第3話「図書室での出逢い、」

 取り敢えず、ぱらぱらとページはめくってみるけど...


美紗(ルネサンス…?光の屈折によって濃い

  青色が銀になるとか、これは光の三原

  色と関係あるのかなぁ...。)


美紗(三原色の事だけ詳しく書いてある

   本とかあったら楽なんだけど、

ちょっとしか書いてないし...)


美紗(やっぱネットで見付けた方が楽

   だったかなー、皆どうやって

   書いてるんだろ)


 授業でやったのだけ本に書いてあればいいんだけど、それ意外の事の方が詳しく書いてる本しかない。


美紗(あー、もうやめよ、)


美紗(疲れたし、ちょっと休憩しよ

   っかな...)


 なかったら無かったで別に検索して捜せばいいし、無理にずっと捜すより一回休憩した方が良い本も見付かるかも。


美紗(気晴らしに絵でも描こっかなー、)


 欠けた集中力を補完すべく、私はスケッチ片手に図書館に座った。


 …あれから、大分あのお姫様の絵は進んでて


 というのも、あとは色塗りだけなのでもうほぼ完成に近いんだよね。


美紗(よしっ、あとはティアラを描く

   だけ・・!!)


 ・・・絵を描き始めてから30分程が立ち、そして、ついに、私は感動に震えた手で、スケッチブックを立てたのだった!!


美紗(…ついに、ついにっ!!完っ成

  ーーーっ!!)


美紗(・・・再現度高くて結構良い感じ

   っ、あーやっぱ絵になるなぁ///

   古池さんのお姫様姿///、)


 それにしても...、好きなことをしているときの時間って経つの本当に早いよね。


もう閉館の時間も近いし...


 ふうっ・・と少しの間、完成した喜びに浸ってるとすぐ横に良さそうな本があった。


美紗(まぁ、きりもついたことだし、そろ

  そろ本捜しに戻ろうかなー。)


 そうして私はレポートの参考書を捜しに席を離れたのだった。


 パサッ……。


??「....、」


??「....何方(どなた)のスケッチブック

  でしょうか、」


※キャプション


美紗(良い感じの本見付けちゃった~♪

   こういうのを捜してたんだよねー)


 本を選び直して、席に戻って


美紗「....ん?」


 机の上においたはずのスケッチブックが

無くなっているのに気が付いた。


美紗「…あっ、あれ!?私のスケッチブック

   が無い?!確かにこの机の上に

   置いたはずなのに・・!!」


 急いで机の上を捜してみるけど、全然見付からない・・・。


美紗「おっかしいなぁ...、青いし、大きい

   から落ちたらすぐに見つかると

   思うんだけど・・」


美紗「もしかして、誰かが持って

   いっちゃったとか...?」


??「…あの、こちらのスケッチブック

   は貴女のでしょうか?」


美紗「あっ、わざわざ拾って頂いて…

   有難うございます...って、」


 凄い良い声で話す人だなって思いながら声がした方を振り向くと、そこには


 さっきまで絵に描いてた張本人が立っているとはあの有名な探偵のホームズだって思わなかっただろう。


美紗(古池さん///!?"?)


美紗(待って、本物超美人過ぎな

   い...??え、ちょっと待って、凄い

   眼福、)


美紗(本物のお嬢様だ、わっ、どうしよう

   なんて返そう、、本日はお日柄も

   良くとか!?)


 顔を上げた私の目の前には真っ白なお姫様が立っていた。

 

美紗「な、ななななんの用でしょう!?」


 あの時の白いベンチに座っていたお姫様が私に話掛けてくれた、そ、それもあるけれど!!


 ・・なんで私のスケッチブックを彼女が、と思うと同時にテンパる心臓を心臓を静かにさせる。


古池さん「申し訳ございません・・あの?

     違われましたでしょうか…?」


と少し首を傾け、申し訳なさそうな顔をするお嬢様。


美紗(…たったこれだけでも、仕草の

   ひとつひとつに品があって

   絵になるなぁ...///)


美紗(きっと紅茶とかも嗜んでたり

   するんだろうな...、見てるだけで

   創作意欲がわいてくるって凄

   い、)


古池さん「あ・・の・・?」


と、とりあえず返事はしなきゃ、変な人だって思われちゃう。多分もう手遅れだとは思うけど、何も返事しないよりは、


 だって、落としたものを拾ってくれたわけだし・・!!


美紗「あっ、はい、私ので合ってます!!」


美紗「...よ?」


すると、お嬢様は


古池さん「…ふふっ、ご自分の物は

     きちんと把握してあげて

     下さいね。」


と口元を手で押さえながら微笑んだ。


美紗(…笑顔!!、もうっほんっと

   お姫様…///!!)


美紗「…えと、落ちてたのをわざわざ

   拾ってもらって、ありがとうござい

   ます」


古池さん「スケッチブックを肌身離さず

     お持ちしていらっしゃるという

     ことは、」


古池さん「きっとそれだけ貴女の絵に対す

     る愛情が深いという事なの

     でしょう」


古池さん「貴女に描かれた絵はとても

     幸せ物ですね。」


古池さん「持ち主がすぐに見付かって

     良かったです。では、私は此方

     (こちら)で・・・失礼致し

     ますね。」


 軽く会釈をして、スカートを託しあげる古池さん...。


 …流石、お姫様。最初から最後まで品しかない...


・・・でも、いや待って?今の状況もっとお姫様と仲良くなるチャンスじゃない?


 もう、話すことはないけど・・・どうしよう、


→A.古池さん!!待って下さいっ…!!

→B.どうか、お気をつけて




→A.古池さん!!待って下さいっ…!!


美紗「 古池さん!!待って下さいっ…!!」


 去ろうとする古池さんを呼び止める私、


古池さん「…はい、まだ何かございまし

     たでしょうか?」

 

 少し驚いた様子で、古池さんは白いマフラーを掴んで軽く握っている。


美紗「いえ、用って程じゃないんですけ

   ど…あの、その…お名前を…お聞き

   したくて…。」


古池さん「古池、雪音です。雪に音と

     書いて雪音と書きます」


美紗(雪音さん...、名前も可愛い...)


古池さん「生徒会会長を勤めさせて戴いて

     いますので、学園生活で何か

     困りごとなどがありましたら」


古池さん「気軽に生徒会室にいらして

     下さい。」


美紗「せ、生徒会長?!」


美紗「・・・って、えっ?!い、一年生

   で生徒会長って出来るんですか?」


古池さん「同級生ですので、そのままで

     構いませんよ。」

美紗「じゃ、じゃぁ・・・お、お言葉に

   甘えて・・・、」


古池さん「・・・一年生での生徒会会長

     は本校でも前例がなかった

     ようですから、」


古池さん「安里様が驚くのも無理はあり

     ません。」


美紗「でも会長って、前の副会長は

   それで良かったのかな、」


古池さん「・・・理由は大体予想はつき

     ますが、前年度の副会長が

     生徒会会長を辞退したため、」


古池さん「私が勤めさせて頂く事になり

     ました。」

    

古池さん「…あの、私(わたくし)大変

     申し訳ございませんが、その

     っ・・急ぎの用事がございまし

     て…」


美紗「あ、ごめんなさい…そんな忙しい

   時に…。あの…!!また今度!!」


美紗「その・・・お礼させて下さい…!!」


古池さん「その時はまた、お願い致しま

     すね。」


 とだけ言い残して、古池さんは去っていった。





→B.どうか、お気をつけて


美紗「…あの!!、どうも有難うございま

   す!!どうか、お気をつけて…」


美紗(はぁ、私に勇気があったら良かった

   のにな・・・。)


美紗(チャンスが終わっちゃうと質問って

   思い浮かぶものだよね・・・。古池

   さんの下の名前、聞きたかった

   な、)


美紗(って後悔しても、もう遅い

   けど・・・。)


古池さん「・・・はい、美紗さんも

     お気をつけて下さいね。」











美紗「でもまさか、古池さんが私のスケッ

   チブックを拾ってくれてたなん

   て・・・、」


美紗「・・・夢みたい///。」


・・ふぅっ、と、憧れのアイドルに出会った後のファンみたいに古池さんに返して貰ったスケッチブックを手に取る私。


美紗(あんな綺麗な人に触って貰った

   スケッチブック君が羨ましい

   よ、ほんと、)


美紗(・・・それにしても、振る舞い方も

   この絵のお姫様にほんとおとぎ話に

   出てくるお姫様みたいだったな。)


美紗「・・・あれ?私…紐、・・・こんな

   ところに止めてたっけ?」


美紗(...というかもうそろそろ図書館閉ま

   っちゃうし、本貸りなきゃ!!)


美紗(この本と、後は・・・あっ、

   『森になった少女達Ⅱ』!?)


美紗(ラベルは張ってあるけど本がない

   なぁ、誰かが貸りてるのかな、)


美紗(おもち先生のベストセラー本の

   次回作、Ⅱはまだ一部の店舗にしか

   出回ってないって聞いてたけど、)


美紗(まさか学校の図書館にあるなんて!!

   流石美術高、先生の作品、凄い

   クオリティ高いから)


美紗(ずっと読みたかったんだよねー。

   本は貸りられちゃってたけど、

   もう、あるだけで凄いから、)

   

美紗(今日は古池さんにも会えたし、

   本当に運が良いなぁ、ふんふん♪)


美紗「すみませーんー、」


 前髪が眼鏡に掛かった大人しそうな図書委員の子が、小さな熊の縫いぐるみを抱っこしたまま本を読んでる...。


美紗(・・・あ、この人が読んでる本、

   『森になった少女達Ⅱ』だ!!)


美紗(え、貸りたい...、)


ぬいぐるみ「・・・本の貸し出しで良い、

      ぬ?」


 すると突然、熊の縫いぐるみから女の子の声が聞こえてきた。


美紗「・・・わっ、縫いぐるみが喋った

   っ!?」


美紗「腹話術かな、凄いですね!!」


大人しそうな女の子「....」


ぬいぐるみ「中の人などいないんだ、ぬ!!

      僕は僕自身の意志で喋ってる

      んだぬ!!」


ぬいぐるみ「初対面の熊のぬいぐるみに

      対して失礼だとは思わない

      ぬ?」


美紗「あ、ごめんね、熊さん。」


 本当に縫いぐるみの熊が自分の言葉で考えて喋っているみたいに、隣にいる女の子の口は一切動いてない。


??「僕は 熊 だぬ、本の貸し出しは

   そこのパソコンのタッチパネル操作

   に新しく変わったんだ、ぬ。」


美紗「名前が熊なの・・・?」


熊「...名前なんて所詮飾りぬ。僕に言わせ

  れば君達は全員人間だぬ!!」


熊「大事なのは意味じゃなくて、僕という

  存在が此処にいるという事実だと

  思う、ぬ。」


美紗「・・・この熊さん、中々深い事言う

   ね、・・・貴女は?」


熊「戸亜 代茂技(べあ よもぎ)、

  だぬ。火曜日担当の自称図書委員長ぬ!!」


美紗「自称...」


熊「彼女が喋らない理由は・・・。

  ・・・実はそういう設定なんだ、ぬ。

  仕様だぬ」


熊「察してやってくれ、だぬ。」


美紗「そういう設定なんだ...、」


 下を向き、俯きながら少女はぺこりと頷く。そして話すのがあまり得意じゃないのかな、目線をすぐに逸らされちゃう。


美紗「えっと・・・代茂技さんが今

   読んでる本って『森になった少女

   達』だよね!?」


美紗「私その人のファンなんだ!その本、

   凄く面白いよね!!」


熊「ん?なになに、...内容は全部分かってる

から良かったらどうぞと言ってるぬ」


美紗「え、良いの?ずっと読みたいって

   おもってたんだ!!ありがとう

   っ、熊さん、」


熊「お礼なら『よも』に言うと良いぬ、」


 両手で本を挟んだ熊さんが渡してくれる。この熊さん思ったよりも凄い触感が良い素材で出来てた。


美紗(可愛い...、)


美紗「そうだね、読んでる途中なのに

   貸してくれてありがと、この本、

   大切に読むね。」


代茂枝「....」


美紗「一部の店舗にしかない本だったから

   続編があってびっくりしちゃっ

   た、あー、ほんと嬉しい///」


熊「それは良かった、それより、時間は

  大丈夫ぬ?そろそろ図書館は

  閉館の時間・・・、」


熊「時間は日々進み続けているんだ、ぬ。

  1秒たりとも無駄にしてはいけないと

  僕は思うんだぬ、君はそうは思わな

  い?ぬ?」


美紗「そろそろ帰って勉強しないとね、」


 熊さんにパソコンでの貸り方を教わりながら急いで本を2冊借りて、私は図書室から出たのだった。


 ・・・無口な代茂技さんと喋る熊のぬいぐるみの熊さん、


美紗「それにしても、声は可愛いの

   に喋る内容はダンディーな熊さん

   だったなぁ・・・、」

   


※キャプション

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