⑤球技大会【ゆずるう】


9月中旬、今日は球技大会。体育会系が得して運動してない子達のテンションが最大に下がる日...。


美紗「球技大会かぁ...。面倒くさいなぁ...、

   外だと日焼けするし」


美紗「日焼け止めクリームは必須だよね」


柚夏「そういうのは結構気にするんだね」


美紗「お肌は乙女の大敵だよ。大きくなったら

   シミになっちゃうし」


美紗「...でもクラス対抗戦で良かったぁ。

   こっちには柚夏がいるし、楽勝だね」


柚夏「...なんで楽勝だと思った?」


柚夏「剣道してたから、別に運動は嫌いじゃない

   けど球技によっては逆に苦手なのも

   あるよ。」


柚夏「長長身は結構受け止められるし...

   背が小さいから頭に当たりがち」


美紗「...柚夏身長高いもんねぇ」


書記「1、2年生はドッチボール、2、3年生は

   屋内でバスケットボール、1、3年生は

   バレーボールを行いますわ。」


美紗「ドッチボールだよ」


柚夏「まぁ、やるよね...。一番無難なスポーツ

   だもん」


美紗「というか、バスケットボールとか

   よくルール知らないんだけど...」


柚夏「学校とかでやらなかったの?」


 その頃私は美紗とは別のクラスだったからよく知らないんだよね...。美紗の事情とか


美紗「バレーボールは三人目からレシーブで

   入れれば良いんでしょ?」


美紗「バスケットボールにはディフェンスと

   オフェンスがいて」


美紗「凄い遠くからボール投げて、おおーって

   なるゲーム」


柚夏「間違いではないけれど、それ出来るの

   一部の人だけなんだよなぁ...」


柚夏「テレビで見てると凄いよね」


美紗「オリンピックとかあんまり興味ないん

   だよね...。スポーツ出来ないから」


 各自代表の人がそれぞれくじを引く。その中から対戦相手が決まるみたいだ


美紗「というか3年生との戦いかぁ。

   バレーボール上手く出来るかなぁ」


柚夏「先にやる先輩達の光景を見てれば

   分かるでしょ」


美紗「それもそうだね。」


柚夏(出場するまで暇だから先輩達の

   見てこようかな)


美紗「私は雪音の試合見てくるよ」


柚夏「じゃぁ、私は流雨の試合を見てこよう

   かな」


美紗「コヨーテだけに」


柚夏「どっから出たコヨーテ。」


※スライド


柚夏「流雨、試合見に来たよ」


流雨「橘さんが凄い強いみたい...。皆期待

   してる」


柚夏「あの人本当に何でも出来るな...」


流雨「私の見てても何も面白くないよ...。

   普通だから...」


流雨「でも橘さんがいるから試合的には

   面白いかも」


流雨「じゃぁ行ってくる...」


 流雨の言った通り、すっごい格好良いポージングでダンクシュートを決めるモデルさん。


 まるで兎のように敵チームを綺麗に掻い潜り、爽やかな笑顔と滴る汗で味方にロングパスするその姿はもはや英雄だ。


柚夏(...天は二物も三物も与える。なんか

   あそこだけやってるスポーツ違く

   ない?)


柚夏(青春だ。)


朝乃「ック、なんで私は観客席じゃなく

   こんなところに突っ立ってるの、、」


柚夏(同じクラスだからですよ。)


流雨「...私達要らなくない...?」


 ピーッ、という音と共に終わる試合。勿論勝敗はモデルさんがいるチームが勝利でそのままエントリーに進む


柚夏「私達も頑張らなきゃなぁ、試合まだまだ

   先だけど」


奈実樹「ボールそっち行ったで」


樹理「OK〜」


と向こうのバレーボールも頑張ってる。なんか向こうは結構ゆるふわな感じ


柚夏(...そういえば雨宮先輩達はどうなってるん

   だろう。あの人の事だから、馬鹿に

   しに来ても可笑しくないんだけどな)


柚夏(なんか「僕の方が強いのに」とか)


となんとなく外を見回してるといた。


けど...


柚夏「小栗先輩、と...誰ですか?」


小栗「あ〜...。」


小栗「...ちょっとした知り合い?」


小栗「池で躓(つまず)きそうになって助けて

   もらったの」


青髪の女性

「...落ちたのが小栗ちゃんじゃなくて、

 本当に良かった。」


 という小栗先輩の隣には青髪のとても綺麗な子がいた。池に躓いてしまったのかぶかぶかの服を着て胸がつっかえてる...。


柚夏(見る所に困る格好してるな...。)


小栗「それにしても奇遇ね」


柚夏「雨宮先輩は居ないんですか?」


小栗「狛に何か用かしら?」


柚夏「...いえ、今日は居ないなぁと思いまして」


小栗「...そうねぇ。あの子は授業をサボる癖が

   あるから今頃何処かで休んでるじゃない

   かしら」


柚夏「用はないんですけど...。なんか居ないは

   居ないで寂しくないですか?」


小栗「それは...何となく分かる気がするわ」


 と、青髪の女性は隠れるように小栗先輩の後ろにいる。さっきから胸を隠すように両腕で胸を覆いながら左下を見ていた


青髪の女性「くしゅんっ」


青髪の女性

「それより早く着替えたい、んだけど...///、、」


小栗「...そうよね。全身ずぶ濡れだと

   風邪を引くし」


小栗「その格好でずっといるのもねぇ。」


小栗「ソフトボール部のシャワー室を借り

   ましょう。まずはこの子のお世話の方

   が優先だわ」


小栗「助けてもらったし」


小栗「ごめんなさいね。」


小栗「...狛には後からキツく言っておくから。

   ちゃんと授業には出なさいって」


柚夏「いえ、そこまで会いたい訳でもないん

ですが...」


※スライド


書記「さぁ、始まりましたクラス対抗戦

   ドッチボール。1年生の子達の登場

   ですわ」


書記「ババーン!!」


柚夏(いよいよかぁ...、)


会計「なぜ会計の私が実況に回らなければ

   ならないのは分かりませんが、

   そうですね。」


書記「これは運命の悪戯か、1年生同士の

   バトルロイヤル」


会計「ドッチやってるの大体1年生ですけど

   ね。強いチームが勝ちます。」


書記「そう。つまり実況はこれで終わり!!」


会計「まだ終わってません。」


柚夏(さっきから解説癖強いな...)


縁蛇「行きますですよ!!、」


とブンっとボールを投げてくる縁日で会った巫女さん。


柚夏「うわっ、早いな」


美紗「と言いつつ受け取るゆずかーさん」


柚夏「...まぁ、取っちゃったもんはね」


と投げ返す。と避ける相手。そりゃ避けるわな


美紗「おしい」


柚夏「「おしい」じゃないんだよ。そっちもボール

  取ってよ」


美紗「私が投げた所で取られるのがオチだよ」


美紗「っと、当たっちゃった」


縁蛇「落ちました、打倒みさざえもん!!」


柚夏「ということで当たり」


と浮かれてる間に素早く片手でボールを投げる。これがテンションの差だよ


縁蛇「...当たっちゃいましたか。まぁみさみーを

   倒せたんで良いです」


柚夏「美紗になんの恨みが」


縁蛇「いや、別にないですけど」


美紗「ないなら狙わないでよ」


縁蛇「喜んでる間にぶち当てるなんて、みさぽん

   さんの友人は良い性格してますね」


柚夏「...そりゃどうも。」


美紗「えへへ〜」


柚夏「いや、褒められてないから」


縁蛇「今度は外野から攻めましょうかね」


と、跳ね返ってきたボールを2連続で当てる。


柚夏(やっぱ女子高だと簡単に当たるなぁ...)


審判「ピッ、勝者Bチーム!!」


※スライド


柚夏(次は古池さんとこのチームか)


美紗「雪音が敵に、どうしよう」


柚夏「...まぁ違うクラスだから当たる可能性も

   あるよね。」


柚夏「手を抜かないように。」


美紗「はい、先生」


柚夏「相手が誰でも」


美紗「自信がありません」


柚夏「自信ないのかよ」


生徒J「頑張って下さい、生徒会長」


生徒D「私が古池様の盾になります」


生徒K「では私が会長の剣となりますわ」


柚夏(役割がしっかりしてる。これは強いぞ)


古池さん

「Aクラスは頭が良い人が多いのですが、

 スポーツが出来る方もいらっしゃるのですよ」


柚夏「文武両道って事か。古池さんには

   流雨の件でお世話になったけど」


柚夏「それとこれとはまた話が別だからね」


と、ボールを投げると1人が当たって強そうな相手がボールをキャッチする。


生徒D「このボールを避けられるかな」


柚夏「こっちは避けた方が良いな」


と強そうな相手のボールは避ける。


と、外野からのJさんが受け取ってDJ状態だった。


柚夏「やっぱ運動できる人が多いと強いな」


と珍しく美紗が人に当ててる。


柚夏「ナイス美紗」


美紗「たまたまだよ。というか負けたい

   のになんでこんな当たるの〜」


柚夏「違う人が狙われてるから」


審判「ピーーー、時間切れということで

   残った数が多い方が決勝に進みます。」


柚夏(まぁ、分かり切ってたことだけど)


審判「決勝はAクラス!!」


美紗「おめでとう雪音っ」


古池さん「良い勝負でしたね。皆さんお疲れ様

     でした」


生徒達「「はいっ」」


柚夏「なんか全然悔しくないんだよなぁ...」


柚夏(まず、向こうとは士気が違うし。)


柚夏「本気の勝負じゃないし、ね」


※スライド


美紗「ねぇ、見てみてあっちの勝負凄いよ」


書記「そやっ、」


とバスケットボールをロングシュートするさっきまで解説をしていた書記さん。


柚夏(凄いな...ポージングが美しい)


書記さん「雀ちゃんっ!!」


雀「あまり目立ちたくないんですけど...」


書記「今だけは青春を謳歌したいから、」


書記「勝ったらこめはぜ買ってあげるわ」


雀「了解。今すぐ本気モードにシフトチェンジ

  致します」


とさっきまで普通にしてた女の子がその背の小ささで相手のディフェンスを掻い潜っていく。


晴華「負けないよ。」


と、関節がどうなってるのか低い姿勢でボールを奪いに来る橘さん。


雀「やっぱり背が高いと威圧感ありますね...。」


書記「任せて頂戴」


と晴晴さんの前に現れる書記さん。


書記「サイン下さい!!、、」


晴華「え??良いけど...後でね。」


書記「はぁ...♡晴華ちゃんのサイン、

   貰っちゃった...///」


と、お互いなんかボールの奪い合いをしながら涼しい顔で会話してる。書記さんはディフェンスが得意なのか、橘さんがゴールを入れる前に


ひょいっと、ボールを叩いて落とす役割に徹底してる。そこで背の低い会計の人がボールを貰って相手のゴールへとパスする


晴華「なっ、」


晴華「朝乃ちゃん!!」


と朝乃先輩にボールが当たる。


晴華・書記「あ」


晴華「大丈夫?朝乃ちゃん」


書記「私のプリティー可愛い朝乃ちゃんに

   ボールが、、好感度が下がる!!」


朝乃「大丈夫ですよ、ちょっと痛かった

   ですけど...」


書記「痛いの痛いの、飛んでけー!!」


朝乃「そこまでしなくても...」


柚夏(バスケットボールでよくあるやつ)


雀「では、点は私が取らせて頂きますね。」


審判「ピーーー、、試合終了!!、」


晴華「凄い強いねぇ。二人共」


と点が入った瞬間には皆が声援を送っていた。


柚夏(凄い試合だったな...。)


※スライド


雨宮先輩「あー、やっとこれたよ。」


柚夏「さっきまで凄い試合やってたのに

   何してたんですか」


雨宮先輩「...僕にも事情というものがあってね。」


雨宮先輩「それより君、さっきの小栗君と

     歩いてた少女をどう思う??」


柚夏「どう思うって言われても...綺麗だったなぁ

   と。先輩も見たんですか??」


雨宮先輩「...いや、ちょっとね。あの少女の

    話は僕にしないでほしい...」


柚夏「どうしてですか」


雨宮先輩「君には関係ないだろう。...そもそも

     流雨君以外の女性に色目を使うのは

     失礼だと思わないかい??」


柚夏(なんかいつもの先輩と様子が違うな...)


柚夏「先輩がそんな事言うなんて珍しい

 ですね」


柚夏「いつも女性に囲まれてるのに」


雨宮先輩「...一二年生の勝負が無くて本当に

     残念だよ。そしたら僕が勝つのにね」


柚夏「いつもの先輩ですね」


雨宮先輩「それに僕は彼女一筋だからね。君と

     違って」


柚夏「...綺麗な人には綺麗って言っておかないと

   それはそれで後で後悔しますよ」


柚夏「言えるのは生きてる内だけなんですから」


※キャプション


柚夏(終わるの呆気なかったなぁ、一回だけ

   バレーボールをしたけど難しい競技

   だし)


柚夏(まず相手のコースに入れない人とか

   いたからなぁ...。)


柚夏(...最近の子は運動してない子が多い。)


柚夏(今回の球技大会が良い運動不足解消に

   なると良いけど)


美紗「負けちゃったね。」


柚夏「まぁ、本気の勝負じゃないから。

   団体戦だとどうしてもね」


柚夏(でも、楽しかったな。昔の剣道より)


柚夏(...あの時は凄い真面目だったから)


柚夏『あんたとは練習時間が違うんだよ。

   その程度で涙を流さないで欲しいですね』


柚夏(鬼神って言われる訳だわ...、)


??「おや、鬼神さんは此処で終わりですか」


柚夏「そんな事直接言いに来る人居るんだね」


??「あの時は負けましたけど、私あなたに

  負けたと思ってませんから」


柚夏「ほう。勝負でギャン泣きしてたのに

   そんな事言ってくる??」


??「うるさい、団体戦でも鬼の芽月に

  勝ったんだから良いでしょ」


柚夏「弱い犬程よく吠えるって言うもんね」


??「何...??」


柚夏(まだ居たのか、中学の知り合い)


美紗「はいはい。争わない争わない。」


美紗「昔の柚夏に戻ってるよ」


柚夏「昔の事を掘り返されると、ちょっとね。

   でもまだ牙は衰えてないよ」


??「中学で剣道をやめた弱虫め。あんな

  台詞吐いといて、高校では剣道をやめた

  風上にも置けないやつ」


柚夏「ほう、一発やる??」


??「望む所だ」


※スライド


柚夏(なんで球技大会の後に剣道なんて

   やってるんだろうな、私...)


??「なんで剣道をやめた。」


柚夏「いや、剣道するよりバイトしてた

   方が儲かるから」


??「私の方が金持ちってことか」


つばづり合いをして。スパンっと、竹刀を相手の頭に叩き付ける。


柚夏「はァッ...!!、」


...こんな裕福に育った人に私が負ける訳が無い。


柚夏「...だからあんたは弱いんだよ。親に頼り

   切った生活、誰か大切な人を失ってから

   また来なさい」


??「鬼神め...」


柚夏「ありがとうございました。」


と、正座をしてきりっと私を睨み付ける少女。その姿を私は他人事のように見ていた。


柚夏「今は守るべき物があるから。そうやって

   人は成長してくんだよ」


柚夏「あんたにはまだ"経験"が足りない」


柚夏(人に言えた義理じゃないけど...。強く

   なるためには私みたいな人も必要なの

   かな)


※キャプション

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