⑥クリスマスプレゼントと指輪【ゆずるう】

外出してお店の中に入ると、どこもかしこもクリスマスソングの流れてくる季節。


 その頃私は美紗と一緒にクリスマスの贈り物を選んでいた。


柚夏「どれにしようかな。」


柚夏「バーバリウムとかも良いよね」


柚夏「大きいぬいぐるみの抱き枕とか」


美紗「...なんか 恋人っていうより、誕生日か

   何かに家族にプレゼントするみたいな

チョイスだね。」


美紗「"特別感"がないというか」


柚夏「"特別感"がないと言われてもなぁ...。

   サプライズプレゼントだから、流雨の

   好みなんて分からないし...」


柚夏「やっぱり無難なのが良いのかな」


 ぬいぐるみの感触を持ち上げて商品棚のケースに戻す美紗。興味はあるけど、別にそこまでして欲しくないという感じだ


柚夏(女の子が喜ぶプレゼントを捜しに

   美紗を連れて来たんだけど、)


柚夏(美紗は果たして普通の女の子の感性を

   持っているんだろうか...眠そうだし)


柚夏(他の人を呼んできた方が良かったのかな)


柚夏「そんな美紗はどうなのさ」


美紗「ぇえ〜...?、...この辺りには特に

   ないかな」


美紗「個人的にあげたいものはあるけど、」


美紗「雪音にあげたいかというと別に...」


柚夏「古池さん相手だもんね...。そう簡単には

   いかないか」


美紗「プレゼントを選ぶのも良いけどさ、

   そろそろ昼食(ちゅうしょく)に

   しない??」


美紗「美味しい物が食べたいなぁ...」


柚夏(やっぱり美紗は花より団子だよね...。

   今は冬だけど、温かい物が食べたい

   季節だな)


柚夏「良いけど...、出来るだけ安いのが

良いなぁ」


美紗「じゃぁ"牛丼"で」


柚夏「女子二人がこぞって行く場所じゃ

   ないよね...。でも、リーズナブルで素敵」


美紗「柚夏ならそう言うと思ってた」


 とピロンピロンと普通に女子二人で牛丼屋さんに入っていく。


柚夏(普段豚丼ばかり使ってるから、たまには

   牛丼も良いよね。最近物価高が上がって

   来てるけど いくらぐらいかな)


??「美紗ちゃん、お久しぶり。調子はどう?」


柚夏(あっ、ハロウィン祭の時に盛り上がって

   た...確か書記の瑞撫さん。この人とも

   知り合いなのか)


美紗「今は親友のクリスマスプレゼント選びに

   苦戦してます。中々良いのが見付から

   なくて」


瑞撫「あら、そうなの?それにしても随分

   イケメンさんと一緒ね。」


瑞撫「そっち系にはあまり興味はないけれど」


と、隣の席に座りながら話す美紗


店主「なぁ、瑞撫嬢ちゃん。頼むから俺の

   息子の嫁になってくれよ」


 と店主が瑞撫さんをナンパすると、満面の

笑みでバキッと束ねた割り箸をへし折る生徒会の人。


瑞撫「何度も申し上げてますけれど」


瑞撫「私、昼も夜も激しい方なの♡」


瑞撫「物理的な意味で」


 と折れた割り箸を目の前でバラバラと落としながら言う生徒会書記さん。


柚夏(ゴリラかな...)


瑞撫「私の相手は可愛い女の子じゃないと」


店主「あ、はい。」


と手の平を返したように180度態度が変わる

店主。


柚夏(一瞬で空気を変えやがった...。凄い...)


瑞撫「やっぱり雀ちゃんくらい可愛い子

   じゃないとね♡」


 そしてその後、なんやかんだあって。瑞撫さんの家が何か商業を営んでいるらしく


 話をすると、そこがオススメスポットという事で一緒に地下街へと連れて行くことになった。プレゼントにとっておきの場所...


柚夏(なんだろう)


美紗「パワーストーン屋さん...?」


柚夏「確かにこれなら特別感があるかも

   しれない。アクセサリーとかより、

   余っ程送り甲斐があるかも」


 店内に入ってみると、水晶や指輪のパワストーン、それにブレスレット。イヤリングや他にも様々な種類の石が置いてあった。


 石にはそれぞれに丸文字で可愛く効果や説明が書いてあって どれもリーズナブルな値段で簡単に手元に置きやすい。


柚夏「凄いね」


美紗「これなら雪音も喜ぶかも」


美紗「どんなのが良いかな」


 さっきとはうって変わって楽しそうにパワストーンを選ぶ美紗。なんかちょっと落ち込んでるようにも見えたから、良かった


柚夏(本当に色々あるんだなぁ、金運や

   愛情、ストレスにおすすめなやつ...)


柚夏(ちょっと金運が気になる。タイガー

   アイ)


柚夏(自分用に買っておくか、安いし

   何と言っても綺麗だし ね。)


 凄く迷ったけど、なんとなく気になったラピスラズリをとってみる


柚夏(どれにしようかなぁ...)


瑞撫「ここだとその石を加工してアクセサリー

   とかにも出来るけどどうする?」


柚夏「えぇっと...」


瑞撫「例えばそこの小さな石だと

   エンゲージリングとかにお勧めね」


柚夏(エンゲージ、リング...)


瑞撫「私、その道のプロフェッショナルなの」


柚夏(真っ先に思いついたのが指輪なんだ

   けど...、やっぱり重いかな...。重すぎる

   と引かれたりしないかな)


瑞撫「別に指輪でも良いんじゃない??」


瑞撫「友達同士で渡したりすることだって

   あるし」


柚夏「何で分かるんですか、」


瑞撫「こういうお店をやってると人の反応や

   人相で何となく分かるのよ。ラピスラズリ

   の指輪ね。OK、」


瑞撫「その子ちょっと癖あるけど、きっと何か

   因縁があるのね」


柚夏「因縁...」


瑞撫「色や形はご自由に好きな子を選んで

   頂戴」


と商品のレプリカを見せてもらう。


瑞撫「もし良かったら、これ以外もオーダー

   メイドを受け付けておりますわよ」


柚夏(どれもお洒落...お値段もそんなに

   高くないし、本当に”良い店”って感じ

   だな...)


瑞撫「こんなシンプルなので良いの??」


柚夏「シンプルなのが私らしいと言うか」


瑞撫「まぁ、ラピスラズリだものね。ラピス

   ラズリは『幸運を招く石』とも言われて

   いて」


瑞撫「邪気を退け、正しい判断力を高めて

   最高の幸運を運んでくれる石とも言われて

   いるわ」


瑞撫「但し、試練や飛躍といった意味がある

   から近い内そういう事が起こる前触れ

   かもしれないわね」


柚夏「そうなんですか...」


柚夏(プレゼントに選ぶ石がそういうのであって

   良いのかな。でも、貰った人形は

   ラピスラズリだったから)


柚夏(『幸運を招く』方が強く引き出して

   くれると良いんだけど...)


※キャプション


そして、何日かして届いた指輪。


出来上がった指輪を見ながら、日に照らす。


柚夏「喜んでくれるかな。特に深い意味は

   ないんだけど...」


 私は流雨の事を対等として見てたから...何かくれたら何か返さなきゃいけない。と思ってたけど


 そんなのは個人の自由で良いと思う。それでも良いんだ今は、大分遅くなってしまったけれど...


 とADHDの本を見ながら思う。じっとしていられなくて凄い喋る...流雨ってそんな時あるかな


 心ではなく脳の病気で疲れやすく、ストレスが溜まりやすい。注意力が散漫で部屋の片付けが苦手。物をよく無くすなど忘れっぽさがある


(確かに家に段ボールはあったけど、うーん...)


 と考えながら歩いていたらいつの間にか流雨の家に着いていた。


ピーンポーン


流雨「どうも...」


と眠そうな流雨。今日の機嫌はどうかな


流雨「取り敢えず上がって」


柚夏「お邪魔しまーす...。」


と流雨の部屋に案内される


 そして、お菓子を貰ってベットの上で横になる流雨。


柚夏(私の仕事は終わったとばかりに...)


流雨「柚夏もしたいことをして」


柚夏「したい事って...?」


流雨「横になったりゲームしたり」


流雨「ゲーム機なら貸すよ?」


流雨「あのゲームの曲が本当に

   良くて...て聞いてみる?」


柚夏「うん」


流雨「これがその曲」


 流雨は近くにスマホを持ってきて、二人でイヤホンで聞く。


柚夏(距離が近い...)


柚夏「良い曲だね。テレビで聞くのも良い

   けど、こういう曲調も悪くないね」


流雨「歌詞が凄い良いんだよね」


柚夏(流雨ってこういう曲が好きなんだな...)


 そしていくらか音楽を聞いて流雨は疲れたのか、ベットの上に行ってしまった。まぁ今日遊ぶ約束してなかったからなぁ...


柚夏(何をすればいいんだろう)


 普段は家で珈琲飲んで本を読んだり勉強したりしてるけど、人様の家でそれはなぁ...。


A「一緒に横になる」

B「何をすれば良いか聞く」


→A「一緒に横になる」


流雨は少し反応するが普通に寝てくれる。


柚夏「...したい事って言ったから」


流雨「それが柚夏したかった事なの??

   別に良いけど...狭いね。」


→B「何をすれば良いか聞く」


流雨「なんでも良い。柚夏がしたいこと」


柚夏「急にそんな事言われても...」





流雨「柚夏は外の方が好きなんだね...。」


流雨「プラネタリウムにでも行く?」


※スライド


 月が兎だっていうのは有名だけど、自分の身を犠牲にご飯をあげるのは知らなかったな。


神話とか、神様は変に人間っぽいところがある


流雨「私のお気に入りは近くにあるお菓子屋

   さんなんだけどね...」


と笑う流雨。可愛い...


 普通に可愛い服に着替えてるし、凄く愛しい気分になってハグした。


柚夏「...そういう気分///、、」


 流雨は驚いた顔でハグする。なんだこれ、急に恥ずかしくなってやめた。


柚夏「流雨、手を出して」


そして私はかしづいて指輪の箱を開ける。


柚夏「これ、重いと思うけど指輪、

   受け取ってほしい」


流雨「指輪...??」


とラピスラズリの指輪を流雨の薬指に付ける。


柚夏「学校では付けれないけど、幸運を招く

   とされるパワストーンなんだって」


柚夏「流雨が贈ってくれた人形の色の目をした

   石だよ。私にとって大事な石だから

   是非流雨に受け取って欲しい」


流雨「...ありがとう。」


と流雨はちょっとビックリしたように指輪を見詰めている。


 そうして私達はお互い温かい気持ちで家に帰る。あげた方も貰った方もそんな幸せな光景だった。


※キャプション


 当日、コートを着た流雨と散歩をしていると早速指輪を付けてくれてる


柚夏「似合ってるよ。」


流雨「ありがとう。」


流雨「あの人形の名前は何て言うの?」


柚夏「瑠璃色でるーちゃんっていう安直な

   名前だけど、気に入ってるんだ」


流雨「そうなんだ...」


柚夏「丁度流雨と被るね。」


柚夏「可愛い人形、好きなのおかしいと思う?」


流雨「別におかしくないよ。...普通だと思う」


柚夏「昔はこういうのが好きだったんだけど、

   今は子供の時みたいにそういうのが好き

   って言づらくてね。」


柚夏「あれ?」


柚夏「流雨指輪は...??」


流雨「大切な物だから肌身離さず持って

   たんだけど...ん??」


流雨「あれ...?」


柚夏「失くしちゃたの??」


流雨「どこに行ったんだろ...」


流雨「多分何処かにあると思うんだけど」


と、バックやポケットを搜すけどどこにもない。


焦る流雨。


柚夏「...。」


柚夏「...ごめん、結構思い入れがあったから」


とその場を泣きながら逃げる私。流雨の為に一生懸命選んだのに


流雨「柚夏...。」


小さい頃遊んでた近くの公園までおもいっきり走って、そこからブランコを漕ぐ。


すると少しだけ冷静になった。


柚夏「一万五千円くらい掛かったのにな...」


柚夏(流雨にとっては大事な物じゃなかった

   のかな...)


そんな考えがどんどん浮かんでくる


柚夏「...。」


家に帰って寝よう。そして家のベットについた途端、疲れてたのか私の視界はどんどん暗くなっていく...


....。

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