第??章「死亡フラグは突然に、」【みさゆき】


 先生のプリントを運んでいただけなのに、


 ...何故か...私は、今


       命の危機に瀕していた。



 あの時、柚夏に付いてきて貰えば良かった、、と後悔しても、もう遅い。


美紗(雪音を、狙った誘拐...?、)


美紗(雪音と...、私を間違えたの...?、、)


 なん、で...、、...いつもこんな目にあうんだろう...、


美紗「ッ、」


??「騒ぐな、」


??「...私は騒がしいのが嫌いでね、

  人を呼ばれたら困るんだよ」


 握ってた首に、力がこもる。


??「無理やり声を出させなくしても

  良いんだぞ...?」


美紗「ぐっ...、、」


美紗(一体、何が起こってるの...?、、)


美紗(私、悪いことなんて...、何も

   してない...、、なん...、で...、)


美紗(...どうして、いつもこうなるん

   だろう...、、、)



 私が、悪い子だから...?、



 私が、必要とされなかった人間だから...?、


 出来損ないの...、不完全な子供だから...?


??「私はね、元々子供なんて要らなかった

  んだ。いくら教えても出来ない。

  私が折角教えてやってるのに、、」


??「なんでこんな簡単な事すら、出来ない

  んだよッ!!!」


??「怯えてんじゃねぇっ!!!、、死ぬ気で

やんねーから覚えられないんだろ?」


??「一回、本気で刺さないと分かんない

  か?」


??「お前は教わってる身だろうがっ!!!、

  死にたくないなら、失敗するな。」


??「私が居なければ、元々お前は産まれて

  なかったんだよ。親に報いるのが子供

  の仕事だろうがッ!!」


 私はこの世界にとって...、邪魔な人間でしかないの...?

 

美紗(...私は、この世界で生きてちゃ

   駄目な人間な、の...?)


美紗(私は幸せになったら...、いけない

   の...、、、)


 大粒の涙と一緒に。全身から嫌な汗が溢(こぼ)れ出す...、、


 ...突然の恐怖に声も出せずに、背筋が凍るほどの冷たい汗が出ていた。


美紗「....、」


 ...あぁ、この人もあの時の包丁を持ったお父さんと同じ瞳をしてる...、


私...、殺されるの...?


 もっと、生きてたかった...。


 幸せな家族に巡り会えた。本当の家族に出逢えた...、


 私はそれだけで人生の全てを使い果たした、だから悔いはない...


くゆ「姉さん、」


 ない...、はずなのに...、


美紗(お母さん、くゆ...、、ごめんなさい...っ、)


美紗(雪音っ...、)


 殺しても可笑しくないくらい...、憎みの籠った瞳...。白いフードから見える深紅の瞳が...


 まるで血に染まる、自分のように見えた。


 あぁ...この世界に...希望なんてない...、


 ...やっぱり現実にハッピーエンドなんか、存在しなかった...、


美紗「...はぁ、はっ、、」


美紗(よりによって、今...?、過、呼吸...、

   どう、しよ...、、息の仕方が...

   分からない...、)


美紗(どっちにしろ、このままだと、

   ま、ずい...、、)


??「古池雪音は、...どこに居る」


美紗(...ゆき、ね...?)


??「...答えろ」


 白いフードから見える血のように赤い瞳が、血走っていて凄い、怖い、、


 でも、なんとかして、答え、なきゃっ...、


美紗「し、知らないです...」


??「本当だろうな...」


美紗「..ほっ、本当に...し、知らない

んです...!!」


 ガチッと...首に押さえつけられているのは...銀色の細長い...チェー...ン..


 ...あぁ、...そっか


 ...別に何で殺されようが...もう、私には...関係、ない...んだ...。


??「古池雪音を、この場所に連れて

   来い、、」


美紗(え...?、)


??「もしこの話を警察や他の者に話して

   みろ」


??「...その時は、貴様の命はないもの

  だと思え」


??「...無論、古池雪音...。本人にもだ。」


??「分かったな」


 チェーンはふっと、解かれて...、


 ...赤い瞳をした人物はそう言って去っていった。


美紗「...わ、私....。...た、...助かったの...?、、」


美紗「...カッ、はっ、...げほっ、げほっ

   ...はっ...、はぁっ...、、」


 緊張の糸がほどけて...、


 息をするのを急に思い出したように、肺が酸素を求めて、一気に込み上げてくる...、、


 苦しくて、涙が出てきた。


美紗(...胃が、...苦しい、...涙、...はっ

   ...、はっ...、はぁ...、はぁ...。)


 呼吸が苦しくて、


 まともに立ってられず、私は壁に凭れながら横になった...


※スライド


美紗(....。)


美紗(.......、)


 ...しばらく横になってると、呼吸も段々落ち着いて...


 少しだけだけど...。身体も起こせるようになってきた。


美紗(....私、...まだ、生きてる...)


美紗「....」


キーンコーンカーン...。


 遠くの方で...チャイムが聞こえる...。


美紗(...立た、...な、きゃ...。...皆が、捜しに

   くる...。...体調が悪くなったって、

   言えば...誤魔化せる、かな...)



 ...死にたくない、



 たったそれだけの気力だけで、よろよろとなんとか立ち上がる。


美紗(...プリント、拾わな...きゃ...、)


美紗(...なんか、...凄い、生かされてるって

   感じ、...いっそ、あの時に殺して

   貰った方が怯えずにすんだのかな...。)


美紗(うぅ...まだ横になってたい...、)


 立ち上がる寸前、感じた不快な違和感を取り除こうと


 私の手は無意識に胸ポケットへと動いた。


美紗(....今は、...これだけで...つらい...、、

   ...なんだっけ、これ...)


 いつの間にか胸ポケットに入っていた綺麗な4つ折りの紙...、


 開くと気味が悪いほど丁寧な文字で時間と具体的な場所の詳細が書かれてた...。


「「午後、16時。古池雪音をこの場所に

  連れてこい。さもなくば、お前の

  命はない」」


美紗(...、...ねぇ、...どうして、)


美紗(...なんで...。...よりによって、雪音、

   なの...。他にも人間は、沢山...

   いるのに...、)


美紗(お金をいっぱい持ってる

   から...?...お母さんの弱みを

   握りたいから...?)


美紗(...ねぇ、...誰か、教えて...、、)


美紗(どう、したら良いの...?、、)


 紙を強く、強く。強く...握り締めて、...どうか、このままこの紙の存在事、


 この世界から無くなってしまえばいいのに、と...。心の奥底からそう願った。


美紗(...私、...どうして良いか、...分かんない

   よ、、雪音か自分の命なんて...、選べ、ない...。お願い、...だから。...誰で

   もいいから、...教えて、...お願い、誰

か...)


美紗(....助けて)


 その嘆きを声にする事すら、今の私には許されない。


 流れた涙は誰にも知られる事はなく、ひっそりと暗く冷たい地面へと消えていった...。


※キャプション


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