第13品「二人きりのクリスマスイブ」【なみじゅり】

奈実樹「夜やな」


樹理「クリスマスといったらやっぱり

   夜のイルミネーションだよね。」


奈実樹「そのために此処まで来たからな」


樹理「手、繋いでこ」


樹理「冷たい」


奈実樹「樹理の手は温かいな」


樹理「そのために用意してきたんだ。ほら」


と、厚手の手袋を付けた樹理が微笑みながら長いマフラーを付ける。


はぁぁ、っと息をすると白い息が出でくる


奈実樹「また作ったんか」


奈実樹「手編みなんて。うちでも作れへんのに」


樹理「でも、そういうのって素敵だよね。

   お互いの出来ないとこを補うの」


樹理「こうやって一緒のマフラーで

   歩くのも良いよね」


奈実樹「...ちょっと動きづらいけどな」


樹理「このために長いマフラーを作って

   きたんだよっ」


樹理「お洋服可愛い」


 そうやってお店のショーウインドウを見る樹理。なんか貴族のお嬢様が服を欲しがってるみたいやな


樹理「冬になると可愛い服が並ぶよね。」


奈実樹「入るか??」


樹理「今日は行くとこ決まってるから」


奈実樹「ショーウインドウのあるお店って

    やけに高いから。うちとしてもそれが

    助かるわ」


奈実樹「まぁ...、服としては安いんやけどな」


樹理「お姉さんがお店やってるもんね。」


樹理「そういうのは自分で買うから、」


樹理「変に待たせて気を使うのもやだしね。」


樹理「それになんか身内に服屋さんがいる

   のに、可愛い服選んで貰うのって

   余っ程自分に自信あるみたいじゃ

   ない...??」


樹理「あと好きな人に自分の服を選んで貰うの

   って凄い性的っていうか...///、、」


奈実樹「そんな目で見とったんか」


奈実樹「...その辺はよくわらんけど」


奈実樹「まぁ服は姉はんが用意してくれる

    からな」


奈実樹「うちが選ぶよりよっぽど良い服を

    用意してくれる」


樹理「今回は凄い格好良い系だね。」


奈実樹「まぁうちも選んだからな」


奈実樹「うちやてはんが服屋さんでも

    拘りが無いわけやないで」


樹理「...ナミってすごいお洒落だよね」


奈実樹「まさか樹理にそう言われる日が来る

    とはな。」


樹理「ほら、向こうみて。イルミネーションの

   花畑」


樹理「凄い幻想的」


 藤の花のような長いアーチ状の道を通ると広大な青い花畑に数々の蝶が飛んでいく


奈実樹「冬でも結構な花が咲くんやな。」


樹理「花畑のイリュージョンが凄い綺麗だね」


奈実樹「昼に来ても綺麗なんやろうな...」


樹理「あの時のことを思い出すね」


 そう言う樹理の温もりがマフラー越しに伝わってくる。


奈実樹「一緒に山に行った時の事か」


樹理「すっかり忘れてると思ってた。」


奈実樹「大事な思い出やろ」


奈実樹「女性はそういうの気にしがち

    やからな」


樹理「また行けると良いね。山」


奈実樹「小さい頃とはまた違った雰囲気なん

    やろうな」


奈実樹「電車乗って町を眺めながら山登り

    も悪くないな。」


奈実樹「おにぎり持って採った山菜を

    食べて」


樹理「あー、ふきのとう食べたい。」


奈実樹「天ぷらなぁ」


樹理「やっぱり恋愛の話をするより、ナミと

   こうして話してた方が良いや」


奈実樹「ついつい食に流れがちやけどな」


樹理「...なんか、特別な日って感じが

   するよね。こうしてクリスマスに

   二人でいるだけで」


奈実樹「イブやけどな」


樹理「ねぇねぇ。帰りにファムチキ買って

   こうよ」


奈実樹「ファムチキかぁ...」


樹理「ナミにおすすめされたから買ったけど、

   たまに食べたくなるんだよね」


 そうして近くにあったコンビニでファ厶チキと烏龍茶を買う。


店員「ありあとっした、」


樹理「あ、公園だよ」


奈実樹「遊んで行くか??」


樹理「もう子供じゃないんだから」


樹理「でもこうやって昔は色々遊んでたよね」


豆雲『貴女は子供じゃない。もう大人なのよ』


樹理『...大人になんかなりたくないっ!!!、、』


奈実樹「行くか。誰も居ないし」


樹理「夜だからね、職質されても知らないよ」


奈実樹「...ダイエットやから。ファミチキ

    食べたやろ。明日はケーキに揚げ物

    に色々大変やぞ」


 どうせやるならジョギングとかより楽しい方が良い。


樹理「ブランコとかしよう」


奈実樹「頭ぶつかりそうで怖いな」


樹理「もう大人になったんだなぁって感じ」


奈実樹「大人用の遊具とかあればいいのにな」


樹理「それはもうアスレチックじゃん」


樹理「立ち漕ぎじゃなくて座り漕ぎしようよ」


奈実樹「似合うな」


樹理「似合うなじゃなくて、運動するんでしょ」


樹理「ちゃんと漕がないと」


奈実樹「滑り台とかどうや」


奈実樹「小さいな」


樹理「子供用だからね」


奈実樹「入れそうか、ぎりぎり」


樹理「詰まっちゃわない??」


奈実樹「詰まらん詰まらん」


奈実樹「いざとなったら樹理もおるし」


樹理「詰まる前提で話さないで」


奈実樹「あとシーソー」


奈実樹「足短っ!!」


樹理「ちっちゃいね。」


奈実樹「子供と遊ぶ親御さんは大変やな...」


樹理「最近公園とかも減りつつあるらしいし」


奈実樹「砂場で山作るぞ」


樹理「ファムチキも食べ終わったし良いけど...」


奈実樹「冷たっ」


奈実樹「こういうのはやっぱり昼にすべき

    やな。作るけど」


樹理「ほんとに冷たい」


樹理「...こんな時間に何やってるんだろうね。

   私達」


奈実樹「でも楽しいやろ」


樹理「それは...、そうだけど...///」


奈実樹「この時間だと子供達もいないしな」


奈実樹「開通ー、っと」


とトンネルの穴に手を入れて向こう側と繋ぐ


樹理「手、冷たいね」


奈実樹「そうやな。思いっきりブランコ

    漕ぎたかったけど出来んかったな」


奈実樹「高校生最後の思い出や」


樹理「大学生でも出来ると良いな」


奈実樹「...公園は流石にキツイけどな」


樹理「ナミから誘ったのに!?!?」


※キャプション


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