第5話「1、2年合同授業、」

デッサン授業当日。


美紗「はぁ・・はぁっ・・」


・・・私は全速力で廊下を駆け抜けていた。


美紗「ま、間に合った・・・、

   すみません...!!」


ガラガラガラ...。


美紗(美術室からホームルームが始まる事

   すっかり忘れて、ずっと教室で

   待ってたけど・・・。)


美紗(・・・あはは・・・これ、完全に

   駄目なやつ・・・だよね・・・)


もしかしてと思って、急いで美術室に来たけど...、こんなギリギリに来る人が居たらそりゃ目立つよねぇ...、


 初めて見る2年生の人達の顔や、見知ったクラスメイトの人達の視線が私に付き刺さる。


美紗(・・・ぅう、古池さんにも見られ

   ちゃってるし///、呆れられちゃった

   かな・・・。)


美紗(・・・今の私すごくかっこ

   悪いかも)


 教室移動のときは大抵柚夏が事前に教えてくれるんだけど...こういう時に限って連絡ってなかったりするよね、、


美紗(・・・いつまでも柚夏に頼って

   ちゃ駄目だけだよね、私も...、)


 2年生の人と一緒じゃないと駄目なのかなとか、1年生でも良かったら古池さんと組もうかなとか...


 合同授業の事考えてたら眠れなかった私も悪いし・・・、それにしても、・・・うぅ///恥ずかしい・・・///


 せめて、目立たないように私は姿勢を低くしながらさっと一番後ろの席に座るのだった。


先生「皆さんもご存知の通り今日から

   二回に分けて1、2年合同授業

   を行っていきます。」


先生「今回の授業では、2人1組でペア

   を組み、人物画と背景を別々に

   1枚ずつ・・・」


先生「ようするに、2作品描いていた

   だきます。勿論急に2年生と組むの

   も難しい人も居るでしょうから、」


先生「今回は1年同士のペアでも構い

   ません。」


先生「ですが、折角の合同授業ですので

   分からない所は気軽に先輩達に

   聞いてみてくださいね。」


先生「とくに、人は表情やシワや線が

   多いのでそこに注目して、人物画

   を描いていきましょう。・・・、」


 先生のお話も終わり、ガヤガヤと少数の人たちが教室から移動し始める。


美紗(早いなー...)


美紗(私も早く相手、見つけないと...)


美紗「んー・・・あーは言ったけど、

   話しやすそうな代茂技さんも

   仲良さそうな子と組んでるか

   ら・・・、」


美紗「どうしようかな・・・

   困ったなぁ・・・。」


??「...柚夏、...やっぱり私より

   ...その人と組んだ方が...良い...」


美紗(わー、ちっちゃくて可愛い...///!!)


 と柚夏の隣に水色の髪をした小さな

可愛い女の子が柚夏の身長に隠れるように立っていた。


美紗「柚夏、」


柚夏「ギリギリに来てたけど大丈夫だった?

   話しかけづらいなら知り合いに声

   掛けるけど」


美紗「そこまでしなくて大丈夫、ギリギリ

   に来た事は忘れて...。多分これ一回

   きりだから、」


美紗「それより、柚夏が仲良くなった

   子ってこの子?凄い可愛い!!」


柚夏「...まぁね、」


柚夏「美紗が可愛いって、流雨。」


 まるで日本人形みたいに小さくて可愛い女の子、そういや柚夏って子供好きだったもんね。


 夏休みの職業体験の時保育園にいったとき凄い生き生きしてた覚えがある、柚夏が頑張ってくれたお陰で私は大分楽出来たけど


美紗「良いなー、こんな可愛い子と

   組めて」


美紗(凄い軽そう、簡単に抱っことか出来

   そう、)


??「…友達は大事だよ」


 と顔には出てないけど困ったように喋る女の子。眠そうな声もすごい可愛い、

   

 私も入学初日から柚夏以外とは友達が居なかったからこんな可愛い子となら、是非、友達になってみたいかも。


あっ、もちろん代茂技さんともだけど!!


柚夏「・・・まぁ、まだ決まってないん

   なら美紗は古池さんあたりと

   組んでみたら?・・・彼女もフリー

   みたいだし。」


??「…無視、しないで。柚夏・・・

   私なんかより、この人と・・・」


美紗「・・・え///?!古池さんと?!」


美紗(そりゃ、ちょっとは想像した

   けど...///)


??「話、聞いて・・・」


 会話を聞いて貰えないのが悔しかったのか、流雨と呼ばれた女の子は少し拗ねたように柚夏の裾を少しだけ引っ張ってる。


美紗(これは柚夏もほっとけないわけ

   だ。仔猫みたい...、)


柚夏「前に絵、描いてたよね。・・

   この際、古池さんをもっと知るのも

   美紗にとって悪くないと思う。」


柚夏「それに、・・・私は「可愛い」流雨

   と組むからさ」


と冗談っぽく笑う柚夏。それに対して、


流雨「・・・違う。・・可愛く

   ない・・。」


と本気で言われたと思っている流雨さん。うん。真面目で堅物な柚夏にはピッタリな子だなって思った。


美紗「・・・そう、だね。どうせ一人だし

   ・・せっかくだからいって

   みる・・!!ありがと!!

   柚夏!!」


 柚夏の後押しも貰って、私は古池さんの席に小走りするのだった。


※スライド


ざわざわ...、


美紗(近くに寄ってみたはいいけど、周り

に沢山人がいてすごく・・・声が

掛け辛い!!)


美紗(それに、2年生の人も沢山

   集まってるよ・・・。)


 なかなか話しかけられずにいると、育ちの良さそうな人達が二人古池さんに話しかけはじめてしまった。


生徒A「古池様っ、是非私達と御一緒に

   ペアを組まれませんか?」


古池さん「…申し訳ございません。私・・

     あまり人物画が得意ではなく

     て・・・」


生徒B「そうなのですか・・残念

    です・・・」


古池さん「私のことはおかまいなく、

     どうか仲の良いお二人で

     組んで下さいな。」


美紗(あれ?断っちゃうんだ・・・。

   ・・・だとしたら、これは・・・

   私も断られるパターン?)


 不安だなぁ・・、でも今話しかけないと誘われちゃいそうだし・・。どうしよう・・・。


→A.思い切って誘っちゃえ!!


→B.もう少しだけ様子を見ることに

しよう。




→A.思い切って誘っちゃえ!!



 会話していた女性二人が居なくなり、私に気づいた古池さんが不思議そうにこちらを見てる


 もう断られてもいいや!!っと思い切って声を掛けてみた。


美紗「古池さんはペア・・もう決まって

いますか・・・?あの、私・・・

ひとりで・・・」


古池さん「いえ、…まだ決まっては

     いませんよ。」


美紗「古池さんがよかったらで良いん

だけど」


美紗「・・・私と組んでくれますか?」


 古池さんは少し考え込んだ後・・・。

しばらくすると納得するように微笑んで言った。


古池さん「…えぇ、喜んで」


美紗(絶対断られると思ってた・・・。

   古池さんって優しんだなぁ・・・

   流石、私のお姫様!!)


 古池さんを誘うことにも成功して、私の幸運は一体全体何処まで続くんだろう・・・。


 そもそも、古池さんと一緒に絵を描ける時点で100幸せなのに、このままだと100幸せも超しちゃうかも///


 ・・・それ以前に100幸せってのが何かは私もよくわかんないんけど、とにかく私は幸せ者なのでした。





→B.もう少しだけ様子を見ることにしよう。


※BADエンド「ただの少女」


 勇気を出せずに、様子を見ていると・・・。次々と古池さんいつの間にやら、10人程の人達が古池さんの周りに集まってしまっていた。


 古池さんはその後2年生の先輩と組み、それから彼女はモデルをしている美人の人と付き合ってるって噂が経って・・・


 美紗「やっぱり、何にも無い私なんかに

お姫様と友達になる資格

    なんてないよね・・・、」


と、まるで夫婦のように流雨さんにお弁当を作ってあげている親友の姿に胸を痛めながら


 私の高校生活は何事も無く終わりを告げるのでした・・・。


→強制終了


※キャプション。

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