第2話「運命との再会もまた突然、」
6時間目の授業が終わって、机の中から教科書を取り出す私。
美紗(宿題がある教科は鞄の上の方に
入れて、っと・・・、)
美紗(よし、スケッチブックもちゃんと
入ってるよね?)
美紗(もし忘れて誰かに見られたり
したら恥ずかしいもん。)
特にスケッチブックは教科書と違って大きいから、時々本気で置き忘れたりする事だってある。
まぁ、流石に人の机の中を見る人なんていないと思うけど、一応・・・ね。
オレンジ色の夕焼けが教室の中を照らす。朝日とはまた違った顔を見せる太陽に、私はどこか不思議と安心感を覚えていた。
「また、明日ねー」というクラスメイトの人達の声がちらほらと聞こえ始めるこの時間。
私はこののほほんとした空気がとても好きだった。
教室に残る人も居れば、仕度を済ませてすぐに家に帰る人。部活に急いで行く人なんかもいたりして・・・。
美紗(なんだか皆違って皆良いみたいな
感じが、落ち着くんだよね。)
柚夏「ほら、さっさと帰るよ」
美紗「今行くから、ちょっと待ってー」
と、そんな事を考えてたらいつの間にか教室のドアの前で待ってた柚夏に呼びかけられる。
美紗(柚夏はきっちりしてて凄いな
ー・・・、私ももうちょっと
時が経てば)
美紗(あんな風になるのかな・・・?)
美紗(うーん。・・・ちょっと
自信ないや。)
そうして、急いで机の上のバックを持ち上げて私は柚夏の元へと急いだのだった。
※キャプション
柚夏「じゃ、また明日ー」
私と別れた後、柚夏は何処にそんな体力を残してたのかなと思うほどのダッシュで毎回帰ってく。
美紗(相変わらず社畜みたいな生活
してるなぁ、柚夏。)
美紗(走るの相変わらず早いなー・・・)
本人が言うには「帰ってすぐバイト
だから、歩いて帰る時間が惜しい」らしい。
私もアルバイトとかした方が良いのかなーなんて思いつつも、柚夏を見送る。高校生だと申請とかね、
美紗(本日もお勤め苦労様です、)
そんな彼女の体力に羨ましいなーと感じながらも、めんどくさくて中々運動する気にはなれない自分が此処にいた。
美紗「・・・柚夏も凄いなぁ。
この後、バイトしてるんだもん
ね…。あー、疲れたー、」
自宅に着いて、自分の部屋に急ぐ。先に帰ってた妹のくゆに挨拶をしてすぐに自分の部屋へと向かった。
ドサッっと漬物石のようにも感じる重たい教科書の入ったバックを机の上に置いて、私は自分のベットにダイブする、
美紗「あー・・今日も一日疲れた
なぁ~・・///」
ぎゅーっと、薄いピンクの毛布を抱きしめる。・・・この時間がなによりも、幸せなんだよねぇ、お布団万歳///
美紗「ふふん。…でも、今日はやるべき
ことがあるんだよね!!」
美紗「・・そう!!あの、お姫様の絵
をっ・・!!!」
そして、バックの中からスケッチブックを取り出すと白紙のページを開く。
美紗「宿題は後でやる事にして・・。
さて、どうしよっかな」
鉛筆と消しゴムを筆箱から取り出し、ストーリーの内容を考える。
びっしりと書かれた物語にまた、1つ新しい物語が増えていくのが私の唯一の趣味だった。
美紗(絵本も良いけど、小説も良いよ
ね。今回は素材がいいから絶対、
絵本にするけど///)
現実と違って、物語は必ずハッピーエンドで終わるから。だから、良いよね。
美紗「・・・昔々あるところに大変美しい
お姫様がいました。」
美紗「そのお姫様は礼儀正しく、皆から
愛され、眠る姿もそれはそれは
綺麗で、誰もが見とれてしまう程
でした・・・」
美紗(えへへっ・・・私も見とれちゃった
訳だし?)
美紗「ドレスはこんな感じかな?」
と軽くドレスの下描きをする。昔見た絵本に出てきたお姫様がモチーフの可愛いドレス、
美紗(・・・うん、やっぱり思った通り
よく似合う!!)
美紗「ベンチは必須だよね。あの、白い
ベンチ!!すごく絵になってた
から。」
美紗「・・・でも、古池さんってどんな人
なんだろう。・・・やっぱり、見た
目通り心優しい人なのかなぁ、」
美紗「…また、会いたいな・・・。」
とそんなことをしてる内に、置き時計を見ると針がもう21時を回ってた。
中学生の入学祝に買ってもらった可愛いウサギの置時計だけど、耳の間にアラームのスイッチがあって凄く押しづらい。
美紗(壊れて、たまに鳴らない時
もあるけど)
美紗「わぁ、もうこんな時間?!そして、
私は・・・宿題もまだしてない
っ!!」
明日も学校な訳で、私は学生なわけで・・・私はスケッチブックをすぐさま閉じて、宿題をし始める。
美紗「こんなときに限って宿題って多い
んだよね・・・、」
※キャプション
6月、蛙の大合唱が聞こえ始めるというこの季節。
本日私(わたくし)、杏里 美璃は
このルネミア芸術高等学校の図書室にて
…学校の課題と戦っていた。
美紗「…レポートかぁ、レポートの課題
って初めてやるからどんな風に
描いたら良いんだろ。」
美紗「先生は文献はネットよりも、公式の
本で捜した方が良いって言ってた
けど…、」
本棚の上の方を順番に見ていると
「写真で分かる美術の歴史」と太い文字で
書かれた本があった。
美紗(この本、参考図書に良さそう…。)
美紗(んー…でも、ちょっと高いしなぁ…。
・・あー。でも近くに台もない
し、)
美紗(どうしよう…、…ギリギリ取れそう
…かな?)
背伸びをして、指先を使って本を少しずつ掻き出す・・・。
美紗(…んー!、もう・・・ちょっと。)
人差し指が限界を感じて震えるけど、
・・・でも、あと少し!!頑張れ私!!
美紗(・・・やたっ!!とれた!!)
・・少しバランス崩してよろけたけど、・・・うん。大丈夫!!本はとれた。
美紗(うんうん。せめて、図書館の中では
雰囲気的に知的でいたいよね。)
バランスを崩した身体を建て直し、何事もなかったかのように平然を装いながら私は本を読むために長い机の席に座るのだった。
※スライド
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