⑰ピグマリオン編【みさゆき完結】


椿「残すは【映像部門】の作品です」


美紗「やっぱり愛情のコンテストだから

   皆凄い幸せそうな動画だね。」


 天使のアート作品も凄かったけど、映像作品も結婚式の動画とか凄皆幸せそうな光景が多かった。


美紗(これはお別れじゃなくて、雪音と

   私の『新しい門出』の始まり)


美紗(多分、この結果もきっと意味の

   あるものだったと思うから)


美紗「こういう皆が喜べる仕事にいつか

   就いてみたいな、」


雪音「美紗さんならなれますよ。この

   私が言うのだから間違いあり

   ません」


美紗「雪音の人を見る目は確か

   だもんね。」


美紗「でも、映像部門の金賞ってどんな  

   映像作品なんだろね。」


椿「【映像部門】映えある金賞受賞は」


椿「4058番。『私の大切な人へ』

  ルネミア学園一年生 杏里、美紗

  さんらの合同作品です。」


美紗「....、......」


美紗「...は?」


 どんな映像なんだろうって期待して見てたら、急に自分の名前を呼ばれるなんて誰が想像できただろう。


美紗「絵画部門...。」


美紗「え...?」


 え、でもさっき絵画部門は終わったし、


 急いで自分の番号を見るけど、明らかに番号違うし...、そもそも【映像部門】に出した覚えもないんだけど...え?


美紗(...ドッキリ?)


美紗(他の人と名前間違ったの

   かな...?、さっきから凄い雪音の

   お母さんと目あってるけど...、)


雪音「...絵画部門ではなく映像部門に

   提出していたのですか?」


美紗「ううん、ちゃんと絵画部門の方に

   出したはずだよ」


美紗「それにタイトルは一緒だけど

   "番号が全然違うし"...、」


美紗「しかも金賞って...、」


美紗(やっぱり...何かの聞き間違い...?)


美紗(いや...でもタイトルは私が書いた

   タイトルだし...番号は違う

   けど...、、)


美紗(たまたま同じタイトルの人が

   書いて間違えたのかな。)


椿「.....」


椿「4058番。『私の大切な人へ』

  ルネミア学園一年生 杏里、美紗

  さんらの合同作品です」


椿「"代表者の方"は舞台に御上がり

  下さい。」


美紗「あ、はいっ、今行きますっ!!」


 やっぱり、聞き間違いじゃない...、、


美紗(ほんとに現実なの...?)


美紗(私が見てる『夢』じゃなくて...?、)


 再度呼ばれて急いで舞台の上に駆け上がる私、


 わけも分からず階段に上ってく...


美紗「えっと、本当に映像部門

   なんですか...?」


椿「貴女が疑問を持つ気持ちも分かり

  ます」


椿「...その答えは映像を見て頂ければ

  分かりますよ。」


美紗「どういう意味ですか...?」


私『私の大切な人へ、この手紙を

  あなたに届けます。』


 雪音が私のために描いてくれた、大切な絵。


 何より雪音が楽しいと思ったあの光景を"否定"されるのが私は何より辛かった。


美紗『あなたの絵が大好きです。』


美紗

『だから、自信をもって』


 だから...私は雪音にこんな素敵な絵を描いてくれてありがとうって感謝の気持を伝えるために


 あの手紙(作文)を雪音に送ったんだ


私『あなたが描いた絵は世界に一つ

  しかない、他の人には描けない

  私の大事な思い出。』


私『あなたの幸せを日々願って

  います。』


美紗『...あなたの"一番のファン"より、』


 誰がなんと言おうと、私にとってあの絵は最高の絵だったから。


雪音「.....、」


 その時、ふっと...頭の中でピグマリオさん言ってた名前が思い浮かぶ...、


『..."昼瀬川、空"...』


椿「....。」


審査員「本当に凄い『熱意』でしたね。記念に銅賞

    くらいはとって欲しいもの

    ですが、」


椿「自分の事ではないはずなのに。どう

  してあの子は自分の事のように本気

  で行動出来るのでしょうか、」


椿「...母親としては本当に情けない話

  ですね。」


審査員「面接自体は悪くなかったん

    ですけどね」


審査員「他にも良い絵は沢山あります

    から」


美紗(...やっぱり結構絶望的な状況

   だったんだなぁ...、、)


椿「絵画部門の評価は面接、絵とテーマ

  に沿った内容かどうかを3つの

  点の評価で決定致します。『どれ程

  面接が優れていても』」


椿「...彼女の面接に"画力がおいついて

  いません"。あれでは決定打に

  掛けます。」


審査員「審査はあくまで公平ですから

    ね。例え椿様のお子さんと

    いえども、」


椿「会長の娘だからといって遠慮する

  必要はありませんよ。私も会長と

  しての責務がありますので」


椿「ですが...一人の子を持つ親として

  は娘にあのようなお友達が出来て

  良かったと思います。」


コンコン...


??「失礼致します。」


椿「...まだ次の方の番号はお呼びして

  いませんが、どうかなされました

  か?」


椿「晴華さん...?、」


美紗「晴華さん...?、」


椿「...どうして、貴女が此処に」


椿「こんな...、公的の場で...」


椿「何かあったのですか...?」


「椿会長の関係者か?」


「『晴華ちゃん』だよ、今話題のラジオ

 でもよく出てくる子。」


「なんでそんな子がコンテスト会場に、」


椿「お静かに」


 その椿さんの一言で会場が静かになる。


晴華「いいえ、今は"昼瀬川空"と

   申します。椿様」


美紗(...昼瀬川、空って....)


冬将軍さん

「絵画部門の方の面接が終わったら

 呼んで欲しいと彼女に頼まれて

 いたので、」


冬将軍さん「駄目でしたか?」


椿「駄目ではありませんが...、」


椿「...体調の方は宜しいのですか。」


晴華「はい。椿さんのお陰様でだいぶ

   良くなりましたから、」


椿「.....。」


椿「分かりました、では貴女の作品を

  お見せ下さい。昼瀬川さん」


審査員「良ろしいのですか?」


椿「...作品の『追加説明』自体は特に何も

  問題はありません、」


椿「他の方であっても作品内容の言い忘れ

  などありましたら。同様に発言を

  認める事を事前に記載しています。」


椿「過去に"そういった事例"もあります

  ので」


椿「このコンテストには誰にあっても

  平等の権利が得られます。」


椿「ですが、"贔屓"は出来ません、

  貴女も知っている通りこれは

  信用問題に関わる事ですから...」


晴華「はい。」


晴華「先程、美紗さんが提出したのは

   【絵画部門】でしたが、」


晴華「私が提出するのは【映像部門】

   です。」


椿「そちらの作品も"三名の合作"という

  事で宜しいのでしょうか?」


椿「映像作品が提出されていない様

  なのですが...、間違いありません

  か?」


晴華「はい、『今から作ります』から」


椿「今から作る...?」


 晴華さんはカメラの前に椅子を持っていって目の前に座る。


晴華「よし、」


美紗「これって...、」


雪音「まさか...、面接の"録画映像"を

   使って...。」


雪音「即席で、"動画を作りあげた"の

   ですか...」


晴華「私が提出するのは、先程の

   杏里さんが録画された録画カメラ

   の映像と」


晴華「これから皆さんにお話しする内容

   になります。」


晴華「『昼瀬川空』は私が"記憶を失う前の

   本来の名前"なので、特に問題は

   ないはずです」


晴華「個人情報なので本来なら映像提出

   は出来ませんが『作品の関係者』

   なら録画の使用は可能ですよね?」


椿「昼瀬川、空...、」


椿「それが貴女の『本当の名前』なん

ですね...」


審査員

「確かに三人の名前が書かれていますね...。まるで、"ワイドショー"を見ているような気分です。」


椿「...つまり、先程の作品の続きを【映像

  部門】として提出するという

  事で宜しいですか?」


椿「それで"先程の杏里さんの録画"を

  使用したいと」


晴華「そうなります。」


椿「本気、なのですね、」


椿「...分かりました。では、"引き続き"

  【映像部門】として貴女の映像作品を

  紹介して下さい。」


椿「当日の作品の変更は"不可能"という

  記載はありませんでしたからね」


椿「では、発表を初めて下さい。」


晴華「スタッフの方にお願いして。

   待ち時間の間、【絵画部門】で提出

   した美紗ちゃんの映像を見させて

   頂きました。」


晴華「"発表者本人"でなくても、自分

   が携わっている作品なら映像の

   閲覧も可能との事でしたので、」


晴華「その映像を見て、私も心を動か

   されました。」


晴華「...だから、」


晴華「今から記憶喪失で失っていた

   私の過去を皆さんにお話し

   したいと思います。」


【注意】これから晴華さんが自らの過去を話します。朝乃ルートの重大なネタバレシーンを含みますが、


スキップしますか?


→する

→しない

    

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そういう、晴華さんの手は小さく震えていた。


晴華「私は小学生の時に"ある事故"が

   切っ掛けで『記憶喪失』になりまし

   た、」


晴華「"記憶がない"私は本当のお母さんと

   お父さんを捜すために、モデル

   の仕事をする事にしました。」


晴華「そうすれば、"お母さんやお父さん

   が迎えにきてくれる"と思った

   からです。」


晴華「ですが、お父さんとお母さんは

   私が助けられた日にはもう...『交通

   事故で亡くなっていました』。」


晴華「"急な仕事"で...」


晴華「どうしても帰らないといけなく

   なったお父さんとお母さんは、

   台風が吹き荒れる中、車で家に

   帰ろうとしました...、、」


晴華「"台風の風"にハンドルをとられた

   車はガードレールを突き抜け

   て、」


晴華「バリバリバリッ、っていう...木が軋む

音、それに...フロントガラ

   スに木が付き刺さって...っ、、」


晴華「.....、」


晴華「...目を覚ますと、木で傷だらけ

   になった"お母さん"が私を庇う

   ように頭から血を流して倒れていまし

   た。」


晴華「多分...。私は"その時の事が

   ショック"で...、記憶を失ってたん

   だと思います。」


 カメラの位置が審査員の雪音のお母さんに変わる。冬将軍さんが撮ってるのか、まるで"ドラマのワンシーンのような映像"だった...


晴華「..."椿様"、貴女は事故で両親を

   失った私を本当の娘のように

   育ててくれました。」


晴華「そして、記憶を取り戻して

   『鬱』になった私に日本に残る

   という選択肢を貴女は与えてくれた、」


晴華「でも...、」


晴華「...私は『"家族と一緒に日本で

   暮らしたい"』です、、」


晴華「私はあの日、...事故で"お父さん"

   と"お母さん"を亡くしました。」


晴華「もう、"大好きな家族"と、離れ

   離(ばな)れになるのは嫌なんです...っ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


晴華「貴女が私を『本当の家族』と、認めて

   下さるなら...、」


晴華「お願いです、"私と一緒に"雪ちゃんを、

   "妹"を...日本に住まわせて下さい...、、」


晴華「外国の方が雪ちゃんを治す良いお医者さん

   もいるかもしれない。でも、」


晴華「ゆっきーと"私は血は繋がってない

   けど"、それでも今は『私の大事な

   家族』なんです...、、"椿さん"

   も...、私の大切な"家族"なんです、」


 ぼろぼろと、涙をこぼしながら頭を下げる晴華さん...、


 その光景をコンテスト会場にいる全員が固唾を飲んで見守っていた。


椿「...晴華さん、」


 泣いてる晴華さんを優しく抱き締める椿さん、


美紗(こっちまで泣いちゃいそう...)


 こんなに大きなコンテストでただ、"一緒に居たい"とお願いするのは...どれだけ勇気がいただろう...。


冬将軍「私からも、お願い出来ません

    か。私も雪ちゃんともっと

    一緒にいたいです、」


椿「貴女まで...」


冬将軍「スタッフである私が頭を下げる

    のはズルい事かもしれません、

    でも...、"私も彼女を本当の娘"

    のように思ってます。」


冬将軍「私も小さい頃から晴華ちゃんと

    は"家庭教師"としてずっと側に

    居ましたから、」


冬将軍「晴華ちゃんは"今まで全く我が儘

    を言わない子"でした。でも

    そんな子が...、」


冬将軍「"こんな感情"を露にして、

    雪ちゃんの為に泣いてるん

    です。」


冬将軍「...私からも、どうかお願い

    出来ないでしょうか」


そういって頭を下げる冬将軍さん。


椿「.....、」


審査員「...もう良いでしょう。"会長"」


審査員「その絵を描いた『妹さん』の為に」


審査員「"ルールの隙間をかいくぐって

    まで"、彼女達は貴女にお願い

    しに来たんです。」


審査員「『母親』であるあなたに」


審査員「...その彼女の呼び掛けに

    冬将軍さんも心を付き動か

    されたんですよ。」


審査員「こんな事。思い付いても"普通の

    人には出来ません"、ただの家庭

    教師が自分も首になるかもしれ

    ないっていうのに」


審査員「"一人の高校生の女の子の為に

    人生をなげうってまで上司の貴女に

    頭を下げてお願いしてるの

    ですから」


冬将軍「...私、やっぱり首ですかね...?」


審査員「うーん、どうでしょう。周り

    から"非難"されなければ大丈夫

    だと思いますよ」


晴華「えっ、冬将軍さんはなにも...!!」


審査員「分かっています。私も彼女に

    非がないことは分かっています

    からね。」


審査員「"聞いてるだけの"、事情を知ら

    ない私にすら貴女方の『緊張』が

    ここまで伝わってきましたから」


審査員「...その場で撮るからこその

    『リアル感』、」


審査員「"親としての立場"...娘さんと

    幼い頃からやってきた"家庭教師"

    としての立場...。」


審査員「血は繋がってなくても、『一人の

    少女のために』こんなにも多くの

    人が動かされているのです

    から」


審査員「もうその時点で"私達の負け"

    なんですよ。」


審査員「...この動画を見て、我々が大人

    になって忘れていた物を"彼女達

    は身を持って"私達に教えて

    くれました。」


審査員「これ程、リアルタイムで『愛』

    を感じる【映像】も今のご時世

    中々ない事でしょう。」


審査員「"この動画を見て頂いた方々"

    にもその思いはきっと伝わって

    いるはずです」


審査員「『確かにあの絵画だけ』でしたら、

    椿さんのお子さんの"あの絵"は

    未熟かもしれません。」


審査員「ですが、"此処まで一人の

    少女のために沢山の人が一丸と

    なって行動している"。」


審査員「これを『愛』の作品と言わず、

    なんというのでしょう」


審査員「...今まで数多くの作品を見て

    きましたが、」


審査員「これ程心情に溢れた『作品』

    は生まれて初めてです。私は

    "とても素晴らしい作品"だと

    思いますよ。」


 その審査員の言葉に...誰一人として、実の娘だから贔屓した、なんて...言葉を言おうとする人はいなかった。


パチパチパチパチパチ...

(※ちょっとずつ拍手が広がってく感じ


審査員「【当事者】ではない分、映像だけで

    は伝わらない部分もあると

    思います。」


審査員「ですが、『愛』というテーマに

    関しては、《映像の見せ方》という

    点においてもこれまでに"類を

    見ない"」


審査員「"文句なしの素晴らしい作品"

    でした、」


 パチパチと審査員が拍手をすると、会場の人達もそれに会わせるように拍手がどんどん大きく広まっていく


美紗「....、」


マイクを渡される私


美紗「なんと言うか...、まさか【映像作品】で

   優勝するなんて思って無くて、」


美紗「舞台に上がってる時"本当にこれは

   現実なのかな"って思いました。」


美紗「...さっきの映像で審査員さんが

   言ってた通り、『この賞を取れたの

   は』私の"面接があったから"では

   ありません。」


美紗「私はただ"雪音の作品を紹介した"

   だけですし、」


美紗「私よりももっとこの場に立つのに

   相応しい実力の人だって此処にいると

   思います」


美紗「ですが、...私はどんな作品であって

   もその人の"思いのこもった作品"を

   他人の人より劣ってるっていう理由

   だけで」


美紗「嫌いになって欲しくなかったん

   です。」


美紗「"どんなに下手な絵"でも、思いが

   こもった絵はこの世界に一枚しか

   ない大切な宝石(たからもの)です。」


美紗「皆に認められなくても、"その絵

   じゃコンテストで優勝出来ない"

   って言われても」


美紗「その作品に込められた思い

   までは"絶対に変わりません"、」


 会場の方を見ると、証明台に立ってた晴華さんと目が合う。


美紗(あっ、ほら、やっぱりいた...!!晴華さんの

   事だから多分どこかで見てると

   思ったよ、)


 目があった晴華さんは、私の意図を察したのかすぐに階段を降りて舞台裏から走って出てきた。


椿「貴女はいつも私にサプライズして

  くれますね...それが"貴女らしい"と

  言えば貴女らしいのですが、」


晴華「此処に出るつもりはなかったん

   ですけど...、美紗ちゃんと目が

   合っちゃって...。」


晴華「多分、『椿さん』に似たんだと

   思います」


椿「本当に"最後までズルい子"ですね...。

  一体、誰に似たのでしょうか...」


晴華「ごめんね。ちょっとマイク

   借りるね、美紗ちゃん」


晴華「私は今まで橘、晴華として

   モデル活動をしてきましたが」


晴華「そこで記憶を取り戻すきっかけ

   があって...、」


晴華「『昼瀬川空』と言う名前が、私の

   記憶を失う前の本当の名前

   だって知りました。」


晴華「皆さんのお陰で、"私達姉妹"は離れ

   ばなれにならずに、一緒に住む

   ことが出来ます、」


晴華「本当に、本当にっ....、、」


晴華「ひっく"、あ"りがと"う、、ござ

   いまし"た"...、、」


 ボロボロ泣きながら話してる晴華さん、...晴華さんも"本当は私と同じくらい"雪音に外国に行って欲しくなかったんだろう


 でも居候の身だから『今までどんなに言いたくても、"我が儘"が言えなかった』。同じ養子子(ようしご)としてその気持ちは痛いほど分かる


 "晴華さん"も私と同じ気持ちだったのかな、


椿「これ程まで、今回の【愛】の

  テーマに寄り添った作品は今まで

  見た事がありませんでした。」


椿「今回、私は"悪役"としての立ち位置

  でしたが...。」


椿「その場で作品を作り出す"勇気"。その

  "強い思い"と..."発想力"、全てにおいて

  【満点評価】の取れた作品でした。」


椿「この場に居る全ての人がその結果

  に納得している事でしょう。各言う

  私も..."貴女方の愛"に認めざる負えません」


椿「優勝者には古池財閥が願いを一つ

  聞き入れる約束がありますが、」


椿「貴女は"その権利を以て"何を望み

  ますか」


美紗「それを言うのは私じゃなくて、」


 私は舞台からおりて、笑顔で雪音に手を伸ばす。


美紗「ほら、雪音」


雪音「本当に...良いのでしょうか、

   "私が"望んでも...、」


雪音「今ならまだ間に合います。私は

   貴女方が他のお願いをしても

   この結果だけで充分です、」


雪音「それ、だけで...。」


美紗「晴華さんも、私も"そのために"

   此処まで頑張ってきたんだから」


美紗「主役がいかないと。多分、皆も

   それを望んでる」


雪音「...、」


雪音「...本当に、」


雪音「っ、良いのですか...、」


雪音「私が...、"引っ越しをしたくない"っ

   て望んでも...。」


美紗「そのために優勝したんだから。」


椿「....」


雪音「お母様...、」


雪音「...私は、"私の事を思ってくれる

   方々"と『もっと一緒にいたい』です...、」


雪音「離れたくない、"大事な人

   達"と一緒に頑張って、勉強して、

   皆さんが『心の底から良い』と思える」


雪音「"他国"ではなく、"この国"で...、、

   『そんな環境を一から作りたい』

   のです...!!」


雪音「ですから、引っ越しは...」


雪音「《保留》にさせて頂けないでしょう

   か、」


椿「...分かりました、」


椿「強盗された日から...初めて、私に

  "本当の気持ち"を告げる事が出来ましたね。」


椿「この古池椿は、"古池雪音"に早急な国外への

  引っ越しの必要性はないと判断し」


椿「『約束通り』、"貴女が望むまで引っ越し

  の話は帳消しにする"事に致します。」


 その瞬間、パチパチパチパチっと凄い拍手が二人に送られる


椿「...とても良い友人に恵まれました

  ね。雪音さん」


雪音「美紗さんの動画を見て、お母様

   が私のために病院を捜してくれて

   いたのを知りました。」


雪音「私は...御母様に愛されていたの

   ですね...、」


晴華「良かったね、、ゆっきー、、」


 と、泣きながら笑顔で拍手する晴華さん。晴華さんに続いて私も拍手する


美紗「本当に、良かったね。雪音、」


椿「【金賞】、おめでとうございます。」


 マイクを切って私の方に近付く雪音のお母さん。やっぱ近くで見ると凄い綺麗な人だなぁ...、、


椿「...杏里さん、でしたか。」


椿「貴女からは"とても大切な事"を学ばせて

  頂きました。」


椿「私は『跡継ぎ』さえ生まれれば、性別は

  特に問(と)いません。貴女には"その資格"が

  充分に備わっていると思いますよ。」


美紗「えっ////!?、」


椿「...麗夜さんの方には私の方から伝えて

  おきます。貴女は『それだけ』の価値が

  ある人物として判断致しました」


椿「"まさか私が打ち負かされてしまうとは"、

  やはり人生は何が起こるか分からない

  ものですね」


椿「うちの娘をどうかよろしくお願い

  致します。孫の顔を楽しみに待って

  いますよ」


美紗「えっ///、いやっ...、

   えーっと...////、」


美紗(いや、まだ"友達止まり"なんです

   けど...///)


※スライド


パチパチパチパチパチ...


晴華「あーーーーー、、良かったよぉぉ

   ぉー、、ゆっきいいいぃぃぃ!!」


 表彰式が終わって、ずっと我慢してたのか後ろからもうアタックで雪音を抱き締める晴華さん。


 その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった、


雪音「モデルの貴女がそんな顔で泣いた

   らいけませんよ、」


晴華「だって、もう、あんまり会えなく

   なっちゃうってずっと思ってたから、、」


雪音「これからはずっと一緒にいられ

   ますから。泣かなくて良いんです

   よ」


 ぎゅううううっと、雪音を力いっぱい抱き締める晴華さん、子供のように雪音にしがみついて泣きじゃくっていた。


美紗「鼻水ついてる、ついてる、」


雪音「本当に。御二人のお陰です...、」


雪音「美紗さんも晴華さんも"本当に

   ありがとうございます"。」


雪音「...言葉だけでは到底返せる物では

   ありませんが、」


雪音「あの瞬間、私は生きていた中で

   一番の『幸せ』を感じたんですよ。」


 その瞬間、あの絵と雪音の顔が重なる。


 今まで見たことない 心の底から晴れやかな雪音(かのじょ)の幸せそうな笑顔だった。


美紗(これが、あの日霙(みぞれ)さん

   が見た雪音の笑顔...)


美紗(この世界に『女神』は本当に居たん

   だね...。)


美紗(ありがとう、"ピグマリオン"さん、)


※キャプション


ブブッ、ブブッ、


瑞撫「お疲れ様ですわ、会長さん。

   それで『結果の方』はどうでしたの?」


 達筆な字で送迎会という文字を書いている瑞撫さん。


瑞撫「え!?金賞!?」


 その紙を、彼女は思い切り引きちぎる。


瑞撫「本当にっ!?!?」


瑞撫「もう『送迎会』って言う字は破いて

   しまいましたわよ!?後戻りは

   致しませんわよ!?!?」


瑞撫「っしゃーーー!!、、」


瑞撫「これで、もっと会長と遊べます

   わ!!!、居なくなったらいなく

   なったでつまらないですもの、」


瑞撫「...こうしちゃいられないわ、

   急遽"予定変更"して『歓迎会』よ!!」


瑞撫「雀ちゃん!!終わったらすぐこっち

   来て!!生徒会室!!大至急っ、、

   歓迎会の準備するから、」


瑞撫「ついでに、急いで調理部の人達

   呼んで来て頂戴!!」


雀「...【金賞】、取れたんですか...!?」


雀「い、急いで用意してきます!!

  あっ、、」


瑞撫「...怪我はしないようにね?」


※スライド


樹理「美紗ちゃん達、【金賞】取れた

   って!!」


代茂枝「え、あのコンテストでですか?」


縁蛇「みさみーならやれると思って

   いたのですよっ!!」


樹理「"縁蛇"は何もしてないでしょー、」


奈実樹「まぁ 此処からプラスで作って

    こか、それにしてもこうゆう

    事もあるんやなぁ...」


樹理「『奇跡』だよねっ、私も美紗ちゃん

   が悲しそうな姿見たくなかった

   もん。」


柚夏「その話、本当ですか!?」


流雨「私も何か作ろうかな...、」


※スライド


狛「なるほどね、今は小栗ちゃ...、ッン"、

  ン"ン""ッ、...小栗君と デート中だよ。

  大事な人に会いにね。」


小栗「花ってこれで良いのかしら?」


狛「丁度終わったところだし、今から

  僕達もそっちに向かうよ。」


※スライド


椿「※運転手の名前(忘れた)、

  彼女達をルネミア学園に連れて

  いってあげて下さい。」


椿「娘のお祝いをしたい方達が

  いるようですから」


晴華「私も一緒で良いの...?」


雪音「私も晴華さんと一緒に色んな物を

   食べたいですから。」


晴華「ゆっきー...、」


※スライド


パパン、、パンッ、


瑞撫「今日は雪音お嬢様の引っ越しお別

   れ会...、」


瑞撫「の、はずでしたがっ!!」


 くす玉の紐を引っ張ると金賞、おめでとう!!という文字と一緒に沢山の紙吹雪が舞う。


瑞撫「コンテストで最優秀賞をとったの

   で、『優勝おめでとう会』を決行

   しますッ!!」


美紗「相変わらず瑞撫さんはテンション

   高いですね、」


雪音「"戻って来た"という感じが

   しますね。」


 奈実樹さんや樹理先輩の作ってくれた料理も、オードブル形式になっててどの料理もほんと美味しそう。


奈実樹「今回は沢山作ったからヘルシー

    路線にしてみたんよ。皆ぎょー

    さん食べてってなぁ」


雨宮先輩「僕達も良いのかい?」


樹理「数は多い方が良いから、」


柚夏「でも美紗が【金賞】をとっちゃう

   なんて、ほんと凄いね。後で

   ちゃんと話。聞かせてよ」


柚夏「投稿されてる動画、流雨に

   見せて貰ったけど凄かったから」


美紗「あの時はとにかく必死だった

   から。最終的に晴華さんに

   全部持ってかれちゃったけど、

   でも」


美紗「...雪音が幸せそうでほんと

   良かった、」


雪音「杏里さん、」


美紗「...本当に、もう引っ越ししなくて

   良いんだよね...、」


美紗「本当に、まだ雪音と一緒に...

   いられるんだよね...?」


雪音「...はい。」


美紗「.....っ、、」


 思わず、私は雪音を両手で抱き締める。


美紗「...雪音と離れたくない私がずっと

   見てる夢なんじゃないのかな

   って...、思ってたけど、」


美紗「...雪音と今まででみたいに

   "会えなくなる"って思っただけで

   本当は嫌だったの、」


美紗「それだけで、凄いコンテストに

   応募して、自分が描いても

   ない雪音の絵で面接して...。」


美紗「......、」


美紗「...雪音が幸せなら私はそれだけで

   良かった、」


美紗「友達なのにごめんね...。」


 私の前髪にふれて、"額"にキスする雪音


雪音「杏里さん」


雪音「いえ...、"美紗さん"、」


雪音「貴女が思っている通り」


雪音「...私にはまだ、『恋心』という物が

   よく分かりません。」


雪音「確かに私は昔誘拐をされ掛け

   ていて、"欲を持った人間という

   存在自体"」


雪音「あまり好きではありません

   でした」


雪音「ですが、貴女を見ていて考えが

   少しずつ変わっていったのです。」


雪音「貴女のように "全ての物を投げ

   うってでも 人の為に尽くせるような

   方もいる"のだと考えを改め

   ました。」


雪音「この後の人生において 私が共に

   歩みたいと思うのは"貴女以外

   考えられませんでした"」


雪音「...貴女と共にずっと側に居たい、」


雪音「ですが、...私は貴女の告白を一度

   断ってしまいました。」


雪音「だからこそ、この言葉を伝える

べきか迷っていたのですが...」


雪音「私と"結婚を前提にお付き合い

   して頂けませんか?"」


 まさか、雪音から、そんな事言われるなんて思ってもなくて


美紗「....、」


瑞撫「美紗ちゃん、これ」


美紗(あ、瑞撫さんに作って貰ってた

   水晶で出来た、雪の結晶、)


美紗「...私も、今までずっと友達で

   いなきゃ駄目だって、思うように

   してたから...、」


美紗「...ちょっと待って...、、」


美紗(え、これ渡すの///?今///!?!?)


美紗「.....、」


美紗「どんな顔していいか分かんな

   い...////、」


美紗「いや、でも、、嫌って訳じゃなくて...!!

   嬉しいよ、嬉しい...。でも

   信じ、られなくて....、」


美紗「だって、ずっと...雪音が幸せなら。

   それで良いって...、」


雪音「..."今すぐに"とは言いません」


雪音「私も人の事は言えませんから、

   返事は美紗さんが落ち着いた時で良い

   ですよ。」


雪音「引っ越しはなくなりましたから。

   また何時でも」


美紗「....うん、」


 知らなかった、"本当に好きな人から告白されると"本当に言葉って出てこないし、嬉しくて顔がなんか凄い事になるんだって...、


美紗(というか、ほんと、身体あっつい...////、、)


※スライド


美紗「さっきはびっくりしちゃって、

   ごめん...。」


美紗「私も雪音の事は好き、でも...雪音

   の事は完全に諦めてたから、気持

   ちの整理がまだあんまり追い

   ついてなくて...、」


雪音「初めから美紗さんにそのような事

   を期待してはいませんよ。」


雪音「人前では尚更、」


雪音「ここぞと言う場面で、キメられ

   ないのが『貴女』という人ですから

   ね」


美紗「正論過ぎて何も言い返せない...」


雪音「落ち着いてから決めれば良い

   ですよ。"私も今すぐ貴女に

   ゾッコンになって欲しい"という訳では

   ありませんから」


雪音「これからは時間もあまり気にする

   必要もありませんし」


美紗「ありがと...、」


雪音「関係が何も"変わる"わけでは

   ありません。ただ私が『貴女に側に居て

   欲しい口実を作っただけ』です」


雪音「美紗さんは本当に"本番に弱い"

   方ですから」


美紗「ごめん...、」


雪音「此方も"サプライズ"といった所です。」


雪音「謝ってばかりでは幸せが逃げて

   いってしまいますよ。別の事も

   考えてみては如何ですか?」


美紗「それ私が前に言った言葉、」


雪音「それで...私に何のご用ですか?」


雪音「私に"何か用"があったのでしょう。

   貴女の言葉でしたら真面目に

   聞きますよ」


 さっき渡せなかった、ずっと渡したかった雪音への送り物。


美紗「これ、ずっと雪音に渡したくて」


雪音「水晶で出来た『氷の結晶』ですか、」


美紗「うん。氷は冷たいけど、水晶で

   出来た氷なら触っても冷たく

   ないでしょ?」


美紗「雪音の名前ともあってるから」


雪音「...貴女の送り物なら受け取ります

   が、」


美紗「が...?」


雪音「いえ、お婆様の部屋にも同じ

   物が置いてあったので...少し

   驚いたのです。」


雪音「偶然とはいえ運命なの

   でしょう。"私達がこうして

   出逢えた"のも」


美紗「雪音、」


美紗「これからも私の側に居てくれ

   る...?」


雪音「それは貴女次第ですかね。貴女が

   私の事をずっと好きでいれば

   私から離れる事はありませんよ」


雪音「貴女ほど"面白い人"を自分から

   手放す訳にはいかないですからね。」


美紗「好きくらい言ってくれても良いと

   思うけど」


雪音「"そう思った時"に言いますよ、

   私に言わせたいのなら貴女も

   言ってみては如何ですか?」


美紗「雪音の事はずっと前から好き

   だって言ってるじゃん...、」


雪音「今、聞きたいのです。」


 そして、私は雪音のほっぺたにキスをして


美紗「追い詰められたハムスター

   は雪豹だって、噛むんだから

   ね。」


 って、なんとか雪音の期待に応えるようにキスをした。


雪音「....窮鼠、猫を噛む。ですか」


雪音「これが『愛しい』という気持ち

   なのですね。」


美紗「その言い回し恥ずかしいから

   やめて...///、」


美紗「でも分かったでしょ、これで

   私も雪音の事が好きだって」


雪音「いいえ、まだ分かりませんね。

   私は感情がないのでもっと教えて

   頂かないと」


美紗「絶対分かってて言ってる

   でしょ...、雪音...。」


 そんなこんなで無事にコンテストで金賞を授与した私達は離れる事なく"今までと同じように"ゆっくりとその時を刻んでく


 私の高校1年生の生活は人と比べると波乱万丈の毎日だったけど無事ハッピーエンドを迎えて、『めでたしめでたし』で終わったのでした。


おしまい



↓【みさゆきED】



美紗「...女神様は言いました。」


美紗「『誰にも負けない強い思いが

   あれば、願いは必ず叶うのです』と」


美紗「そうして私の大好きなお友達は

   愛の女神様のお陰で引っ越しせずに

   すんだのでした。」


パチパチパチパチ、


子供達「ねー、せんせー!!今度の絵本

   会いつー!?」


美紗「えーと、今度はね。いつにしよう

   かな、」


美紗(というか"いつまで"に出来るかな...、)


子供達「今度はせんせいどんな絵本

    書くの!?」


美紗「今書いてる本は雪豹とハムスター

   の女の子が色んな動物さん達と

   仲良くなっていくお話かな、」


美紗「二匹で色んな動物さんのお話

   を聞いて皆を幸せにしていくん

   だよ」


 大学卒業後、雪音はすぐに美術館を新しく作ってまさしく『有言実行』というか...すぐにその美術館の館長になってしまった。




 ※この続きはゲームにて








【みさゆきをプレイして頂いた皆様に】


 お疲れ様でした、ひめこい(みさゆきルート)を最後までプレイして(読んで)頂き誠にありがとうございます!!


 みさゆきですが、雪音が告白した後はまたひと悶着あったりするのですが(美紗の事を好きになった雪音が美紗に高級品を次々とあげたり)それはまた次の機会という事で


【雪音の精神世界にて】※詳しい設定など


 因みに雪音の夢野で黒沢さん(雪音)が消えた所なのですが「今度は助けられて良かった、、」という台詞も浮かんでいたのですが


 そっちの方がリアルでしたので(言いたいことがいっぱいあって最後まで言えずに消えてしまう)そちらを採用致しました。夢野から弾き出された時に言ってそうですね。


 未来が書き換えられたら未来の雪音は消えてしまうのか、それとも別の世界線として美紗が目覚めて雪音を抱き締めるのかは皆様のご想像におまかせ致します。


【雪音の夢野のこと】


 それと希望の鍵の下りですが、当初はピグマリオンが解説してくれていたのですが会話があまりにも長すぎためこのような形になりました。


《穢れを知らぬ世界》→ピグマリオンは【奇跡】が神格化された存在なので、ゴーレム効果【絶望】とは相性が悪いです。


 美紗が「その絵では優勝出来ない」と言われその時点で"どうせ優勝出来ないから"と作文を提出していなければその道筋は閉ざされてしまっていました。


 つまり、他人に《穢された》事になります。穢れ(諦め)を知らぬ物だけがその先の道に辿りつけるのです


《未来の雪音》


 ある日ピグマリオンが"見た"世界では雪音の心は壊れかけていました。それは、雪音の夢野で美紗があの男性から解き放たれたゴーレム(雪音の抑えていた怒りの感情。本来の感情)によって美紗が【植物状態】になってしまったためです。→願いを叶える宝箱が開かないことにより男が逆上して何故俺だけが不幸な目に会わなきゃいけない、と街を破壊する命令をした


 そして、未来の雪音は多額の医療費を美紗の入院費に当てています。


 そしていつか自省の念から海に飛び込びこんでしまいます。たまたま近くに人が居たため命は助かるのですが、その際に死期が近まった雪音は◆◆さんの正体に気付くことになります。


 彼女は特別な存在で"普通の人間"ではありません。◆◆さんとある人物(黒沢さん※彼女の門番は人を欺く能力を持ってる。特に変装が得意)の力を借りて雪音の世界の黒沢さんと入れ替わり門番さんの力を借りて過去の世界の美紗を助けにいきます。→"死んでしまった"という記憶を封印したため、美紗の精神は生きている状態となる。


 ですが、美紗が目覚めるという事は"今まであった未来の雪音の人生も同時に消えてしまう"事を意味します。バタフライエフェクトが起きないようになるべく目立たず黒沢さん(in未来の雪音)も行動しています。


 初めピグマリオンは一度失敗したかのような台詞を思い起こさせるような台詞を発していますが、夢野が終わると《※彼女は起こりえなかった未来を見る事は出来ないので》記憶が失くなっています。


 未来の雪音がおかしな行動をとる→現在のピグマリオンさんが未来を予測する(雪音の心が未来で"壊れてしまう事を断片的に感じとる


 バグが発生した結果(未来から"過去の事をいじくり回す"イレギュラーな事態が起こった)危機感を感じたピグマリオンさんが行動に移ります。


 美紗にいずれ自分が『消滅するのを回避するために』美紗にSOSを送ります(※現在))


→なんで"消滅するのかは分からないが"

 壊れた街が見える。ピグマリオンさんは

 コンテストで【金賞】が取れず雪音が鬱になり

 壊れると思っているが実際は"美紗が

 植物状態になった"ことからピグマリオンが

 消えてしまう事を意味していた。



 ですが、"理を越えた力"は存在がとても曖昧で雪音から愛の女神の話や未来の雪音の心が壊れる発端のコンテストの時期が近付くにつれ未来が確定していきますので、ピグマリオンの存在がよりはっきりしてきます。


 因みにピグマリオンは美紗が生前自分の"夫"だったという事は(雪音の祖父の生まれ変わり)黄金の麦畑を見てから思い出しています。


 ピグマリオンも結構曖昧な情報で運命の手綱を握っていたのが分かりますね。


《ピグマリオン(楽感情)》


 雪音の門番さん。愛の女神。雪音の人を《信じる》心が具現化した存在。(雪音の中で残ってる祖母) 善の魂の集合体で本質は人間というより女神に近い。未来を見通し、回避する知恵を与えてくれる。そのため"願いを叶える女神"だと思われがちだが


 実際はそのステージに立っている物だけが謁見を許される"勝利の女神(サモトラケのニケモチーフ)"のような存在。能力が強すぎるためか、そもそも認識出来る人間が限られてしまっている。



※因みに生前、善行を行っている程守護霊(門番さん)の能力は"濃く深い物"になってくるので生前霙さんの行いがかなり良かった事が伺えます。


→会長さんなのできっと色んな人を

 救ってきたためでしょう。門番の中

 でも飛び抜けて能力が秀でています。

 ※未来予知、お互いの思考を《共有》

  したりなど。特に"人と共に女神の力"を

  発揮する事に関して彼女の右に出る者は

  いません。一番神様に近い力を持ってます


《ピグマリオンの正体》


 霙(雪音の祖母)が雪音に残した絵画。誘拐に会い、感情を失ってしまった雪音がいつか笑顔でいられる日が来るようにと強い思いを込められて描かれた絵画。


 黒猫の絨毯(イーサ)、トロイの木馬(ビアンカ)、中央には未来の満面の笑顔で微笑んでいる大人の雪音がモチーフの片翼の女神が描かれている。


《ピグマリオンの能力》


・未来を予知→人々が抗う知恵を与える

 ※だが、力が強すぎるためか自分を

  認識出来る精神が仙人並の人間で

  ないと認識すらして貰えない。


 →具体的にはその絵で優勝出来るわけない

  と言われて出すくらいの人でないと見えない


・思考共有


 《共有する能力》がメインです。霙自体生前その予測能力(頭が良い)で様々な不可能を可能にしてきました。その能力が色濃く出ています。


 《希望の鍵》→未来を描く描き手、美紗自身のこと。※描き手(美紗)がいないとそもそも絵(希望)自体生まれないため。


《希望の鍵の意味を履き違える》

→自分には"出来ない"と諦めること


《決して侵される事のない世界》


→雪音が"引っ越して欲しくない"と行動を起こさない限り決して『運命』は変えられない。いくら周りにその絵じゃ無理だと批判されても(侵される未来)最後まで無理だと諦めず、優勝出来る未来を見続けた者(侵されない世界)だけに愛の女神は答えてくれる。


ゴーレムに侵される(辛くて諦めてしまう)。→希望の未来にはたどり着けない


《愛の女神》→ピグマリオン効果(周りの環境が良いと本人も良い風に影響される効果)の事。いわゆる"奇跡"


→美紗がこの絵じゃ優勝は不可能だと

 諦めた瞬間、ピグマリオンは"認識"

 出来なくなる。


《破壊の邪神》→ゴーレム効果(周りの環境が悪いと本人も悪い方に影響されてしまう効果)の事。いわゆる"諦め"


【今後の流れについて】


 次回のゆずるうからは同人作品として売ろうと思っています。仕事をしながら6年以上かけてるシナリオですので、応援を目視で見たいため(書き続けるため)です。


 ゆずるうからはそこまで長くするつもりはありません。その代わりもっと展開がスマートで、百合百合させるつもりです。(むしろみさゆきが長すぎました)<筆者過労死しそう


 次はゆずるうルートを書いていきたいと思っています。流雨や柚夏の具体的な過去、みさゆきでは見れなかった関係性などが書かれていますので、シナリオが出来るまでお待ちください。


 みさゆきではあまり出てこなかった小栗や狛、フジムシさん(雪音が踏んでた人)についてはゆずるうで明らかになります。

   



ゲーム作ったら

★みさゆきEX【美紗&ピグマリオンとの会話】(女神のピグマリオンさんといちゃいちゃ?)、【雪音の夢野世界でのその後】あります


★みさゆきEDの続きあります→大人になってからのみさゆき!!!


 最後に、良かったと思ったら☆、いいねや感想などお待ちしております。このキャラが好きや、このシーン良かったなど頂けますとひめこいのクオリティが上昇します。


おまけ↓


お母さん「あら、グッドタイミングね」


岬「ただいま、美紗。今帰ったわ」


美紗「お母さん...」


岬「そこに座って」


家に帰ると、そこに"お母さん"がいた。


美紗「...分かりました、」


岬「...やっぱりすぐには信頼関係は置けない

  わよね。顔で分かるわ」


岬「お父さんの悪事に気付けなかったん

  だから...」


美紗「いえ、お母さんが悪いんじゃ

ありません」


美紗「私が"弱かった"から...」


岬「...記者なのに情けない。人の悪事を

  暴くのが仕事なのに、娘の悪事にすら

  気付けないなんて...」


岬「素直に"お父さんに虐められた"で

  良いのよ。悪いのは貴女じゃないん

  だから」


岬「あの人を擁護する訳じゃないけど、

  お父さんもそうやって育てられて」


岬「虐待だって分からなかったみたい。

  今ちゃんとした施設で訓練を受けてる

  から」


岬「少しでもまともになってくれると

  良いけれど」


美紗「私が弱かったのは事実ですから...」


美紗(また、お父さんに会える自信がない...。)


岬「ケーキがあるの、一緒に食べない?」


岬「美紗の大好きなナッツ入りよ」


岬「なつきさんから聞いたわ。貴女、ナッツが

  好きだったのね」


岬「急いでオーダーメイドで、向こうの職人に

  作らせたの。これでも向こうでは結構

  有名な記者だからね」


岬「検疫や何やらで時間は掛かったけど

  美味しいわよ」


美紗(今、私 ちゃんと笑えてるかな。)


美紗(大好きなのに、味がしない...、)


岬「食欲がないなら、後で食べても大丈夫」


岬「最近の生活はどう??」


お母さん「そうね。私も娘が増えた様で

     嬉しいわ」


お母さん「みさとは違うけど、それでも

     あの子の死を少しでも認められた」


お母さん「本当に突然だったから...、、」


美紗「あのっ、」


お母さん「なぁに?」


美紗「"みさ"さんってどんな人だったんですか」


お母さん

「一言で言うと『リス』みたいな子だった

 わね。美紗ちゃんと同い年で、ナースだった

 から」


お母さん

「どんな病気でも治せるって、意気込んでたわ。」


お母さん「でも。救えない命もあるって

     思い知った」


お母さん「そういう人達の為にお母さんは

     看護師をしてたの。もう随分昔の話

     だけどね」


お母さん

「...あの子はお菓子を貰っても半分食べて残しておくような子だったわ。倹約家でお金を貯めるのがとても上手で」


みさ『お母さん、これカーネーション。母の日

   だからお金を貯めて買ったの。お母さん

   ってこういうの好きでしょ』


みさ『刺繍とかとっても綺麗でいつもありがとう

   って思ってる』


お母さん「優しくて、本当に元気で明るい子

     だったわ。」


お母さん「なんで居なくなっちゃったのって

     くらい...。」


お母さん

「車の事故だからしょうがないって言うのも

 あるけど、"しょうがない"だけではどうしよう

 もない点もあるのよ」


お母さん「...なんでうちの子が、それを引かな

     ければならなかったのか」


お母さん「みさちゃんのお陰で美紗ちゃんと

     会えたけど、それでも私は...」


美紗「本当の娘の方が可愛い??」


お母さん「そんな事ないわ、どっちも同じ

     くらい大切よ。それは比べちゃ

     いけない事なの」


お母さん「どっちも可愛い...、」


美紗「なんか、ごめん...」


※スライド


くゆ「なんの話してたの」


お母さん「別になんでもないわ。ただちょっと

     みさきさんと話を、ね」


くゆ「大丈夫だったの??」


お母さん「別にお母さんは悪くないもの」


お母さん「ただちょっとまだ美紗ちゃんには

     早かったみたいだけど」


美紗「くゆ、お母さんからケーキ貰ったから

   食べよう。プラリネっていうケーキ

   だって」


くゆ「姉さんは良いの??」


美紗「1人分じゃ多すぎて食べれないよ。

   皆で食べよ」


お母さん(この子も優しい子に育ってくれると

     良いわね。みさ)


※キャプション


EX3「みさの休日」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る