④文化祭編【ゆずるう】

今日は文化祭。演劇という意見も多かったけど、なんやかんやあって


 最終的にハロウィン祭で使った衣装を再改造してお化け屋敷喫茶をする事になった。


美紗「お化けだぞ〜」


柚夏「って、ただ白い布を被っただけでしょ」


流石の私もそんな子供騙しには乗らない。


柚夏「やっぱり変じゃない...??」


美紗「全然変じゃないよ。元から美形だった

   から、髪下ろすとめちゃめちゃ美人

   だね。柚夏」


柚夏「服が可愛いだけだよ。」


 前回は狼男だったけど、狼人気が高く今回は後ろに潜んで転んだら食い殺すという『送り狼』という設定だ。


 転んだ風に見せ掛けて「休憩しよう」と言うと休憩か、と諦めて帰るらしい。休憩中に後ろから襲えば良いのに変な生態を持った妖怪だ


前と違うのは髪を下して服を着るということ


小声「やばい、美人過ぎて倒れそう...、、」


小声「歩く美人」


小声「こんな狼なら、むしろ後ろから追い

   かけられたい...♡」


柚夏「...いや、やっぱり良いよ。なんか他の人に

   見られてるし、髪下ろすの恥ずかしい

   し」


柚夏「獣系は人気でしょ?着たい人もいると

   思うし」


そうやって狼耳を外す


生徒「いや、芽月さんがいい。芽月さんしか

   居ない」


柚夏「私以外居ると思うけど...」


と、言うので仕方なく狼耳を付けることに。


柚夏(流雨ならともかく、私には似合わない

   のになぁ...送り狼)


美紗「私もこのままで良いよ。」


柚夏「白い布お化け??」


美紗「目元だけ切り抜いたやつ」


美紗「王道だし、可愛いでしょ??」


柚夏「小学生ならまだしも、高校生でそれは

   ちょっと手抜き過ぎない...??」


美紗「だって、ハロウィン祭と違って成績

   じゃなくて売り上げが評価なんだもん」


と布をフードのように被りながら言う美紗。


美紗「それにあんまり怖くないでしょ??」


美紗「子供も来るかもしれないし、喫茶店の方は

   怖くない方が良いよ」


柚夏「でもそれじゃぁ味気なくない??」


柚夏「美紗って黙ってればイケメン

   なんだから、もっとまともな衣装

   着ても似合うと思うよ」


柚夏「というか髪解(ほど)いた姿見たい」


美紗「えっ、面倒事に誘わないでよ」


美紗「というか柚夏怖いの駄目じゃ

   なかった??」


柚夏「幽霊はともかく、妖怪は昔の人の

   作り話でしょ。幽霊は元が人間だから

   嫉妬とか怨みとかが怖いんだよ」


柚夏「小豆洗いとか意味わかんないし、

   垢舐めとかなんかぬるぬるしたもの

   当たっただけでしょ」


美紗「元人間だから怖くないんじゃん。例え

   恨まれても恨む人違ってるし」


美紗「というか、生きてる人間が一番

   怖いよ。だって包丁とか拳銃とか

   いつでも持てるんだよ??」


美紗「ハンドル切ったら殺されるし、相手を

   不快にさせたら殺されるし。」


柚夏「ニュースの見過ぎじゃない??」


美紗「兎に角、そういうのは柚夏だけで充分」


生徒O「ほうほう。成程、芽月さんがそう仰る

   なら任せて下さい」


美紗「えぇ...さっきの話聞いてたの?」


 と袴姿の九尾の格好をさせられる美紗。馬子にも衣装といったもので、とてもよく似合っていた。


柚夏「え??私より似合ってるんじゃ」


生徒O「やっぱり九尾は良いですよね...♡」


生徒O「お二人共並んでるととても素敵ですわ...///

    犬科同士で」


美紗「そう言われると照れるなぁ、似合って

   ないより全然良いけど 尻尾が重い...」


柚夏「この歳になって犬耳かぁ...。」


柚夏「美紗は似合ってるから良いけど、

   私とか二番煎じだよ。」


生徒O「じゃぁ逆にしてみます??」


柚夏「いや、これで大丈夫です。」


美紗「まぁ普通に似合ってるって言われてるん

   だからこれで良いんじゃない??」


 と二人で廊下を歩いてるとなんかジロジロ見られる。まぁ、凄い目立つからね。美紗とか髪真っ白だし


生徒「写真とって良いですか」


柚夏「えぇ...、、」


美紗「どうぞどうぞ」


柚夏「ちょっと、美紗も乗り気?」


美紗「集客数が成績と繋がるんだから、

   しょうがないでしょ」


美紗「今宣伝しとかないとお客さん来ないよ」


柚夏「そんな狐やだよ。狐より狐らしいけど」


朝乃「美紗ちゃん達人気だねぇ」


と髪を結ってキラキラの髪飾りをしてる朝乃先輩が近付いてくる。星やダイヤやクローバーが付いた如何にもヒロインって感じの髪だ


柚夏「朝乃先輩はなんですか?」


朝乃「こっちはラプンツェルだよ。髪飾りとか

   凄いけど...私が主役なんて信じられない」


柚夏「まぁ、確かに先輩髪長いですもんね。」


朝乃「だからって普通抜擢(ばってき)

   される??」


柚夏(まぁ、されるわな...ラプンツェルと

   いったらこの人っていうくらい髪長いし..)


朝乃「それにしても視線凄くない??こっち」


美紗「私じゃなくて柚夏だよって言いたい

   ところだけど、九尾は可愛いからなぁ」


美紗「多分どっちも目立ってる」


生徒「今、起こったことを言うぜ。私達は

   眼の前でリアル物語を体験しているわ」


生徒「ファンタジー過ぎて、私達近寄れ

   ない...」


となんか生徒の間に距離がある。


美紗「ん??」


朝乃「2年生は演劇するから、良かったら見に

   来てね。後半と前半でお話が違うん

   だよ」


柚夏(晴華さんの演技も気になるし興味

   あるな。流雨がどう活躍するかも)


柚夏「交代時間もあるし見に行きます」


美紗「えー、私当番なのに良いなぁ柚夏」


とかやってると急に晴華さんがこっちに急いでやってくる。はぁはぁ、と息を荒げながらこちらに近付くと


晴華「王子役の子が怪我しちゃって、私が

   王子になったんだけど朝乃ちゃん今

   来れる!?」


と、アイドルユニットのような格好をした晴華さんがいた。というかめちゃめちゃイケメンだな、、髪を結っただけなのにオーラがまるで違う。


朝乃先輩「はい!?!?」


晴華「ごめん二人共、朝乃ちゃん借りてくね」


美紗「....、、」


晴華「二人共よく似合ってるよ」


と褒めるのも忘れずに朝乃先輩の手を握って小走りして行く晴華さん。


美紗「はぁ...大変そうだね。」


柚夏「まぁ主役が代わったらね。台詞も

   覚えなきゃいけないし」


柚夏「...流雨ってお化け屋敷とか平気なのかな」


美紗「そこは私が上手く誘っておくから、

   格好良く流雨さんの手を繋いで」


流雨「繋いで...?」


美紗「あ、流雨さん」


柚夏「いや、お化け屋敷喫茶で本気でコスプレ

   してる人が居て怖いんだよ。そっち方面

   に」


美紗「血のりとかね」


柚夏「吸血鬼とかは良いけどゾンビ系は

   ガチだよね。あの人達」


美紗「こわぁ〜い、お化け屋敷の後に喫茶店が

   あるの。2クラス合同で。で、此方は

   おもてなし用の妖怪」


美紗「襲う役と守る役で分かれてるんだ」


美紗「守る側は可愛い子やイケメンだらけ

   だよ」


流雨「へぇ...、凄いこだわり用...」


美紗「その中でも何故か柚夏の狼人気が凄くて

   ね。前と同じ狼だけど、パワーアップ

   したゆずかーさんだよ」


美紗「今回は送り狼」


流雨「髪卸した姿も可愛い」


柚夏「可愛い///!?!?私が///!?」


美紗「髪下した柚夏めっちゃ美人だよ。

   私は白く染めてるけど、柚夏はその

   ままでも普通にかっこいいからね」


流雨「こんなことしている間にも

   そろそろ演劇の時間...。演技はあまり

   得意じゃないんだけど」


流雨「午前と午後で人が変わるから行くなら

   今のうちだよ」


美紗「晴華さんが王子様に代わったみたい

   だし、モデルさんの演技も気になる

   よね」


美紗「将来は女優になりたいって言ってたし」


美紗「私は此処で一旦お別れだけど

   演劇の感想、聞かせてね。待ってる

   から」


と、屋内の運動場に行くと演劇部と2年生合同の演劇が始まっていた。


じーっと言う後と共にプロローグが始まる。


柚夏(というか雨宮先輩とか喜んで王子様

   約とかしそうなのに、モデルさんなんだ

   な...)


柚夏(後半で出るのかな。そっちの方も見て

   おきたかったんだけど)


 大まかにあらすじをまとめると、主人公の母親は何故かどうしても裏庭にあるレタス畑のレタスを食べたくてしょうがなかった。


 そこでお腹にいる赤ちゃんのためにもそのレタスを取ろうとしたのだが、その畑は猫耳魔女の畑でした。


 その引き換えにと猫耳魔女は無理やり生まれた子を奪い去ってしまったのです。そしてラプンツェルは鍵も出口もない高い塔に閉じ込められて育ちました。


 猫耳魔女に頼まれて主人公のラプンツェルはその長い髪を使って猫耳魔女を部屋へと招き入れます。その様子を見ていた王子様が


 「髪を垂らしておくれ」と言われ。それが猫耳魔女ではなかった事に驚くラプンツェル。


 突然王子様と出会い、その美しさにメロメロになってしまうラプンツェル(朝乃先輩)


 それに嫉妬した猫耳魔女はラプンツェルの髪を切ってしまいました。


 そこで猫耳魔女はラプンツェルのふりをして王子にこう言います。「残念だったね。あの娘はもう居ないよ遠い高原に捨ててしまったからね」


と、その言葉に絶望した王子は塔から飛び降りてしまいます。そしてその時魔女が育てていた茨が王子様の目に刺さり


 王子様の目は見えなくなってしまったのです。そして何年か荒野を捜しそこで歌を歌うラプンツェルと出会いました。


 そして、ラプンツェルの涙が王子の目元に掛ると不思議と王子様の目はいつもと変わらない目に戻っていました。


 王子様はラプンツェルを国に連れて帰り大勢の人から祝福されながら余生を果たしましたとさ。という感じの内容だった。


パチパチと拍手が巻き起こる。


 朝乃先輩がラプンツェルで王子様に会った時のリアクションがリアルで、晴華さんのアシストもあってか最後はとても良い演技で終わった。


 ラプンツェルを喜ばすための晴華さんの小粋なジョークも凄かったし、猫耳魔女は流雨で演技も結構のりのりで凄かった。


 晴華さんが荒野からラプンツェルを見付けた時の涙は彼女が女優をやりたいと言ってたのもあるためか、凄い心を揺さぶられた。


 本当に好きだからこそ見ごたえがあるというか最後の最後でキスしたシーンは本当に見ごたえがあった。


というか見ててほっこりするくらい可愛かった


柚夏(最後の髪を切ったシーンどうやって

   やったんだろ)


 恋愛嘘ばかりだと思ってたけど、こういう恋愛の形もあるのかなって。やっぱりファンタジーは良い恋愛するなぁ。


柚夏(あとで美紗にも話しに行こ)


と、次は私達の番だ。そろそろ帰らないと


※スライド


長く尖った爪でゾンビ共を蹴散らし、「大丈夫ですか、お嬢様」とお客さんに駆けつける。


??「随分とイケメンな格好だね...こんな

  格好をさせられてる私への当て付け...?」


??「私の格好を笑うといいよ...あーっはっは、

  って」


と銀髪の少女が応える。今回のお客様はちょっとナイーブなようだ。


柚夏(うーん、演劇で嫌な役にでも当たった

   のかな。それにしても可愛い人だ)


柚夏「何があったかは分かりませんが、私が

   お嬢様を笑うことはけしてありません」


柚夏「ですので、ご安心下さい。私は、

   あなたの味方ですよ」


柚夏「お嬢様は私と一度お会いした事が??

   我々妖怪一同は長く生きてますから、

   覚えておらず本当に申し訳ございません」


??「私だよ...」


と、可愛い声で女の子は言う。


柚夏(いや、マジで誰。こんな可愛い知り合い

   流雨以外に居ないんだけど...)


??「こんな格好で、言えるわけ無いでしょ...

  っ///、、」


柚夏「もしかして...雨」


いや、でもあの人こんな可愛い口調じゃないしな。...気のせいか、多分生徒の誰か


??「私だって、そんな格好したかったよ...」


??「でもジャンケンで負けたんだよ...。

     仕方ないでしょ...」


??「次の演劇、見に来たら殺す...////!!!」


柚夏(いきなり物騒な言葉...っ!!、、)


柚夏「私(わたくし)は此処に居ますから

   安心して下さい。お嬢様」


というか午後の担当だから此処にいるしかないんだけど


??「可愛い子を見に来たのになんであなたなの」


柚夏「そのような古都を申されましても...、

   宜しければ私より強い妖怪に援護させ

   ましょうか??」


??「いや、もう時間がないから良いよ」


とその少女は紅茶を飲むと、立ち去ってしまった。


柚夏「何だったんだ一体....」


美紗「柚夏殿、こーたい、こっちも助けに来て」


柚夏「畏まりました。今そちらに向かいます」


柚夏「よく耐えましたね。美紗」


柚夏(って、流雨!!、、)


美紗「後は宜しく。先輩」


柚夏「最後までが戦いですよ。美紗」


美紗「いえいえ、お二人方は二人っきりが

   良いと思いまして」


柚夏(ほんとに狐になりきってるな、、この人!!)


柚夏「分かりました。後は私が守りますから

   美紗は休憩でもしておきなさい」


柚夏「戦いっぱなしで大分疲れたでしょう」


美紗「ありがと、先輩♡」


さぁ、二人っきりだどうする


と生徒の人達も心なしか、なんか気合入ってるんだけど。


柚夏「お嬢様、お下がり下さい。お嬢様は

   必ず私が守って見せます」


と、写真を撮る流雨。


柚夏「お嬢様...、写真は恥ずかしいのであまり...」


流雨「いや、髪下ろした柚夏格好良かったから...」


そんなしょぼん顔されても...。


柚夏「他の方には見せないで下さいね。」


座敷童子「後ろの方がつかえてるので早めに

     お願いします(小声」


柚夏「あ、はい(小声」


 人によっては写真をめちゃめちゃ撮られるのでどの時間に誰がやるとか分からないようになってるんだけど、なんか私の時間予約多くない!?!?


でも、折角だから流雨に楽しんで貰いたいし。「はっ...!!、」と玩具の刀で敵を切り刻む


柚夏「他の妖怪の気配も消えましたし、これで

   一安心ですね。お嬢様」


柚夏「さぁ、ゆっくりティータイムをお楽しみ

   下さい。」


流雨「じゃぁ、ココアで」


柚夏「先程の演劇、大変素晴らしい物でした。

   そんなお嬢様に出会えて光栄でございます

   」


流雨「まぁ、そんな私も魔女なのだけれど」


柚夏「こっちに参加する??」


流雨「んー、忙しそうなら良いよ。」


と一緒に大体の説明を聞き一緒に戦う事になった。というか後ろに最新のプロジェクター付けて魔法のクオリティーやば...


流雨「此処は私達が敵を一層します」


流雨「数多なる生きとし見えざる者よ。その

   力を我に与え、大地に祈りを捧げん。

   ファイアーヴォールッ!!、」


どかぁあぁぁん、、


生徒「きゃー///、、凄いクオリティー!!」


柚夏(私達って傍(はた)からそう見えてる

   のかな...まぁ、何にせよ流雨が楽しそう

   で良かった。)


柚夏(というか私いらなくない...??)


※キャプション

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