第2章「ようこそ、調理部へ!!、」【みさゆき】

 訳も分からずに生徒会の書記さんに拉致、もとい連れてこられた場所は


 まだ授業でも一度も入ったことのない教室だった。


美紗「調理室って初めて来た...。」


雀「確かに1年生の頃はあんまり調理室は

  ...使わなかったでしたよね?」


真秀場「えぇ、授業自体があまり無かった

    ですものね。」


美紗「2年生になったら使うように

   なるんですか?」


雀「二年生からは芸術コースだけじゃなく

  って、フードデザインコース科も専攻

  出来るようになるから」


雀「だからそっちの学科を選べば殆ど

  毎日」


真秀場「雀ちゃんのエプロン姿が拝めるの

    っ!!ひゃっほう!!最高だぜ

    っ!!」


美紗「...なるほど?」


雀「先輩も私も芸術科コースだから、1年

  生よりは増えるんだけど...けど2週間

  に1回くらいかも。調理するのは」


雀「...お互い先輩の妄想に騙され

  ないように気をつけよう?」


美紗「嘘なんですか!?」


真秀場「あら、フードデザインコース

    だと多いのは本当よ?」


美紗「でもあれ、そういえば雀さんと書記

   さんは同学年でしたよね?何で先輩

   呼びして」


ガラガラ...と扉を開けると


パパーンッ!!!


と急に、大きなクラッカー音が鳴った。


美紗「えっ!?」


??「調理部へようこそー!!なのですよ

   っ!!」


 舞い上がった色んな色の紙テープが頭の上に降ってくる。


 突然の歓迎ムードに、思考が停止してしまう私...、


??「生徒会の皆さんを祝してっ!!」


美紗「...え、縁蛇さん?」


縁蛇「あっ、あなたは...!!この間の邪魔

   だった人ですね!!」


 どこかの裁判ゲームみたいな感じに縁蛇さんはビシィッと擬音がつきそうな勢いで、五本指で私に指差す。


 人差し指で指すのは行儀が悪いとでも怒られた事があるのだろうか、それにしても...それにしても...。


...なんでやねんにしか見えなかった、、


美紗(それもだけど...せめて、もっと

   ましな覚え方して貰いたかった

   なー)


 ...まぁ、こっちが完全に悪いから何も言えないんだけど...他に覚え方無かったのかなぁ...。


美紗「....その節は本当にごめんね」


 縁蛇さんの後ろに隠れるように居る代茂技さんと目が合う。


美紗「代茂技さんも」


代茂技「...い、...いえ」


美紗「出会い方は失敗しちゃったけど、

   それでも仲良くしてくれると

   嬉しいな」


代茂技「...。...いえ、こ、こちらこそ、

    宜しく...お願い致します...//」


 赤くなって俯いてる代茂技さんは恥ずかしくなってしまったのか、縁蛇さんの後ろにさっと隠れてしまった。


...赤面症なのかな?


美紗「でも、一緒の部活に入ってるなんて

   本当に二人は仲が良いんだね。

   羨ましいな」


美紗「料理とか好きなの?」


代茂技「....///」


 彼女は真っ赤になったまま目を反らして喋らない。話したくないというより話せないみたいな感じだから別に良いんだけど、


美紗(話すなら図書館にいる時のが良い

   のかな?)


縁蛇「貴女、生徒会の方だったのです

   か!?」


美紗「え?違うよ!?私は...ただ書記さん

   に連れて来られただけで...、

   どうしてかは分かんないけど..」


縁蛇「成る程....、という事は、、」


縁蛇「もしかして!!、調理部になりたい

   のですか!?興味ありげな感じです

   か!?入りたい感じですかね!?」


美紗「いや...あの...」


縁蛇「部員が増えますよ!!代茂!!

   これで使えるお金も増えますね!!

   がっぽがっぽですよ!!」


  助けを求めるように目を横に向けると、今にも耳に唇が当たりそうな距離で書記さんが雀さんに寄り添ってる。


美紗「えぇ...、えっと...//」


 目のやり場に困るのもあるけど、でもこの状態を説明出来る人がこの人しかいないのとどっちを取ればいいか分からない。


どうしよう...、、


真秀場「雀ちゃん///、あーもう、可愛い

    ー///萌え萌えキュンキュンだおー///」


雀「はいはい...。何度も聞いてますから

  精神年齢下げないでも分かってます

  よ。それに一年生の子が困ってます

  から...」


真秀場「...そうね。雀ちゃんのお願い

    なら、私一肌脱いじゃうわ」


雀「あー!!もぉ!!物理的に脱がないで

  いいですからっ!!というか、脱ぐ

  意味が分かんないです!!」


雀「少なくとも先輩令嬢なんですから

  そういうとこはしっかりしないと、

  いつどこで誰が見てるか分からないん

  ですから!!」


 と必死に制服を脱ごうとする書記さんを抑えてる雀さん。


 それにしても書記さんって凄い楽しそうにしてて見ててこっちも楽しいけど...今はそんな場合じゃ...


縁蛇「この紙、あなたにあげますね!!」


美紗「...えっと」


美紗(私、調理部はちょっと...、)


??「stopだよ。エンジャ、ステイ」


と、調理部の書名の紙を後ろから女性が取り上げる。


??「思い込みはエンジャの悪いとこ

   じゃないかな、せめて長所になる

   ようにね...」


??「っと、ウチのMemberが余計な事

   しちゃってごめんね?」


 まるで不思議の国のアリスの世界から出てきたアリスのように


 光り輝く綺麗な金髪の人が縁蛇さんの後ろから、笑顔で微笑んだ。


美紗「...ア、アリスみたい」


 白い蝶の形をしたレースと空色のカーディガンが凄くマッチしてて、薄い水色の瞳に...長い金色の睫毛。


 その姿はまさに女の子の憧れそのものだった...、


縁蛇「樹理先輩ー、クラッカー作戦失敗

   しちゃいましたね!!」


??「なんで私が指示したみたいになって

   るのかな!?...もぉ...エンジャ

   これ片付けしといてよ...。」


縁蛇「らじゃなのですよ!!あなたも

   早とちりしてしまって、ごめん

   なさいですよ」


と縁蛇さんはぺこりと頭を下げてくれた。


縁蛇「これでおあいこですね!!」


美紗「....う、ん。」


縁蛇「よーしっ!!ピカピカにします

   よ!!代茂!!」


代茂技「ま、前みたいにやり過ぎないよう

    にね...」


縁蛇「はっはっはっ、人は失敗して学ぶ

   生き物ですよ!!代茂。私を侮らな

   いでください!!今夜はやり遂げま

   すよ」


代茂技「....え?今、...今夜って?」


美紗(せっかちなだけで、縁蛇さんって

   悪い子じゃないんだよね...)


 縁蛇さんと代茂技さんはロッカーを開けて、箒を出し始めてる。


 その後、上の方にCMでよく見る有名な洗剤が大量に見えたけど見なかった事にした。


美紗「....あの!!」


??「食事は楽しくて賑やかの方が良い

   よね。私的にはソウ、グッド

   だよ!!Win-Winの関係って

   やつだよね」


美紗「さっきはありがとうございました

   っ!!」


??「どういたしましてだよ。エンジャは

   あれでも良い子だから、仲良しで

   いてあげて欲しいかな?ベクトルが

   あれなんだけどね...」


美紗「...その!!」


??「ん?どうしたのかな?

   何でも言っていいよ、私は人見知り

   しない方だから」


美紗「アリスみたいで本当に可愛いです

   ね!!」


??「Alice?それって、私の事?」


美紗「はいっ!!私物語とかそういうの

   大好きなんです!!本当に美人で

   興奮しちゃって!!」


??「ふふふっ、確かに樹理はアリス

   みたいやね。」


??「お皿、もう一枚追加しはるね」


と奥の方から、女性の声が聞こえる。女子高だから当然なんだけど...鐘のような透き通った声だった。


??「えー...何か複雑だよー...私はナミ

   みたいな綺麗な黒髪に憧れてるん

   だよ?」


??「...でも、褒めてくれてありがとう。

  すごく嬉しい///」


 感極まり、思わず等身大アリスと握手をする。樹理と呼ばれた金髪の女性は嫌な顔一つせず、笑って握手を返してくれた。


美紗「...わー//、えへへ...//」


 握られた女性の顔をじーっと見つめる。それにしても、本当に綺麗な顔だなぁ...、


樹理「そんなに嬉しそうな顔、見ちゃうと

   私も嬉しくなってきちゃうよ。」


美紗(でも...何か大事な事を忘れてる

   ような...)


はっ!?、、...雪音っ!!


あんまり喋ってくれないからつい、忘れてた。....急いで雪音の方を振り向く、


 雪音怒ってるかな...。もしかして...嫉妬してくれてたり...


雪音「どうかいたしましたか?」


 私の視線に気付いたのか雪音は微笑んだ顔色を一切変えずに首を傾げる。


美紗(うん。しないよね!!雪音、スーパ

   ー...ドライ!!でも、そういうとこ

   含めて大好きだよ...。)


少しだけ、複雑な気分だけど...雪音が怒ってなくてそれはそれで少しほっとしたかも...。


雪音「.....」


※スライド

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