第十七部「デート?の約束」【ゆずるう】

 朝乃先輩とあったその先で、流雨が柱を壁にして誰かを待ってるように立っていた。


柚夏「流雨...?」 

柚夏「...なんで?」


いつも教室にいるのに。


流雨「委員長(いんちょう)から、メール...」


柚夏「朝乃先輩...? ...いつの間に...」


 ポケットから携帯を取り出し、流し目で合図する流雨。私はその様子を見て 画面に映し出された流雨の携帯を横から覗く


流雨「...ん。」


委員長「芽月さんからデートのお誘い!?・:*+((((*o・ω・)o)))゜2年の螺旋階段前にきて欲しいってε=ε=(o ・ω・)o<急げー 。」


柚夏「...朝乃先輩、携帯だとこういうタイプ

   なんだ...。可愛いと思うけど...意外...。

   って、」


 やけにさっきのやり取りの間に携帯触ってたけど、流雨にメールを送ってたのか。というか流雨の形態の電話番号知ってるのか


私だって知らないのに


柚夏「...デートのお誘い???」


流雨「...デートお誘いらしい」

柚夏「知らない間に私が誘った事になってる

   のか、」

柚夏(いつの間に)

流雨「私と逢引(あいびき)は嫌?」

柚夏「合い挽きなら牛と鳥のが良いかな」

流雨「美味しいもんね。ハンバーグ」

柚夏(ハンバーグ以外もあるけど、今度は

   ハンバーグにしよう)


 恩返しとでも言いたいのか、そこにはデートいう文字がハッキリと書いてあった。


柚夏「...先輩は何を勘違いして」


柚夏(流雨と私は別にそういう関係じゃない

   のに。ただの仲の良い友達)

柚夏(まぁ...まだ逢ってそんなに経ってない

   けど)


 なんか凄い仲良いと誤解されがち。私はただ流雨が可愛くて悶えてる変態だぞ


 母親が離婚してなかったらもうちょっと仲良くなれたのかな。でも今はそういう気は全く起きない


 可愛いから付き合うというのは相手にとっても失礼だし、まぁ可愛い方が仲良くなりたいとは思うけど


 私は別に流雨が可愛いから付き合ってる訳では無い。ただ友達として気になるというか


 毎日ちゃんと食べてるかなとか、急に転んで悲しい思いしたりしてないかなとか


高いところに登って降りれなくなったりしてないかなとか


流雨「...。」


柚夏「デートって程でもないんけど、...白の絵

   の具を切らしちゃってて。買いに行こう

   と思ってるんだけど」

柚夏「流雨も一緒に行く?」

柚夏「土曜日に空いてたらで良いんだけど、

   どう?」


流雨「良いよ...。土曜日は空いてるし...」


柚夏(デートという言葉の方が流雨には

  合ってるみたいだね...。)

柚夏(女の子は皆そういうのが大好きだ)


柚夏「...流雨はデートの方が良かった?」


流雨「デート...って、何...?」


柚夏「Oh...really?」


 ...まさか、デートを知らない女子高生がいるとは思ってもみなかった。確かに、私も実体験したことはないけれど...


まさか、本当に...?


流雨「I do not know it. ...Do you know it?」


柚夏「...一般的には『親しい男女が日時を

   決めて会うこと』。その約束の事だと

   思うけど...」 


流雨「...此処は...女子高。」


柚夏「その辺りは、色々議論があるみたい

   だね...。育てられないのに子供を

   無理やり産まされて不幸な目に遭うより」

柚夏「同性でも愛を持って養子で育てて

   貰えた方が私は幸せだと思うけど」


柚夏(あー・・・なるほど、その辺りの定義を

   知らないだけか...。)


流雨「....。」


柚夏「...そうだね。じゃぁ、明日は午前10時

   に学校の校門の前で待ち合わせで

   良いかな?」


流雨「...柚夏」


柚夏「ん?」


流雨「...今日の柚夏、いつもと...違うね。」


※【解説】流雨は人の不安の感情の流れに

 敏感でいつもは『そうだね』で終わる

 柚夏に疑問を感じています。そしてそれを

 自分のせいにしがち(発達障がいあるある)


柚夏「いつもと違う?って...」


 ...そんな流雨の無表情の中に湧く疑念の声に。...私はどうすればいいか一瞬分からなくなる。


 ...でも、これは"私だけ"の問題で。誰のせいでもなんでもない デートって感じなのに


 流雨とデートするのは嫌だみたいな感じになったの不快だったかな


柚夏「...。」


柚夏「...さっき、友達からちょっとした

   サプライズがあってね。...少しだけ

   動揺してて...。...多分 そのせいかな?」

柚夏「流雨とのデートが嫌なわけじゃないよ」


??「...ふふ、なんて滑稽な会話なんだろうね。」

??「"流雨君も可愛そうに"、『そんな奴』の

  ために嫉妬されていたのかい?」


...と、唐突に横から声が聞こえた。


 思わず、そちらを振り向くと


 そこにはまるで夕焼けの空のように美しい瞳をした美形の男性が窓際に座り にやっとした不適な笑みを浮かべていたのだった。


※キャプション


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