橘晴華×篠崎朝乃×橘麗夜【晴朝夜ルート】
第1明「晴華ちゃんとの出会い」【朝晴】
特に好きなこともなくて、どこまで経っても普通の人間。それが今までの私だった。
...普通の友達、普通の日々。変わり映えのない普通な人生。
それが良いことなのか悪い事なのかも分からない。けど、少なくともそんなに悪い人生ではなかった気がする...。
「ワァァッァアア、」
お父さんのライブの歓声。それが私のかつての"憧れ"だった。幼いながらも覚えてる"父"との記憶
「さんが、死去しました」
「死因は病死による脳血管疾患で」
だけど、その記憶は日が過ぎ去っていく度に手にとった砂時計のように崩れさっていく。
私もあんな風にキラキラした存在になれるだろうか。小さい頃はパパのマイクを持って家族の前で歌ってそんな事ばかり考えていた。
朝乃(でも、私とパパとは違う...)
特に優れた才能もなく、人前で歌うことも無くなったのに。ただお父さんが歌手だからという理由でルネミア学園に入学した。
歌を歌うのが好きで人前に出たい訳でもなんでもない。ただ お父さんの生まれてきた意志を私が継ぎたいと思った
二年生になったら歌手の道を選ぼうと
朝乃(...今日もつまらないな、)
朝乃(何か人生が変わるような出来事が
あれば良いのに)
ママ「そんな動画ばかり見てないで
たまには外に出なさい」
朝乃「歌を聴くのも大事でしょ。」
朝乃「最近のトレンドとか」
ママ「たまには外に出るのも大切よ」
ママ「スマホは便利だけど、何か良い出会いが
あるかもしれない。」
ママ「お母さんも用事があるから、一緒に
行く??」
朝乃「そういうのはいい、行くなら一人で
行くよ。忙しいんでしょお仕事」
ママ「こういうのはね。切っ掛けが
大事なのよ」
朝乃「なにそれ」
そうして、母親から握手券を貰った。ママが言うにはその子が今の担当の人みたいで、凄い良い子だから見てほしいとの事だった
朝乃「あんまり、気が乗らないなぁ...。」
朝乃「だってママの担当の人でしょ」
ママ「若い子だから。見たらきっとびっくり
するわよ」
朝乃「そんなに??」
朝乃「だってモデルさんって、選ばれた人
だけがなれる努力の塊みたいな
ものじゃない??」
朝乃「そんな人に会って良いのかな...しかも
握手券とか」
ママ「良いから早く行って来なさい」
ママ「生の握手会は結構違うわよ」
朝乃「んー...分かったよ。ママがそこまで
言うなら行ってくる...」
と、重い腰をあげてスマホを置いて外に出る準備をする。
朝乃「まぁ勿体ないしね。握手したくても
出来ない人もいるかもしれないし...」
ママ「晴華ちゃんはそんな子じゃないって
分かるから」
朝乃「髪の毛、大丈夫??」
ママ「大丈夫よ」
というのも、私は昔から毛の先だけが長い生まれながらの先天性白毛症で
そのお陰で"犬みたい"だって周りから言われるのを凄い気にしてる。大型犬みたいで話してて楽しいって言われるけど、それ別に褒めてないからね
朝乃(中学の頃は染めてないかとかお父さん
譲りだねって散々言われたものだけど、)
朝乃(この髪、あんまり好きじゃないのよね...)
※スライド
朝乃「やっとついた。案外近かったな...」
長い白髮がちらっと見える
ビュオォォ、
朝乃(...そう言えば台風近かったっけ。髪も
ぼさぼさになるし、嵐の日によく来れる
よな)
会場に行ってみると、そこには真っ白の髪に兎のように紅い瞳を持つ女性がいた。私と同世代の子らしいんだけど
その姿を見た瞬間、言葉が止まった。
朝乃(なんてサラサラな髪なんだろう。白い髪に
赤いルビーの瞳が兎みたい...)
朝乃(普通白髪ってそんなに光らないんだけど
この人のは凄いピカピカしてる...。)
朝乃「...それって、白髪ですか」
朝乃「あの...。染めたりとかって...」
生まれながらの先天性白毛症だから分かる。この髪は"染められて作られたものじゃない"と
朝乃(私よりずっと重い症状だ...。)
朝乃(何か酷いショックな事があると人は
髪が白くなるって言うけど...まさか、ね)
モデルさん「やっぱり分かるかな。地毛なの」
と髪の毛を触りながらそう言うモデルさん
モデルさん「貴女の髪もとっても素敵」
朝乃「この白髪って...」
朝乃「そんなに綺麗になるものなんですか」
朝乃(こんな綺麗な白髪、見たことない...、、)
朝乃(どうやってお手入れしてるんだろ。)
モデルさん
「残念だけど、その時の記憶はないんだ...。
私、記憶喪失で小さい頃の記憶がないの」
モデルさん
「でも少しでもコンプレックスを抱いてる人に届けば良いなって」
朝乃「そ、そうですか...、、」
朝乃「じゃ、じゃぁ」
モデルさん「ちょっと待って」
朝乃「え」
モデルさん
「貴女の髪も本当に綺麗。きちんとお手入れ
なさってるんだなって思います」
モデルさん「可愛い髪の毛ですね。」
...私はその日、天使と出会った。
※キャプション
朝乃(あの子の事が気になって仕方ない、、)
朝乃「橘...晴華、橘...晴華っと」
と何となくあの子の事が気になって雑誌を買ってみたり。同じシャンプーを使ってみたり、なんやかんやあって すっかりあの子の事を好きになっていた。
ママ「なんか最近小綺麗になったわよね。
お部屋はそのままだけど、好きな人
でも出来たの??」
ママ「ネイルとか」
朝乃「別にそんなんじゃないわよ。」
朝乃「でも、最近あの子雑誌によく出るように
なったよね」
朝乃「ママの担当の子。」
朝乃「最初はラジオだけだったのに」
ママ「あら、晴華ちゃん??」
ママ「だから言ったでしょ??あの子は普通の
子とは違うって」
ママ「仕事も出来るしコミュニケーションも
完璧。高校生とは思えない、あんな
出来た子中々居ないわよ」
ママ「推しが出来ると明るくなるわよね。」
ママ「ママも昔はあの人に憧れて、テンパった
ものよ」
ママの仕事の関係で雑誌を貰って読んでるんだけどこの子、雑誌の中でもかなり目立つんだよね。白い髪に赤い瞳はその中でも童話の中にいそう
っていうか着こなしが彼女の白い髪によく似合う。
朝乃「白い髪だとどんな服でも似合うよね」
朝乃ママ
「あなたの髪はピンクだものね。いい意味でも悪い意味でも似合ってる」
朝乃「それってどういう意味」
朝乃ママ「今日も朝ごはん食べといて」
朝乃(忙しそうだなぁ...)
※スライド
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