第1章「妹ちゃんキャラ?、」【みさゆき】

キーンコーンカーンコーン


美紗「ごめん、また後で。」


美紗(柚夏の反応も気になるけど...、)


柚夏「....、」


美紗(柚夏は柚夏で思う事があるみたい

   だし、今はそっとしておいた方が

   良いのかな...)


 柚夏は私と雪音が付き合ったのが、かなりショックを受けてる様子で


 そのまま何も言わず、神妙な顔をしたまま、自分の席に戻っていってしまった。


美紗(え、そんな古池さんってヤバい

   人なの...、いくらなんでも

   ちょっと落ち込み過ぎじゃない...?)


※スライド


 朝のHRが終わって、担任の先生と入れ替わるように一時間の先生が教卓の前に立つ


先生「それではこれから現代文の授業を

   始めます。」


 規律、礼、「宜しくお願いします」とクラスにいる生徒全員で先生に会釈をして、


 着席といつも通りの挨拶が終わって授業が始まる。


先生「それでは、昨日の問題の続きから

   始めていきますね」


美紗(柚夏はあぁ言ってるけど。それでも

   あんな綺麗な人のする事なら何

   でも許せちゃう気がするな...、)


美紗(...自分より綺麗な人が居たらそっち

   に行くのは当たり前だし、私の事

   思ってくれるなら二番目でも全然)


美紗(やっぱ私ってちょっと変わってるの

   かな?)


美紗(例え遊びでも。今私を気にいって

   くれてるならそれだけで充分だと

   思うんだけど、)


 朝は生徒会のお仕事が忙しいから雪音にはあんまり会えないけど


 雪音に会える時間を聞いて...それから、時間が取れたらもっとゆったりお話とか出来れば良いなとか思ってた。


美紗(私憧れの人とお付き合いしてるん

   だもんね...、...本当に夢みたい。)


 現実味がないっていうか、...雪音ともっとお話するようになったらそういう実感も少しずつ沸いてくるのかな。


美紗(今度雪音と会った時、どんな

  お話しようかな、)


美紗(やっぱり恋人らしい話とか...///?)


美紗(...うーん、付き合って次の日からは

   流石に早過ぎかな?)


 雪音は何の話が好きなんだろ?どんな話をするのかな。好きな物とか、嫌いな物は?


美紗(...こうやって考えてみると、私雪音の

  こと本当に何も知らないな、)


先生「☆マークの所は特に大事な問題です

   から、覚えて下さいね。期末テスト

   にも出しますよ」


美紗(あ、ちゃんと書かなきゃっ!!)


 先生が書き写した答えを見ながら、消されないうちに必死にノートに書き込む。


 先生の声とカリカリというシャーペンの音だけが無音の教室の中で響いていた。


先生「...えー、ではこの問題を芽月さん、

   芥川龍之介の作品を3作品答えて

   下さい。」


 はいと、返事をしてから柚夏が立ち上がる。


美紗(授業はちゃんと受けないとね。

   雪音の恋人に見合うように良い点

   取らなくっちゃ...、)


美紗(この問題の答えは...えーっとなんだ

   っけ...?)


柚夏「羅生門、雲の糸です」


先生「あと1つは分かりますか?」


柚夏「...あ、すみません。舞踏会、あ、

   あと鼻もでしたっけ」


美紗(柚夏...?)


先生「今芽月さんが答えて下さった

   作品も、全て芥川龍之介が作者

   で...」


美紗(4つ答えてるけど...柚夏、本当に

   大丈夫かな...?)


 お昼休憩。後ろの席を振り向くと柚夏は無言で立ち上がって、そのままどこかに行ってしまった。


美紗「んー、やっぱ告白する前に柚夏に

   何か言うべきだったかな...、」


美紗(完全に私を避けてたよね...、柚夏。

   何も言わなかった事、怒ってるの

   かなぁ...)


 いつも一緒にご飯を食べていただけあって、柚夏が黙って居なくなってしまうと少し寂しい...。


 それに私に何も言わずにどこかに行っちゃうなんて...今まで一度もなかったから、


 こういう時どういう行動をとったら良いのかよく分からなかった。


美紗(...お母さんの話が不味かった

   かな...、あれから柚夏の様子が少し

   おかしくなった気もするし...、)


ガラララ...、


 お昼ご飯も無いので購買に行こうと廊下に出ると、沢山の生徒が集まって向こうの方で何かにぎわってる


美紗(何の騒ぎだろ...)


周りの生徒の視線が一斉に集まるその先は...


美紗「あっ、雪音...、、」


??「あーん///もぉー///やだーっ///、

   かーわいいっ、かわいい///!!ぎゅう

   うううって、しちゃうっ//」


美紗「え、えっ!?」


 まるで獲物を見付けたライオンが飛び掛かってくるような勢いで女の人が突然迫ってくる、、


 そして目の前でぶつかるっ、って思った瞬間、女性は満面の笑みを浮かべて


美紗「わっぷ...!?」


 両手を広げたまま私に飛び付き、思いっきり抱きしめながら頬擦りしてきた。

 

??「あー、可愛いー...///ツインテの匂いが

  するー///、クンカクンカ...///」


美紗「.....。」


美紗「あ...、あの...、」


美紗「誰かと...間違ってません

   か...?」


 目が合ったな、とは思ったけど、、


まさかの私...?


??「一目見た瞬間、運命を感じました

  もの。ツインテキャラは妹ちゃんの

  代名詞ッ!!、、」


??「...そのあまりのツーサイドアップの

  可愛さに、お姉さんちょっと興奮して

  飛び付いてしまいましたわ。」


??「うふふ、古池の娘さんにもこんなに

   可愛い恋人が出来ましたのね///」


美紗「...古池の娘さん?...雪音の事?」


 笑顔で抱きついてきた人は少し考えるように首を傾げた後、真剣な面持ちで私の顔をじーっと見つめる。


??「その反応...もしかして、...古池の娘

   さんのご冗談でしたの?」


??「エイプリルフールにしては少し

  お早い...、ですけれど」


??「古池の娘さんもそのような事を

   なさる時がおありになるのですわ

   ね。」


美紗「...ゆ、雪音は嘘つきじゃないで

   す!!」


??「....、」


美紗「あ...、ご、ごごめんなさい...。...急に

   、大きい声、出して...しま...っ、

   て...ごめんなさっ...、、」


 急に軽いパニックに襲われてしまった私は、女性の身体を引きはなそうと目を剃らすけど、、


 女性は身体を私に引き寄せたままゆっくりと頭を撫でた。


??「...驚かせちゃってごめんなさい。

   怖がらないで、ゆっくりで大丈

   夫...。本当に焦らなくてもいい

   の...、」


??「どんなにゆっくりでもちゃんと

  聞いてあげるから...」


 そう足が軽く震えてる私に、


 落ち着くように、女性は優しい声を掛けてくれる...。


美紗「...雪音の言った事は...その、多分...

   合っています...」


??「不安にさせちゃった...?」


美紗「...いえ、大分落ち着きました...。

   もう...大丈夫です...。今のはちょっ

   と...発作みたいなものなので...」


美紗「直そうとはしてるんですけど...

中々...。あの...ごめんなさい...、

だからそんなに気にしなくても

大丈夫です...、」


美紗「こっちが悪いんで...、」


 見てるこっちが謝ってしまいそうなくらい、本当に申し訳無さそうな顔をする女性。


??「本当にそんなつもりなかったの...、

    けれど、あまりにも珍しい事だった

   から...写真を見たら思ったより

   可愛い子で、」


??「あぁ、これは抱き締めにいかなきゃ

  と思って...、、」


??「...急にじっと知らない人に見ら

  れたら怖いですわよね、」


美紗「いえ、その...すぐにそうですって

   言えなかった私も悪くて...。」


??「...あ、あんなクソみたいなKY台詞

   をした私を責めることすら一切せず

   自分の負い目を反省する...、く

   ッ...!!」


??「...良い子すぎないっ///!?、、」


美紗「...え、えっと、」


??「...美紗ちゃん!!」


美紗「は、はいっ!?」


??「マジ天使だお~、きゅんきゅん萌

えぇ...//、最強万歳///!!」


 この人が本気でちょっと何言ってるかよく分からなかったけど...


 さっきよりも強い力でぎゅうううっと興奮した面持ちで私を抱き締めにくる女性、


美紗(この人、華奢な見た目してるのに、

   力強くない!?!?さっきから離れよう

   としてもびくともしないんだけ

   ど...、、)


美紗(恥ずかしいから、早く離して

   欲しい///!!)


 ...けど初めてそうやって直接人から雪音の恋人だって言われて、


 本当に今更になって、雪音とお付き合いをしているんだなぁという自覚がふつふつと沸いてきた...。


美紗(...夢、じゃないんだよね。...私が恋人

  だって...。雪音、他の人にも言ってく

  れてたんだ...//)


美紗(...わぁぁ、どうしよう...すっごく、

   嬉しいかも//)


美紗「あの..//その//私には雪音が

   いるのでっ...!!」


雪音「この方は生徒会2年書記、真秀

   場 瑞撫(まほろば みずな)さん

   です」


 そう言った雪音と一緒に同じ腕章を付けた人が、ゆっくりとこちらに近付づいてくる。


美紗(雪音...//!!)


 雪音の姿が見えると煩いくらい、胸の鼓動がどんどん早くなっていって


 嬉しすぎて、心臓が今にも飛び出してしまいそうだった、


雪音「杏里さん、ごきげんよう」


と会釈する雪音。せっかく恋人になれたんだから、雪音に変な人だって幻滅されないようにしなくちゃ、


美紗「えーと...生徒会の人?」


雪音「はい。生徒会は私、1年生が1人、

   2年生が御2人3年生が御1人と

   私を含め、4人いらっしゃいます

   」


美紗「...ってことは、」


美紗「この人も生徒会?」


真秀場「はぁぁぁぁぁ//癒やし~、

    本当に古池の娘さんが大好きなの

    ですのね。飼っちゃいたいくら

    い可愛いですわ~///」


美紗「えっ...、か、飼う...///?!」


 それより、なにか良い匂いするし、さっきから先輩の胸が...当たって...というか、さっきから苦しいっ///!!


真秀場「けど、私の一番は雀ちゃんなの。

    だから、うふふごめんなさいね」


 書記さんの手の力が緩んで、なんとか私は助かったらしい...。色んな意味で...。それにしても...


美紗「雪音の時といい...私ってそんなに

   魅力ないかな...、」


 気付いたら、告白もしてない何故か出会って数分の初対面の生徒会の人にふられていたのだった...。


※キャプション


真秀場「実は私、可愛くて守ってあげたく

    なっちゃうようなきゅんきゅん系

    女子にはめっぽう弱いのです

    わ...///」


美紗「きゅんきゅん系、女子...?です

   か...?」


真秀場「母性愛を刺激させられちゃうよう

    な子犬のようにきゅんきゅんな

    女子の相称ですわね。」


真秀場「...勿論、名付け親はこの私!!」


 頬に手を当てて悦に浸る生徒会の書記さん。なんていうか...、


美紗(この人顔は美人なのに凄い

   子供っぽい...、あと距離が凄い

   近い...)


美紗「雪音...私ってそんな子供っぽく...

   ない...よね...?」


雪音「杏里さんは普段は御化粧をなさって

   いらっしゃるのですね」


美紗「え?そこまでしないと私変われない

   感じなの!?そうなの?雪音!?」


真秀場「そんなっ!!美紗ちゃんは

    そのままで充分、魅力的よ!?

    ...だからね、」


ガシッと、書記さんが私の肩を少し強めに掴みつく。...そして、真剣な瞳で私を見詰めた。


真秀場「今の自分を変えようなんて絶対に

    思っちゃ、駄目!!そのままで

    充分可愛いから!!」


真秀場「美紗ちゃんはありのままの自分を

    好きになって、ありのままの自分

    を信じるの!!化粧をする必要

    なんて一切ないのですわ!!」


この人...、目がマジなやつだ...。


美紗「えっと...」


美紗(確かに今は髪を切るつもりはない

   けど...、そこまでお子さま扱いされ

   るのはちょっと嫌かも...。)


真秀場「...けれど、御化粧が下手で上手く

    出来ずに泣き付いてきちゃう美紗

    ちゃんも...アリね!!」


美紗(この人、怖いよー、、)


??「先輩、このままだと時間過ぎちゃい

ますよぉ...良いんですか?」


 雪音の隣に居た雀の様な少し背が小さめの女の子が笑顔で微笑む


 小さな黒と茶色のベレー帽が小動物のような可愛さを引き出していた。


??「同じく2年生徒会、会計の飛脚雀

  (ひきゃくすずめ)です。私は生徒会

   の中でも比べて一番ダメダメです

   が...」


真秀場「少しくらい嫉妬してくれても

    良いと思うの...雀ちゃぁん」


 私の肩を掴んでいた書記さんの手が離れ、そして書記さんは雀先輩に子供みたいにぎゅっと抱き付く


 腰に手を当ててる、さっきとは違ういわゆるガチめな方のハグだった。


雀「雀は悲しいですチュン」


真秀場「雀ちゃん尊い...」


雀「これで満足しないで下さいよ

  もぉ...」


美紗「でも、生徒会の人が3人も居る

   なんて...!!なんかちょっと凄いかも

   、だから皆集まってたんだね。」


 というか、生徒会の人達顔良い人揃い過ぎじゃない...?何処かの漫画の世界かな...。


 特に雪音と書記さんが並んでるともうそれは美人同士でとても絵になってる(性格は残念だけど)


 そりゃ、生徒の人達も沢山集まってくる訳だった。


真秀場「ところで美紗ちゃんはご飯はもう

    食べちゃった?」


 と雀さんを抱きながら、微笑む書記さん、その笑顔の奥からお嬢様の様な上品さが伺える。


美紗「...いえ、今日は購買に行こうとして

   て」


真秀場「でしたら、美紗ちゃんも連れて

    行かないかしら?ねぇ、良いでし

    ょう?会長さん」


雀「今更取り繕っても無駄だと思います

  よ」


真秀場「そんな...!!」


雪音「私は構いませんが...念のため調理部

   の皆さんにも許可を頂きましょう」


真秀場「古池の娘さんは真面目さんね、

    もっと楽に生きても私個人の意見

    と致しましては許されるかと思い

    ますわよ?」


真秀場「サプライズをしてこそ人の心を

    楽しませる事が出来るのではなく

    て?」


雪音「ふふ、助言として有り難く受け取ら

   せて頂きます。真秀場様」


 私を置いてどんどん話が進んでいってる気がする...。


美紗「え?私どこかに連れてかれる

   の...?」


真秀場「....うふふ、それは着いてからの

   お楽しみにしましょう?」


真秀場「そうした方がお互いに楽しめます

    ものね!!」


※キャプション

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