②海編【なみじゅり】


樹理『助けてナミ!!、助けてっ!!』


樹理『ナミ...っ!!』


チュンチュン..


奈実樹「朝、か...。」


奈実樹「..."海"やな。」


 そういや美紗ちゃんから、樹理が誘われたって言っとったけど まさかまた海に行く日が来るなんてな...。


奈実樹(...とうとうこの日が来てしまったな。)


奈実樹(樹理的には大丈夫なんやろうか...、)


樹理「ナミ、朝だよ...///」


奈実樹「なんで当たり前のような顔して

    うちの旅館におるんやろうな...」


樹理「今日は絶対遅刻しちゃ駄目な日

   だから。起こしに来たよ」


奈実樹「...うちが遅刻なんかする訳ないやろ。」


樹理「ナミはめんどくさがり屋だから、

   こういう時に起こしに行かないと

   忘れ物とかするでしょ」


奈実樹「事前に準備はしてるんやけどな、」


奈実樹「樹理はえぇんか...。」


樹理「準備はばっちりだよ」


奈実樹「...そうか。」


奈実樹「...樹理は何来ても似合うな」


 白くてシンプルなワンピースに、金髪(きんがみ)の麦わら帽子。なんというか 王道的な格好しとるな...


奈実樹「...流石に二度寝出来んか、

    樹理よりうちの方が行きたくないかも

    しれん」


樹理「海、行きたくないの?」


樹理「折角準備してきたのに...。」


奈実樹「...樹理は良いんか」


樹理「ミスを払拭出来るチャンスだもん。

   もう海も平気だし、ちゃんと泳げるよ」


奈実樹「無理せんでえぇからな。嫌なら嫌と

    言ってくれんと分からんぞ」


と、麦わら帽子を被った樹理の頭を撫でる。本当よう似合っとるな


樹理「私のせいでナミまで海が苦手になったら

   やだもん...。」


奈実樹「そんな事気にしとったんか。うちは

    溺れてへんから大丈夫やよ」


奈実樹「樹理は自分の心配だけしとったら

    良い」


と親指でほっぺを軽く広げる。まるで兄弟のようなそんな関係...。うちにとって樹理は...


奈実樹「今度は溺れんようにな」


樹理「だから、大丈夫だって!!」


とゲームの女の子のように四つん這いになって元気に返事する樹理。


奈実樹(そういう所が"あざといん"よなぁ...

    そういう仕草が人を好きにさせると

    いうのに。)


奈実樹「まぁ、...兎に角駅に行くか」


※キャプション


奈実樹「美紗ちゃん、今日はほんま誘ってくれ

    ておおきになぁ。樹理も海に行ける

    言うてはしゃいどったんよ」


樹理「だって、海だよナミ!!ロマンチック

   な恋人と二人っきりになれる空間!!

   sweetじゃないかなっ?」


奈実樹(まだ、そう思ってくれとるんか)


柚夏「どうも」


奈実樹「あぁ、ガトーショコラの」


柚夏「芽月柚夏です。」


奈実樹「"柚夏はん"な。はいはい」


樹理「ありがとね、美紗ちゃん!!。あ、その

   人が美紗ちゃんの言ってたfrendさん

   かな?」


樹理「すごく、クールな人だね。」


柚夏「あはは...、それはありがとうござい

   ます。」


と、柚夏はんと樹理が話をしていると 後ろから凄い目つきの悪い狛はんが深い溜め息を尽きながら歩いてくるのが見える。


奈実樹(樹理は友達が多いな)


小栗「始めまして、一年生の子かしら?」


狛「自己紹介がまだだったね。僕は雨宮狛、 

  僕の隣に居るのはムッツリスケベの

  育代小栗君だよ。僕のフィアンセさ」


小栗「初対面の子に嘘を教えないで頂戴。

   狛、タチが悪いわよ...」


狛「...タチが悪い。つまり、攻めである僕

  が悪いとは...、ふふ、考えたね小栗君」


奈実樹("フィアンセ"、なぁ。なんか二人揃うと

    ...漫才師みたいやな)


小栗「貴女は本当に、...何でもそっち

   へ持っていくわよね...。」


そう言いながら、小栗はんは呆れた眼差しで狛はんを見とる。小栗はんが狛狛言うから覚えたわ


小栗「...随分。...その子の事が気に入って

   るのね?」


狛「...ふふ、嫉妬かい?」


小栗「別にそういうのじゃないけど...。ナンパ

   も大概に、ってだけよ。純粋そうな子

   なんだからからかうのは良くないわよ」


狛「ふふ、...君と性格が似てたから。

  つい、ね。」


小栗「私と...?」


奈実樹(...ミステリアスな男装女子に翻弄

    される心臓病の女の子か、なんか

    一悶着(ひともんちゃく)ありそう

    やな)


朝乃「...芽月さん、美紗ちゃん。おはよう、」


美紗「あ、」


奈実樹「おー、朝ちゃんやないか」


奈実樹「朝ちゃん。おはよう」


朝乃「おはようナミ姉ぇ...」


美紗「朝乃先輩、おはようございます」


朝乃(ねむそうやな)


朝乃「...えーっと、...それ、と...。晴華さんは

   お仕事で来れないんだって...。...私、

   一人で何か本当、...ごめんね」


奈実樹「元はひとりやったんやからあんま

    変わらんやろ。謝る必要ないんや

    ないか??」


奈実樹「相手はモデルはんやしな。予定が

    合わん日もあるやろ」


朝乃「それはそうだけど、やっぱり一緒が

   良かったよ〜、、」


奈実樹「うちが一緒におるからそんな

    落ち込むな??」


奈実樹(なんか樹理に似とんな...モデルが樹理

    みたいやけど)


美紗「そんな事ないです!!私は朝乃先輩

   が良いんですよ。私もヘリで来るって

   雪音に言われちゃったんで!!」


美紗「先輩も元気出して下さい!!」


朝乃「美紗ちゃん...、...マジで癒やし、」


美紗「同じハードルの高い恋人同士頑張って

   行きましょう!!」


奈実樹(恋人...??)


奈実樹(えっ、モデルはんと恋人に

    なったんか??そんな話聞いとらへんの

    だけど)


※スライド


美紗「うん、これで全員揃ったかな。」


柚夏「だね。私が誘ったのは小栗先輩と雨宮

   先輩だけだから」


 最後に人数確認をして、美紗ちゃんが古池嬢に何人集まったかの連絡メールを送って...。


美紗「じゃぁ、海へレッツ、ゴー!!」


 そうして私達は長い時間電車に揺られながら、古池嬢の別荘に向かうのだった。


※スライド


美紗「それにしても、楽しみですね。海」


 午前七時三十分くらいか。ガタンゴトンと一時間ぐらい掛けて、私達は電車に揺られながら海へと向かっていく。


樹理「うん、私も今日が来るのをずっと楽しみに

   してたんだよ。」


樹理はというと、ハリウッド女優さながらの立ち姿で老若男女問わず周りを魅了していた。


奈実樹(雑誌に乗ってそうやな...)


樹理「あと何分くらいかな?」


美紗「30分くらいで着くかなー、と」


 樹理はそんな事にも構わず、麦わら帽子を片手に美紗ちゃんとずっとお喋りしてる。


奈実樹(相当気が合うみたいやな)


柚夏「...そういえば。この間、あなたの

   のお姉さんにお会いしました」


と話し掛けてくるガトーショコラを作るのが上手い人。背が高いから2年生か1年生か分からん


 美紗ちゃんと一緒にいるから1年生なんやろうけど、背的に1年生に見えんな...。


奈実樹「うちか??」


奈実樹「そうやったんやね。おねえ恥ずか

    しい事、言うてへんとえぇけど…」


柚夏「奈実樹さんの事をお話した瞬間。人が

   変わったように力説して、少し驚き

   ましたけど…」


奈実樹「...あの人、お客はんに対してほんま

    何してはるん」


奈実樹(接客はちゃんとせなあかんやろ...

  そういうところがお客はんに好かれとる

    理由なのかもしれんけど)


柚夏「流雨と恋愛する事に対して、真剣に

   考えて下さって凄く嬉しかったん

   です」


奈実樹(幹ねぇはそういうところはちゃんと

    しとるからな。「女の子の服だけ

    作りたーいっ」て)


奈実樹(男性の骨格とかマジわからん、

    私男性じゃないし、男の人は男の人が

    服作ればいいのになって紙とにらめっこ

    しながら愚痴とったな)


柚夏「...私が男性だったら流雨ももっと幸せ

   だったんじゃないかなって」


奈実樹「そんな事ないと思うで」


柚夏「幹白さんが"その言葉"はあなたが言って

   くれたものだと だから、奈実樹さん

   にもお礼を言いたかったんです。」


奈実樹「…うちにも樹理がおるからなぁ。

    樹理が女の人やからって付き合い

    たくないと思ったことは一度もないな」


奈実樹「おねえにはそんな性別の壁だけで

    諦めて欲しゅうなかったんよ。才能も

    あるし」


奈実樹「"それだけ"で諦めるには惜し過ぎる。」


奈実樹「服を作っとるおねぇの姿を見てれば

    分かるで。あぁいう人が本当に服を

    作るべきなんや」


奈実樹「夢に性別なんて関係ない。好きに

    なるのに性別なんて関係ない」


奈実樹「...あの時の事ちゃんと覚えてくれ

    とったんやね。 教えてくれて

    おおきにな」


柚夏「いえ、こちらこそ…凄く勉強になり

ました」


奈実樹「そういえば、モデルはんと

    付き合っとるってどういうことや」


朝乃「どういう事って、別に付き合ってる訳

   じゃないよ」


朝乃「ちょっと秘密を握ってしまって...それから

   お友達として仲良くなりました。」


奈実樹「秘密を握ってしまって...?」


朝乃「その秘密は流石に言えないよ。でも、

   晴華さんめちゃめちゃ優しくて、本当に

   モデルさんなんだなぁっていう人格

   してた」


朝乃「これは人気になるわって」


奈実樹「そういうことは姉である私に相談

    してほしかったな。」


朝乃「それはそうだけど...今度何かあったら

   相談するよ。お洋服とか店の事とか」


奈実樹「そういう真面目な話やなくてな、」


樹理「グルル...」


奈実樹(隣で小さな子狐が威嚇しとる...)


朝乃「あ、あと3駅くらいで着くん

   じゃないかな。芽月さん」


小栗「そろそろ時間よ。狛、起きなさい」


狛「君があまりにもエロスなものだから...、おはよう小栗君。どうして水着じゃないんだい?」


小栗「どういう夢見てるのよ!!」


まるで漫才のような小栗はんの鋭いツッコミが狛はんに決まると同時に、電車のドアがブシュッと開いた。


※キャプション


奈実樹「暑いなぁ...」


 見渡限り一面、青い海。


 海が透き通ってて、此処からでも海で泳いでる魚の姿が見える、えらく綺麗な場所やな...。砂地もちゃんと整備されとるし


これが観光地なら一体どれだけレンタル料掛かるんや...。


奈実樹(木の枝、1本もないなぁ...)


美紗「海だーーーーッ!!」


樹理「Seaーッ!!」


奈実樹(そんなテンションあがるか...??)


奈実樹(まぁ、こんな綺麗な海ならテンション

    上がるのも無理ないか。)


 樹理と美紗ちゃんは両手をあげて喜んどる。あさりや蟹取りもえぇなぁ。木の枝があったら捕まえるんやけどな


奈実樹(...夢みたいな事が起こらんとえぇ

    んやけどな。それにしても暑いな、)


奈実樹「元気やなぁ...。若いってえぇね」


柚夏「綺麗な海ですね、今でもこんな綺麗

   な海なんてあったんだ...」


朝乃「本当ね。実際、行ってみると海面が濁

   ってて写真と違った。」


朝乃「だ、なんて、よく雑誌の書き込みに

   書いてあるのを見掛けるけど」


朝乃「此処まで綺麗だと、噂って所詮噂なの

   ねって思うわ」


奈実樹「本当にそうやな」


樹理「何処で着替えたら良いのかな?」


美紗「んーと、雪音の別荘は...」


ブブッ...。


と来たメールを読み返す美紗ちゃん。こんな高級なとこに来れるとか、流石古池嬢やなぁと思う


美紗「うっそ!?あれ、全部別荘!?」


美紗「宿泊ホテルかと思った...。私、そんな

   人と付き合ってたんだ...」


奈実樹「...流石、古池嬢は格がちゃうなぁ」


朝乃「本当のお嬢様って感じよね...」


奈実樹「お嬢様に本当も偽物もないけどな」


小栗「でも本当凄いわね、パパの提携の病院と

   同じくらいあるわ」


狛「あぁいう所が君は好みかい?君が

  幸せになれるなら、貯金するけれど...」


小栗「普通の家で十分よ、掃除が大変

   じゃない」


狛「雇うって選択肢もあるよ?それに、

  君の身体にとって埃は良くないもの

  だろう?」


小栗「大丈夫よ。埃が出る前に掃除するし、

   マスクもちゃんと付けているわ」


小栗「ぬかりはないわよ。」


狛「...心配なんだよ、僕は...君の事が」


小栗「...ありがとう。その気持ちは受け

   取っておくわ、でも一人で出来る事は

   させて頂戴」


小栗「私だって走ったり、はしゃいだりしたい

   もの。」


小栗「...他の子よりは少し体力は劣るかもし

   れないけど、今の私は誰よりも充実し

   て生きているから」


※スライド


??「いらっしゃいませ、お嬢様の御友人の

  方々ですね、お待ちしておりました。」


奈実樹(ロビーも綺麗やなぁ...。うちの旅館と

一緒にしたらあかん...、)


奈実樹(樹理の家を見た時もこんな感じ

    やったなぁ...家というか、ホテル

    やけど...)


美紗「先輩は良いんですか...?」


 壁に背も垂れて、スマートフォンを握りながら狛はんが何か打っとる。


狛「あぁ、僕は後で着替えるよ。女性の裸体を

  見るのは犯罪の匂いしかしないからね」


奈実樹(徹底しとんなぁ...)


美紗「あ、そうなんですね...。先輩は男性

   だから...」


狛「ふふ、本当かい?嬉しいよ。

  有り難う子猫ちゃん」


美紗「?」


柚夏「一緒に入れば良いじゃないですか、」


狛「君は胸がないから心配する必要はない

  のは分かるよ、けど僕はそういうのを

  気にするタチだからね」


柚夏「...自分も同じような物じゃないですか」


狛「兎に角、僕のポリシーに反するからね。」


狛「特に小栗君は僕のフィアンセだから、

  女性はそういう目では見られたくない

  だろう?」


小栗「そういう目線で見ているの??」


狛「兎に角、僕は後で着替えるよ。」


美紗「え?えっ...」


柚夏「はぁ...。美紗、私達が通ってるの女子高

   だよ。こんなナリだけど先輩一応女性」


美紗「え、あっ...!?そうなんだ、ご、ごめん

   なさい」


狛「僕は男でも全然構わないけどね、

  性別を気にする輩が多すぎるんだよ。」


狛「まぁ、だからと言って性別を変える訳にも

  いかないのだけれど」 


美紗「心は男性って事ですか...?」


狛「どうだろう、僕はただ"理想の旦那様"に

  なりたいだけだからね。愛しいフィアンセ

  の君、のね」


小栗「はいはい。"愛しいフィアンセ"ね。」


美紗「お二人はラブラブなんですね!!」


小栗「...そう、なのかしら?」


狛「さぁ、早く着替えておいで。

  折角の時間が無くなってしまっては

  子猫ちゃんも辛いだろう?」


美紗「...あ、確かに!!早く着替えよ。

   柚夏」


奈実樹(若い子達は元気やなぁ...)


※スライド


奈実樹「朝ちゃん、水着は忘れてへん?」


朝乃「忘れてない。ちゃんとあるわ」


奈実樹「モデルさん誘えんくて残念やった

    なぁ...久々に何かするか?朝ちゃん

    は何かしたい事とかあるか?」


朝乃「奈実姉ぇ、過保護過ぎよ...。また

   樹理さんに嫉妬されちゃうよ?私は

   スマホで遊んでるから、大丈夫」


奈実樹「折角、海に来たんやし遊びたない?」


朝乃「ごめん、奈実姉ぇ...。ほんとそんな

   気分じゃないの...、二人で遊んで

   来て...」


 朝ちゃんはやっぱり、かなり落ち込んでるようで...。うちの誘いにも全然乗ってこない


樹理「むぅ....、ナミぃ!!朝乃さんが良いって、

   言ってるんだから。...義理の従姉妹だから

   って世話焼き過ぎ!!」


奈実樹「樹理はうちが居るからえいけど、

    朝ちゃんは寂しいんやよ?」


朝乃「奈実姉ぇ、めっちゃ刺さるからそ

   れ...。お仕事だから仕方ないわよ、

   それに海も綺麗だから平気なの...」


美紗「三角関係かな?」


樹理「ナミと付き合い長いからって、

   渡さないんだからね!!ナミは私と

   結婚するの!!」


朝乃「晴華さん...、、」


奈実樹「あまり噛みつかんといてや」


奈実樹「将来一緒に住むかもしれんし...」


樹理「私の目が黒いうちは許さないから

   ねっ!!、、ただでさえゴミ出しとか

   余ったおかずとか貰ってるのに!!」


樹理「私だってナミの手作り持ってきて

   欲しい!!」


奈実樹「樹理のホテルは日本食も出しとる

    やろ。そんなホテルの従業員に

    残り物なんか持ってけへんて」


流雨「....」


美紗「流雨さん、海行きたそう...」


柚夏「先輩。早く、海行きませんか?

   流雨が行きたがってますので、

   どうしても、したいのでしたら...」


柚夏「...物理的に止めましょうか?」


柚夏はんの鋭い目線が目に刺さる。


樹理・朝乃「あ、はい」


※キャプション


 無事に着替えも終わって、私達は3人で外に出る。


樹理「ナミは私のなんだからね。」


奈実樹「うちは物やないで」


奈実樹「それにしても広いなぁ...」


樹理「私のホテルはお客様の部屋とかある

   から、別荘だとまた違う構造になってる

   ね」


奈実樹「一度でえぇから、こういう家に住んで

    みたいなぁ」


樹理「うちに来てよ、、ナミなら大歓迎っ!!

   ビュッフェにデザート皆で使う

   エントランスは凄い絶景だよ。」


樹理「ナミならその後でも...///」


奈実樹「樹理の家はホテルの支配人やったな」


美紗「今、映画館見えたんだけど...、此処

   って雪音の別荘で合ってるよね...?

...映画館、じゃないよね...?」


樹理「流石にシアタールームはないけど

   大きな画面でゆっくり見るDVDも

   悪くないよ」


美紗「友達とかいっぱいいそうですね」


樹理「学校では言ってないから友達は

   いないよ」


樹理「食い散らかしたりされるの嫌だし、

   本当に好きな人にしか使って欲しく

   ないんだ。」


柚夏「なんというか、住んでる世界が違うんだ

   なっ、て。...思う、実際こういうの目の

   辺りにすると、ね....。」


柚夏「学力とかもそうだけど、本当にあの人が

   私達と同じ世界で生きてるのかが時々、

   分からなくなってくるよ...」


美紗「案内してくれた人はご自由に御寛ぎ下さ

   いって、言ってたけど...。雪音って普段

   はこういうとこに住んでるのかな」


美紗「こんなに広いと、どの部屋が何の部屋と

   か覚えるの大変そうだよね...。これで別

   荘なんだから、雪音のお家。お城か何か

   なのかな...?」


柚夏「確かに、こんな豪邸なビルが別荘だと

   どんな家に住んでるのか全く想像出来な

   いけど...」


流雨「スゴイ...食べたい...」


美紗「凄いだけに??」


柚夏「流石に海に鯉は居ないかな...」


美紗「鯉って川にいるよね、橋に掛ってるあの

   泳いでるのって鯉だよね?」


流雨「...それは...食用じゃないから、...下水の

   鯉は汚染されてる...。生活水と混ざって

   る鯉は...、...考えたくない」


美紗「あ、そっか。洗剤とか混ざっちゃってる

   から...。いっぱいいるし、近いから楽そ

   うだなって思ってたんだけど...。」


美紗「よくよく考えたら鯉さんって虫さん

とか食べてるんだよね...。流石に虫さん

を食べた鯉さんはちょっときついか

も...」


樹理「ね、ねぇ。...もっと楽しいお話しないか

   な?ナミがよく鯉触る機会とかあるから

   どうしても考えちゃうよ...」


奈実樹「樹理は昔から、虫が苦手なんよ。キャ

    ベツについた小さな青虫はよ外逃がし

    たいのに、見たときしがみ付いて来て

    大変やったなぁ...」


樹理「も、もぅ///!!そういう事、後輩に言う

   必要ないでしょー!?ナミ///!!ほんっ

   と、私虫だけは駄目なの...!!」


奈実樹「蝶々の髪飾り付けときながら何

    言うるん」


樹理「これは可愛いけど、触角とか産毛とか

   そういうのだよ。だって成虫になる

   前は芋虫なんだよ、、」


樹理「名前言うだけでも嫌ー、、」


美紗「あ、でも蛙とか美味しそうですよね。

   雨蛙とか可愛いですし、蛇とか。昆虫

   はちょっと勇気要りますけど...」


奈実樹「雨蛙は毒があるからオススメ

    せんけど、」


奈実樹「牛蛙は一回食べてみるとえいよ。

    あっさりした鳥みたいであれは

    美味しかったなぁ」


樹理「女の子同士がしている会話に思えない

   よ!?もっと女子力、ある会話

   しよう...?」


柚夏「みっ、み、美紗に女子力...」


美紗「口元を押さえてまで、笑わなくても

   いいじゃんかっ///!!!」


奈実樹「いや、な?女性の時点で女子力はもう

    100%やから気にせんでもえぇんや

    よ。樹理は200%くらいいっとる

    だけやからね」


美紗「...ふむふむ。なるほど、女の子に生まれ

   た時点で女子力は100%。...正論ですね

   っ!!100理くらいありますね!!」


樹理「ナミは気にし無さ過ぎなの!!男前過

   ぎなの!!折角ナミ、すっごく美人な

   のに勿体ないよぉ...」


※スライド


美紗「ただいまー、あー...、暑かったぁ...」


雪音「お疲れ様です。杏里さん」


 こんな炎天下でパラソル立ての作業をしていたからか二人共ぐったりとしている。


奈実樹(パラソル立ては慣れんとしんどい

    わな。)


奈実樹「テント張りご苦労さん。朝ちゃんも

    美紗ちゃんも、お疲れ様やったね」


朝乃「すぐに終わちゃったから、実際

   そうでもよ?それに二人作業だった

   し」


朝乃「良い物も手に入っちゃったしね

   ー///」


樹理「...美紗ちゃんはともかく、...別に朝乃

さんはもうちょっと遅くても良かった

のになぁー」


奈実樹「樹理、そんなこと言ったら

    あかんよ。それにこれ言うん

    何回目や...?」


奈実樹「いい加減なぁ...、うちも樹理と

    朝ちゃんが仲良うなって欲しい

    んやけど...」


樹理「...むー!!、...ナミは朝乃さんに

   誘惑されても平気なの!?」


朝乃「誘惑...??」


奈実樹「誰もうちなんか、とったりせー

    へん言うとるやん...。それに

    朝ちゃん誘惑しとるんはモデル

    はんやないか?」


奈実樹「部屋中びっしりポスターあるの

    知らんのか」


樹理「えっ、なにそれしらない...」


朝乃「まぁまぁ...、奈実姉ぇもその辺

で...」


朝乃(恥ずかしいからバラさないでよ...、、)


樹理「あっ!?、ちょっと...!!」


 朝ちゃんは急にうちの背後で横に寝転んだかと思うと、お腹を向けて寝そべりながらスマホを見つめてごろんごろんと悶えていた。


朝乃「...うへへ///、晴華様ぁ♡」


樹理「ナミから離れてよーーっ!!」


 樹理はどうにか引きはがそうと頑張ってるみたいだけど...、朝ちゃんはモデルはんの秘蔵コレクションに夢中でまったく気にしてなさそう...。


美紗「遅くなちゃってごめんね、雪音...。出来

ればもっと早く建てたかったんだけど...」


雪音「いえ、テントはもうございますので、

   早かれ遅かれどちらでも構いません

   でしたよ」


美紗「近くに居たときは全然気付かなかった

   けど、此処から見ると、大分傾いちゃ

   ってるね...。」


樹理「それにしても此処綺麗だね。貝殻とか

   思い出の品をとってきたいなぁ」


雪音「別に構いませんよ」


樹理「ほんとにっ、ちょっと待ってて。」


奈実樹「海に入る前には教えてな」


樹理「入るとしたら浅瀬だから大丈夫だよ」


と、樹理はサンダルを履きながら何処かに行ってしまう。砂を飛ばしながら走って座りながら何かを捜してるようだ


朝乃「ナミ姉ぇ、いつものお礼にオイル

   マッサージしてあげるよ」


鬼の居ぬ間に洗濯とはこういうことで、


奈実樹「ほう、なら頼んでみようかな」


奈実樹「あー、、そこえぇなぁ...」


奈実樹「...やっぱ、うまいね。朝ちゃん」


 背中の呼吸孔から全体にオイルが染み込んでくる感じ...。高級スパみたいやなぁ


美紗「あっ、オイルマッサージ?」


朝乃「今は機嫌が良いから、たまにはこういう

   事もしないと腕が鈍っちゃうのよね」


雪音「...オイル塗りですか、良いですね。」


朝乃「古池様が良かったらですが、

   終わったら、塗りましょうか?」


雪音「お言葉に甘えさせて頂いても宜しい

   でしょうか?」


狛「なるほど...、小栗君の様子を見に来たの

   だけど、どうやら僕の出番のようだね」


小栗「自分で塗るから貴方の出番はないわ

   よ?」


奈実樹「そろそろ終わるし、塗ろか?」


小栗「良いかしら?」


奈実樹「朝ちゃんの見様見真似やけど」


狛「…冗談だろう?僕の小栗君胸さわり放題の    

  キャッキャウフフタイムは何処へ行った

  んだい?」


狛「悪い事は言わない、僕に任せて

  大丈夫だよ」


小栗「狛は無理。」


狛「何故だい!?僕はこんなにも君の胸を

  思っているのに!?」


小栗「ごめんなさい…貴方の邪な思いには

   答えられないの…」


奈実樹「扱いうまあなっとるなぁ。」


小栗「お陰様でね…。」


※キャプション


樹理「浅い所は大丈夫だね。」


樹理「よし、これだけ貯まればブレスレットが

   出来る。ナミ、喜んでくれるかなぁ...」


樹理「って、なんかOil塗ってるっ!!」


樹理「ぐぬぬぅ、私だってナミに喜んで

   貰うために頑張ってるもん」


樹理「ナミの身体に合法的に触れるなんて

   ズルい...。」


奈実樹『ありがとな、樹理』


樹理「私もあっち行こうかなぁ...」


樹理「でも...ナミ、凄く気持ち良さそう。」


樹理「.....。」


樹理「...もう少し貝殻探し、頑張ろう」


※スライド


樹理「ナミ、これ貝殻で作ったんだ」


奈実樹「うちより樹理の方が似合うんや

    ないか??」


樹理「思い出の品に良いかなって」


奈実樹「...あんがとな」


奈実樹「樹理は昔から器用やったな。

    イルカの縫いぐるみ作ったり

    マーメイドの縫いぐるみ作ったり」


美紗「マーメイドの縫いぐるみ!?!?」


奈実樹「凄いやろ。樹理は昔から

    DAYSNEED(デイズニー)のファン

    でな」


奈実樹「アリエルのぬいぐるみを作ったり

    したんやで」


樹理「それで海に憧れて溺れちゃったんだけど

   子供の頃の話だから」


樹理「大丈夫って言っても中々信じてくれ

   ないんだよね」


奈実樹「下手したら樹理が居なくなっとっ

    たんやぞ。心配するのは当たり前

    やろ」


と思ったより少し大きな声が出た。


樹理「ナミ...私海入っちゃ駄目...??」


奈実樹「そんな事は言うとらんけど、

    せめてうちが見とる範囲で入れ」


奈実樹「...いつでも助けにいけるからな。」


樹理「ナミ...」


狛「鐘鏡君は知らないのかい??」


狛「彼女、水泳選手の中でも泳ぐのトップ

  で早いんだよ」


奈実樹「...そう、なんか」


狛「君には隠したがってるようだけど、

  泳いでる姿はまるでデイズニーの

  マーメイドの様だったよ。」


小栗「なんで狛が知ってるのよ」


狛「サボってた時に見たからだよ」


小栗「堂々と言うことではないわね。」


奈実樹(違う...プールの時は普通に

    泳いどった。けど水が苦手なのは

    変わらんかった)


"狛の矛盾を見破れ!!"


A「サボってた時に見た」

B「泳ぐのがトップで早い」


→A「サボってた時に見た」


奈実樹「うちが見た時はそうでもなかった

    んやけどな。」


狛「僕が嘘を付いてると思うかい??」


奈実樹「いや、そうは思ってへんけど...」


→B「泳ぐのがトップで早い」


狛「あ、それは本当の事だよ。」


奈実樹「"それは"本当の事??」


狛「いや、、なんでもない」


奈実樹(狛はんは樹理と同じプール教室に

    通ってた。それか、"その光景を

    見ていた"か...)




奈実樹(多分、"サボってた時に見た"というのが

    嘘で樹理が泳げるって言うのは

    本当の話やな。)


奈実樹(そういや、狛はんは精神病院に

    長い間入院してたって小栗はん

    から聞いたことあるな...)


A「泳げないのを隠したかった」

B「本当は樹理は泳げない」


→A「泳げないのを隠したかった」


奈実樹「そういや狛はんって泳げるんか??」


狛「恥ずかしいけど、長い間精神病院に

  居たから。泳ぎ方を知らなかったんだ」


狛「こういうのはあまりフィアンセに

  聞かれたくないんだけど...」


奈実樹(狛はんスイミングスクールに通って

    たんか)



→B「本当は樹理は泳げない」


狛「いや、泳ぐのは凄い早かったよ」


狛「それこそマーメイドのようにって

  さっきも言ったけど」


奈実樹(樹理が泳ぐのが早いっていうのは

    本当らしいな...。)




奈実樹「"矛盾、やな!!!"」


樹理「えっ、何、、」


奈実樹「樹理、あなたはスイミングスクール

    で一番に泳げるのを隠してましたね。」


と、樹理にビシィっと人差し指を立てる。


樹理「"隠してた"っていうか、私のせいで

   ナミに海が嫌いになってほしくなくて...

   一生懸命練習したんだよ」


樹理「最初は水も怖かったけど、練習して

   泳げるようになったんだ」


奈実樹(狛はんがサボってる時に見たって

    嘘付かんかったら良かったのに...)


狛「ん??」


奈実樹「ちょっと疑心暗鬼になっただけや」




奈実樹「樹理から貰った貝殻のブレスレット、

    壊れんように注意しとかんとな...」


樹理「壊れたらまた作るから付けてよ、」


奈実樹「そんな事言うたって貝殻は壊れやすい

    やろ」


奈実樹「...少しだけやで」


樹理「やっぱり、凄い似合ってる!!」


奈実樹(樹理の方が似合うだろうに...)


奈実樹(うちは樹理から貰ってばかり

    やなぁ...。)


美紗「これを自分で作ったんですか!?...こんな

   事、手作りで出来るんだ...。へぇ...!!」


美紗「樹理先輩って、すごく器用だったん

   ですね!」


樹理「ホテルでそういう小物を作ったりして

   売ってるんだよー。縫いぐるみとか、

   いらなくなった布で作ったりね」


樹理「文化祭とかにも作った作品をちょっと

   売ったりしてるんだ」


美紗「文化祭!!初めてなので、凄く楽しみ

   です!!どんな事するんだろう...」


樹理「美紗ちゃんは一年生だもんね、クラス

   と部活で主に活動するんだよ。綿飴と

   か、安くで沢山食べられたりするよ」


美紗「それは凄く楽しみですね!!えへへ、

   文化祭かぁ...///」


 そして樹理の付けたブレスレットを外す。まだマッサージの途中やしな


美紗「あ、でも奈実樹さんはそのブレスレット

   腕に付けないんですか?折角こんなに

   可愛いのに...」


奈実樹「今、日焼け止めで手がベタベタや

    からね。」


奈実樹「それにさっきまで小栗はんを

    触っとったから。貝殻で傷つけても

    あかんかったんよ」


 と腕にへばりついた日焼け止めオイルを手の甲に塗ったくる。お肌は乙女の大敵やからな


美紗「あ、だから此処に置いてたんですね」


奈実樹「そういう事やね。それに壊れやすい

    もんやからなぁ...後で預けに行こう

    思うとるよ」


奈実樹「折角、樹理に貰うたもんやしな」


奈実樹「...それにしても、小栗はんは綺麗な

    肌しとるね。これは雨宮はんが

    触りたくなるんもよう分かるわ」


小栗「もぉ、...恥ずかしいからよして頂戴///

  狛以外の人にまでそう言われると

   何だか、むずがゆいわ...///」


奈実樹(狛はんには言われ慣れとるんか)


樹理「ナミはやっぱり胸大きい人のが

   良いんだ...、」


奈実樹「いや、重いだけやからな...」


樹理「胸の大きい人はいつもそうやって

   いう!!」


奈実樹「樹理やて結構あると思うんやけど」


と口喧嘩してるといつの間にか居なくなってた狛はんが戻って来る。


雨宮「...ただいま、さっき樹理君が奈実樹君に

   貝殻を渡していただろう?」


雨宮「僕はそれを見て、うにをとってきたよ」


小栗「...いや、なんでよ。」


と冷静な突っ込みを入れる小栗はん。食べたかったんか


奈実樹「はは、花より団子やね…」


狛「プライベートビーチだそうだから、食中毒

  の心配はないそうだよ」


とトンカチを使ってカンカンとウニを割る狛はん。...手付き良いな、事前に食べ方を調べとったんかな


美紗「...うにって、美味しいんですか?

   食べたことなくって...」


狛「海にいるのは、安物の寿司屋の味よりも

  全く違うものだからね。騙されたと思っ

  て一口食べてみるといい」


狛「不味かったら、目の前で捨ててくれても

  僕は何も思わないよ?」


小栗「狛、最後のは要らないわ...。一年生の

   子もそんな事言ったら食べづらい

じゃない...」


狛「けど、食べてるよ?」


美紗「美味しい!!」


小栗「...本人がそれで良いのなら良いの

   だけれど...。」


美紗「口の中がまろやかで、とろける...♡」


狛「だろう?身が詰まっていて此処のうにや

  牡蠣は本当に美味しいんだよ」


美紗「こんなに美味しいなら、私もとりに

   行こうかな...」


奈実樹「"生牡蠣"なぁ...、」


美紗「どうしたんですか?」


樹理「牡蠣は調理関係者は基本的に生物は

   タブーなんだ...。食中毒はノー、

   danger(危険)だから」


奈実樹「充分加熱してへんものは、口には

    出来へんなぁ...けど、美味しそう

    やね」


樹理「でも...スープとか、揚げ物...とか

良いなぁ...。すごく美味しそうだもん...」


狛「だったら揚げるなり焼くなりすると

  良い。用意してくれそうな奴に心辺りが

  あるからね。」


樹理「え!?狛さん、本当!?だったら、

   私も美紗ちゃんと一緒に拾いに行こう

   かなぁ...!!」


美紗「えっ?!樹理先輩も一緒に捜してくれる

   んですか!?わぁい!!行きましょう、

   行きましょう!!」


奈実樹(ここで言うのも筋違いというやつ

やな...)


奈実樹「うちは次はマッサージに入るから。

    薄めには塗ったんやけど、このまま

    やとまだ日焼けるんよ。やから、

    もうちょい此処におるな」


奈実樹(一応、見張っておくけど...)


小栗「なる程、さっきの子とは塗り方が

   違うのね?」


奈実樹「朝ちゃんのは朝ちゃんのお母はんが

    配合しとる特別なやつなんよ。うち

    のは市販のやつやからねぇ」


小栗「...へぇ、そうなのね」


狛「ふふ、丁度お腹がすく頃には準備して

  おいてくれるだろうから。泥船に乗った

  つもりで待っててくれると嬉しいよ

  子猫ちゃん」


小栗「...それだとすぐに溶けて沈むわよ?」


※キャプション


雨宮「牡蠣を採るのなら、この道具達を使う

   と良いよ。一人分でも十分食べられる

   量はあるからね」


 トングやトンカチ、大きなヘラのような道具などを一式。狛さんから受け取ると、ウニが沢山居そうな所に向かって歩いて行く。


樹理(これで、ナミにも大丈夫ってとこを

   見せてあげれる...!!)


雨宮「あとそれ、一応あのお嬢さんから

   借りてきたものだから、返すなら僕

   じゃなくてそっちに宜しくお願いする

   よ」


美紗「はーい、ありがとうございます!」


 そう言って狛さんは向こう側に歩きながら、返事をするように片手をあげて去っていった。


美紗「道具も借りれましたし、これで準備万端

   ですね!さっそく、取りにいきます?」


樹理「うん!、これだけ道具が揃ってたら

   簡単に採る事が出来ると思うな!!」


小栗「あ、ちょっと待って。スマホは海水に

   落としては困るでしょう?此処に置いて

   おくと良いわ」


奈実樹「うちも見とるし、安心してえぇよ」


美紗「あっ!!、確かに。海に落としちゃった

   ら雪音と連絡も取れなくなっちゃいます

   もんね」


美紗「危なかったです...、、」


樹理「それにいくら防水とはいえ、壊れ

   ちゃったら、ナミとの画像とか全部

   台無しになっちゃうもんね...」


朝乃「バックアップとかとっておくと

   良いよ」


樹理「美紗ちゃん?スマホ持って行くの?」


美紗「あ、いえ。普通に置いてきます、」


 私と美紗ちゃんはブルーシートの上にスマートフォンを置いて、雨宮さんから借りた道具を両手に持ちながら海岸へと向かって行った。


※スライド


美紗「...でも。...こういうのって初めてだか

ら、どうしたら良いんだろう...」


樹理「実は私も実際、採った事はないん

   だけど...。ダディーと一緒に養殖場で収穫

   してるのは一度、体験したこと

   あるんだ」


樹理(だから、そのままいけると思って

   いったんだけど駄目だった...。ナミにも

   凄い心配されてるし)


樹理(どうにかしないとなぁ...。)


美紗「牡蠣の体験をしている樹理先輩

   と一緒なら、いっぱい採れそうですね」


樹理「えへへ、だったら良いな。その時は

   岩にくっついてたから、岩場を捜して

   いけば...。良いと思うんだけど...」


樹理「足をつらないように気を付けてね」


深いところに行くと、どうしてもあの時の事を思い出す。


樹理(...でもこれまでずっと頑張って来たんだ。

もう海が怖くないって事をナミに見せる

   時)


樹理(道具もあるし、岩陰に潜水して軽く

   掴むだけだから。)


美紗「樹理先輩ー、みてください!いっぱい

   ありますよ!!」


樹理(後輩に良いとこ見せないと)


樹理「Wow、流石プライベートビーチ、だね。

   養殖場より、大きい牡蠣がいっぱいだ

  よぉ...。養殖場もビックリだね!」


樹理(とれた、、)


 うにを美紗ちゃんと一緒に取って、ガンガゼとうにの違いを教えたり、そのまま牡蠣を沢山拾ったり。


 美紗ちゃんとお話しながら採っているといつの間にか、網の中が大分重くなっているのに気が付いた。


樹理「それにしても、沢山採れたね」


樹理(これでナミも喜んでくれるかな、、)


美紗「そうですね、もう網もいっぱい

   になってきましたし...。これだけでも

   沢山食べれそうですね、早く皆で

   食べたいなぁ...♡」


樹理「うん、そうだね。私とナミは兎も角、

   皆には天然のうにや牡蠣を生で食べて

   欲しいもん」


美紗「一口だけでも、生で食べるのって

   駄目なんですか?」


樹理「天然物だから食中毒の危険もあまり

   ないと思うけど、ナミが食べないのに

   私だけ食べるなんて出来ないよ...」


樹理「それに、食中毒は一口食べただけでも

   当たっちゃうんだよね。それが

   食中毒の怖いところなんだよ、」


美紗「たった一口だけでも、駄目なんです

   ね...」


樹理「料理関係の仕事だとね、加熱してない

   物はどうしても不安になっちゃうん

   だ。」


樹理「料理関係なお仕事をしてると『生牡蠣

   禁止』ってところも結構あるんだよ」


美紗「あ。それだと、柚夏も駄目なのかな

   ...?」


樹理「っていう事は...?美紗ちゃんのフレンド

   さんも調理関係の事してるの?」


美紗「アルバイトがファミレスで、厨房で

   料理を作ってるそうですけど...あ、

   でも!柚夏の料理は本当に、それは

   絶品なんですよ!!」


美紗「幸せになっちゃう味ってこういう事

   なんだなぁ...って、柚夏のお菓子を

   食べると思うんですよねぇ...///」


樹理「んんぅ...甘党の美紗ちゃんもそこまで

   絶賛する味...、是非食べてみたいな

   っ!!」


樹理「それにナミも凄い絶賛してたし...、

   洋食専門の私としては美紗ちゃんの

   フレンドさんは、ライバルって事

   かな?」


美紗「あっ、私も樹理先輩の作ったお菓子も

   是非食べてみたいです!!手作りの

   お菓子が沢山食べられるかも...///」


美紗「持っていくついでに、柚夏の方にも後で

   私から伝えておきますね」


樹理「OK、ホテル・ルシェルの名に掛け

   ても!!美紗ちゃんのお友達よりも

   凄いお菓子を作って見せちゃうから

   !!」


※キャプション


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