第13明「麗夜と謝罪会見」【晴朝夜】
ブブッ
朝乃(ん?、シーウェだ)
朝乃「古池様!?!?」
古池様『誘拐事件の件は知っていますね?』
古池様『その事で篠崎様に折いって相談したい
事がありまして...、本日は丁度麗夜が
出ています』
古池様『そのため急ぎで誘拐事件の事で
美紗さんと一緒に三者面談をすること
に致しました。』
朝乃(大事(おおごと)だ。)
古池様『あの子は言いたい事を言わない節が
あるので、篠崎様には麗夜の味方に
なって頂きたいのです』
古池様『今回の件は流石に堪える物がありま
して...』
朝乃(実際誘拐され掛けた事があったら
そりゃ怒るわよね...。古池様の怒りが
滲み出てる...、)
その瞬間、ブブッと古池様の車が迎えに来て。直ぐ様ママに説明をしながら黒塗りのベンツに乗ってく私。
朝乃(確かにこれだけ見たら連れ去りに
見えるわよねー...。)
※スライド
朝乃「古池様から聞いたわよ、一連の事!!」
朝乃「...燕尾服似合ってるじゃない」
麗夜「褒めるか叱るかどっちかにしろ。」
朝乃「今すぐ美紗ちゃんの所に謝りに行く
わよ、誘拐事件の事!!!」
と麗夜の腕を掴んでいく私。
麗夜「...晴華が教えたのか」
麗夜「あれはあやつなりの試練だったのだ。
確かにやり過ぎだった節(ふし)も
あるかもしれないが、」
麗夜「それについては私は後悔してないぞ。」
麗夜「...とでも言ってやりたい所だが、雪音お嬢様
にこっぴどく叱られたので 反省している。」
朝乃「聞いた話によると、ガラスを割って建物に
侵入したそうね」
朝乃「ほんと凄いことするわよね。あなた」
麗夜「割ったのは出た時だ」
朝乃「割った順序なんてどうでもいいの、時間
じゃなくて"やった"っていう事実が
大事なのよ。兎に角今直ぐ謝りに行き
なさい」
朝乃「晴華さんにも謝って欲しいけどね。迷惑
掛けたお礼として」
麗夜「朝乃もそちらの味方か」
朝乃「当然じゃない。いたいけな1年生を
いじめるんじゃないわよ」
朝乃「聞いた所によるとあんたが悪いのは
変わらないし」
麗夜「別に"擁護しろ"とまでは言わないが」
麗夜「朝乃は完全にそちらの味方なのだな...。」
朝乃「今回は圧倒的にあんたの方が分(ぶ)が
悪いから」
麗夜「...今日は向こうから此方に来るらしい」
麗夜「私とて、お嬢様の感情を取り戻した
者に...感謝の念を述べたいのだが」
麗夜「なんだろうな...。この感情は...」
麗夜「ずっとお嬢様の近くに居た私は、
お嬢様の感情を取り戻せなかったのに」
麗夜「お嬢様の恋人はそれをおいそれと簡単に
成し遂げた。誘拐されたお嬢様に無謀に
も挑み、私に傷を負わせたのだ」
朝乃「は!?!?傷!?!ちょっと大丈夫なの!?」
麗夜「問題ない。...すぐに消えたから」
朝乃「すぐに消えたって」
一瞬強く晴華さんの事を考えたのがバレたのか、麗夜は私の手を払いのける。
麗夜「やはり貴様は私の顔が好きなだけ
なのだな...」
朝乃「そんな事...、」
麗夜「私は朝乃と違って素養も教育もない、
当たり前で至極全うな事だ。私に
世辞は通じないぞ」
朝乃(動物的、感...)
朝乃(晴華さんだったら、絶対こんな事
しないのに...)
麗夜「そろそろ来る。...休憩は此処までだ」
麗夜「どうぞお入り下さいませ、
お嬢様」
朝乃(あからさまに態度が変わったわね。)
麗夜がガチャッと部屋のドアを開けるとそこには古池様と美紗ちゃんが居た。
朝乃「どうも、美紗ちゃん」
美紗「あ、あれ...朝乃先輩...?」
古池様「えぇ、彼女が唯一麗夜さんのご友人
との事でしたから。此方で
お呼び致しましたところ」
古池様「快く引き受けて下さったのです。」
古池様「約束は、きちんとお守りしますので」
美紗「ゆ、雪音...///」
古池様「さぁ、どうぞ席にお寛ぎ下さい。」
麗夜「....」
朝乃「何よ...この紅茶、砂糖全然
入ってないじゃない」
麗夜「ふん、文句があるのなら
勝手に入れろ... 貴様は本来
此処にはおらん立場なのだ。」
麗夜「そもそもは、だ。」
麗夜「貴様がこの場に同席しているのは、
雪音お嬢様がどうしても朝乃をお連れ
しろと仰られたため」
麗夜「本当にそれを分かっている
のか?」
朝乃(...ちょっと晴華さんの事を考えたからって
そんなに怒らなくても良いじゃない。)
麗夜「客人としては些か(いささか)態度が
過ぎるようだが、」
朝乃「はいはい、言わずとも分かって
ますー。そんな事...というか
それを言うなら」
朝乃「私だって古池様にお呼びされてる立場
なのよ?」
麗夜「何が言いたい...。回りくどい
回答は時間の無駄だ、直球に答えろ。」
朝乃「つまり、...私は古池様の
【お客人】って事。あんたこそ、
そこんところ分かってんの?」
麗夜「...」
麗夜「...確かに、それは一利あるかも
しれん。」
麗夜「だが、どちらにせよ雪音お嬢様
の御心次第。貴様が選択する物ではない」
雪音
古池様「...麗夜さん、その方は私が
急遽お呼びしたお客様の一人です」
麗夜「はっ、畏まりました。雪音お嬢様」
朝乃「との事よ。口を慎みなさい」
麗夜「...雪音お嬢様の銀河のように
広いお心に感謝しろ、」
麗夜「とだけは申します。お客様」
それからすぐに麗夜は立ち上がって、まるで本物の執事のように
私の紅茶のカップにシュガースティックを物音一つ立てずにそっと添える。
朝乃「どうも、執事さん。」
朝乃(腐っても執事ね。)
朝乃(美紗ちゃんが気に入らないのは分かる
けど、露骨に態度に出てるわね)
美紗「....」
麗夜「....」
麗夜「...お嬢様、お紅茶でございます」
古池様「...お客様からお出しなさるのが
礼儀というものは貴方もご存知
のはずでしょう、麗夜さん」
麗夜「ですが、それではお嬢様の紅茶が
冷めてしまわれます故」
古池様「...それはそうですが、私は貴方
の入れた紅茶を何度も飲むこと
が出来ます」
麗夜「雪音お嬢様に冷めた紅茶など、
絶対に御出し出来ません」
古池様「....。」
と、ため息を付く古池様。一方麗夜は御主人様である古池様のコップに3回に分けて丁寧に紅茶を注ぎ入れている...。
朝乃(それにしても贔屓が凄いわねー。)
朝乃「普段から、こんな感じだと古池様も大変
そうですね...。」
古池様「えぇ...、麗夜さんは...その...少々、
過保護が過ぎるのです...。」
朝乃「これで...少々ですか...?」
朝乃「あんた、普段どんだけやばいのよ」
麗夜「雪音お嬢様は古池家のご令嬢だ。過保護
過ぎるくらいが丁度良いというもの
だろう」
朝乃「...ふぅ」
朝乃「というか...。本物のお客様
そっちのけでちょっと、それは
ないんじゃない?」
朝乃「こっちは謝罪する側なんだから」
朝乃「...ただでさえ貴重な休みだって
いうのに、皆あなたのためにわざわざ
時間を作ってるっていうのよ?」
朝乃「少しくらい謝りなさい。」
朝乃「美紗ちゃんもそう思わない?」
美紗「えっ...!?い、いや、えっと...そ、
それは...。その...」
美紗「私は、平気ですから...、」
朝乃(なんて良い子なの...ッ!!!私だったら執事に
こんな態度取られてたらはち切れんほど
後でネットで酷評するわ。)
朝乃「そう言うから、これに何
いっても大丈夫だろって思われるのよ。」
朝乃「人生舐められたら一貫の終わりよ?」
朝乃「ちゃんと言わないと
本当にこいつ分かんないから」
朝乃「六歳児だし。」
美紗「六歳児...??」
麗夜「ふっ...、貴様も私が居なければ
大層楽だったろうにな」
麗夜「こんなめんどう事に付き合う必要
もなかっただろう。」
朝乃「...そんな事。一言も言って
ないでしょうがっ!!この、あんぽん
たんなすび!!」
麗夜「あんぽんたんなすび....」
朝乃「私は好きで付き合ってんのよ。」
朝乃「というか、あんたが紅茶入れる
だけで済む話なの」
朝乃「それをなんで、いちいち嫌がら
せみたいに入れてあげないのよ」
朝乃「めんどくさくしてんのはあなた
自身じゃない。」
朝乃「そんな子に育てた覚えはありません。」
美紗「私が自分で入れれば良い
だけの話ですから、その...
大丈夫です...。」
美紗「このポット、使えば良いのかな...わっ」
と、背後から怪訝な顔をした麗夜がさっとティーポットを持ち上げる...。
麗夜「....」
美紗「執事、さん...?」
麗夜「手袋も無しに素手で触れれば火傷
する。客人を怪我させるなど、お嬢様
の執事としてあってはならない」
麗夜「...古池お嬢様がただ、最優先なだけだ。
紅茶を入れない訳ではない...。一応、
客人として対応するようにお嬢様から
お伺がいしてはしている」
美紗「.....あ。...は、はい...。」
朝乃「だから、そういう態度が威圧してる
って言ってるのよ...。何度言ったらあんたは
分かんのかしらね...」
麗夜「生憎、それを教える者が側に
居なかったものでな。」
朝乃「今は此処に居るでしょ」
麗夜「私はこういう話方しか知らん
のだ。だから、早々に諦めろ」
朝乃「あんたはこう...、そうなんで
いちいち偉そうなのかしら」
朝乃「直す努力を何処に置いてきたのよ。」
麗夜「そのようなもの、初めから
ないと言っている」
朝乃(それを言われたら、何も言い返せないじゃ
ない...。)
朝乃「まぁ...、いいわ...。こんなんじゃ何時
まで経っても話なんか終わりゃしない
じゃない。そうね...」
朝乃「...これに慣れてないと絶対に話に
ならないと思うので、理不尽に感じたら
すぐに口出すから安心して」
美紗「あ、はい...。すごく...、心強いです...、」
麗夜「本当に時間の無駄だったな」
朝乃「どの口が、それをいうかっ!!」
※スライド
麗夜「そろそろ本題に入りたい。」
美紗「...は、はい」
麗夜「...私の事が怖いか。杏里、美紗」
美紗「...怖くない、といえば嘘に
なります。ですが...すみません...、」
美紗「それでも私はどうしても...。
あなたと...お話、しなきゃ
いけない事があって...此処に
来ました。」
朝乃(凄い緊張してるわね。美紗ちゃん...)
麗夜「...。」
麗夜「私が貴様に問いたいのは...
ただ一つ。...いや、もう一つ
だけあったな。」
麗夜「個人的に問いたい事だ。
...それさえ分かれば私は元々
去るつもりでいた」
麗夜「...だから安心しろ。杏里、美紗」
美紗「....」
麗夜「誘拐犯の言葉など信頼すべき
ではない、か。全く以て
その通りだろう。」
麗夜「...むしろ、その方が良いともいえる」
麗夜「では、私から質問させて頂く。
貴様が考える雪音お嬢様の
幸せとはなんだ。」
麗夜「私を愚弄してまで考える
その答えを教えろ」
朝乃「別に愚弄はしてないと思うけどね。」
朝乃(麗夜のプライドがそれを邪魔してるの
かしら。)
美紗「....」
美紗「....それは、私には分かりません」
麗夜「...所詮は"その程度の思い"という事だ。」
美紗「それは、雪音自身がそう感じる
物だから。だから私には、
...分かりません」
麗夜「何を言い出すかと思えば...」
麗夜「...椿様のお考えになられる
お言葉が...、間違っていると
でも言うつもりか...。貴様は...!!」
雪音「麗夜さん...、...約束を忘れたのですか。」
麗夜「ですがっ...!!椿様のご意向にこの者は
口出しを...!!古池の顔に泥を塗るような
ような発言、許されるべき事では」
雪音「椿様が泥を塗られるような発言をする
と、貴女はそうお考えになられるの
ですか」
麗夜「...め、滅相も御座いません!!その
ような事が椿様にあられる訳が御座い
ません!!」
雪音「...私は椿様の物(にんぎょう)なのでしょうか」
美紗「それは、絶対に違うよ。雪音、
雪音は雪音っていう一人の
人間。絶対人形なんかじゃない」
麗夜「....。」
朝乃「あなたがその顔に泥を塗ってるのよ。
麗夜」
朝乃「自分では出来ないことを棚にあげて
嫉妬して、挙げ句の果てには愛しの
お嬢様を物扱い??」
朝乃「今の貴方、...サイテーにダサいわよ。」
美紗「朝乃、先輩...。」
麗夜「お嬢様は物などでは御座いませ
ん...。雪音、お嬢様は...椿様の一人娘
で御座います」
朝乃「...今の、残念だけどあんたがそう古池様
の事思ってるようにしか...、私には聞こえ
なかったわ」
朝乃「言葉の理解って結構大事よ。」
麗夜「...そうか。」
朝乃「そうかって...、」
朝乃(言葉の意味を理解してもらえるのを諦めて
るわね。完全に...読解力を人に頼ってばかり
じゃ駄目よ麗夜)
朝乃(貴女のことを分からない人も居るんだから。)
麗夜「次はそちらの番だ」
美紗「なんで...、貴女は雪音とおんなじ
家族なのに。...雪音を、信じて
あげないんですか」
麗夜「...私は椿様がいなければ、雨の中。ただ
一人で凍え死ぬのを待つだけの子供
だった。その娘である雪音お嬢様
には大変感謝している...。」
麗夜「また雪音お嬢様は名もない私に名前を
与えて下さったお方だ。お二人が仰る
言葉なら、私は例え黒であっても白と
信じるだろう」
麗夜「私はお嬢様の未来を案じているのだ。
お嬢様だって家柄のよい者を恋人に
選ばれた方がわだかまりも少ない
だろう」
朝乃「...はぁ、本当どうしようもないのね...
あんた...。あんたの事情を知らなかった
ら、今すぐにでも私、あんたをひっぱた
いてたわ」
朝乃「...麗夜。一回しか言いたくないし、言わ
ないからよく聞いて。美紗ちゃんは」
朝乃「古池様が自分で幸せを見付けよう
とするのをあんたは「これが幸せ」
だって」
朝乃「その手で選択肢の自由を奪ってんのって
言ってんのよ」
朝乃「本当の幸せっていうのは...、人に与えられ
て貰うもんじゃなくて。自分で考えて
行動して、そしてやっと生まれるもの
なの」
朝乃「あんたのは古池様を幸せにしたい、って
思ってるだけのあんたの幸せ。それ自体
は何も悪い事じゃない。...でもあんたの
幸せ=古池様の幸せじゃない」
麗夜「...」
朝乃「難しい話でしょうけどね。」
朝乃「古池様は美紗ちゃんを選んだのよ。
"あんた"じゃなくて」
麗夜「....。」
麗夜「...最後に一つだけ、質問がある」
美紗「なんですか...」
麗夜「何故、私に会おうと思ったのだ。」
美紗「...雪音が貴女の事をもっと
信じて欲しいって、
そう思ってたから...。」
美紗「だから...。貴女に会わなきゃいけない
って、...そう思ったからです。」
麗夜「雪音、お嬢様が私を...?」
美紗「会って欲しいって最初に提案したのは
私じゃなくて、雪音の方。雪音
も麗夜さんの事...きっと大事な
家族だって。思ってて...だから...」
麗夜「....。」
雪音「...もう、良いのです。杏里さん」
美紗「雪音...」
雪音「もう下がって良いですよ、麗夜さん。
....貴女もそろそろ限界でしょうから」
麗夜「...畏まりました。雪音、お嬢様」
麗夜「失礼...、致します。」
※キャプション
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