鐘鏡奈実樹×樹理・シェリー・ルシェル【なみじゅりルート】

第1品「寂しがり屋の女の子」【なみじゅり】


「おい、やめろ。あんさんの髪も引っ叩いたろうか」


「痛たた、やめて。分かったよ、もうしないから」


「綺麗だから触ってたの。それで段々欲しくなっちゃって」


「だからって引っ張るな。痛いやろ」


「分かった。分かった。もうしない、、」


「樹理・シェリー・ルシェル。パパは私の事ルシエルって呼ぶの。天使みたいに可愛いからって」


「漢字で書くと、こう...。」


「樹理言うんか、樹の字がうちと一緒やな」


「あっ、ほんとだ。」


 その子の黄金の髪と碧眼の瞳は本当に天使と見間違う程可愛い見た目をしていた。


「私"樹理"って呼ばれたい...。」


「日本名が良いのか」


「だって皆と一緒だもん。」


「そうか。」


「でも、海外のお菓子の方がうまいで」


「じゃぁ...私も奈実の事"ナミ"って呼ぶね」


「大きくなったら結婚しようね。ナミ」




...久しく、懐かしい夢を見た。


奈実樹「朝か、朝が来るんはあっという間

    やな...。」


樹理「え〜、この食材はこうやってSweetsだと

   分量が多過ぎるから。気を付けて」


奈実樹(それにしても、図体だけはデカく

    なったなぁ...昔は天使やと思っとった

    けど今は精霊みたいやな。)


と、明日の料理体験教室のデモンストレーションをする樹理。その様子を見ながら隣で材料を準備する。


主に裏方の仕事をするのがうちの仕事や


奈実樹(樹理が部長やからな...まぁ別に、

    部長になりたい欲もないんやけど。)


奈実樹「レモンとか混ぜてパイにした方が

    安うなるな」


樹理「うーん、確かに林檎のパイよりジャムの

   方が安く済むかも」


樹理「パイ生地が高いんだよねぇ...」


奈実樹「食費を削りたいなら"食パン"を使うのも

    手やで」


奈実樹「ジャムは100円くらいやから、果実より

    全然安いからな。でもたまには

    ちゃんとした林檎パイもありよな」


奈実樹「パイ生地をタルトにして2つ作って

    みたらどうや」


樹理「それはNiceアイデアだね。ナミ」


縁蛇「予算が決まってるので、たまにしか

   使えないのですよ」


縁蛇「それにしても食パンパイですか...」


縁蛇「個人的には気になりますけどー、

   なんか安っぽくないですか」


奈実樹「まぁ大きなデカいパイも夢が

    詰まっとるけどな。以前、先輩方が

    作っとるで別枠にしたいんよ」


奈実樹「...胸のことやないで」


縁蛇「ただで沢山美味しいものを作れると

   思ったのに、世の中世知辛いものですね」


奈実樹「ちっちゃいパイも安くて美味しい

    けどな」


奈実樹「だから胸の事やないで」


と、此処は調理部。次の料理教室のスイーツを作っとるんやけど...まぁ、部費以内に作らなかんで色々苦労しとる。


樹理「栄養計算、難しいよ〜」


奈実樹「この時期は特に忙しいからな。まぁ

    慣れやな、慣れ」


樹理「数字苦手...」


奈実樹「というか一日野菜350gとか普通の生活

    やと無理あるやろ」


奈実樹「サプリメントとかで摂った方が

    良くないか??」


樹理「それだと添加物が気になるよ」


奈実樹「それ言ったら何も食べれへんで」


樹理「こっちは寒いからあんまりお野菜を

   食べないからねぇ。日本人はそんなに

   いっぱい食べるんだ」


奈実樹「と言っても樹理、日本生まれやろ」


樹理「ちっちゃい頃はスウェーデンによく

   いたし、たまに帰る時だってあるよ」


樹理「家では英語で喋って、スマホで文章を

   書く時はスウェーデン語。」


樹理「日本語で話す時は日本語。」


 というこの精霊のような少女は、樹理。小さい頃からの幼馴染やな。昔同級生が樹理の髪を引っ張っとったから


 どちゃくさ怒ったったらめちゃめちゃ懐かれたんやけど。正直、子狐みたいで可愛良いのはえぇんやけど"何故うちなんやろうか"


奈実樹(うちみたいなぱっとしない女より、いくらでも樹理なら選び放題やろ...。)


 あの頃は虫を取ったりザリガニ釣りをしたり楽しかったなぁ。


 樹理は嫌がっとったけどそれでもついて来てくれた。


でも今はちょっと距離があるんよな。それは...


樹理「はい、皆さん星空ゼリーの作り方は...」


 実は樹理、大変皆から憧れとる存在いうか、超可愛いんよな...まあえぇんやけども 樹理目当てで来る輩も多い。


 それがうちとしてはあまり面白くないいうか、"好き"と言われた手前嫉妬しとる自分がちょっとなぁ...。


奈実樹

(どこの男子中学生やねん。好き、言われて

 浮かれて、童貞が依存するのはよくないで)


生徒A「ここってどうやるんですか?」


奈実樹(あかんあかん、今は料理教室中。

    他の人には関係ない。うちの職務を

    全うせな)


奈実樹「あぁ、ゼラチンはだまにならないよう

    先に溶かして混ぜとくんや」


奈実樹「そうするとだまにならんで済む」


奈実樹「こうやってな」


 樹理目当てじゃない大人し目の人は結構こっちに来るんよな。部長だから話しにくいとかやろうか


 まぁ別にそんなんどうでもえぇ。樹理も生徒会やからこっちの方に頼めばえぇのにな


奈実樹(最近あんまり頼られんくなった

    よなぁ...。巣立ちの時いうか、

    そういうのもあるんかな。)


※スライド

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