⑬初めてのお泊り編3(雪音と過す一夜)【みさゆき】


自分の髪を乾かして。


...物思いげにため息をつく、


美紗「...はぁ、」


美紗(...ネグリジェね、確かに凄い可愛い

   かったよ ほんとに...。)


美紗(本当に、可愛いかったよ...?、)


 薄い桜色をしたネグリジェで、いかにも雪音に似合いそうな服だなって。


美紗(けどぉぉ...、あんなの服着てる

   雪音の写真を想像しちゃうじゃん

   ー...////)


美紗(普通、そう思うじゃんっ...////!!)


 雪音が見せてくれた写真は、多分買った直後に撮った写真で。ハンガーに掛かったネグリジェの写真を 私に見せてくれたんだけど...


 まぁ、そんな美味しい話...。雪音に限ってあるわけないよねっ、、てな感じで ある意味安心はしてるんだけど...


やっぱ期待しちゃうよねー...。


美紗(あんな言い方されたら、勘違い

   しない訳ないよね...////...Mの性

(さが)っていうか、分かってても

   期待してしまう)


美紗(...まぁ、普段はあんな服着るんだ

って分かっただけでも。よしとする

かぁ...。もぉー...////)


美紗「終わったよ」


 髪をとかし終えて、雪音を呼ぶ。


 雪音にとっては物珍しいものがいっぱいあるみたいで 色々見てたみたい。


美紗「お待たせ、部屋に行こ。」


雪音「はい...」


お母さん「お父さん、急遽家買う人が

     来たから。設計図書くので

     遅くなっちゃうって」


くゆ「あの人また悔しがるだろうね。

   僕も美紗ちゃんの友達に会い

   たかったなー、って」


お母さん「まぁ、お仕事だから仕方ない

     わよね。仕事ってそういう

     物だもの。」


お母さん「私も現場に居たときは、真夜中

     ナースコールパーティで。それは

     大乱闘スマッ」


お母さん「あ、美紗ちゃん」


美紗「お風呂、あがったよー?」


美紗「...わ、良い匂いがする。たこ

   焼きー?」


 屋台でよく嗅ぐあの匂い、カリカリの生地が、ジュゥゥッと鉄板で焼けて...。


美紗(んーっ...、匂いだけで涎が...、)


雪音「京都で杏里さんと一緒に食べ

   ましたね。」


美紗「そうそう、まるで一週間前

   ぐらいの事に感じるけど。...もう

   あれからだいぶ経つんだね」


雪音「お年寄りの方みたいですよ。」


美紗「実年齢はまだまだ若いから」


美紗「あそこのたこ焼きすごく美味し

   かったんだよねー、もう一回

   食べに行きたい...、」


美紗「中にマヨネーズが入ってて、

   ふわふわの生地に。たこ焼きが

   口の中でとろけてね。」


美紗「今度は皆で行けると良いな。」


お母さん「お父さんに言いましょう。丁度

     仕事してるし」


くゆ「来年の家族旅行は京都だ」


 くじ引きで、京都旅行が当たって、雪音とたこ焼き食べて...。その後、砂時計をプレゼントして...、それから花火を見て。


...本当に、楽しかった。


美紗(でも、本当よく京都のチケット

   当たったよねー...、神様にはほんと

   感謝しないと。八ツ橋も貰ったし)


 雪音との思い出をくれて、...本当にありがとう。神様、


お母さん「でも今日はただのたこ焼き

     じゃなくて、タコパよ♥」


雪音「"タコパ"ですか...?」


美紗「たこ焼きパーティーの略。

   自分の食べたい分だけ、その場で

   たこ焼きを作って食べるんだよ。」


美紗「出来立てで食べられるから。バター

   たっぷりあげだこでも良いし、カリ

   カリの食感が味わえるよ。」


美紗「好きな具材も入れても美味しい」


美紗「私のオススメはチーズと、

   ソーセージとかな。食べすぎると

   太っちゃうけど、」


雪音「...それはもう"タコ"パではない

   ですね。」


美紗「まぁそうだよね、だから

   タコパなのかな?丸い小麦粉で

   出来てればたこ焼き」


お母さん「雪ちゃんは、アレルギーとか

     ない?」


くゆ「聞くの遅くない...?小麦とか

   なら致命的だよ」


雪音「雪ちゃん...。」


お母さん「美紗ちゃんが"雪音"ちゃんって

     呼んでたから、雪ちゃん♥」


雪音「...分かり、ました。」


お母さん「雪ちゃんはアレルギー

     とかない?」


雪音「はい、問題ありません。」


お母さん「だったら大丈夫ね、」


くゆ「アレルギーだったらどうして

   たの?」


お母さん「その時はまた作れば良いかな

     って」


くゆ「適当だなぁ...」


美紗「もう 食べちゃって良い?」


お母さん「勿論、そのために作ったんだから。

     皆、遠慮せずいっぱい食べてね♥」


 プレートにあるたこ焼きをお皿に移して、机の上にあったお好みソースとマヨネーズを掛ける。最後に、青海苔と鰹節を掛けて...、


美紗「はい、雪音もどうぞ。」


美紗「お母さん。マヨネーズにも凝ってる

   から、からしマヨネーズで

   すっごい美味しいんだよ」


くゆ「...あ、そっちは」


美紗「え、甘...。」


 口の中に甘い食感が伝わる、あ...これ完全にお菓子用のホワイトチョコソース...、


 ...パリパリした飴細工の青のりと鰹節が美味し...、じゃなくってっ、、


お母さん「どう?お母さんが拘りに拘った

     お菓子お好み焼きソース、

     それはそれで美味しいでしょ?」


美紗(...確かに、キャップ開けたとき 甘い

   匂いするな、って思ったけど...、)


美紗「あ、雪音...これ、食べちゃ...!!」


 気付いた時には もう遅かった。


雪音「....んー、」


雪音「美味しぃ...♥、」


美紗「あー...」


美紗「食べちゃった...、

かぁ...、」


 うっとりとした表情でひょいっ、ひょいとチョコレートの入ったたこ焼きを次々食べ終えては口に入れてく雪音...。


美紗(お菓子、駄目だって言うの忘れてた...)


 これは、後で怒られるぞ☆


雪音「...はぁ、んっ///、美味しいー♪」


くゆ「え...?」


お母さん「お母さん 料理が美味し

     すぎて、とうとう人格まで変えて

     しまうなんて...。」


くゆ「いや、そんな訳ないでしょ、

   たこ焼きに何いれたの母さん」


お母さん「普通にチョコを入れただけ

     なのだけれど...、」


美紗「私も最初は驚いたなぁ...。」


 初めて見る人からしたらクールな雪音が急に酔いどれ雪豹になるから、そりゃ...びっくりするよね...。


美紗(たこ焼き美味しい。)


美紗(...私はそれより、酔いが戻った後の

   事を考えてる訳なんだけど...、

   んー...、どうしよう...、)


美紗(記憶はちゃんと残ってらっしゃる

   から...、)


くゆ「ラム酒で酔う人がいるのは

   聞くけど...、水もって来た方が

   いい?」


お母さん「ラム酒は好みが分かれるから

     入れてないんだけどね~、」


美紗「...あー、違うの」


美紗「状況的には、違う意味で大丈夫

   じゃないけど、ちゃんと酔いが

   醒めたら戻るから。大丈夫」


くゆ「姉さんが、そう言うなら...」


 くゆが持ってきたミネラルヴォーターを受け取って、蓋を開けてコップに注ぐ。呑んでくれれば良いんだけど...、


美紗(あとはこれを、どうやって

   呑ませるか...、)


 前、あげた時は水は味がしないって嫌がられたから。麦茶とかの方が呑んでくれたりするかな?


美紗「...雪音、甘いの食べると酔う

   体質なんだよね。しかも、凄い

   甘え上戸。」


くゆ「え...、まさかチョコだけで?」


美紗「うん。お菓子全般かな、前、

   雪音のお姉さんから聞いたんだけど」


美紗「普段甘いものをあんまり食べないから、

   アドレナリンが急に上がって、

   その影響で酔うんじゃないかなって。」


美紗「元から甘いものをあげると凄い

   欲しがるから、普段はあげない

   ようにしてるって」


美紗「高血圧とか心臓病とか、これ

   みてると心配するのも分かる

   なぁって...。」


くゆ「確かに...凄い食べてる」


美紗「水を飲ませると落ち着いてくれる

   んだけど...、この状態だと中々飲んで

   くれないんだよねー。」


美紗「ほら、水って味がしないでしょ?

   だから。」


お母さん「はぁい、もう駄ぁー目♥」


 と、お菓子を取り上げられて泣きそうな目をしてる雪音を諭しながら。水を飲ませて落ち着かせるお母さん。


美紗「あれ...?」


 私の時は嫌がってたのに...、お母さん属性だと大人しく水を飲んでくれる とか...?


 晴華さんの時もそうだったって言ってたし、酔ってても雪音は見下して良い相手とそうじゃない相手をちゃんと分かってる。


...凄い気持ち良さそうな顔してるんだけど


美紗(私がするより、他の人に任せた方

   が良いかも。そっちのが早く

   酔いも覚めるだろうし...)


美紗(私は遊び相手、かぁ...。)


 水を最後まで飲んだ雪音は、落ち着いたのか

腕を机に付けてリラックスするように目を閉じてる。


 ...むにゃむにゃしてて、可愛いけど、普段はこんな顔、見られないもんね。


※キャプション


雪音「....、」


雪音「...はぁ、」


美紗「...言いたい事は分かるよ?」


美紗「分かるけど...、皆あぁいう雪音

   も可愛いって言ってたから。

   大丈夫だよ。」


美紗「私も可愛いって思ったし」


美紗「それに雪音って、人と比べて

   隙があまりない人でしょ?」


 食べ終わったお皿をお母さん達が片付け始めるぐらいの頃。


 少し時間が経って、冷静さを取り戻した雪音は、深いため息をついて机の上に突っ伏したまま落ち込んでいた


美紗「本当に楽しんでくれてるんだな

   って、伝わって。良かったよ、」


雪音「...ですが、皆さんには大変な

   ご迷惑を...////、」


お母さん「迷惑なんて、これっぽっち

     も掛かってないから大丈夫よ

     ~♥」


お母さん「大人は、そういう純粋な子に

     弱いの。」


お母さん「甘えん坊な子が八割増で

     可愛く見えるのよね〜」


お母さん「こう、...ぎゅっと胸を撃たれる。」


お母さん「肥後愛っていうか、二児の母で

     良かったっていうか、」


お母さん「この年になると子供が居ないと

     誰かに甘えられる事なんて、本当

     になくなるから...。」


お母さん「甘えられても。お父さんくらいの

     人よ」


美紗(なんか、ごめん...。)


お母さん「うちの子本当に二人ともしっかり

     してるし...、最近頼りにされ

     ることあんまりなくて...」


美紗「お母さんの料理、私、いつも

   楽しみにしてるよ。拘ってくれて。

   毎日食べても美味しいし」


お母さん「ほんと?」


くゆ「まぁ、料理は...頑張ってると

   思うよ。汁物とか、普通に

   美味しいし...」


雪音「....。」


雪音「.....」


雪音「真逆...、」


雪音「...ですね。」


雪音「...私(※わたし)とは」


雪音「本当に...小さな頃から 沢山の人に

   期待されて、育てられてきました。」


雪音「産まれた時から家の跡継ぎとして」


雪音「色んな方と出会い 見聞を広めて

   きました。」


雪音「ですが、...普通の方はそんなに何度も

   著名人のパーティに参加したり。話を

   聞いたりしません」


雪音「...いつの間にか 同世代の人とは話が

   合わなくなっていました。」


雪音「神童、とも呼ばれ、色々な方の

   期待に答えられるよう務める日々。

   与えられた仕事を卒こなして...。」


雪音「...私も、生まれが違っていれば

   その中の輪に入れたでしょうか。」


美紗「今からでも遅くないよ」


雪音「...でも、一人の方が楽 ですね...。」


美紗「それは分かる。」


雪音「周りが一生懸命やっている中で...、私は

   一度やれば割と何でも出来てしまい

   ます。...挫折を味わったことがない」


雪音「だから、怖いんです。」


雪音「"出来ない"のが。」


雪音「なんで...。」


雪音「...本当にしたい事は出来ない

   のに、さして重要ではない事ばかり

   出来るのでしょう。」


雪音「それだけが...、 取り柄なのに、」


雪音「杏里さんにももっと良い絵を

   贈りたかった、初めて。描きたいと

   思って描けた絵がこんな出来では...。」


 雪音の瞳から涙が溢(こぼ)れる


雪音「...貴女方が羨ましいです。」


雪音「お互いが、お互いの事を必要と

   していて...」


雪音「...まるで、人間のように、...自然

   にお互いがお互いのままでいられる。」


雪音「私の周りにはそのような人が

   いません。...皆が皆(みな)"私"という

   存在を望んでいるのに、」


雪音「"関わりにくい人"ですから。話題が

   ないのです」


 そっと...、雪音を後ろから抱き締めるように包み込むお母さん。


お母さん「...人はね、息継ぎしなきゃ」


お母さん「生きられない身体を

     してるでしょ...?」


お母さん「どんなに大きな動物も...、

     どんなに小さな昆虫だって。

     自分の力じゃ動けない植物に

     だって」


お母さん「...皆同じ。」


お母様「呼吸をしなきゃ、生きて

    いけないの。」


お母さん「それはね..."心"だって一緒。」


お母さん「心もね、息を吸ったら

     ちゃんと吐かないと。」


お母さん「...わだかまりが、出来て。」


お母さん「今まで出来てた事も...急に

     出来なくなったりするから、」


お母さん「心もね。ちゃんと呼吸

     しないと、どんどん苦しくなって

     くの。」


雪音「...。」


お母さん「...って、ある人から昔。

     教わってね。」


お母さん「だから、そういう雪ちゃんも

     ...ちゃんと必要なの。」


お母さん「...色んな事しなきゃ、って。

     焦る気持ちも分かるけど」


お母さん「雪ちゃんはこの世でたった、

     一人しかいないから。代わりなんて...

     どこにも...、いないの...」


お母さん「だから...、もっと自分の事を

     大事にしてあげて。」


お母さん「雪ちゃんじゃなきゃ、駄目

     って人が...必ずどこかにいる

     はずだから、」


お母さん「絶対に。ね、」


お母さん「だから、...大丈夫。」


雪音「....。」


お母さん「はい、コーンスープ♥」


雪音「...ありがとう、ござい...、ます...。」


 早くにみささんを亡くしたからか お母さんの言葉には真の内から思いが込められていた。それを察して雪音も ありがたく受けとる


美紗(私が何度言っても折れなかった雪音が

   こうもあっさり大人しく...。やっぱり

   雪音。母性に弱いのでは...?)


お母さん「後でお母さんのシーウェ、雪

     ちゃんに教えてね~。」


くゆ「繋がる気まんまんじゃん...、」


雪音「母ともしていないのですが...、

   友達のお母様と繋がっても

   良いのでしょうか...、」


雪音「...ご迷惑をお掛けした手前」


雪音「杏里さんのお母様がそのように

   望まれ...、ますなら...。」


お母さん「あら、こんなおばさんのお相手は、嫌...?」


雪音「そ、そんな事はございません、

   年上の方とはよくお話する機会

   もありますので。」


雪音「...ただ、このような事は始めて

   で...、どうすれば良いか...私も分から

   なくて。」


お母さん「可愛い、」


雪音「株式会社での今後の事業拡大方針

   といった企画御意見等でしたら...、

   そういった助言も少なからず行えるのですが...。」


雪音「私は大したお話も出来ませんし、

   世間からは疎いという自覚も

   ありますから...」


美紗(普通にシーウェでは話せてると

   思うんだけど...。緊張してる...?)


雪音「...日本にも」


雪音「あと、どれだけいるか...、」


お母さん「そんなのやってみなきゃ。

     分からない...、でしょ?」


お母さん「それにシーウェなら、何処に

     居ても話せるもの♥️」


...シーウェなら、何処に 居ても...。


お母さん「今の子達の話も知りたいし、

     雪ちゃんみたいに可愛い子となら

     お母さんもお話したいのよー、」


くゆ「普通に犯罪じゃない?大丈夫?」


美紗「シーウェくらいなら...。まぁ...、」


お母さん「友達の母親だから大丈夫。」


くゆ「発想がギルティーなんだよなぁ...」


美紗「...それに、雪音の相談相手が

広がるのは私としても良いこと

だと思うから。」


くゆ「いや、なに目線...」


 同じお嬢様育ちって言うし...。私じゃ分からない事でも お母さんなら分かるかもしれない。


 それに可愛い子と仲良くなりたいっていうのも分かるし、雪音にはそういった人の存在も、今後必要になってくると思うから。


くゆ「なんか、...保護者みたいだね。」


美紗「私自身が、あんまり拘束されるの

   好きじゃないからね」


美紗「一人の人間だけじゃなくて、

   色んな人と関わるのも凄い

   大切な事なんだよ。」


美紗「私とくゆみたいに」


美紗「そうすると、本当に困ったときに

   選択肢の幅が広がるから」


くゆ「....。...私は姉さん

   だけで良いんだけどね。」


美紗「くゆは本当にお姉ちゃんの事が

   好きだなぁ...。」


でも満更でもない。


美紗「お母さんは?」


くゆ「今、絶賛反抗期中だから」


美紗「素直になればいいのに、」


くゆ「...あれが私にとっての最大限の

   デレ。これ以上は無理。」


美紗「まぁ...、無理強いはしない

   けど。そういうとこも含めて

   くゆだから、」


美紗「チョコソース冷蔵庫でいい?」


くゆ「うん。まぁ固まるけど...、

   すぐまた使うから」


※スライド


雪音「...今日は、本当に予想外な事

   ばかりです。」


 お母さんのシーウェを登録し終えた雪音は 私の部屋でスマホを見ながら、気疲れか溜め息をついていた。


美紗「ため息ばっかりついてたら、幸せが

   逃げてっちゃうよ?」


雪音「状況が状況なので...」


雪音「...溜め息をついてしまうのも、

   仕方のない。というものです」


雪音「...ともあれ、何時まで落ち込んで

   いても変わらないというのは

   事実。」


雪音「何か私を楽しませては下さいませ

   んか?」


美紗(そこでまさかのお嬢様ムーヴ。いや、

   別に良いけど)


雪音「...失対を、忘れられるような

   そんな 面白いゲームがしたいです。」


美紗「別に失態っていうほど失態じゃ

   なかったけどなぁ...?お母さんも

   喜んでたし、」


 それはおっきなテディベアに抱き締めるがごとく。あの人可愛い物すきだから...


雪音「相手が良ければよいという

   問題ではないのですよ。」


雪音「一生、そのような人として認識

   されるという不条理、」


雪音「杏里さんはその恐ろしさを

   知らないのです」


美紗「まぁ...、」


美紗「雪音の場合、意識してやった

   わけじゃないもんね。」


雪音「...分かっているじゃないですか。」


美紗「だから、どうしようもないって

   いうのもあるんだろうけど...」


美紗「私はあの雪音だって。雪音の一部

   だと思ってるから。」


美紗「そんなに迷惑じゃないよ、」


雪音「...それは私ではなく...酔ってる時

   の私に対して言って下さい。」


雪音「少なくとも 今の私には、その事に

   ついて振れられても困ります。」


雪音「...返答が出来ません。」


美紗「あー、それもそうか。」


雪音「...あのような。楽観的な思考、

   私がするとお思いですか?」


美紗「...普段の雪音からするとあり、得

   ない...かな、」


雪音「ご理解頂けているようで何より

   です。」


 普段はクールだもんねぇ。


雪音「何かありませんか?」


美紗「えーっと、」


 まぁ、泊まっていくって提案したのは私だし、雪音が楽しめるような面白いゲームがあれば良いんだけど...。


美紗「雪音が気に入りそうな

   ゲーム...、」


美紗(スマホゲームもなんか違うし...、

   雪音、チェスとか好きそうだよね。

   ルールとか全然知らないけど...)


 取り敢えず机の中に何かないか捜してみる。ガタゴトと...、本当に紙しか入ってないなぁ...、この机、


美紗(...あー、奥に詰まっちゃってる...。)


美紗「前は雪音とお話してたら。普通に

   時間が過ぎてたんだよね、」


雪音「そうですね」


美紗(自分で考えたストーリーの絵とか、

   ノートとか、雪音の絵を描いた

   スケッチブックはあるんだ

   けど...、)


美紗(...捜してる間これ見て貰う?)


美紗(いやいやいや、流石にそこまで

   しなくていいかな、、描いて

   からそんな経ってないし...///、)


 時間は潰せると思うけど、これゲームじゃないし。捜してるのはゲーム。ゲームだよ。


美紗(...そもそも私、スマホゲーも

   あんまり長く続いた試しがないし

   なぁ...、)


美紗(知ってるゲームがトランプしかない

   ...。くゆならいっぱい持ってそうだけど)


美紗(壊したりしたらやだし...)


 机の中を閉じて 半ば諦めかけてると...


 ふっ、と机の上にあるノートに目がとまる。


 まっさらなノート...。手に取るとつるっとした触感。


...ページをパラパラと、なんとなく捲る


中に何も書かれてないただの...。ノート...。


美紗「...、良いこと、思い付いた!!」


美紗「そうだよ、」


美紗「面白いゲームがなければ、自分で

   ゲームを作れば良いじゃないっ!!」


雪音「マリー・アントワネットですか?」


雪音「...あなたのそういう天才肌な所、

   嫌いではありませんよ。」


美紗(雪音、こういうの好きだもん

   ね、ちゃんと分かってるよ。

   ふふん。)


 早速、頭の中で思い付いたゲームをノートのページに書き込んでいく。


美紗「うん、これなら悪くないかも、」


ビリッ、


雪音「どんなゲームを思い付いたん

   ですか?」


美紗「簡単な質問ゲームなんだけどね、

   今から説明してくね。」


 シャーペンを握って。雪音に分かりやすいよう、ルール説明していく。

※いきます


美紗「①、②、③って。三つの質問を

   書いて。相手が選んだ番号の

   質問に答えるの。それをお題に

   して」


美紗「話してく...。例えば、雪音①

から③の番号どれか言ってみて」


雪音「②、ですかね。」


美紗「②は好きな赤い物。赤くて美味しい

   物と言ったら...林檎のアップルパイ

って美味しいよねっ、て」


美紗「感じ。簡単な質問、自分が

   知りたい質問。難しい質問って

   分けて書くといいかも。」


雪音「アップルパイは赤くはないですが。」


雪音「...即興に考えたにしては、良い

   出来ですね。」


雪音「ルールは単純ですが、

   ...悪くないです」


美紗「でしょっ?」


 お眼鏡にかなったようでなによりだ。マジカルリンゴの質問バージョンっていったら分かりやすいだろう


雪音「ゲームの面白さ、つまり質問の

   内容は...プレイヤーの腕次第

   によって変わりそうですね。」


美紗「質問、頑張って考えるね...、、」


美紗「その名も古今東西質問ゲームっ!!」


美紗「じゃぁ、さっそくやってこ。」


美紗「雪音、質問書いて、書いて」


雪音「私が先行ですか?」


雪音「...では①~③の質問を書きます

   ね。少し待って下さい...」


美紗(雪音はどんな質問してくるんだろ

   う...、変な質問でもゲーム

   だからちゃんと答えるけどね...///、

   うん)


雪音「...書けました」


美紗「凄い早いね?」


美紗「制限時間とかあった方が良か

   ったかも。はかり直そっか?」


雪音「いえ、そのままで良いですよ。

   時間があった方が良い質問も

   出るかもしれませんし」


美紗(めっちゃ、期待されてる...)


 雪音の握ってるシャーペンの持ち方も可愛くて、待ち時間も待ち時間にならなかったけど。


 雪音がそのままで良いっていうならそれでいっか。別に食い下がる理由もないし


美紗「んー、じゃぁ何番にしよっか

   なー...?」


雪音「因みに。私の好きな数字から

   順に質問は簡単にしてあります」


美紗(つまり、雪音が好きな数字な程

   簡単ってこと?)


美紗「教えちゃって良いの?」


雪音「私の好きな数字が分かればですが...、

   分かったらご褒美という事で良い

   ですよ。」


美紗「だったら、当てにいっちゃおう

   かなー」


→①妹さんとのお話

→②古池雪音の事をどう思っているか

→③人生最大の恥ずかしいミス

※最初は答えが見えます。連続何もなし番号はちょっとあれだったので...



→①妹さんとのお話


美紗「じゃぁ、①で!!」


雪音「...私の一番好きな数字ですね。」


雪音「理由はお察しの通り。...一番以外

   に意味はないためです、」


美紗「ってことは、一番簡単な質問?」


雪音「はい。杏里さんの御家族の事ですね。

   くゆさんとのお話をお聞かせ

   下さい。」


雪音「お二人の仲がとてもよさそう

   に見えましたから、参考として

   お聞きしたいと思いまして」


美紗(②か③選んだ時、どうなって

   たんだろ...。それはそれでどんな

   質問か気になる...)


美紗「因みに②と③は?」


雪音「秘密です、」


美紗「秘密、かぁ~...」


美紗(んー、ちょっと気になるけど...

   仕方ないよね...。)


美紗「くゆのお話だよね。...何の話を

   しようかな、」


美紗「.....。」


美紗「...くゆと始めて会ったのはね。

   このお家だったんだけど、」


美紗「くゆって結構人見知りだから

   会った時はあんまりお話して

   くれなくて。」


美紗「お母さんが出掛けてる間、

   二人でお留守番する事になったん

   だけど」


美紗「私といるのが気まずかったのか、

   トイレにいってる間にくゆが

   居なくなちゃって」


美紗「どこ行っちゃったんだろって。

   捜してたら 台所でボウルの中に

   入ってたキャベツ食べてて、」


美紗「丸ごと一玉。」


美紗「お母さん達が用意してたケーキ

   じゃなくて、」

  

美紗「え、そっち...?って、」


美紗「一枚一枚千切りながらくるんで

   もしゃもしゃ」


美紗「椅子使って、千切りにする奴

   とってあげて...食べやすくして

   あげたんだけど、」


美紗「なかなか衝撃的だったよね...。

   可愛かったけど」



→②古池雪音の事をどう思っているか


雪音「杏里さんが私の事をどのように

   思っているか...」


美紗「雪音のこと?」


雪音「を俳句で答えて下さい。」


美紗「を、俳句で!?!?」


雪音「勿論。季語も入れて下さいね。

   一位以外は全てにおいて同じ

   です。②も③も」


美紗「えー...、」


美紗(外れちゃったかぁ...、

   というか2/3がハズレ...。)


美紗「雪音(ゆきおと)に...、」


美紗「こいし人の、戯れに」


美紗「....、」


美紗「んー...、即興って難しい...。」


雪音「字余りでも構いませんよ」


美紗「過ぎ去りしとき、思ひ知るなり」


雪音「...、」


雪音「微妙ですね...前半までは良かった

   のですが」


美紗「そこまで容赦ないと逆に笑えて

   くるんだけど...、ちょっとネガティブ

   すぎたね...」


美紗「今のはちょっと、忘れて、、」


→③人生最大の恥ずかしいミス


美紗「.....難しい質問、きたねー。」


美紗(多分、これ一番のハズレ問題だ...、)


美紗「...人生最大のミス?、なんだろ...

ん"〜...すぐ思い浮かばない...。」


 お父さんの子供に産まれたこと...?いや、求めてるのは多分そういうのじゃないと思うし...。最大のミス...、


美紗「あ。」


美紗「今のお母さん ある歌手の人が

   凄い好きで...最近初めてその人の

   コンサートに行ったんだけど...。」


美紗「古い歌とか、まぁいっかって音楽

   プレイヤーに入れてなくて。動画だけで

   知ってた曲もあったの」


美紗「あ、これ知ってるーみたいな、」


美紗「コンサートの最後でアンコールに

   なって一緒に歌おうってなっ

   て...、、」


美紗「一人だけ二番の歌詞歌っちゃって

   ...、そのときは凄い、恥ずかし

   かったな///」


雪音「...それは恥ずかしいですね」


美紗「でしょー?、」






美紗「あ、もう22時。雪音といると

   楽しくて時間があっという間に

   過ぎちゃうね。まだ起きてて大丈夫?」


雪音「そうですね...、普段はこの時間

   には寝ていますが...。」


美紗「もう寝ちゃう?」

※早く続きがみたいという方向け。

 雪音目線がカット出来ます。


→A.眠いので、もう寝ちゃう

→B.夜ふかししちゃう




→B.夜ふかししちゃう


※スライド


美紗(さて、次は私の番だけど...、)


 ...書いたのは良いけど、三番当てないでって気持ちがある。自分で書いといてなんだけど...!!


雪音「...どれにしましょうか、」


雪音「杏里さんはケーキの苺は最初に

   食べるタイプですか?」


美紗「え?普通に最初に食べるよ。」


美紗「ケーキの苺ってわざとすっぱく

   作られてるんだよね。ケーキと

   合うように、」


雪音「そうですね。」


雪音(そういえば、地震がきて食べられ

   なくなったら嫌だから という理由

   で最初に召し上がる方もいましたね...。)


雪音(まぁ...私も杏里さんの意見に同意

   しますが)


雪音「プリンはどうですか?」


美紗「かき混ぜて食べると一番

   美味しいかなー。」


雪音(なるほど...、そのような頂き方も

   あるのですね。)


雪音(...彼女は、最初か真ん中にして欲しい

   事を書きそうですね。余った3番目に

   何を書くか...)


雪音(そうすると、その次に連想

   しやすいのは...)


雪音(さて、...どの質問にしますか)


→①

→②

→③


→①晴華さんの事


美紗「①は"晴華さんの事"です!!前にも

   聞いたけど、今回はまた別の事で」


雪音「晴華さんのお話ですか。」


雪音「晴華さんは...初めて会った時は

   心此処に在らずという状態でした

   が」


雪音「今となっては大分良くなったような

   気がします」


雪音「...普段の晴華さんはとても明るく

   元気に見えますが、...彼女はわりと

   神経質なところがあるんですよね」


雪音「一人の時は黙々と保護動物のお世話や

   家事や庭いじりをしてますし、休みを

   与えても"家事が趣味"という...」


雪音「専業主婦も顔負けの。お嫁さんにしたい

   モデルNo.1に選ばれたモデルなだけ

   あって。素でそうなのですよ」


雪音「何のために休みを与えたのか...、

よく分からなくなってしまった事

   もありましたね。」


雪音「...そういえば最近、そこまで虫を

   嫌がってはいなかったのですが」


雪音「急に怖がるように虫を見ないように

   して、摘みながら尻もちを付いて

   いましたね。」


美紗「小さな頃は平気でも急に怖くなったり

   するときってあるもんね。噛まれたり

   したのかな?」


前会ったときは普通に平気そうだったけど...。


雪音「ちょっと不思議な事があるん

ですよね...。彼女」


→②好きな物


美紗「ビアンカ以外は聞いたことなか

   ったなぁって」


美紗「食べ物とか、色々好きなもの」


雪音「そうですね...。紅茶やお抹茶など、

   普段から飲み慣れているもの

   は好きですよ」


雪音「食事では魚介の料理が好きです。スープ

   や、おだしの効いているコクに

   拘った"深み"のある味が好みで

   しょうか。」


雪音「海老とお野菜を一緒に煮て出汁を

   とると甘みが増すんですよ」


美紗「物とかは?」


雪音「物ですか。以前、絵画を購入したの

   ですが 日本の四季に合わせてそれぞれ

   描かれた絵がありまして」


雪音「とても綺麗で素敵な絵画でした。

   幾何学模様も良いですが」


雪音「綺麗な模様を見るとやはり心動かされる

   ものがありますね」


→③私の事...、好きですよって言える?


美紗「私の事...、好きですよって

   言える?」


雪音「好きですよ。」


美紗「あっ、うん...、、」


雪音「それだけですか?」


雪音(サービス問題だったのでしょう

   か...?もっと面白い質問でも良かった

   のですが...)


 寝る準備、といっても普通にベットにはいるだけなんだけど...。


 いつもと違うのは...私の隣に雪音がいることだった。


美紗「電気、消すね」


雪音「はい。」


カチッ...。


 あんまり夜更かしし過ぎるのもよくないし、流石にもう遅くなってきたから...


美紗(...布団なくて、結局私の横で

   雪音が寝る事になったんだけど...)


美紗(私今日、寝れるかな...。)


 という悩みも。横になると...


 沈む込むようになくなっていく...。


 色々あって疲れてたのか...目をつむったら普通にそのまま眠れそう


美紗(...予定外の事、多かったもんね)


美紗「...」


雪音「....。」


雪音「...学生生活などただの通過点で、

   意味のない物とばかり思って

   いましたが...。」


雪音「"出来ない"ということを身を以て

   知り、...己の無力さを痛感しました。」


雪音「これが、『悔しい』のですね。」


雪音「...杏里さん」


雪音「貴女と、逢えて良かったです。」


美紗「うん...」


美紗(私も...)


雪音「貴女は、私がただの人間だと

   いう事に気付かせてくれた。」


ぎゅ、っと手を握る雪音。


雪音「私は、...ただの人間です。」


雪音「"選ばれた"子でも。神童でも、なんでも

   ない。」


雪音「ただ、人より物覚えが良いという

   だけで...。私にも出来ない事は

   あります。」


 出来ない事を知ったからこそ、出来ない側の気持ちが分かる。雪音は今回の事を経て凄く成長した。


雪音「...したい事が出来たんです。」


美紗「したい事?」


雪音「まだ...どんな企業にするかは決まっ

   ていませんが、日本に帰ったら

   会社を立ち上げたいと思います。」


美紗「雪音の会社かぁ...、」


美紗「絶対うまくいくよ。」


美紗「上が良いと部下も良いって聞くし」


雪音「その時は、私の従業員になって

   くれませんか?」


美紗「いいの?そんな大事な事...」


雪音「...私が雇う側ですから、従業員は社長

   自ら選んでも良いでしょう?」


美紗「雪音みたいな人が社長なら、喜んで

   ついてくよ」


 今日は楽しかったな...、あぁ、雪音ともうちょっとお話したいけど...意識が途切れてく...。


美紗「....」


美紗「.......。」


雪音「約束ですよ。」


雪音「おやすみなさい...、杏里さん」


※キャプション


ピーン...、ポーン...


美紗「ん"んー...」


美紗(.....。)


ブブッ...、


美紗「.........」


ブブッ...ブブッ...、


美紗「....ん"ぅ~」


 ベットの上にあるスマホを手探りでとって、起き上がりながら...暗証番号を打つと晴華さんからメールがきてた。


晴華「「おっはろ♥️」」


晴華「「美紗ちゃん」」


晴華「「起きた?」」


美紗「「すみません、今...起き

    ました」」


晴華「「お迎えにきたよー(^-^)v」」


美紗「「今行きます。」」


美紗「「(^-^ゞ」」


美紗「...お迎え、来たって」


美紗(テンション高いな...。)


雪音「了解です」


美紗「ふぁぁぁ~...」


美紗「雪音は寝起きも

   ちゃんとしてるね...。」


雪音「杏里さんは朝が弱いのですか?」


美紗「.....」


美紗「ん~...、弱いっていうほど弱く...

   ないけど...」


美紗「祝日だからかなぁ...。」


美紗「寝るのは好きだけどね...」


雪音「辛いご様子でしたら。こちらから

   晴華さんの方にお伝えしましょう

   か?」


美紗「お言葉に、甘えて...と言いたいところ

   だけど...。」


美紗「折角来て貰ってるもん。

   ちゃんと行くよ」


美紗(雪音と居られるチャンスだし。

   私だって好きな人とは一緒にいたいと

   思うよ)


美紗「顔洗えば目も覚めると思うし、

   その言葉だけでも頑張ろって

   気になれたから。ありがと、」


雪音「...褒められるために言ったの

   ではないのですが、...言葉という

   ものは各も難しい物ですね。」


美紗「...あ~、」


美紗「雪音と一緒に行くのが億劫とかじゃなくて」


美紗「...雪音を泊めて貰う時、晴華さんに

   結っ構、言いたい事言っちゃ

   ったんだよね...。だから会いづらいって

   いうか」


美紗「...苦手意識持たれてもおかしく

   ない発言も多かったと思う

   から、嫌われてもしょうがないなー

   って。」


雪音「晴華さんはそういう事を気にする

   タイプではありませんよ。」


美紗「...そういう人じゃないっていう

   のは分かってるんだけど、」


美紗「でも、雪音ほど親密に話せないよ。

   二人は凄い仲が良いから」


 雪音の言う通り...実際、向こうもそこまで気にしてないんだろうけど...。


 それでも、やっぱり...


美紗(ちゃんと謝らなきゃ...。)


ブブッ、


晴華「「お手製のお菓子を作って

   来たんだけど」」


晴華「「早くしないと美紗ちゃんの分

    もなくなっちゃいそうだから

    早めに来てねー」」


美紗(お菓子を食べる勢いで、いつも

   みたいに振る舞えば...大丈夫、

   かな...、)


 ...返信にちょっと戸惑いつつも。出てきた変換機能の顔文字に丁度いい感じのがあったからそれを使う事にした。


美紗「「了解です(>_<)」」


美紗「「すみません。目が開いてない

    ので顔洗ってからいきます」」


美紗「...お菓子あるから早く来てね、

   だって、」


雪音「私は頂きませんよ...

   もう当分は懲り懲りですから。」


美紗「あんなことあったらねー...、」


 そう言って、スマホをスリープモードにして。手でシーツの感触を伝いながらベットの端に移動する。


美紗(晴華さんも待たせてるし...早く

   行かなきゃ...。)


美紗(...でも、もういっそめんどくさい

   事全部放り投げて、このまま

   寝ちゃいたい...。)


くらい眠い...。ほんとに...、


美紗(...いや、ほんとそろそろ起きない

   と...、)


美紗「....」


美紗「......。」


美紗「...行っ、きますか!!」


雪音「今寝ていませんでしたか?」


美紗「起きてる、起きてる...」


くゆ「姉さんー、お迎えー」


美紗「今いくー、」


 急いでベットから降りて、手すりを使って気持ち早めに洗面所に向かう


 因みに、雪音はお母さんから聞いて先にすませてたみたい。


 お母さんから貰った紅茶を優雅に飲みながら私が起きるまで待ってたって言ってたけど...


 後は荷物を軽くまとめれば終わりだからすぐ行くって晴華さんに伝えて欲しいって、


美紗(あれ...、雪音が泊まってるん

   だよね...?)


美紗「取り敢えず髪だけでもとかし

   て、」


美紗「いや...もう、顔もついでに

洗っちゃおっ、、」


バタバタ...


※スライド


美紗(...うん、やっぱり顔洗うとだいぶ

   目覚めるね。よし、)


 視界も良くなって、タオルを置いて洗面所をすぐ出た私は急いで晴華さんの待ってる玄関のドアノブに向かって手をかける。


ガチャッ...、


美紗「お待たせ...、しましたー、」


美紗「すみません、本当に

   さっき起きたばっかりで...、」


晴華「髪降ろした美紗ちゃん、凄く

   似合ってるよー、」


美紗「褒めても、...何も出ないですよ?」


晴華「まぁ、私もロング好きっていう

   のはあると思うけど。それでも

   似合ってるのは本当だよ?」


美紗「....。」


 この人から言われると、あんまり褒められてる気がしない...。多分褒められてると思うんだけど...


 褒めなれ慣れてるっていうか...。最初からあった言葉をそのまま使ってるような...。まぁ今の私が言えた義理じゃないんだけど...


美紗「というか...、さっきから

可愛いげない返事ばかり

ですね...。すみません...」


美紗「...後輩なのに。口答えしちゃうし...」


晴華「上辺だけの言葉より、全然良いよ。」


美紗「...本当はあぁいうのあんまり好き

   じゃないんですよね」


美紗「....言い過ぎちゃうから。」


美紗「お前は本当に可愛げがないって、

   よく言われるんですよ」


晴華「私はそういう美紗ちゃんも良いと

   思うけど」


美紗「.....。」


美紗(なんかさっきからナンパっぽいん

   だよなぁ...)


美紗「...今、雪音は二階で荷物まとめて

   ますから もう少し待ってれば」


晴華「美紗ちゃんは私の事...」


晴華「怖い...?」


晴華「私は普通の人と違うから...。

   髪だって白いし、眼だって血の色

   みたいに真っ赤で...」


晴華「良い意味でも悪い意味でも人間

   らしくないから。恐がらせちゃって

   ...ごめんね。」


美紗「晴華さんの容姿は綺麗だと思いますよ。

   そうじゃなくて...。虐待してた

   人が何も言ってくれない人だった

   から...」


晴華「え、」


美紗「私が結構酷い事言っちゃって。

   何も触れずお菓子を食べて終わり

   じゃ...、嫌...だったんです...。」


美紗「そのことを解決せずにイライラ

   がたまって...鬱陶しいとか、

うざいとか...思われたくなかったので」


晴華「えっ、私、そんなに心狭そうな

   人に見えるかな...、」


朝乃「晴華さんは天使ですっ!!!!見た目も、

   そして、心も!!、ミカエルです!!」


晴華「朝乃ちゃん...。」


晴華「私別にミカエルじゃないけど...」


朝乃「そのくらい可愛いってことですよ。」


朝乃「遅いから様子を見に来ました、」


美紗「朝乃先輩...、居たんですか?」


朝乃「居ちゃ...、駄目、かな...」


 子犬みたいに寂しげな顔で悲しそうにいう朝乃先輩。


美紗「えっ、いや。そういう意味じゃな

   くて!!すみません、私疲れてて変な

   事...!!」


美紗「...えっと。」


美紗「今の話、聞いてました...?」


朝乃「まぁ、今のは...。聞こえてたね...」


朝乃「...ごめん」


すぐ謝れる良い子。私の方が後輩だけど、


美紗「...まぁ、聞いちゃったものは仕方

   無いですね。」


朝乃「.....、」


朝乃「美紗ちゃんの周りの人はそう

   だったかもしれないけど、晴華さんは

   本当に良い人だよ。」


美紗「分かってますよ。」


朝乃「こんな可愛い子を育てない親とか

   どうかしてると思う。美紗ちゃんには

   良いところがいっぱいあるから」


美紗(晴華さんに対してこの人は、本当に

感情的に話すなぁ...。)


 なんか雰囲気に任せてバグしちゃってるけど


 朝乃先輩だと不思議と、癒される...。大型犬みたいで、


朝乃「私もこいつだけは無理!!、ってのが

   居たけど、今になってはその子の事を

   あんまり知らなかったんだなって」


朝乃「後悔してるの。あいつには絶対言って

   やんないけど」


朝乃「人間関係って、そういう物だから。

   それが分かってれば大丈夫、」


美紗(先輩の背中。むにむにだなぁ...

   抱き心地が凄い 良い...、)


晴華「昨日のお詫びも兼ねて。お礼に

   お菓子を焼いて来たんだよ、」


晴華「...ごめんね。」


美紗「....。」


お父さんは、そんな顔 しなかったから...。


美紗「....大丈夫です。」


美紗「私こそ、ごめんなさい...恐がって。

   晴華さんは悪くないのに...」


晴華「まぁ、隠し事する私も悪いから...」


美紗「それでも...謝りたいんです。」


美紗(あの人(お父さん)と同じと

   思ってしまったこと...、)


晴華「...あ、じゃぁ。お菓子

   結局縁蛇ちゃんに全部食べられ

   ちゃったんだけど...」


晴華「また作るから、許してくれる?」


美紗「縁蛇さん...。」


※キャプション


美紗「...縁蛇さんの方は

   上手くいったんですか?」


晴華「....、」


晴華「その事なんだけど...、、縁蛇ちゃん

   にお願いしてもらってから本当に

   楽になってねー、」


晴華「久々に違う夢を見れたの。」


晴華「...凄く、大事な夢...。」


 昨日あんな事があったとは思えないくらい、電話で話してた時はすごい追い詰められてる感じがしたけど...。


 縁蛇さんに頼んだのは正解だったみたいで。晴華さんの声色も空元気じゃなくて本当に気が晴れたかのように変わってる。


晴華「夢って本当に凄いよね、」


美紗「私も、そう思います。」


美紗(私も不思議な夢を見たけど...。

   晴華さんはどんな夢を見たんだろう)


晴華「私の大事な記憶...、

   忘れちゃいけない...。本当に

   大切なこと、大事な人達...。」


晴華「美紗ちゃんが言ってくれなかった

   ら、私は今此処に居ないかも

   しれないから。」


美紗「言いすぎですよ。」

 

晴華「...本当に美紗ちゃんには感謝してる

   んだよ、ゆっきーの事も。私の

   事も...」


晴華「本当に、色々ありがとう、」


晴華「私今とっても、幸せだから...、

   助けてくれて本当に嬉しかった

   んだよ。」


美紗「...なんか、すみません...。」


美紗(ヒロインの登場を遮って)


雪音「晴華さん。」


晴華「ゆっきー、会いたかったよ~♥️」


 晴華さんは雪音を見ると、すぐ駆け寄っ

てぎゅっと抱き締める。雪音もそんな晴華さんを見て、安心したのか優しい表情に戻っていた。 


美紗(...でも、これでようやく雪音も晴華さんと

   仲良くやってけるかな。)


美紗(あれ、朝乃先輩いつの間に車に

   戻ったんだろ...)

 

晴華「....いつもと違う匂いする、ゆっき

   ーも良いねー...♥️♥️」


雪音「お姉、様...、」


晴華「えっ」


雪音「いえ、親しみを込めて"お姉様"と

   呼んだ方が良いと聞きましたので...。」


美紗(なんか違う意味に聞こえる)


晴華「んー...、」


晴華「でも私...。ゆっきーから

   付けて貰った名前も好き...だか

   ら。」


晴華「....晴華、って呼ばれたい。かな

   ぁ...って...///、えぇっと...、」


雪音「晴華、お姉様...ですね。」


晴華「...うん、」


晴華「雪ちゃん」


美紗(...完、全に移動するタイミン

グを逃がした気がする...、、)


※スライド









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