ

  許シ下サイ。霙様、》


ゴーレム《私ノ、意思ガ、残サレテル

     内ニ、私ヲお止め下さい。》


雪「....。」


雪「...街をこのようにしてしまった原因

  は"全てにおいて"、私にあります」

  ※街の人達を含めて


雪「私がもっと早くこの事に気付いて

  いれば、被害は最小限に抑えら

  れたのは 紛れもない"事実"です。」


雪「私が"一人"犠牲になる事でこの街の

  活気を取り戻せるのなら私は」


雪「喜んで《犠牲》になりましょう、」


 そういって、雪さんは鞄からハンカチを出したかと思うとそれをミネラルヴォータで染み込ませる。


美紗「...ちょっと待って、雪さん、」


美紗「何...、して、」


 その時、雪音が図書館で言っていたゴーレムを停める方法が私の中で、過(よぎ)った


 "ゴーレムを停める方法はただ一つ。額の文字を消して死を意味する文字(こくいん)を消すこと"


 でも消した人は"沢山の泥"に巻き込まれて、『圧死』する、、


雪「...貴女は、悪くありません。ゴー

  レム、全ては貴女の正体に早く

  気付けなかった私の責任です」


雪「...色々と巻き込んでしまってごめん

  なさい、」


雪「美紗さん。貴女と過ごした時は

  とても短い物でしたが」


雪「..."最後に貴女の様な人と出逢えて"」


雪「私はとても幸せでした、」


 その言葉と共に、"視界"が崩れる。※涙と大量の泥で


美紗「雪、音...、、」


 その瞬間、強い泥の匂いと一緒に形を保てなくなったゴーレムの泥がまるで土砂崩れのように一気に雪崩こんでくる。


美紗(泥の勢いが強すぎて、向こうに

   行けない...っ!!)


晴華「ゆっきー!!!!、、」


美紗「雪音っ!!」


ゴーレム《...ヤハリ、"貴女ハ此処デ死ヌ

     ベキヨウナオヒトデハナイ"》


ゴーレム《主人ヲ失ッテシマッタ私トハ

     違イ 貴女ニハ大切ナ"家族"ガイ

     ル...》 


ゴーレム《...私ノ"愛スル愛シイ女神"、

     貴女ハ、》


ゴーレム《私ガ命ニ代エテモ...、、

     必ズ...、御守リ致シ、マ、

     ス。》


 崩れたゴーレムが跪(ひざまづ)くように雪音を両手で捧げるよう上の方に持ち上げる、


雪「...ですが、それでは貴女が!!、、」


ゴーレム《.....》


 もう喋る余力もないのか、影と共に崩れる中 ゴーレムはずっと雪音を抱えた手をおろす事はなかった。


美紗(折角、元に戻れたのに...なん、で

   ...、)


美紗(折角、会えたのに、街を壊した

   のも別に"ゴーレムの意思でも

   なんでもなかった"のにっ...、、)


 どうして、ゴーレムを作った人はゴーレムに"感情"なんて与えたんだろう。


《チリン...》


 こんな事のため...?、


《ブルルッ...、》


《...後は"頼みましたよ"、二人とも》


《私の代わりに、一緒にあの子を...、

"雪音"を護ってあげて下さいね。》


美紗(...これは、"ゴーレムを作った人

   の記憶...?")


 崩れてくゴーレム、それを見て 涙を流す雪音...、私はそれを"明かりが消された映画館のように"どこか遠くで見てる。


??《二人の生きる未来(みち)以外、存在しな

  い。"そんな世界を、貴女なら必ず

  紡ぎ出せる..."》


美紗(私は どうすればいい?)


美紗(此処から"二人"を救う方法は...)


??《貴女は"もうその答えを知って

  いる"はず、二人の結末を"貴女は

  知ってる"》


??《"忘れてしまっているだけで"》


??《元々私達の意思は"繋がっている"の

  ですから》


 頭の中に、知恵(ちしき)が浮かぶ、、


 《二人を助け出す選択肢》を、、その知識を、私は"理解する前"に言葉にして叫んでいた。


美紗「"m"を消してッ!!」


 私の声を聞いて、我にかえったように雪音は泥で汚れた顔を手で拭いて。私の言葉に"答えるように"額の文字を消した、


雪「eth(イーサ)、」


 頭が良い雪音ならそれだけで多分分かると思う、その次の言葉も。"雪音なら"、


雪「この時を以て、"街を破壊した悪しき

  ゴーレム(emeth)"は女王の手によって破壊

  されました!!」


雪「今日からあなたの名は「eth

  (イーサ)です!!」


 その瞬間、...雪音の声に"従う"ように泥の流れが緩まった。


eth(イーサ)《......》


 泥で、汚れても全く気にしないように

eth(イーサ)の事を強く抱き締める雪音。


eth(イーサ)《..."code"、ニューネーム、

       eth(イーサ)ヲ承認

       致シマシタ。》


美紗「...よかったぁ、」


 emethのeを消すのが《死》なら。その死(meth=死)の"運命"さえ書き換えればいい、


eth(イーサ)《...畏マリマシタ。我ガ

       "主"様》


 姿は大分ちっちゃくなっちゃったけど、それでもこうして《元》ゴーレムだったethは助かった。


美紗(なんか凄い疲れた...、)


 その場でへたりこむ私、もう別にお尻とか汚れてもいいや


eth(イーサ)《...感謝シマス。杏里、

       美紗》


美紗「貴女を作ったご主人様が"助けて

   欲しい"って力を貸してくれたから」


eth(イーサ)

《...デスガ、宝箱ハ勝負ニ挑ンダ上デ

 貴女様ガ私ニ勝利シナケレバ、開ケラ

 レマセン》


eth(イーサ)

《私達ハソノヨウニ"設定"、サレテオリマス》


美紗「私達?」


ビアンカ《ゴーレムダケデハ開カナイ、

     雪音ノ承認モ必要トナル。》


美紗「ビアンカ、」


美紗「え、喋れたの!?」


eth(イーサ)

《ドッチニシロ、貴方ハ我達ヲ倒サナクテハナラナリマセン》


eth(イーサ)

《貴女ガ"元イタ世界ニ帰ルニハ"。》


eth(イーサ)

《ソレニ、私ハ故意デハナカッタトハイエ、街ヲ破壊シテシマイマシタ...。》


eth(イーサ)

《私はアナタガタニトッテ"危険"ナ存在デスカラ、》


柚夏「危険かどうかなんて試してみな

   きゃ分かんないだろ。」


「は?」


「お前、こいつらが何したか

 分かって言ってんのか!?」


「絶対、壊すべきだろ、こいつは街を

 襲った兵器なんだぞ!!」


柚夏「...お前こそ、女王様に対して

   何したか分かって言ってんの?」


柚夏「そもそもゴーレムが暴れてた

   根本的な理由は私達にもある

   ってさっき言ってたろ、」


柚夏「女王様も一人の人間なんだ。やれ

   る事に限りがあんだよ、」


柚夏「お前が欲しいのは寄付金で建てる

   "新しい家"だろ、全部女王の責任にして

   自分は被害者だから堂々と住める。」


「そんなん此処にいる奴ら全員そうだろ、じゃぁなんだ保証されずそのままでいろってのか」


柚夏「...それに、さっきの見たろ」


柚夏「こいつには少なくとも"ちゃんと

   人の心"があった。」


柚夏「"自分の事しか考えなかった私達

   と違ってな"」


柚夏「お前はさ...、人の為に命投げ

   捨てる覚悟が、あんのかよ?」


柚夏「"お前は"そこまでして、国民のため

   に何か、出来んのかよ。」


柚夏「...女王は暴走したゴーレムから

   私達を救って下さった英雄

   だぞ、命を掛けてまで」


柚夏「街の被害を最小限に留めて

   くれたんだよ!!、そんな事にも

   気付けん馬鹿が!!」


柚夏「生意気言うんじゃねぇ!!」


柚夏「...そもそもさっきから"責任責任"

   っつーけどな、」


柚夏「言っとくけどお前がやった事

   "殺人未遂"だから」


柚夏「集団で自殺に追い込む事も立派な

   重犯罪なんだよ。」


柚夏「今頃全国生送局で流れてる

   だろうなぁ。女王を自殺へと追い

   詰めた証拠映像、」


「なっ、」


「だって、女王が街を壊した犯人だろ!!」


??「はっ、はっ、はっ」


狛「面白い事してるねー、君も」


狛「まぁあれが"本当に未来から来た

  女王なのかどうか"はまた別に議論を

  交わすとして...」


狛「まぁまぁ、凄い現状だね」


狛「でも流石に今の発言はまずかった

  ねぇ?」


狛「立派な『国家反逆罪』、ちゃんとした

  証拠もなく"女王を自殺に追い込ん

  だら"駄目だよ。」


狛「少なくとも"今の彼女は国を護った

  英雄なんだからさ"」


狛「...さっきのが例え未来の女王だと

  しても"暴走したゴーレムを止めた

  のは"今此処にいる女王さんだし、」


狛「と、言うわけで『国家反逆罪』で

  君を"逮捕します"。一応、僕はこの

  世界の国家警察なのでね」


狛「あ。勿論ヤジを飛ばしてた人達も

  後でちゃんと映像チェックするから

  安心してね?」


 と、悪魔のような満面の笑みで嗤う先輩。


狛「あーあ、警察になればモテると

  思ったのになー...こんな損な役回り

  ばっかり」


柚夏「このゴーレム。今はeth(イーサ)か、

   壊すんなら私が貰うけど良い?」


柚夏「丁度従業員が不足しててさ」


柚夏「この"ポンコツ"が人の役にたつ

   ロボットだって皆に証明すれば

   良いんだろ?」


eth(イーサ)《ポンコツ...》


狛「"不足も何も"元々君は一人だろう?」


狛「まぁ女王の所にあるよりは国民

  も納得するだろうしね。」


美紗「柚夏、」


柚夏「ただで人員が増えるとかこっち

   にとっても願ったり叶ったり

   だし」


雪「本当に良いのですか、ペッ●ー

  さん」


柚夏「なんでペッ●ーさん?」


雪「名前をお聞きしていませんでした

  ので...」


美紗「理由は聞かない方が良いと思う」


柚夏「そう言われると逆に気になるん

   だけど...、」


雪「ですが...宝箱の方はどうするのですか?」


雪「美紗さんが元の世界に帰るには

  "宝箱の存在"が必要不可欠です。」


雪(出来ればこの世界に残って頂きたい

  ですが..."彼女"には美紗さんの存在

  が必要だと思いますから、)


雪(少し寂しいですが...、)


美紗「ゴーレムも正気に戻ったし...

   もうそんなに焦る必要もないと

   思うけど、」


 やっぱり元居た世界に"戻りたい"、命を掛けてまで私を助けに来てくれた"あの雪音"の為にも...。


 私は帰らなきゃいけない...。


美紗(そういえば、前にもこういう

   世界に来たことあったんだっけ)


美紗(...確かあの時はくゆも私の隣にいて

   門番さんが出したクイズに正解

   したら、"門"が開いてそれで...)


美紗(...、)


美紗「あ。」


美紗「待って...、見付けたかも、

   突破口っ!!これならイーサが消え

   なくてすむ!!」


柚夏「どうするの?」


美紗「別に戦う方法は一つじゃない

   ってこと、頭を使って戦えば

   良いんだよ!!」


美紗「『雪音クイズ』で!!」


※スライド


雪「...雪音クイズ?」


eth(イーサ)《....ナルホド。》


eth(イーサ)

《...前例ハアリマセンガ、

 主(あるじ)様ハ"勝負ニ勝テバ良イ"

 トダケ仰イマシタ》


eth(イーサ)

《雪音様モ、ソノ"要求"ヲ承諾致シマスカ?》


雪「お願い致します、イーサ。」


eth(イーサ)《畏マリマシタ、》


eth(イーサ)

《イージーモード、ト。ハードモードドチラヲ選択シマスカ?》


→イージーは最後選択肢あり

→ハードは最後キーボード回答


ゴーレム《"美紗様"ノ勝負ヲ承ワリマ

     ス。クイズハ、雪音様ニ関

     スル内容→デ宜シイデショウ

     カ?》


美紗「はい、大丈夫です!!」


ゴーレム《問題ハ全部デ"三門"デス》


ゴーレム《コノ世界ハ、雪音様ノ潜在

     意識カラ出来タ世界デア

     ル。◯カ、×カ答エヨ。》


※間違えた場合、モウ一度始メカラヤリ直シテ下サイ。と最初から。


美紗「◯、」


美紗(最初は逆の世界って思ってたけ

   ど、この世界って雪音の中の

   世界で良いんだよね?)


美紗(雪音の中の柚夏って大分ヤンキー

   寄りでちょっとビックリした

   けど)


ゴーレム《正解デス。》


ゴーレム《第、二門、》


ゴーレム《雪音様ハトアル動物ガ苦手

     デス。ソノ理由ハ何故?》


美紗(雪音が猫を嫌いになった理由、

   雪音が前に言ってたけど...何

   だっけ?)


「A.噛まれたから、B.引っ掛かれたから、C.威嚇されたから」→引っ掛かれたから。


ゴーレム《第、三門、》


美紗(思ったより簡単かも、このまま

   なら普通に終わりそう)


eth(イーサ)《私ノ本来ノ姿ハ動物

       デスガ、何ノ動物?》


美紗「...、」


美紗(...えっ、動物なの?)


eth(イーサ)

《コノ問題ノ答エハ雪音様モ御存知デナイ問題デス。》


eth(イーサ)

《ヨッテ、雪音様ト協力シ答エヲ求メル事ヲ許可致シマス》


eth(イーサ)

《答エガ分カッタラ教エテ下サイ。》


 そう言い残してプシュ...と、低燃費モードになるゴーレムさん。


雪音「と、言われましても、私も

   ゴーレムになる前の彼女の事を

   知っている訳では...」


美紗(と、言っても...なんとなく心辺り

   はあるんだよね...。ビアンカの

   鳴き声と一緒に聞こえた鈴の

   音、)


美紗「ビアンカって鈴とか付けてた

   時期ある?」


雪「私が知る限りではありませんが...。

鈴と言えば、お婆様の部屋に小さな

  鈴がありましたね。」


《...後は頼みましたよ、"二人"とも》


美紗(二人とも、って事は多分あの部屋

   にはビアンカ以外の"別の動物"

   がいた。)


美紗(そして、"四つ足で歩く鈴の

   付いた首輪を付ける動物"って

   いったら...)


「犬、猫、馬」→猫


美紗(しかないよね、どう考えても

   首に鈴付けるのって大抵猫ちゃん

   だし...。)


美紗「分かったよ。eth(イーサ)、

   貴女の正体が」


eth(イーサ)《デハオ応エ下サイ。

       私ノ本当ノ正体ハ?》




※イージーモード


「A.サビ猫、B.黒猫、C.白猫、D.茶虎」→黒猫


※ハードモード

eth(イーサ)

《ローマ字ノ半角文字デオ答エ下サイ》


→KURONEKO(黒猫)、KURONEKONOJYUTANN(黒猫の絨毯)、JYUUTANN(絨毯)、

MIZORENOE(みぞれの絵)

MIZORENOKAIGA(みぞれの絵画)

どれでも可



eth(イーサ)

《...貴女ノ事ヲ『承認』致シマス》


eth(イーサ)

《"杏里美紗"、私ハ霙様ガ描(えが)カレタ黒猫。私ハ黒猫ノ絨毯デアリ、同時ニ霙様ガ描カレタ"黒猫"デモアリマス。》


 その瞬間、イーサの身体が変わって黒猫へと変わってく。


美紗「猫ちゃん!!」


eth(イーサ)

《厳密ニハ限リナク猫ニ似タ"何カ"デス》


eth(イーサ)

《デハ、宝箱ヲオ開ケ下サイ》


 とてとてと歩いて宝箱の前で立ち止まるeth(イーサ)。


美紗「じゃあ、開けるよ...?」


 うーん!!...と、宝箱に足を掛けて開こうとするけど、ピクリとも開かなかった。


美紗「あれ?、開かないんだけど、」


美紗「なんで、、」


ビアンカ

《宝箱ハコノ世界ノ"主"デアル雪音様ニシカ開ケラレマセン》


美紗「...私に開けさせた意味は?」


eth(イーサ)《....?》


eth(イーサ)《ニャーン》


美紗「猫語で誤魔化された!!」


雪「開けますよ、」


美紗「何が入ってるんだろ、」


 雪音がカチッと、宝箱を開けるとさっきまで開かなかったのが嘘だったように宝箱が簡単に開く...、


雪「これは....、」


 その宝箱の中には、夏に雪音の別荘で見たあの絵が入っていた。


  雪音はお婆さんの描いた絵を両手でぎゅっと抱き締めると、絵は光に包まれて。雪音の胸の中に溶けていく...


雪「あぁ...、」


雪「....全て、」


雪「...思い出しました。」


 それに反応するかのように、雪音が普段身に着けていたマフラーが


 まるで意志があるように動きだして、雪音の首もとから背中に向けて一回転したかと思うと、


 雪音の背中の片側にくっついてマフラーからどんどん羽毛に変わっていった...、、


雪「彼女が"ゴーレム"で、私が彼女と   

  対を成す 存在であるのならば...」


雪「私の本来の名は...」


雪「...そう、"ピグマリオン"...。」


ピグマリオン

「雪音の為に『私が』描いた絵、あの子がいつか笑顔で過ごせる日が来るように願って描いた大切な"手紙"です...。」


 ゴーン...ゴーン...、と鐘の音が響き渡る。


 宝石のアメジストのような光り輝く美しい髪と黄金の"未来を見通す瞳"


 穴の開いた右翼の翼を広げ、白く長い翼を折り曲げる雪音。その姿は...息をするのも忘れてしまうくらい


とても、神秘的(きれい)だった...。


ピグマリオン

「..."ようやく"、会えましたね、」


ピグマリオン

「杏里美紗さん。貴女なら未来を変えられると信じていましたよ」


美紗「やっぱり、門番さんが愛の女神

   だったんですね...。」


 黒猫の姿に戻ったeth(イーサ)が、ピグマリオンさんに飛び付く。


ピグマリオン

「私に"それほどの力"はありません、私はあくまで人と同じ時間を共にするため」


ピグマリオン

「力の殆んどを失ってしまった女神ですから」


ピグマリオン

「ありがとう、eth(イーサ)」


ピグマリオン

「...私の心をずっと守っていてくれて。」


ピグマリオン

「美紗さんのお陰で、"彼女"もまた悲痛な運命を辿(たど)らずに済むでしょう」


ピグマリオン

「"心からお礼を申し上げます"。

...あなたが無事で良かった、本当に」


ピグマリオン

「...今の私が出来るのは名前の通り、"周囲の期待に答える"といったものだけです。」


ピグマリオン

「例え絶望の淵にあってでも、望んだ未来を信じ続けた者にのみ。"その知恵(ちしき)を分け与える"といったもの...」


ピグマリオン

「そもそもその域に達していない者は私に出逢うことすら叶いません、それが私が"愛の女神"と呼ばれる由縁です。」


ピグマリオン

「美紗さんが"雪音を幸せにしたい"と、心からそう願ったからこそ」


ピグマリオン

「今では私の姿がはっきりと見えているでしょう?」


美紗「確かに最初は凄い朧気だった

   もんね...。」


美紗「でも、未来の雪音がいなかったら」


美紗「私、あの時ゴーレムに押し潰されて死んでたんだよね...」


ピグマリオン

「.....。」


ピグマリオン

「"その可能性"はたった今、彼女の勇気ある行動で潰えました。彼女のことを本気で思うなら」


ピグマリオン

「...今の雪音をどうか大切にしてあげて下さい。それが私達に出来る彼女への弔いになります」


ピグマリオン

「かつて、雪音は"誘拐に会い"...人を信じる心を失ってしまいました。私はそんな雪音のために『絵画』を残したのです」


ピグマリオン

「"いつかこの絵のように彼女が笑う日が来るのを願って"」


ピグマリオン

「貴女に出逢って雪音は随分変わりました。コンテストの絵を描けなくなってしまうまでは...」


ピグマリオン

「私には"未来を見通す力"がまだ残っていましたので、貴女に全てをかけたのです。」


ピグマリオン

「私の存在が雪音の心から完全に消えて、なくなってしまう前に。"未来"を変える必要があった...、」


ピグマリオン

「彼女の存在自体が"此の世界でウイルス"

 として生じたために、この子が半ば"強制 

 的"に狂ってしまったのでしょう」


eth「ニャァ」


ピグマリオン

「最後に彼女の"残留思念(コード)"が

 残されています。貴女宛のようですよ」


美紗「手紙...」


黒沢

『今、この手紙を読んでるという事は私はもう"此処"に居ないのですね。でも、その何倍貴女に生きていて欲しいと思っている私がいる。


 貴女が助かる時、"貴女を救えなかった未来の私"は消えます。それによって知り得た事も、全部"私の一部"となって消える。


 何年ぶりに貴女と顔を合わせる事が出来て、本当に嬉しかったです。歳柄もなくはしゃいでしまいましたよ


 貴女は覚えていないと思いますが、私は貴女の事をずっと"愛しています"。だからどうか簡単に"死ぬ"なんて言わないで 


どうか、未来の貴女が幸せであることを心から願っています。 ◆◆』 ◆=雪音


ピグマリオン

「わざわざ圧縮を掛けてまで、この文字が"消えないように"施されていました。私の夢野に侵入した方はかなりの"技術者"のようですね」


美紗「未来の雪音が助かる道は無かった

   のかな...。」


※★の信仰が1000集まれば事態を重く受け

 止めた神様が気まぐれに奇跡を起こして

 くれるかもしれません


ピグマリオン

「"命は命の対価でしか釣り合いがとれません"。そうしたら"美紗さんが亡くなった世界"の美紗さんが助かるには」


ピグマリオン

「"美紗さんが居ない世界"の雪音の命を代償にするしかなかったのです、二人は『相容れない存在』ですから」


美紗「私が死んでなかったら、"私が死んでるのを知ってる雪音がおかしい"ってこと?」


ピグマリオン

「そういう事です。"どちらかが消えるしかない"」


美紗「だから消えちゃったんだね...。」


ピグマリオン

「貴女が気に病む必要はありません。彼女も悲惨な運命を辿らずにすむなら、それもまた"幸せ"だと思いますから」


美紗「うん...」


ピグマリオン

「試練をクリアしたので、"今の未来の雪音"が死ぬことはいないと思いますが。これでも"充分イレギュラーな行為"なんですよ」


ピグマリオン

「お陰で 、雪音の夢野の中が"めちゃめちゃ"

 です...。」


ピグマリオン

「彼女達は夢野に"かなり無理をして

 入った"のでしょう。消えた後の記憶は

 ないですが...」


ピグマリオン

「...お陰で私の夢野は《強制終了》の後で

 "ブルースクリーン"を食らったかのように

 バグが発生していて...。"門番が居ない

 状況"で無理やり入ったので...」


ピグマリオン

「《バグ・on・Theシー、パラダイス》

 みたいな状況です...。」


そう言って、遠い目をしてるピグマリオンさん。


美紗(取り敢えず"片付け"が大変そうなのは

   分かる)


ピグマリオン

「まぁ、私が消えていた(いなかった)

 のも悪いんですけどね。今まで何も

 出来なかった"ツケ"は取りますとも...」


ピグマリオン

「"未来の雪音の夢野が壊れた"のは、コンテストで不合格になるのではなく。"夢野で美紗さんが目覚めなくて絶望したから"だったんですね...」


ピグマリオン

「流石にそれは""詠めません""。というか"詠みたくない"です...」


美紗「でも壊れるのを"詠んだ"お陰で助かった

   から」


ピグマリオン

「まぁ、やれる事からやってみましょう。」


ピグマリオン

「ですが、本当にありがとうございます、貴女は私の言った事を"本当に"叶えて下さった」


ピグマリオン

「もう、覚えていないとは思いますが私はずっと貴方の事を覚えていますから」

※生前君と孫の事をずっと見守ってるから安心しろと言った


→A.「霙さん...」

→B.「雪音...」




→A.「霙さん...」


ピグマリオン

「.....、」


→B.「雪音...」


ピグマリオン

「.....えぇ、」





ピグマリオン

「...別れは名残惜しいですが、"もう時間がありません"、」


ピグマリオン

「最後に私の残した知恵を貴女に授け(おくり)ます、貴女が"すべき事"はただ一つ。この者の名前を」


ピグマリオン

「"作者"に追加する事。そして"心から雪音を信じるの"です。《何があっても雪音は自分の側にいる》、そうすれば、」


ピグマリオン

「貴女の望んだ(信じた)未来が約束されるでしょう。おやすみなさい、あなた...、」


ピグマリオン

「貴女の願う未来に"女神の愛"の祝福を、」


 そして、愛の女神は私の額にキスだけを残して...私は深い眠りへと落ちていく。  




美紗「って、今何時っ!?」


美紗「...夢を見たのが一日前で良かっ

   た、長い夢見ると曜日感覚無くす

   よね...明日だ明日、」


美紗「文章変える時間あるかな、あと

   それと、」


美紗「『昼瀬川、空...』っと、」


美紗(忘れないうちに、)


 夢で名前を聞いただけなのに頭の中でその漢字が思い浮かぶ。


美紗「誰だろ...、見たことない名前」


美紗「知らない人の名前書いちゃって

   良いのかな...。でもピグマリオン

   さんはそう言ってたし...、」


美紗「それで雪音が引っ越さなくなる

   可能性があるなら。」


 そして、授業が終わってすぐ私は新しく書き直した文を持って今日も豆雲先生の元へと急ぐ。


豆雲「最初は"コンテスト前日に文章を

   まるごと書き直す"なんて、凄い

   事するなとは思ったが...、」


豆雲「...これは結構、斬新で良いアイディア

   かもしれん。"杏里らしい文章"

   で面白いじゃないか、」


※キャプション





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