第6話「古池さんとお絵描き、」
一枚絵
すらっとした姿勢に、すらっとした白い指
吸い込まれてしまいそうなくらいにも思える古池さんの美しい鼈甲色をした瞳ならいつまでも見ていられそう・・・。
古池さん「・・・・・」
美紗(古池さん・・・。絵を描く姿も品が
あって綺麗…、・・・でもなんで
だろう、)
美紗(なんでか分かんないけど・・・
・・・どこか、悲しそうという
より・・・つまらなさそう
にも見えるかも…?)
古池さん「なにか…ございましたか?」
優しそうに微笑む古池さんの姿が白いマフラーもあってか、本当に一瞬だけ女神に見えた。
美紗「…えっ?」
美紗(じろじろ見られてるの、
バレた...///?)
美紗(いやでも、これは授業だし、ちゃん
と見ないと古池さん書けないし、
でも見すぎもよくないよね...、)
被写体があまりにも良すぎて、描いてるこっちがなんか段々悪いことしてる気になってくる...。
美紗(それにしても綺麗だなぁ...、
古池さん...、)
古池さん「先ほどから手が止まっている
ようにも見えますが…」
美紗「あっ、ごめんなさい。ちょっと
考え事してて…」
美紗(・・・貴女に見とれていましたー
なーんて、言える訳ないよね...。)
古池さん「そうなのですか…?」
と首を傾げる古池さん。
美紗(首をちょっと傾げるところも
好き・・・///)
美紗「えっと、その…ところで、古池さん
はどんな絵になりました?」
古池さん「……あまり、上手ではありません
が…」
彼女の描いた私の絵は線までもが細かいところまで繊細に描かれてて
ぐぅの音も出ないほどに、...超上手だった。
美紗「わぁっ...!!モノクロ写真みたい
に上手だよっ!!」
古池さん「いえ、私なんてまだ全然
ですよ。それに人物画は・・
不得意でして・・・、」
そう謙虚に古池さんは言いながら、スケッチブックを自分の方へと向けた。
古池さん「それに貴女がもし、「この絵
が良い」とそうおっしゃるの
なら」
古池さん「きっとそれは、...描かれている
モデルの方が良いからだと
思います。」
美紗(これ、もしかして、無自覚///?!)
悪戯っぽい大人の女性の微笑み。
・・・なんだか///、古池さんの顔が見ていられなくて、思わず目を逸らしてしまう
正直内心ではそんな意地悪な古池さんも全然あり!!と思っている私がそこにはいた。
→A.そ、そんなことないですよ!!
→B.そうですよね?!
→A.そ、そんなことないですよ!!
美紗「そ、そそそそ・・・そんなこと
ないですよ///!!古池さんの方
が!!モデルとしても、」
美紗「勿論それ以外でも!!私なんかより
圧倒的に向いてますっ、それに」
美紗「まるでお姫様...みたい、ですから!!」
古池さん「・・・お姫様、ですか。」
美紗(あっ・・・この雰囲気、駄目っ
ぽい?お姫様って言われるの嫌
だったかな・・・。)
古池さん「・・・確かにそうですね」
古池さん「杏里さんは顔立ちもお可愛い
ですし、モデルが良いという
のは本当ですよ。」
美紗「あ、ありがとうございま
す・・・///」
→B.そうですよね?!
美紗「そうですよね!!」
古池さん「・・・・。・・・美紗さんは
ご自分の絵が本当にお好きなの
ですね。」
古池さん「そういう御自分に自信のある方
は私、嫌いではありません
よ」
美紗「自分の描く絵は好きじゃないん
ですか?」
古池さん「風景画などは得意な方なのです
が・・人物画はどうしても、
その・・・表情がかけないの
です・・・・。」
古池さん「...どうしても、表情が固く
なってしまって」
古池さん「その点。貴女の描(えが)いた
絵はそれらが全て揃っていて
大変素晴らしいと感じまし
た。」
美紗(あーでも・・確かに・・・そう
言われて見るとそうかも・・・。)
言われないと上手さであんまり気にならないレベルだけど、感情的な絵を描くのが苦手って人はわりといたりする。
美紗(柚夏も苦手だって言ってたなー)
このレベルで苦手っていうのはちょっと過小評価し過ぎな気もするけど...
美紗(・・・でも、さっき見せてもらった
古池さんの絵・・・本当に
上手かったんだけどなぁ・・・。)
古池さん「貴女の絵は、何か惹かれる
ものがありますから。
私の絵にはない・・・。」
古池さん「何かが・・・。杏里さんには
あるのです・・・。それは私が
かつて失くしてしまったも
の・・・。」
美紗「失くしてしまったもの・・?」
古池さん「えぇ。安里さんのお描きに
なられる絵はとても魅力的
ですからね。」
美紗「古池さんの絵だって同じくらい
素敵だよ、」
古池さん「...いいえ、私の絵にはそう
いった『感情表現の技法』が
足りていません」
・・・あれ?
でも…この会話一見・・・普通の会話に聞こえるけど・・・、
古池さん「そろそろ予鈴の時間
ですね。」
古池さん「・・・杏里さんのキリがお着き
になられましたら、私に声を
お掛けになって下さいね。」
美紗(・・・私、古池さんにまだ・・
絵見せて…ないよね?)
※キャップション
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