⑯芸術コンテスト編【みさゆき】

そして、いよいよ...コンテスト当日。


美紗「豆雲先生と面接の練習もいっぱい

   したし、この日の為に一生懸命

   頑張って来たんだもんね、」


美紗(なんかすごい夢も見たし 今の私なら

   いけそうな気がする!!)


 事前に学校には許可をとってきてるけど、やっぱり平日に学校以外のとこに行くってなるとなんか凄い緊張するなぁ...、


美紗「此処、でいいのかな...?」


 エントリー用紙に書いてあるコンテスト会場の地図を見ながら案内板の看板と照らし合わせる。


美紗「建物もそれっぽいし、合ってると

   思うけど...、」


冬将軍さん「やほー、美紗ちゃん」


冬将軍「早いね。」


美紗「冬将軍さん、」


美紗「え、なんで此処に?」


冬将軍さん

「今回面接が入るでしょ?厳選な審査を

 するために、審査員の不正がないよう

 コンテストは毎回録画するっていうの

 が決まりでね。」


冬将軍さん

「見える化する事によって、他の人達

 にも"公平な審査"だって分かってもら

 えるようにするんだよ」


冬将軍さん

「今日は椿さんにその撮影を頼まれてね。

 金から胴賞の人は入賞したらその映像

 も一緒に流れるからさ」


美紗「凄いちゃんとしてるんですね」


冬将軍さん

「"公平"なコンテストだからね。」


冬将軍さん

「信用問題に関わってくるし、それに

 そういう人はどこにでもいるから」


冬将軍さん

「むしろ椿さんの娘だからこそ。周りに『贔屓』だって思われないように普段より審査が厳しくなるんじゃないかな、」


美紗「ですよね...、」


美紗(コンテストで結果を残したい

   と思って来てるのは"私達だけ"

   じゃない...、)


 此処に来る人達 皆がそう思ってて。


 私はその中で"雪音が描いた絵の良さ"を皆に伝えるために


 そのために今日、私は此処に来たんだ。


美紗(ハンデを貰って優勝しても。

   多分、本当の意味で雪音は

   喜べない)


美紗(ちゃんとした実力で勝って

   見せる、)


 雪音の描いた絵が"良い絵"だって。皆にちゃんと伝える事が出来れば、きっと雪音の絵の良さだって皆に伝わるはず。


美紗(いっぱい練習もしたし大丈夫)


美紗(雪音の為にも、必ず良い絵だって

   証明してみせるから)


冬将軍さん

「私もあんまり雪ちゃんには外国に行って欲しくないけど、こればかりは二人の問題だからね...。」


美紗(今思えば最初に私の手紙に返事

   をしても良いんじゃない?って冬将

   軍さんが言ってくれたから)


美紗("雪音"と仲良くなる事が出来たん

   だよね...、)


美紗「今日は良い夢も見たので。

   せめて、雪音の絵をお母さんに

   認めて貰えるように頑張ります」


冬将軍

「おー、縁起良いねぇ。そういう時って私大抵悪い夢見ちゃう方だから、羨ましいなぁ」


冬将軍

「雪ちゃんも美紗ちゃんと会ってからほんとに変わったし 良い方向(ほうこう)に傾くと良いんだけどね」


冬将軍

「まぁ、悔い残さず頑張っていけ。

高校生、私も応援してるから」


冬将軍

「結果は後から付いてくるものだから。

まぁ気にせず『やれる事からやってみよ』、

私の師匠の"受け売り"だよ、」※師匠は霙です


美紗「はい、」


冬将軍「じゃ、そろそろ次の人達も

    入ってくるから」


冬将軍「色んな作品があるし、時間に

    なるまで見るのも有りだし、

    面接の練習をしてても良いし、」


冬将軍「受付は"あっち"で、入ると飲み

    物の交換券貰えるから」


美紗(冬将軍さん忙しそうだし...

あんまりお仕事の邪魔しちゃ

   悪いよね、)


美紗「すみません、色々ありがとう

   ございます。」


冬将軍

「こっちも今日は仕事で来てるからね、あんまり構ってあげられないけど 迷わないように気をつけて」


 実際こうやって初めて会場に来て、誰か知ってる人の顔があるだけでもほんとにほっとする。


美紗(分からない事があったら冬将軍

   さんに相談しよう、)


 ガラスで出来た大きな自動ドアがウィーンと開くと、一時間前なのに人が結構いる...、


 スーツを来てる人とか、社会人っぽい人もいるけど...周りの人は殆んど大人の人ばかりで


 "制服姿"の私はその中でも一際目立ってた。大人の人の視線がこちらに刺さる、、


美紗(大学生の人は居ても高校生の人は

   居ないのかな...、)


美紗「雪音の絵だって充分上手いもん、

   大丈夫。大丈夫...」


 家でいっぱい練習したけど、時間がくるまで練習しとこうかな...?


美紗(それとも落ち着くために

   絵を見に行く?)



→A『絵を見にいく』

→B『面接の練習をする』



→A『絵を見にいく』


美紗(緊張でどうにかなりそう

   だし...、)


 取りあえず待合室の部屋の場所だけ確認してから すぐ部屋を出る。


美紗(前年度の作品でも見に行こう

   かな、)


 すぐそこに『歴代のコンテスト作品』という案内板があったから


 わりとあっさり作品を見に行くことが出来た。


美紗(やっぱり皆絵が上手いなぁ...。)


 歴代の優勝作品や、白い石膏で出来た平和を願う女神のオブジェに...


 震災や文化遺産をモチーフにした色んな人達の強い願いの込められた絵、


美紗(凄い...雪音と一緒に居たら色んな説明

   してくれそう)


 見ただけで何かを感じさせられるような作品ばかりが、そこには並んでた。


美紗(...確かにこれと比べたら雪音の絵

   が優勝出来ないって言われるのも

   分かる気はするけど...、)


美紗(でもこれとか、なんで銀賞を

   取れたんだろう...?)


 そんな作品も中にはあって、


 結構前の作品なのかな、理由は記載されてなかったけど


 どんな作品でも認められる世の中になったらそれはきっと素敵な事だと思う。


美紗(んー...、でも良い気晴らしには

   なったかな)


 その瞬間、チラッと晴華さんに似た白髪の人が向こうの方で横切っていった気がした。


美紗("一瞬"だったからよく分かん

   なかったけど...、でも今日、学校

   だよね?)


美紗(気のせい、かな...、)※晴華さんだけに


 一回冬将軍さんと会ったから、なんかまだちょっと知り合いが居たりしてって敏感になってるのかも。


美紗「あ、もうそろそろ時間、

   部屋に戻らないと、」




→B『面接練習をする』


美紗(やっぱり本番に向けて面接の

   練習しよ、)


美紗(うわ...、結構人いる...。)


美紗(席は此処であってるかな。

   高そうなお茶...、)


 ふと思い出して調べると買うと一本1000円ぐらいする『厳選された新芽の緑茶』とこの時の私は知るよしも無く


 普通に飲んでうま、っと思った。


美紗(びっくりするくらい美味しい

   ...、緑茶なのに水みたいに喉に

   すっと溶けてく、)


美紗(...他の人達も同じ考えだよね。

   でも本番までわりと時間

   あるなぁ...、)


女性「高校生?」


美紗「え、あっ、、」


美紗(知らない人、)


美紗「はい、そうです。」


女性「高校生がこのコンテストに出る

   のは珍しいね。参加者大体大人

   の人ばかりなのに」


女性「あ、ごめんね。此処にいるの

   大人の人ばっかりだったから

   ちょっと癒されちゃって、」


美紗「私の絵というより、私の好きな人が

   描いてくれた絵なんです。事情があって

   引っ越ししちゃうかもしれない

   から...、」


美紗「色んな人に見て貰いたくて、」


女性「だったら此処は最適かもね。"三冠"

   じゃなくても色んな人達が見に

   来てくれるから。」


女性「企業の人も人材を集めたくて沢山

   見に来るから、私もどっちかと

   いうとそれ目的なの。就活に役立つ

   から」


女性「お互い頑張ろうね、」


美紗「はい、」


 そうして私は頭の中で、作文を読み返しながら時間になるまで一生懸命面接の練習をした。


※スライド


係員

「皆さん、本日はお忙しい中、古池グループ会長古池椿様が主催するコンテスト会場にお集まり頂きまして 誠にありがとうございます。」


係員

「えー、まず。コンテストには3つの部門がございまして。それぞれ【絵画部門】、【映像部門】、【アート部門】に分かれています」


係員

「此方(こちら)は【絵画部門】の会場ですが、皆様お間違いなさいはございませんでしょうか?」


係員

「『三冠受賞者』には"小切手と豪華景品"、

そして金賞受賞の方には"古池会長が直々に行動を移して"下さいます。」


係員

「"古池会長のお願い"の詳細な内容と致しましては」


係員

「『ガン末期患者様の娘さんの医療費の全額保証』や『森林栽培の募金援助』など、そのような前例などがございます」


係員

「犯罪・暴力団体に関わること意外でしたら

"ほぼ全ての要望にお答えしたい"と本人もそのように仰っていますので、皆さん頑張って下さい」


係員

「直接お願いするのが恥ずかしいといった方は授賞式の後お手紙などで提出して頂いても構いません」


係員

「ですがその分、面接時の録画の許可、三冠受賞での映像の使用許可などをさせて頂きます事を予(あらかじ)めご了承下さい。」


係員

「ではそれぞれ指定したお時間での面接を開始致しますので、お名前が呼ばれましたらスタッフが皆様をご案内致します」


係員

「質問などございましたら気軽にスタッフにお声掛け下さい。お手洗いなどは西口を出て頂いてすぐのところにございますので」


係員

「そちらを御利用下さいますようお願いします。それでは、"1035番"の方お願い致します。」


美紗(1039番...、)


 と、コンテストの説明が終わって


 いよいよ面接の時間...と言いたいところだけど、その間の待ち時間がわりと...


美紗(あー、緊張する。最初の人が

   羨ましいなぁ...、)


美紗(名前が安里(あんり)、だから

   結構早めだけど『あ』が付く名字

   の人って結構居るもんね...、)


『"結果は後から付いてくるものだから"。

まぁ気にせず「やれる事からやってみよ」、私の師匠の"受け売り"だよ、』


 さっき冬将軍さんが言ってた言葉を思い出しながら、私は作文を読んで練習した内容の最終チェックをする。


※スライド


スタッフ「1039番、杏里、美紗さん。」


美紗(いよいよ私の番...、)


スタッフ

「大変お待たせ致しました。会場の方へお連れ致しますので宜しくお願い致します」


美紗「はい、」


スタッフ

「"面接会場は此方"となっております。お名前が呼ばれましたら入室して下さい」


...ごくり、と生唾を飲む。


??「"杏里、美紗"さん。入室して下さい」


 3回ノックをして、「失礼します。」と扉を開けて入室する。


??「審査員の椿です」


 雪音よりも深くて濃い黄金の瞳に薄紫色のピンクい髪を結った儚げだけど、


 強い瞳を持った和服に包まれた人が扉を開けてすぐ目に入ってくる。


 他の人とは違うしなやかさを持ち合わせた一風変わった威厳ある雰囲気に、


 一目見ただけで、この人が"雪音のお母さん"だとすぐに分かった。


審査員O

「私は代表取締役の荻田と申します、こちらは代表管理課の...」


審査員S

「佐々木と申します。本日は宜しくお願い致します」


 その後ろにはさっき言ってた通り冬将軍さんがカメラを構えて、撮影の準備をしてる。


冬将軍「こちら準備オーケーです、」


椿「ではカメラの準備も整いましたので。

  始めさせて頂きます」


美紗「"杏里美紗"です。宜しくお願い

   致します、」


椿「座って下さい。」


椿「では、これから杏里さんには御自分

  の作品の紹介をして頂きますが」


美紗(この人が、金賞を取らないと雪音を

   引っ越させるって言ってる

   お母さん...、)


美紗(どうでもいいけど、お母

   さんめっちゃ声良いですね...。

   ...流石、"雪音のお母さん"。)


美。(そして、とても綺麗)


椿「"娘の通う"学校と同じ学校に通われて

  いるのですね。だからと言って、

  此方も仕事ですので...」


椿「学生だからといえ、"手加減"する

  つもりはありません。全力で

  掛かって来て下さい」


椿「貴女の実力を見させて頂きます。

  杏里美紗さん」


美紗(私も初めからそのつもりです。)


 基本的な挨拶が終わって、すぐに作品紹介が始まる。


椿「では、早速ですが 貴女の作品を

  発表して下さい。事前に絵の方の

  資料はプリンタをして頂いています」


美紗「はい」


美紗「【私の大切な宝物】。」


美紗

「1039番、ルネミア学園、1ーB。杏里美紗」


美紗

「私の大切な人へ、今この手紙を"あなたに送ります"。」


美紗

「あなたは自分の絵を『駄目な絵』だと言った、けど私は"それがとても悲しい事"のように思った。」


美紗「他の人に描けない構図、他の人

   には描けない発想。他の人には

   描けない絵」


美紗「本当に"上手な絵"ってなんなん

だろうね、」


美紗「皆それぞれの『思い』があって。

   "その人だけ"の人生があって。皆目標に

   向かって一生懸命頑張ってる」


美紗

「この世界には星の数と同じぐらい。

 沢山の"凄い絵"があって、見ただけで

 感動するような絵も沢山あって」


美紗

「上を見たらキリがない程、上手い人は沢山いて。」


美紗

「誰かが放った何気ない一言があなたの心を傷つけても、それでも私は『あなたの絵が世界で一番大好き』だって」


美紗「"その気持ちに嘘は付けない。"」


美紗「私はあなたの事がずっと大好き

   だったから。あなたの見る世界、

   あなたが思う言葉...、」


美紗「"その全てが"私にとって大切な

   思い出で、掛け替えのない

   『宝石』だから。」


美紗

「あなたの絵が大好きです。」


美紗

「あなたから貰った絵は何もない砂漠

の中で見付けた星空のように、とても

大切な宝物。」


美紗「ただの石にしか見えない人も

いるけど」


美紗

「"私にとってはダイヤモンドの原石より

 価値があるもの"」

→「価値がある物」と「価値があるもの」を掛けてる


美紗

「だから、自信をもって」


美紗

「そのためなら私はなんだって出来るから」


美紗

「あなたの"塗った色が好き"。その色は"あなたにしか出せない色"だから、」


美紗

「あなたが"作った世界"が好き。その世界はあなたにしか作れない"大切な思い出の場所だから"」


美紗「あなたが描いた絵は世界にただ一つ

   しかない "他の人には描けない

   私の大切な思い出"。」


美紗

「物語にいつか終わりがあるみたいに、辛い事があっても、いつかこうやって楽しいと思える日がきっとくるから。」


美紗

「だから どうか忘れないで下さい。あなたの事を"愛してる人がいる事"を、あなたが描いた絵を見て"幸せになる人がいる"ということを」


美紗

「どうか忘れないで下さい。」


美紗

「あなたの幸せを日々願っています。」


美紗「...あなたの一番のファンより、」


美紗

「...以上です、」


「....、」


椿「どうでしたか?」


審査員O

「...いえ、思ったよりも良かったな、と」


審査員S

「この作品を描いて下さった方に向けて、

 その手紙としてその作文を書いたの

 ですね。」


美紗「はい。彼女が引っ越しするかもしれない

   という事で頂いて。そのお礼として

   何か出来ないかなと」


美紗「此方のコンテストに応募させて

   頂きました。彼女は昔誘拐に遭い

   かけてそれで感情のある絵は描けないと

   言っていたのですが」


美紗「私の為に描いてくれたのが嬉しくて。」


審査員S

「そしてこれがその"イラスト"という訳ですね、成る程...」


椿「確かに悪くない滑り出しでした

  ね、そうきましたか...、と思いました。」


椿「高校生らしい作品の紹介の仕方でとても

  良かったのではないでしょうか」


椿「斬新な発想で私(わたくし)個人としては

  大変気に入っています。」


美紗「ありがとうございます、」


美紗("作品紹介"は結構好評だった

   みたいだけど...、)


椿「ですが面接に対して画力の方が

  追い付いていないようにも見えます

  ね」


美紗(やっぱそうくるか...、、)


審査員O

「面接は凄い良かったんだけどねぇ...」


椿「制作に掛かった期間はどれぐらい

  ですか?」


美紗「制作自体には半年も掛かって

   いませんが...、"作品に込められた

   思いはどんな絵にも負けていませ

   ん"。」


審査員O

「ふふ、中々強く出ましたね。思いがこもってて、個人的にはとても良い作品と思いました」


椿「...では、これより各自質疑応答を

  行って行きたいと思います。」


美紗「はい。」


 本番は此処からだ、いくら作品が良くても受け応えがあれじゃ減点される。


審査員O

「作文の方ですが、作文はどなたから

 書き方を教わったのですか?先生とか?」


美紗「いいえ、自分で考えた文です。」


美紗「此処で金賞を取れないと引っ越し

   してしまうと聞いて...」


椿「....。」


審査員O

「凄いですね、自分で考えた文章でしたか。なるほど...とても良かったです。」


椿「では、この絵の『良さ』を教えて

  下さい。」


美紗「彼女はお金持ちで、幼い頃に

   誘拐にあってから写真のような

   絵しか描けないと悩んでいまし

   た」


美紗「それでも色々あって。仲良くなって」


美紗「このコンテストで金賞を取れ

   ないと引っ越ししなければ

   いけないと知ったとき、」


美紗「その絵を彼女が私にくれたんです。

   彼女は『その絵で金賞は取れない』

   って言ってましたけど、」


美紗「私はそれがほんとに悲しくて。だから

   このコンテストに提出しようと

   思ったんです。」


美紗「...私にとって、この絵は"大事な意味の

   ある物だから"、」


椿「...ありがとうございました。

  質問は以上となります、何か言い忘れた

  事や質問などございますか?」


美紗「三冠とは別に良かった作品は

   展示会に並べられるとお聞きしたん

   ですが、本当ですか?」


椿「本当ですよ。三冠ではないからと言って

  『良い作品が埋もれる』のは

  此方としても痛手ですからね」


椿「以上で宜しいでしょうか」


美紗「はい、ありがとうございまし

   た!!以上で失礼致します」


椿「忘れ物がないようお気をつけて」




椿「.....。」


椿「...娘と年の近い高校生の貴女に

  お伺いしたい事があります。それで

  審査基準が変わる訳ではありません

  が」


椿「今後の参考として是非お聞かせ

  下さい。」


美紗「なんでしょう...?」


椿「私には一人娘がいます、娘は幼い

  頃に他者の悪意ある行動によって

  "精神的に深い傷"を負いました。」


椿「娘は精神的なストレスで現在

  画力がかなり低下しています。」


椿「ですので、別の国によるカウンセリ

  ングの機会をと、考えています。」


椿「同じ学生の立場から見て。あなたは

  それをどのように感じますか?」


美紗「...そういう大事なお話しは、

   本人と確認してからちゃんと

   決めた方が良いのではないで

   しょうか」


美紗「"話し合い"ってとても大事な事だと

   思いますから」


椿「ありがとうございました。これで

  面接は以上となります。」


椿「帰り道は気をつけてお帰り下さい」


※キャプション


美紗(あー、凄っい...、緊張したー!!)


 面接が終わってドアを開けて帰ろうとすると...、


 そこに見知った人物が立っていた。


晴華「お疲れー、美紗ちゃん。」


美紗「晴華さん?」


美紗「なんでこんなとこに、あれ

   から体調良くなりました?」


晴華「お陰さまで、もう悪夢も全然見なく

   なったし、むしろ調子が

   良いくらい。」


美紗「用事があるんですか?」


晴華「ちょっと欲しい物があって

   取りに来たんだ、冬将軍さんに

   用があって」


美紗「二人とも仲良いですもんね。」


晴華「私も作品を提出したくてね、

   ちょっとついでに紙も貰って

   こようかなーって、」


美紗「え、今ですか...?」


晴華「作品自体はもうあるんだけど、丸

   付けるところ間違えちゃって」


晴華「書き直すより新しいのを貰った

   方がいっかなって、」


美紗「おっちょこちょいなんですね」


晴華「仕事でやらかすよりはねー、

   ってことでお疲れ様、美紗

   ちゃん。」


 通り際に「本当にありがとう」って言葉が聞こえた気がするけど、縁蛇さんのお礼かな...?


柚夏「どうだった?」


美紗「え、柚夏!?なんでいんの!?」


柚夏「えっ、なんか来てくれって

   豆雲先生に呼ばれたから」


豆雲先生「よっ」


美紗「わざわざ車で来たんですか!?」


豆雲先生「科学室でやらかした写真を

     返して貰って機嫌が良いから

     な、芽月はついでに連れて

     きた」


柚夏「ついで、って...。どうなんです

   かねそれは...」


豆雲先生

「まぁまぁ、連れてきたしそれで

 良いだろ?」


柚夏「で、どうだった?」


美紗「いや、まだ面接しただけだから

   結果は分かんないよ」


柚夏「そりゃそうか...、」


豆雲先生「そういう『何かした』っていう

     経験が若いうちには必要

     なんだよ」


美紗「すみません、...雪音に一回感想送って

   いいですか?多分一番雪音が心配

   だと思うんで...」


豆雲先生「"若い"って良いねぇ、」


美紗『雪音、私コンテストに

   行ってきたよ』


雪音『...本当にあの絵をコンテストに

   出して来たのですね。』


美紗『出すって約束したから』


雪音『"あんな絵"で良かったのですか?』


美紗『私は"あんな絵"だなんて思って

   ないよ。』


雪音『少なくとも貴女以外の人はそう

   思っているはずです。それは

   紛れようもない"事実"ですから』


美紗『それでも雪音の描く絵が好きって

   いう人もいるよ。私もその

   中の一人だし、』


美紗『だからコンテストに出したの。

   少なくとも私は雪音の

   描いた絵に感動したから』


美紗『ゆっくり休んでて、

   まだ本調子じゃないんでしょ?』


雪音『貴女には全てお見通しです

   ね...、』


美紗『作文は提出しちゃってもうない

   けど、撮ったやつ送っとくね。』


雪音『...私一人なら"絶対にその絵は

   提出していません"でした、』


雪音『ですから...とても嬉しかったん

   です。』


雪音『貴女が私の絵を好きだと言って

   くれた事、そして本当にコンテス

   ト会場にまで私の絵を出して

   くれたこと、』


雪音『心の底から感謝致します...、』


雪音『貴女が私の友達で良かった。本当に』


美紗『私もだよ。雪音が友達で

   良かった』


※スライド


柚夏「あ、私珈琲で」


柚夏「ブラックでお願いします」


豆雲先生

「その歳でブラックか、ませてんな」


柚夏「こう。沁みますよね」


ガコン、


豆雲先生

「さては芽月もカフェイン中(毒)の口だな?」


柚夏「ジュースだと甘すぎるので...」


豆雲先生

「本当に学生かよ」


豆雲先生

「流石。3位の"イケメン"は言う事が

 一味違うねぇ...、」


柚夏「4位です。」


豆雲先生「同率3位じゃねーか」


カシュッ、


豆雲先生「あぁ...、うまいな...」


美紗「私、ココアが良いです!!」


豆雲先生「お、戻ったか、」


豆雲先生

「芽月、今の話ちゃんと聞いてたか...?」


豆雲先生

「これが"年相応の模範回答"って奴

 だ、私に言わせればブラック

 を好んで買う奴は大体が」


豆雲先生

「"格好よく見られたい願望があるやつ"

 だと思ってる。教員の私から

 言わせれば芽月もそうだ、」


豆雲先生

「...私が珈琲中毒になった切っ掛けも

 思えばそうだったよ。」


柚夏「私は普通に味が好きなだけです

   よ。それに美紗はまだ...お子様

舌なだけなので...」


美紗「ココアのが美味しいじゃん、」


プシュッ、っと缶を開けて。


柚夏「いずれ分かるよ。」


美紗「あー、おいし、」


柚夏「やっぱ寒い時に飲む『珈琲』って、

   最高ですよね」


豆雲先生

「学生が言う台詞には思えないな...、

 確かに珈琲が美味いのは分かるが」


美紗「ふぅ...」※ココアを飲みながら


美紗(どんな結果が出てももう、

   悔いはない)


美紗(例えそれが悪い結果になったと

   しても、『やる事』に意味が

   あると思うから)


※キャプション


柚夏「あれから結果発表はどうなったの?」


美紗「んー、そろそろ郵送で結果が

   送られてくるとは思うけど」


ピンポンパンポーン


校内放送「えー、1年B組。"杏里美紗"さん。」


校内放送「"杏里、美紗"さん。大至急職員室

   まで来て下さい」


柚夏「呼ばれてるよ」


美紗「え、なんだろ」


柚夏「何かした?」


美紗「まさか、別に何もしてないと

   思うんだけど...」


美紗(部活もしてないのに、夜遅くまで

   時々いることがバレたとか...?)


 放送で呼び出しなんて初めて受けるけど、何の用だろ。なんかちょっと恐いなぁ...


美紗「えー、と...何の用ですか...、」


 ドアを影にしながら...恐る恐る職員室のドアを開ける私。


担任「あー、やっと来てくれましたね。

   杏里さん」


担任「杏里さんにお客様がお見えです

   よ、今すぐ校長室まで着いてきて

   下さい」


美紗「お客様? 私にですか...?」


美紗(誰だろう...、)


美紗(それに校長室って...、まさか

   お父さん...?いや、そんなまさか

   ね...、)


 先生に案内されて、恐る恐る校長室に入る私...。


美紗(校長室なんて初めて入る...、)


 対面に向かった黒いソファーに、大きなテーブル...壁に沢山表彰状やトロフィーが飾られてる...


 そこに居たのは、


美紗「...雪音の、お母さん...?」


椿「コンテスト会場の時以来ですね。

  "杏里美紗"さん」


椿「...貴女のお話は娘から伺って

  います。雪音との思い出も色々

  ある事でしょう」


椿「本日発表がありますので、特別に

  会場の方へ杏里さんをお連れしたい

  と思いまして」


椿「勿論貴女さえ良ければですが。

  ご一緒に如何でしょうか」


椿「先生方には事前に許可をとって

  あります。」


美紗「え?」


校長先生

「折角の機会ですから、連れて行って貰いなさい杏里さん。"友達との繋がり"はとても大事な物ですよ」


美紗「えっと、『今から』ですか...?」


椿「『今から』です、」


椿「車の方も手配していますので」


校長先生

「授業の方の心配はありませんよ。私の方から先生方に伝えておきますから」


美紗「はい...?」


と、そのまま雪音のお母さんに着いていくと車の中に雪音が乗っていた。


美紗「雪音、」


雪音「美紗さん...。」


椿「『コンテスト会場に連れていって

  欲しい』と、娘きってのお願いでした

  ので」


椿「貴女を連れて来ました。」


美紗「...ありがとうございます、」


美紗「雪音、」


美紗「発表が終わったら一緒に買い物

   行こうね。」


雪音「そうですね。...今日は何も予定は

   ありませんから」


椿「では、今すぐ会場に向かって

  下さい。時間厳守でお願いします」


運転手「畏まりました、椿様。」


椿「結果がどんな物であれ決して後悔は

  なさいません様(よう)。引き締めて

  結果を受け入れて下さい。」


雪音「...心得ています、」


 それからコンテスト会場に着くまでは結構、あっという間だった。


秘書さん

「会長、そろそろお時間の方が...」


椿「"開会式"には間に合わせます、」


 雪音のお母さんは会場に着くのと同時に、車から降りて先に行ってしまう


美紗「忙しそうだね。雪音のお母

   さん」


雪音「私は、御母様(おかあさま)の足を

   引っ張ってしまってはいない

   でしょうか...」


美紗「子供に頼られて嬉しくない親

   なんか居ないって」


美紗「昔お母さんにも言われた事

   あったし、」


美紗「その辺(あたり)は大丈夫

   なんじゃないかな?」


美紗「車に乗ってた時も"嫌な感じ"は

   しなかったし、サイドミラーで

   顔をちょっと見てみたけど」


雪音「バックミラーでしょうか?」


美紗「バックミラーね、」


美紗「やだなっていうより...、外見

   ながら雪音と何話すか考えてる

   感じだったよ」


美紗「少なくとも『鬱陶しい』って顔は

   してなかったから」


雪音「そうですか...、」


美紗「雪音のお母さんがわざわざ連れ

   て来てくれるくらいだから、

   もしかしたら金賞の可能性

   も0じゃないかも?」


雪音「そうだと良いのですが...、ですが

   あまり期待はなさらないで

   下さい...。」


雪音「"杏里さんの面接がいくら良かった

   としても"...」


雪音「絵があれでは...、優勝を取れなく

   ても仕方ありません...。スランプ

   から抜け出した際にはまたお描き

   しますので」


雪音「金賞を取れずとも杏里さんの

   せいではありません...。"絵さえ

   良ければ"あの文でしたら」


雪音「優勝が狙えていたかもしれません

   から...、」


雪音「...正直、結果発表の方もあまり

   耳にしたくないというのが今の

   本音です...。」


美紗「本調子じゃなかったら仕方ない

   よ、私も一緒に行くから」


美紗「最後まで...、ね?、」


 本当に気が乗らないのか、俯いて立っている雪音の手を握って


一緒にコンテスト会場に行く。


ザワザワ....、


美紗(凄い重役っぽそうな人達が沢山

   集まってる...、本当に開会式が

   始まる直前に来たのかな...、)


美紗(というか雪音のお母さん普通に

   式典始まる前までに学校来てたけ

   ど...、、)


 まさか連れて来て貰えるなんて思ってなかったから、私達は先に来た人の邪魔にならないよう席の端の方に座る。


美紗「すみません、失礼します...、、」


 薄暗い会場の中。コンテスト主催の雪音のお母さんの言葉を聞きながら私は雪音の手をそっと握った、


 『大丈夫』だよって。此処では言葉に出来ないけど


 せめてその思いだけでも雪音に伝わるように...、


司会「では、次に『心の会』芸術コンテスト

   主催 椿会長から直々に結果発表の

   方に移らせて頂きたいと思います。」


司会「宜しくお願い致します、会長」


椿「コンテストの主催を務めて

  います、『心の会』会長の

  古池 椿と申します。」


椿「まず始めにこの芸術コンテストに

  ご参加頂きました事を」


椿「一同を代表し、此処に厚く御礼

  申し上げます」


椿「こちらのコンテストを続けられますのも

  この会場にいらっしゃる皆様方の

  お蔭です。」


椿「...では、大変長らくお待たせ致しま

  した。創作作品におけるより良い

  発展とご繁栄を願いまして」


椿「これより皆様お待ちかねの、今年は

  《愛情》をテーマにした『心の

  会』、芸術コンテストの三冠授与式

  を開催致します。」


※キャプション


パチパチパチパチ...、※SE


椿「まず始めにイラストや絵画の絵と

  いった【絵画部門】、その後(のち)に

  "形あるもの"の【アート部門】」


椿「最後は【映像部門】の結果発表と

  なっています。」


椿「どの作品も甲乙付けがたい、

  素晴らしい作品の数々でしたが」


椿「その中でも特に審査員の心に

  残りました、三冠の受賞をして

  いきたいと思います」


審査員「金賞はどなたの作品が選ばれる

    のでしょうか。どれも良い作品

    の数々でしたからね」


審査員「結果発表がとても楽しみです」


椿「まずは【絵画部門】の結果発表

  です」


美紗「....、」


 ついに始まった三冠授与式、...目的は"金賞"だけどやっぱりそれでも緊張の糸が走る。


椿「1048番」※ゆっくり


椿「銅賞、『方舟の奇跡』。抽象的な

  美しい絵画のタッチと色合いが

  とても印象的な素晴らしい作品

  でした」

  ※文字スピード遅め


 大きなプロジェクターから絵が流れる、そこにはノアの方舟をイメージした二匹の動物達が互いに寄り添いあって


 まるで一つのピースのように重なって見える地球の絵が描かれてた。


美紗(...やっぱり、レベル高いな、)


男性「近年、若者の自殺者が増える一方

   で新たな世界が生まれる前はこれ

   だけの生命しか残されていません

   でした」


男性「"有名なノアの方舟"のお話です。」


男性「それから生命の個体数は増え、

   より良い生活をするため人は

   他者から"略奪"するようになり

   ます」


男性「戦争が起こり、数々の犠牲者と

   共に日本は本当に便利な国へと

   発展を遂げる事が出来ました」


男性「私達が今生きてるこの世界は

   多くの人達が平和を願って出来た

   未来だということを皆さんには

   忘れないで欲しい。」


男性「"生きている事こそ"最大の宝だと

   いう事を、この絵を見た方々に

   伝えられたらと思います」


 プロジェクターに映る年配の男性の作品発表の映像。


 薄暗い世界の中で、皆その光景を静かに見ていた


パチパチパチパチ...、※SE


椿「ありがとうざいました。では次の

  作品に移らせて頂きます」


椿「続きまして、銀賞作品の結果発表

  です。」


椿「1001番」※ゆっくり


椿「銀賞、『新しい命』。生まれた

  我が子に対する深い愛情と共に

  愛しい人といられる幸せの日々が」


椿「絵からも伝わってくる、とても良い

  作品でした」


 スクリーンに大きく写し出された映像は


 赤ちゃんと綺麗な女性がまるでドラマのワンシーンのように暖かい日の光の下でお昼寝をしている...、


 そんな、凄く幸せそうな光景の一枚だった。


美紗(凄い...、素敵な絵...。)


 絵を見ただけで、あの男性がほんとに奥さんの事を愛してるんだなって言うのが丁寧な線からも伝わってくる


女性「いつの間にこんな絵、描いて

   くれてたの...?」


男性「君が育児をしてる間に、僕の特技と

   言ったら絵を描くことくらい

   だから」


男性「家事と仕事の合間にちょっと

   ずつ描いてたんだよ。」


女性「まさか、この子と私の絵を描いて

   くれてたなんて...貴方と結婚

   出来ただけでも幸せなのに、」


男性「本当に嬉しかったから、僕も

   君と結婚出来て幸せだ」


 目の前で映像が流れ、作品を描いた人の面接風景が現れる。


美紗(なんか凄いデイズニーみたい、)


男性「お医者様からも子供は産まれない

   と言われていたので、それでもう

   子供の事は完全に諦めていたの

   ですが」


男性「この子が生まれるって、初めて

   妻からの知らせを聞いた時」


男性「それはもう飛び上がりそうな

   くらい、本当に嬉しかったん

   ですっ、、」


男性「生まれてきてくれた赤ちゃんと、

   大好きな妻にどうしても感謝

   の気持ちを伝えたくて」


男性「仕事や家事の合間に妻に隠れて

   こっそり描いてた絵なんです。」


男性「こういう仕事をしているとやっぱ

   り収入も不安定で、それに一回

   絵を描くと中々途中で止める訳

   にもいかず...」


男性「彼女にはいつも寂しい思いを

   させてばかりで、」


男性「それでも自分の描いた絵が好き

   だからと、いつも見守ってくれる

   彼女に...サプライズしたくて」


男性「この絵を此処に提出させて頂き

   ました。」


男性「まさか銀賞を頂けるなんて思って

   もなかったけれど、これも全部

   君が側に居てくれたお蔭だよ。」


女性「なんか、もう嬉しすぎて何を

   言ったら良いか...、、」


椿「代表者の方は舞台に御上がり

  下さい。」


男性「あ、すみませんっ、」


 急いで舞台に駆け上がってく男性、


男性「まさかこんな結果になるとは

   思ってもいませんでした、本当に

   嬉しいです、、」


男性「家内も凄く喜んでくれて、本当に

   ありがとうございます。」


男性「最高のサプライズになりました」


椿「おめでとうございます。これからも

  奥さんと共に沢山の絵をお描きに

  なられる事を期待しています」


男性「...はい、、」


パチパチパチパチ※SE


美紗(これでも金賞じゃないって、

   金賞の作品ってどれだけ凄い

   作品なんだろう...、)


  でも、心のどこかで大丈夫って思ってる私もそこにいた。


椿「ありがとうございました。では、

  いよいよ【絵画部門】金賞作品の

  発表です、」


 銅賞、銀賞と続いて...いよいよ運命の金賞授与者の結果発表、


 私は雪音の手を握って強く祈る。


 運命の分かれ道が今、この瞬間、選ばれるんだ


美紗(大丈夫だよね...。私達の絵

   なら、)


美紗(だってピグマリオさん、約束して

   くれたもん...強く信じていれば

   "運命は変えられる"って)


美紗(信じてるから...、どれだけ絶望的

   な状況でも...。心の底から信じて   

   いれば運命に抗えれるって...!!)


椿「絵画部門、金賞受賞者は...」


 ...最後まで 信じてるから、


美紗(愛の女神様...、、お願いします...、)


美紗(どうか、どうか...!!雪音ともっと

   一緒にいさせて...っ!!)


椿「1038番!!」※ゆっくり


美紗(.....、)


椿「金賞。『私の大好きな人』、

  会社の通勤中、突然の事故で下半身

  麻痺になってしまった恋人の」


椿「障がいとの奮闘を描いた懸命に

  立ち向かうその姿に胸を打たれ

  ました。」


雪音「.....、」


 私は雪音に寄り添うように肩を近付ける、今回は残念な結果だったけど、


 私にとって雪音の絵が一番だったから。だから此処まで頑張ってこれたんだよ


美紗「...こんな結果になっちゃった

   けど、それでも私は雪音の絵を

   コンテストに出せた事、」


美紗「本当に良かったって思ってるん

   だよ。」


 隣にいる雪音の瞳からは一滴の涙が溢れていた。


美紗「ごめんね...金賞。とってあげれ

   なくて」


雪音「いえ、大丈夫ですよ。美紗さん

   が私の絵をそこまでして好きだと

   言って下さったので、」


雪音「...私はそれだけで本当に

   満足なんですよ。」


雪音「貴女とこの場で立っている

   だけで、充分夢を見させて

   頂きましたから」


 子供のようにただ結果を受け入れられなくて


 泣いてる悲しい顔でも、辛い顔でもなくただ一滴の涙を流しながら。結果を受け入れて座っている一人の女の子が...そこにいた。


美紗(後で雪音にお菓子を沢山買って

   あげよう、駄菓子屋とか雪音は

   いった事あるのかな...、)


美紗(おすすめのお菓子とかいっぱ

   い...、、雪音はどんなお菓子が

   好きなんだろ)※悔し涙


 良かったなぁと、車椅子に乗った男性と女性の周りの人が集まって次々にお祝いの言葉を述べてる。


 おめでとう、おめでとうという声が会場全体にこだましていた


美紗「皆、凄い絵だったね、」


雪音「...そうですね」


美紗「.....、」


美紗「....あぁ、でも、やっぱ悔しい

   なぁ」


美紗「私にとっては雪音の作品がずっと

   一番なのは代わりないのに、」


美紗「今回それを"証明してあげられ

   なかった"、、」


雪音「....。」


雪音「...また向こうで会えば良いだけだ

   と言って下さったのは貴女ですよ。」


雪音「一生会えなくなる訳では

   ありません。シーウェもあります

   し」


雪音「話したければまたいつでもお話

   出来ます、」


雪音「...ずっと。待っていますから」


美紗「.....、」


美紗「必ず迎えにいくよ、大人になった

   雪音もきっと綺麗なんだろうね。」


雪音「当たり前です」


美紗「あはは、私も日本で色々頑張る

   よ。雪音に見合う恋人になれる

   ように、一生懸命、...頑張るから」


 "その結果"を知って


 お互いに悔いはなかった。


美紗「おめでとうございます、」


 私はその立場にはなれなかったけど、映像を見てもどれだけこの人達が頑張ってきたのか分かるから


美紗(今日の事をバネにして、これから

   色々頑張ってかないとなぁ、)


美紗(雪音に見合う女性って何したら

   良いんだろ...まずはやっぱり最高

   の絵本を描くことかなぁ、)


美紗「折角だから他の人の作品も見て

   こうよ、最後の思い出になるかも

   しれないし」


雪音「そうですね。日本の思い出に」


美紗(まだまだ雪音としたい事は

   いっぱいある、今まで遠慮してた

   事も全部しよう。色々と雪音を

   連れ回さなきゃ、)


 ...金賞はとれなかったけど。あの命を掛けた夢の中で雪音を守れたってだけでも私にとっては今でも一番の誇りだから


美紗(でもあの夢本当になんだったん

だろう...、)


※ED エンドロール

(※一旦エンディング流します。)

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