お菓子勝負とおかしな勝利【ゆずるう】


柚夏「私って甘え足りないのかなぁって...。」


美紗「急に何を言い出すの」


柚夏「流雨と水族館に行ったんだけど、

   お母さんの影と重ねてるって言われて...」


美紗「それは仕方ないよ。」


美紗「過去は変えられないからね」


美紗「それよりも 柚夏が甘える姿は想像

   出来ないなぁ」


柚夏「でしょ。甘えるには歳を取りすぎて

   しまってるんだよなぁ...」


美紗「私達一応高校生なんだけど」


美紗「柚夏は誰かに甘え足り無いというか、

   他人に対する"見栄えストレス"が

溜まってる気がする」


柚夏「見栄えストレス??」


美紗「他人に良い風に見られたい願望。」


柚夏「そんなの誰でも持ってるでしょ」


美紗「少なくとも私は持ってないかなぁ」


美紗「というか 柚夏はもっと自分に自信を

   付けた方が良いんじゃない??」


柚夏「それ、流雨にも言われたんだよなぁ...。」


美紗「ってことはそこが直さなきゃいけない

   ポイントだね」


柚夏「直さなきゃいけないポイント、ねぇ...。」


美紗「そういえば、樹理さんが柚夏の事

   呼んでたよ」


柚夏「副会長が??」


美紗「ちょっと遅くなっちゃったけど、海の日に

   料理対決がしたいって」


柚夏「ちょっとって、海行った日って8月だよね??

   今10月だよ」


美紗「中々言う機会がなくて...。柚夏携帯

   持ってないし...」


柚夏「えぇ...、、でも料理対決って。

   私調理部でも何でもないんだけど」


美紗「ファミレスでアルバイトしてるじゃん」


そしてお昼休憩後、調理室に向かって歩く。なんか美紗曰く副部長が私に用事があるそうだ


柚夏(うーん、人の気配がする...。何か

   作ってるのかな)


 とガラガラとドアを開けると調理室から「どうや、流雨はん」という声が聞こえてきた。


柚夏「流雨、」


流雨「前はギクシャクしてしまう話をして

   ごめんなさい...。それでも柚夏に

その事を伝えたかったの...」


柚夏「...正論だから別に良いよ。私の方も

   依存症なところがあると思うし」


柚夏「早く直す機会が出来て良かったよ」


流雨「にゃん」


柚夏「...。...え?、」


流雨「なんとなく」


柚夏「なんとなくって、」


 なんとなくで「にゃん」と鳴くほど可愛い顔してるんだよなぁ...。多分他の人がやったら何してるんだろうと思うけど


 流雨がやるからお茶目感はある。私だったら絶対真似しないけどね...。


柚夏「というか、猫耳」


奈実樹「ハロウィン祭で付けてく奴やって」


柚夏「それを付けてるの可愛い...」


流雨「猫耳だけだけど...。柚夏に可愛いって

   言ってほしくて」


柚夏「うっ...、、」


柚夏「猫娘だとしたら袴とか可愛いんだろう

   なぁ...。ちっちゃくて、可愛い...」


柚夏(こういう発言もキモいのかなぁ...。)


 依存しちゃいけないのに、そういう言葉が出てきてしまう。というか依存してるのとしてないのの違いがよく分からない...


奈実樹「真面目過ぎるんも、身体に毒やで」


柚夏「あ、どうも...」


奈実樹「たまには本音を出すのも良(い)

    いな。」


柚夏「本音を出すのにも結構勇気が

   いるんですよ...。依存してるのとして

   ないのって何が違うんですかね...」


奈実樹「相手によるとしか言えんなぁ。」


奈実樹「依存されたい人もおるし、逆に

    依存されるのが嫌な人もおる。

    相性の問題やな」


奈実樹「でも、わざわざ自分を変える必要は

    ない。無理に付き合う必要もない」


柚夏「でもそうしないと嫌われちゃうし...」


奈実樹「...自覚がないっていうのもあれやな。」


奈実樹「嫌われない人間なんておらん」


奈実樹「どんなに努力しても、嫌いな人は

    嫌いなまま」


奈実樹「確かに甘えるのにはそれなりの

    勇気がいる。せやけど、そういうのも

    大事やで」


奈実樹「うちは末っ子やからな」


副会長「ナミって滅多に甘えないけどね」


奈実樹「甘えられる事は多くても、自分から

    甘える事はないな」


柚夏「さっきまでの発言、、」


副会長「取り敢えず何か美味しい物でも食べれば

    良いんじゃない?」


副会長「そうすれば元気でるよ。柚夏さん

    ちょっと痩せすぎじゃない??」


副会長「ちゃんと食べてる??」


奈実樹「あれやね。」


と副会長を見る奈実樹さん。


奈実樹「うちは自覚あるで」


奈実樹「樹理が世話好きなの」


と奈実樹さんはルシェルさんを見る。


奈実樹「相手から求められたらしか、うちは

    答えへんからな」


樹理「そう言って色々助けてくれるのが

   ナミなんだよね。"おもてなし"だよ」


奈実樹「分かっとるやないか」


柚夏「お互い大変ですね。」


奈実樹「女性相手は厳しいなぁ...」


奈実樹「後でうちもなんか言われそうやわ」


樹理「ところでどうしてここに来たの?」


樹理「流雨さんを探して??」


柚夏「美紗が副会長と料理対決をしたいって。

   もしかして違ってましたか??」


樹理「あー、海の時の。料理は食べたいって

   言ったけど料理勝負なんて言ったっけ」


美紗「あれ??そうだっけ」


柚夏「美紗」


美紗「こっちに来れば美味しい物食べれると

   思って」


その図々しさが今の私には羨ましいよ。美紗さん...


奈実樹「まぁどっちでもえぇやんか。」


奈実樹「うちの樹理とスイーツ対決と

    洒落込もうか、柚夏はん」


美紗「奈実樹さん結構乗り気」


奈実樹「うちは参加せーへんからな」


樹理「ナミはvery甘党なんだよ。」


奈実樹「コンビニのスイーツは網羅しとるで」


美紗「夏には出来なかったけど、お菓子勝負と

   でもいきましょう」


柚夏「今言うか。」


と、なんやかんや勢いにおされる私。


柚夏「あ...、はい」


美紗が来た時点で料理勝負するのは何となく分かってたけど。まさか本当にやるなんてなぁ...。


樹理「お題は文化祭に出すお菓子。ハロウィン

   とかぶらないようにね」


奈実樹「今丁度考えとったところやからな」


と、言うことで料理対決なんだけど


昼時間にはそんな時間がないし、勝負は授業が終わってからになった。


※キャプション


美紗「審査員です。」


流雨「...同じく」


??「今日はお客さんがいっぱい来てます

  ですね」


と京都で会った巫女さんがいきなり入ってくる。服装が違うと、随分印象も変わってくるもんだな...


 というかこの学校に通ってたんだ。その後ろで前髪の長い少女が隠れるように立っていた。


柚夏(あ、戸亜さんだ。)


代茂枝「...人がいっぱいいる...////、、」


美紗「おー、縁蛇さん久しぶり。代茂枝

   さんも」


代茂枝「あ、...こんにちは...、、」


と、巫女さんの方を向いて話す戸亜さん。目を逸らして顔が真っ赤になってる。やっぱり赤面症なんだな...。


奈実樹「という訳でお菓子対決を行います。」


美紗「わ〜い♡」


流雨「私は良いの?...此処の部活の人

   じゃないけど」


樹理「部外の人の方が新鮮な感想をくれるから

   OKです。それに、流雨さんには餌付け

   してるからこっちに味方してくれるかな〜

   って」

   

流雨「餌付けされてるの私??」


柚夏(というか、それ言っちゃって良いのか...)


流雨「でも勝負は公平...」


柚夏「そりゃそうだ。」


樹理「と、いうわけで負けないよ。海の日から

   随分お預けされてたんだから」


樹理「柚夏さんのお菓子!!、」


柚夏(目的、料理勝負よりそっち...??)


縁蛇「見事に私念が混ざってますですねぇ」


とシャカシャカと卵白を混ぜる先輩。


柚夏(卵白で生クリームとか、大変そう...)


 こっちは普通に戦う気がないので、煎餅でも作ろうかな。と上新粉と砂糖水を混ぜる


柚夏(向こうは甘いの作るみたいだから

   お菓子対決だし、こっちはお煎餅でも

   作ろうかなぁ)


と、熱湯の中に混ぜたものを千切りながら入れ茹でた物を表面がすべすべになるまで捏ねる。


柚夏(普通はこれから天日干しするんだけど

   時間がないので、乾燥機に入れて少し

   待つ)


美紗「何作ってるの?」


柚夏「お煎餅」


樹理「What's お煎餅!?!?、、お菓子勝負に

   お煎餅!?!?」


樹理「好きだけど、」


 その後トースターで焼色を付けながら様子を見て醤油を塗る。その瞬間、じゅわっと部室の中で甘じょっぱい醤油の匂いがした


樹理「うわ、良い匂いー...」


柚夏(醤油を最後に塗って...っと)


※スライド


気になる結果発表は...


奈実樹「普通に美味い。絶対ハロウィンと

    被らん物でもあるし、雛あられとかも

    ありやな」


樹理「色んな色があって可愛いし美味しい

   からね。悔しいけど、お煎餅っていう

   発想はなかったなぁ。」


樹理「あと家ではスイーツばっかり食べてる

   からお煎餅の味が染みるんだよね。

   私の家、三ツ星ホテルだから」


縁蛇「輩先が作ったマカロンも美味しい

   ですよ。」


樹理「ナミが喜ぶからマカロンを作った

   けど、やっぱり美味しい??私の得意

   料理だもん」


代茂枝「...私は、っどちらも良いと思い

    ます...っ、、」


樹理「ありがとっ、代茂枝さん」


代茂枝「い、いえ....」


ルシェルさんの笑顔が眩しい。この人、凄い笑顔が可愛いんだよなぁ。もうこの人が作っただけで価値があるって感じ


私の適当お煎餅より...。


煎餅、マカロンと並んで選ばれる。残るは美紗だけど...餌付けしていた私のお煎餅と先輩のマカロン彼女はどちらを選ぶのか


美紗「優勝者は、、マカロンとお煎餅ですっ!!」


柚夏「えー、そんなのあり??」


美紗「だってどっちも美味しかったから。

   甲乙付け難いよ。お煎餅はお煎餅で

   美味しいし、」


美紗「マカロンはマカロンで美味しいし」


流雨「私もどっちも好き。樹理先輩も柚夏も」


樹理「はい、優勝!!、、流雨さんが優勝っ!!」


樹理「可愛さ選手権」


お菓子対決勝負はどこかに行ってしまったけど、皆でおやつを楽しそうに食べる光景を見て。これが一番の賞金だなって。思った


奈実樹

「マカロンもえぇけど、甘いのはしょっぱいのに合う。というかマカロンなら尚更ハロウィンの方やろ」


樹理「それはそうなんだけど...やっぱり一番の

   得意料理って言ったらマカロンで...」


流雨「マカロンの後に食べると美味しい」


奈実樹「確かにマカロンとしては流石樹理

    やな。旨いで」


樹理「やっぱり勝負事は難しいよ...。」


奈実樹「勝負事はテーマや時事問題が掛かって

    くるからなぁ。どうしてもそっち方面

    に行ってまう」


奈実樹「うちらに足らんのはそういう空気

    なんやろうなぁ...」


奈実樹「こうやってほっこりする終わり方も

    悪(わる)ないな」


奈実樹「なぁ、本当に調理部入らんか??」


柚夏「バイトの時間とかぶるので...それは...」


奈実樹「そか。それは残念やわぁ。まぁ、

    たまにはうちらの硬い頭を助けてやって

    貰うと助かるわぁ」


奈実樹「その代わり悩みでもなんでも聞い

    たるで」


柚夏「ありがとうございます。」


奈実樹「まぁ、深く考えんようにな」


※キャプション


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