第12品「文化祭と季節外れの花火」【なみじゅり】

樹理「三年生は各クラスごとお店をやる

   らしいから、私達はたまにそっちの

   方に行けば良いかなって」


奈実樹「こっちのが色々なもん売ってて忙しい

    けどな」


樹理「毎年恒例だから」


縁蛇「縁蛇達もいきますよー」


樹理「時間になったら抜けていったら

   大丈夫だから」


縁蛇「因みに縁蛇達はヨーヨー掬いです」


奈実樹「楽な方に逃げたな」


縁蛇「一から手作りの」


奈実樹「全然楽じゃなかったわ」


樹理「他に面白そうなのは??」


奈実樹「美紗ちゃん達は妖怪喫茶をする

    らしいな」


樹理「妖怪喫茶??」


樹理「それはもうハロウィンでやったん

   じゃないの?」


奈実樹「気になるなら実際見に行けば良い

    やん」


※スライド


樹理「1年生の教室なんて久しぶり〜」


奈実樹「2年前はうちらも此処におったんやな」


 1年生の教室に入ってくと、早速お化け屋敷のような見た目になってくる。


奈実樹「ふーん。なんか一人妖怪が付いてくる

    らしいで」


九尾「先輩達、此方に来たんですか!!」


樹理「白狐だ」


樹理「っていうか誰」


九尾「やだなぁ。杏里美紗ですよ」


樹理「美紗ちゃん!?!?」


奈実樹「コスプレ大会みたいやな」


奈実樹「凄い派手やな」


美紗「全身真っ白ですからね」


奈実樹「っていうか染めとんのか」


美紗「カラコンも入れてますよ」


樹理「いつもの美紗ちゃんじゃないみたい」


奈実樹「今日は美紗ちゃんが案内してくれる

    んか」


美紗「お嬢様は私が守ります!!」


奈実樹「お嬢様やて」


樹理「本当にお嬢様だからなんとも言えない...」


 そうして、お化け屋敷に入ると剣を使って美紗ちゃんがお化けを追い払ってくれる


美紗「はっ!!、邪鬼共は立ち去るが良い。」


ジャキンジャキンジャキン。


と格好良く小刀を仕舞う美紗ちゃん


樹理「美紗ちゃんって意外と格好良いよね」


奈実樹「髪をおろすと誰でもイケメンに

    なるもんやな」


樹理「狐目のイケメンさ」


奈実樹「吊橋効果も狙っとるのか」


奈実樹「お化け屋敷の上級者編みたいな感じ

    やな」


樹理「これなら怖がりの人でも入れるかも」


 それから暗がりの喫茶店に連れてかれて、その場でカラフルなジュースとスコーンを頼む。


奈実樹「めっちゃ力入ってる」


樹理「こういうのも有りだよね。勉強になる

   なぁ」


樹理「ピンク色のソーダーとか可愛い♡」


と美紗ちゃんと一緒に写真を撮る樹理。


樹理「これも思い出だね。」


奈実樹「次はラプンツェルか」


樹理「なになに、どこに行くの??」


奈実樹「演劇を見に行く」


樹理「大分時間持ってかれるけど良いの?」


奈実樹「朝ちゃんが主役らしいんや」


樹理「えー、」


奈実樹「えーってなんや。えーって」


奈実樹「うちらが結婚したら自然に朝ちゃんが

    妹になるんやで」


樹理「でも血の繋がってない妹でしょ??」


奈実樹「樹理も血は繋がってないからな」


奈実樹「朝ちゃんには病気のお父さんが

    居て小さい頃すぐ亡くなったんや」


奈実樹「だから、あんまり遊びに行ったりも

    せず部屋にこもって晴華ちゃんの

    動画ばかり...」


奈実樹「残されたのは生活能力の一切ない

    母親一人だった」


樹理「お父さんが居ないのは可哀想だね...。」


樹理「ダディーに車でいっぱい連れて行って

   貰ったから」


奈実樹「朝ちゃんのお母さんからも。生活習慣

    が終わっとるから、外に出してあげて

    って言われとる」


奈実樹「そんな朝ちゃんの晴舞台、今見ず

    していつ見るか」


奈実樹「噂をすれば」


 と髪を結ってキラキラの髪飾りをしてる朝ちゃんが近付いてくる。星やダイヤやクローバーが付いた女の子をゆめかわ化した可愛いラプンツェルだった


奈実樹「よう似合うとるやん」


朝乃「助けて、、」


朝乃「というか、相手晴華さんなんだけど」


奈実樹「だからって逃げて来たんか」


朝乃「このまま本番に行けるかどうか...」


樹理「晴華ちゃんをそのまま放って置く気??

   練習しないとずっとそのままだよ」


朝乃「んー...、、」


朝乃「確かに、樹理さんの言う通りです。」


奈実樹「はよ戻って仕度しなな」


朝乃「うん。」


奈実樹「な??仔犬みたいでほっとけんやろ」


樹理「うーん...」


じーっという後と共にプロローグが始まる。


樹理「なんかこういうの良いね。」


と暗がりで手を繋ぐ樹理。


樹理「雰囲気が 映画館みたいで」


奈実樹「朝ちゃんの活躍もちゃんと見た

    ってな」


樹理「ちゃんと見てるよ」


樹理「ナミの好きな物は好きなままで

   いたいから」


パチパチと拍手が巻き起こる。


※スライド


樹理「凄かったね、ラプンツェル!!」


奈実樹(樹理はデイズニー好きやからな)


樹理「歌とか踊りもしっかりしてたし、

   凄い練習したんだろうね。」


樹理「デイズニーのラプンツェルは髪の毛

   一本一本作っててキャラのクオリティ

   が凄いんだよ」


樹理「朝乃さんの長い髪がラプンツェルに

   凄い合ってた。最後の髪を切るシーンは

   多分別のショートの人がしてるんだろう

   ね」


奈実樹「うちよりのりのりで見とるやん」


樹理「悔しいけど、あれ以上の最適な

   人はいないと思う」


奈実樹「うちは樹理がラプンツェルでも

    良いと思うけどな」


樹理「金髪だからね」


樹理「というか朝乃さん髪長いと思ってた

   けどかなり長いよね」


奈実樹「あぁ、それは朝乃ちゃんのお父さん

    が長い髪が好きだったからなんとなく

    伸ばしてるらしい」


樹理「お父さんが??」


奈実樹「動画とかでお父さんの姿を見て

    昔の画像は残ってるけど、この人が

    お父さんなんだなって」


樹理「家族写真とかに載(の)ってたのかな」


奈実樹「母はん世代には人気の人やったって」


樹理「だからナミはお父さんをしてるの??」


奈実樹「小さい頃からの仲やから」


樹理「私も小さい頃からの仲だよ」


奈実樹「例え相手が樹理やったとしても

    同じことしとる」


樹理「もう良いの?」


奈実樹「朝ちゃんも忙しいやろうしな」


と立ち上がって自分の店に戻る。


縁蛇「いらっしゃい、ルシェル先輩が作った

   小物は如何ですかー」


樹理「それは趣味で作ったのだから、無理に

   売らなくてもいいよ」


樹理「あと"いらっしゃいませ"ね」


奈実樹「ほんとに上手よな。裁縫」


 星やキラキラのビーズで作ったアクセサリーは勿論紐やレジンで作った海なんかも綺麗だった。


樹理「手先が器用な子のが可愛いじゃん...。」


樹理「女の子らしくて...」


奈実樹「その蝶も手作りなんか」


奈実樹「結構前から付けとるけど」


樹理「あぁ、これ??」


樹理「可愛いかなって思って作ったの」


と耳元のレースの蝶を触る樹理。


奈実樹(可愛い、な...)


奈実樹「今回は事前に作ったもんばかりで

    楽やな」


樹理「ナミと色々回りたかったから、後輩が

   気を使ってくれたんだよ」


奈実樹「イヤリングとか付けても似合いそう

    やな」


樹理「イヤリングはニードルがね。怖いよね」


奈実樹「....」


樹理「....。」


樹理「どうして黙るの」


奈実樹「別に言葉はいらんと思ってな」


樹理「...代茂枝さん達もこんな関係だと

   良いよね」


奈実樹「2人は仲良いからな」


奈実樹「....」


奈実樹「もう最後やな」


奈実樹「11月、か」


奈実樹「...ルネミア学園も」


樹理「大きなイベントはそうだね」


奈実樹「あっという間やったな。」


奈実樹「スイートポテトも栗きんとんも

    作るの楽しかったな」


※スライド


縁蛇「そんな事言わないで下さいよ。

   もう終わりだって思っちゃうじゃない

   ですか」


樹理「縁蛇...」


奈実樹「寂しがらんでもえぇ。いずれ新しい

    一年生が入ってくる」


奈実樹「次は二人が先輩になる番や」


縁蛇「嫌ですよ。ずっと一年生のままで居たい

   のですよ」


奈実樹「無茶言うな。うちやてずっと高校生

    のままでいたいわ」


樹理「私は早く大人になりたいけどね。

   ナミと二人暮らし出来るし」


奈実樹「初耳やけどな。」


奈実樹「そういえば、おかんから蔵の中に

    余ってた花火危ないから使って

    くれと頼まれとったんやっけ」


奈実樹「夜やるで」


縁蛇「わぁ。急な申し出ですねっ」


奈実樹「うちも朝ちゃん達連れて来るから

    縁蛇もなんか呼んどき」


縁蛇「縁蛇友達そんな居ないです」


縁蛇「誘えるのは皆大好きパフェさん

   くらいですね」


樹理「誰それ」


代茂枝『美紗さんのことです。』


樹理「全く原型留めてないっ、ラジオネーム

   かな」


縁蛇「電話番号知らないですけど」


縁蛇『...私は、縁蛇ちゃんと晴華さんくらい

   ですね。』


樹理「意外な組み合わせ」


※キャプション


奈実樹「うちが言うのもなんやけど、よく

    集まってこれたな」


朝乃「花火やるって聞いて」


朝乃「三年生の最後の思い出って言ったら

   皆来てくれたよ」


晴華「私も朝乃ちゃんと思い出作りたかった

   し」


晴華「ゆっきーは忙しいからパスだって」


美紗「まぁ雪音はそういうの苦手そう

   だもんね」


柚夏「そういうの苦手、で辞退出来るのが

   本当羨ましいなぁ...」


樹理「来たくなかった??」


柚夏「そういうのじゃなくて、バイトと

   被ってて...それでもやる気ない先輩に

   押し付けました」


柚夏「元はと言えばその人が入る日だったし」


柚夏「...文句は言われましたけど、仕方ない

   ですね」


美紗「仕方ない仕方ない。」


美紗「でも、こうやって高校生だけで夜に

   花火って。場所が違えば結構不良に

   見えるよね」


流雨「"不良上等"...」


美紗「夜露死苦!!」


奈実樹「まだ明るい時期やから大丈夫や」


樹理「ほらっ。代茂枝さんも、」


代茂枝『こういうのって初めてで、、』


縁蛇「思い出は大事ですからねっ!!」


と早速花火を開ける二人。


美紗「写真撮ろー」


奈実樹「こうやって、料理関係なく集まって

    くれるのは本当にありがたいな」


美紗「奈実樹さんのお家ほんとに旅館

   だったんですね。」


美紗「疑ってた訳じゃないけど、凄いなぁって」


奈実樹「うちからしたら昔から育った場所

    やからな」


奈実樹母「皆〜、食べ物とか買ってきたわよ〜」


奈実樹母「これだけじゃ味気ないでしょ」


奈実樹「結局料理作るんや」


朝乃ママ「...皆楽しそうね」


朝乃「お母さん!?!?」


朝乃ママ「第二の家だもの。高校生が何してる

     のか気になって」


樹理ママ「そして私達も。」


樹理「ダディーにマミー!?!?」


樹理パパ「奈実樹さんのお母さんとお父さん

     に会いたくて、樹理のスマホを

     見させて頂いたよ」


樹理「娘のスマホを勝手に見たの!?!?」


樹理パパ「見たのはママだ。パパは決して見て

     ないぞ!!」


樹理パパ「愛しい妖精に嫌われたらパパ

     死んじゃうからな。ハーハッハッ

     ハッ、」


樹理パパ「ずっとご挨拶したかった

     からな」


奈実樹母「あらまぁ、私もご挨拶したかった

     のですけれど。こうやって機会が

     出来て大変嬉しく思います」


樹理「わぁ、流石の日本語」


奈実樹父「樹理ちゃんのお父さんが格好良い

     からって色目使うなよ」


奈実樹母「あんただって樹理ちゃんのお母さん

     見てるじゃない」


奈実樹母「うちも現実をわきまえてますわ」


奈実樹父「現実をわきまえてるって...」


奈実樹母「樹理ちゃんのお父さんのが

     格好良いと言われるよりマシでしょ」


奈実樹父「もう、言ってしもうてはる...」


奈実樹「樹理のお父さんほんま格好えぇからな」


奈実樹母「漫画と現実を一緒にしちゃいけ

     ないわ」


朝乃母「流石奈実樹さんのお母さんね。」


朝乃母「いつも娘がお世話になっています」


朝乃「"娘"だけじゃないけどね」


奈実樹父「弟の嫁はんならいつでも大歓迎

     やで」


奈実樹父弟「最近籍入れて貰ったばかりやから

      あんまり刺激せんでくれ」


朝乃母「朝ちゃんも懐いてますし、バツ一の

    私を好きになってくれる方なんて

    中々居ませんからね」


美紗「奈実樹さんのお母さん達仲良さそう」


晴華「私はお母さんとお父さんが居ないから

   羨ましいな」


美紗「見て、ハートマーク」


と花火でハートを作る美紗ちゃん。


奈実樹「危ないから人がおらんとこでな」


縁蛇「じゃぁ、こっちは星なのですよ!!」


美紗「すごーい。ほんとに星だ」


縁蛇「こうやって皆で花火をやるのは良い

   ですね」


美紗「香り付き花火とかあるよ」


晴華「わぁ、凄い匂い」


晴華「最近のはそういうのがあるんだね」


柚夏「ちょっと煙っぽいけど...」


シュゥゥゥ...、パチパチ


樹理「今日は私達の為に集まってくれて、

   ありがとう。」


縁蛇「パイセンの為なら皆来ますよ」


奈実樹「皆来てくれて、愛されとるんやな

    思うわ」


奈実樹「本当なら夏に出来れば良かったん

    やけどな」


縁蛇「夏は暑いのでっ、この時期が一番

   良いですねっ!!」


晴華「虫も居ないからねー」


奈実樹「こうやって小さい頃は雑草燃やして

    遊んどったよな」


奈実樹母「雑草は根ごとやりなさい」


奈実樹「母親がそれを推奨するなよ...、」


樹理「線香花火しよ」


樹理「いっぱいあるから」


奈実樹「なんか たむろしてるみたいやな」


と皆で座りながらする。


樹理「綺麗だね。」


奈実樹「...綺麗やな」


奈実樹「またこうやって皆が集まれたら

    良いな。」


※キャプション


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