第十部「"ADHD"という病気」【ゆずるう】

柚夏「"ADHD"...?」


聞いたことない言葉だな...。なんだそれ...


流雨「外に行こう。此処だと人の目がある」


 そう言って下駄箱の靴を履いて急いで外に出る流雨。わりと早い流雨の後に付いてくと、せせらぎが聞こえる池がすぐ側にあった。


流雨「穴場。個人的に好きな場所」


 小さな少女は眠そうな顔をしながら、赤にもオレンジにも見える橋の上に座る。私もそれに便乗して流雨の隣に座った。


 ...流雨が落ちたら掴めるようにすぐ近くに寄る。なんか、落ちそうなんだよな...場所が

 

 池に落ちるなんてありえないと思えない所が流雨らしいところだと思う。すぐに首根っこを掴めるようにしないと


 ...というか。今にも 色鉛筆を落としてしまいそうだった。


 さり気無く、流雨の色鉛筆を下げておく。


流雨「『ADHD』って言うのは

   (注意欠如・多動性障害)のこと」

流雨「ADHDはさっきみたいにネガティブ

   な人だと特に誤解されやすい障害。

   "言葉足らず"っていうのかな」

流雨「ポジティブな相手だと別に誤解

   されないんだけど、柚夏みたいに

   【被害妄想】が強い人は特に...」

流雨「変な風に捉えられて誤解される」

流雨「"別にそんな事思ってないのに"」

柚夏「ごめん...流雨はそう思って

   ないのに」

柚夏「私の勘違いで...」

流雨「そう聞こえてしまったのなら

   仕方ない。ただ"また誤解される"のが   

   嫌だからそう言ってるだけ」

流雨「人は言わないと分からないから」


柚夏「流雨ってほんとは喋るの好きなの?」

流雨「まぁ...好きだね。ただ誤解される

   事が多いからあんまり話したくないだけ」

流雨「話も長いし。人と喋るのは疲れる」

柚夏「私と喋るのは...嫌じゃない?」

流雨「柚夏は喋るより聞き手って感じだから

   別に むしろ柚夏は私の話を長いと

   思わない??」

柚夏「思わないよ」

流雨「そう...」

柚夏「流雨って結構"そのまんま"

   信じるよね」

柚夏(別に嘘ついてる気はないけど)

柚夏「私の言葉を疑わないの?」

流雨「"声"で分かる」

流雨「嘘や隠し事をしてる人は『声』に

   ブレが生じるから。"嘘じゃないな"

   って言うのは分かるよ」

柚夏「凄いね」

流雨「別に普通だよ。他の人が目を見て、

   相手の感情を判断するのと同じ」

流雨「私だけが凄い訳じゃない。人の目を

   見れない代わりに"音"で判断してる」

流雨「ただそれだけ」

柚夏(普通はそこまで人の感情を気にして

   ないんだよ。人が怒ってようがどう

   でもいいって人ばかり)

柚夏(自分が怒られてる訳じゃないから)

柚夏(寧ろ責任逃れからこっちに飛び火

   するんだよな)

言わなきゃ伝わらない世の中


柚夏「『...空気が読める』って事か」

流雨「いや、空気は読めないよ」

流雨「空気が読めたら"誤解"なんて

   起こしてないね...?」

柚夏「怒られてもまぁ仕方ないなぁ

   くらいしか思わないな...。人の怒る

   ところなんて分からないし」

柚夏「それこそ、自分のせいじゃなくても

   その人の《機嫌が悪かった》とかで

   怒られる事もよくあるし」

柚夏「そういう人には 近付かない方が得だよ」



流雨「なんで自分のせいじゃないのに

   怒られなきゃいけないの?」

柚夏「言うのがめんどくさいからかな」

柚夏「どうせ分かってくれない。言った

   所でめんどくさい顔されるだけ」

柚夏「"そういう人だからしょうがない"」

柚夏「我儘な人の方が得する世の中だよね」

柚夏「...人生、言ったもん勝ち」


 ...それがこの世界の"常識"。アニメや漫画のような優しい王子様なんて実際には存在しないし


  困ってたら助けてくれる人も、"ただ"より高い物はない。


柚夏「注意欠如・多動性障害、か...」

柚夏(まぁ確かに注意力はないのかも...(さっき

   色鉛筆落としそうだったし)

柚夏「それは"病気"なの?」


 精神障がい者って結構あれなイメージあるけど。電車の中で一人で喋ってたり急に廊下で大声出してパニックになる人とか


柚夏(流雨は別にそんなイメージないんだけどね)

柚夏(『普通』の人と何も変わらないし)

柚夏("そういうの"って普通にあると

   思うけど)


柚夏「テレビとかで出てくるよね。急に

   暴れたり大声出したりする人」

流雨「"発達障害"と"知的障がい者"とは違う。」

柚夏「知的障がい?まぁ...確かにそっち

   のは聞いたことあるかも」

流雨「分かりやすく言うと、知的障がいの人

   は文章とか会話の理解力に乏しかった

   り 学力の方面で苦脳してる人」

流雨「『頭が子供のまま大きくなった』

   みたいな。そういう"脳機能"の障がい」

流雨「大きな事故にあったり脳が凄い

   傷ついたりすると急に"そうなる"人も

   いる」

流雨「私は発達障がいだからその辺は

   詳しくないけど」

流雨「『発達障がい』はどっちかと

   いうと、人の"付き合い"の面において」

流雨「怒られたり繰り返しミスしたり、

   話しすぎで相手を疲れさせたり」

流雨「 逆に言葉足らずで"日常生活"に支障を

   きたしてる人のことをいう」


→A.普通の人と変わらないよと励ます

→B.流雨を発達障がいだと受け入れる



→A.普通の人と変わらないよと励ます

   好感度10%↓

(流雨は気に入らない選択肢を露骨に

 嫌がるので分かりやすいです。受け入れて

 聞き入れるのが上がりやすい)

 ★上がった時は好感度が上がる音がする


※好感度があるシーンで一定以上超えてない

 とBADエンドにいきます


柚夏「でも流雨は普通に話が出来てると

   思うけどな。"病気"とかそういうのじゃ

   ないんじゃない??」

流雨「...実際そういう診断が出てるからね」

流雨「"そう"言われても困る...」

流雨「柚夏がそう思うならそれでいいけど」

流雨「でも、私が"普通"の人ならさっき

   みたいな事は起こってない」

柚夏(主語が足りてないだけな様な気も

するけど...)



→B.流雨を発達障がいだと受け入れる

  好感度10%↑

柚夏(お母さん程は酷くないけど、流雨も

   流雨で大変なんだな...)


※流雨が無言で反応する。立ち絵のみで

 言葉なし(ちょっと興味持ってくれる)



流雨「..."こういう事"が起こったのも一回や

   二回じゃない。相手を誤解させて

   怒らせた事が『何度』もある...」


流雨「私は...『そんな風に思ってないのに。』」※気にしてるので2回言ってます

流雨「人はニュアンスが少し違うだけで、

   全く別の意味に捉える」

流雨「頭が良いのか 悪いのか」


 流雨の言葉には不思議と"皮肉"を感じなかった。ただ誤解されるのが悲しいだけで


 そう言われるのが"当たり前"とでも言うように。流雨の世界は冷えきっていた


流雨「絵描いた方が良いよ。描く時間がなくなる」

柚夏「あ、うん...」


流雨「『ADHD』は病気といえば病気。精神の

   障がい手帳もあるし。でも病気と違って

   "直らない"」

流雨「"発達障がい"は」

流雨「最近は『神経発達障がい』って

   呼ばれてるみたいだけど」

柚夏「治らない...?」

流雨「一生誤解はするし、されるし

   もうなんというか『疲れた』と

   いうか...」


流雨「人付き合いもめんどくさい...。

   社会に出たくない。でも出ないと

   生きていけない...」

柚夏「だからって死んじゃ駄目

   だよ。」

流雨「別に死なないよ」

柚夏(雨降ってるときに外で寝ようとしてた

   のに...?)

流雨「まぁ 確かに死にたいって思った事は何度も

   ある。...このまま溶けて"失くなりたい"と」

流雨「でもそんな事は"出来ない"。元はといえば

   生命は自然が作り出したものなのに」

流雨「"逆"は出来ない」

流雨「痛いのはやだし。死ぬのは、まぁ

   未練はないけど...怖くない?」

流雨「あの時はただ自然と一つになりたかった」

流雨「何も考えずに ただ土に還りたかった」

柚夏「.....。」

流雨「柚夏はなんでそこまでして私に死んで

   欲しくないの?」

柚夏「...お母さんが死んだから。」

柚夏「自殺したの。

   父さんに裏切られて」

柚夏「浮気で」

柚夏「本当に大好きだったから。専業主婦

   だったから 社会に出た事がなくて、中々

   採用して貰えなくて」

柚夏「やっとの思いで入社しても

   パートの人や女の人には"色目を

   使ってる"って」

柚夏「母さんは綺麗な人だったから」

柚夏「だから私はちゃんと学校を

   卒業する。そして、誰にも頼らず

   生きていく」


柚夏「生活保護も申請も中々通らなくて、自分が

   居なくなれば生活費が降りるって...

   思ったみたい。」

柚夏「別にそんなのいらないのに...」

母さんさえ生きてれば


柚夏「父さんも日が経つと教育費を渋る

   ようになって。中々くれなくなって」

柚夏「ちゃんと責任とれよって話

   だよね。浮気したのは父さん

   なんだから」

柚夏「女の人に言われて渋るなんて

   ほんと...」


 人魚のオブジェに、赤い梯子...。それから、木から落ちる葉っぱとか...それらの部分を拾い合わせて下書きを完成させる。


柚夏(仲良くなったばっかの人に聞かせる話

   じゃないな...。)


流雨「私より 全然重くて凄いね。

   よくそれでやっていけたものだ...」

流雨「真面目な顔でADHDとか言った

   自分が恥ずかしい。」

柚夏「いや、別に恥ずかしがらなくて

   いいよ。私が『重すぎる』って

   だけで」

柚夏「流雨は何も悪くないし」

柚夏「ただ父親がほんとにクソなだけで...」

流雨「泣きたかったの?」

柚夏「えっ...」


流雨「私のハグをあげよう。私は個人的に

   抱き締められるのが好き」

流雨「まぁ 抱き締められたことないけど」

流雨「これで元気が出るはず...」


 身長差で、なんか、私が流雨に抱きしめられてるみたいだけど、、普通、初対面の人にこうやって抱きしめる///!?!?、、


 いや、まぁ...、、『嫌』ではないんだけど...、、


柚夏(えー、やだ...そんなの

好きになっちゃう...。※友達として)


柚夏(いやいやいやいや....っ、、母さんと

   の事を忘れたのか、私、、誰も信用

   しないって言ったじゃん、、)


柚夏(あっ... でも...)


 ...なんか今まで抑えてきた嫌な気持ちが全部、洗い流されそうで


...少しだけ 泣きたくなった。


柚夏(最近の女子高生って皆

   こうなの...??、、こう誰も分からない

   ような人にぎゅっとするの???)

流雨「柚夏が嫌ならやめる...」

柚夏「いやっ、でもこのままは色々まずいん

   じゃ...」

風紀的にも、援助交際的にも

流雨「...このまま寝たい」

柚夏「それは駄目だよ、、」

柚夏(授業的にも、節操的にもっ////!!!!!、、、)


流雨「.....」※寝てる

柚夏「流雨////!?!?、、流雨っ!!!、、」

流雨「...そのまま寝させてくれても良いのに...。」


猫がぎゅっと丸くなるようにそのまま崩れ落ちて膝枕する流雨。ほんとに気持ちいい事に対して貪欲である


柚夏「今は『授業中』だからっ///!!!!、、」

流雨「ADHDは疲れやすいから...」

流雨「極力力は抜きたいんだよ...。

やっぱり椅子に座るより

   人肌の方が良(い)い...。」

柚夏(此処に連れてきたのそれ

   目的!?!?、、可愛い顔して

   人を"使う"のがうまい...、、)

流雨「...スカートはちょっとゴワゴワ

   するけど」

柚夏「だから///、寝ないでっ/////!!!!、、」


柚夏(流雨は私を膝枕にしたいだけでっ、

   私の事とか別に何も思ってない

   からっ、、此処は※分別(ふんべつ)しないと...///。)

柚夏(無(む)...無を極めろ、、私、、、)


※勘違いしないで常識的な慎重な考慮・判断をすること


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