第49話 毎日食べたいほどの
七星の家の玄関に入って、リビングに入った俺の七星の家の感想としては────とても綺麗で、ところどころに可愛らしいカーペットや花が置いてあり、華の女子高生という感じのイメージの家だった。
リビングにはとても大きなテレビモニターにソファ、そして丸テーブルが置いてあって、壁に取り付けられているオシャレな形をした本棚にはたくさんの雑誌が置かれていて、良い具合にクーラーも効いている。
そしてそのリビングの奥には、夜になれば絶景が見渡せそうなベランダがあった。
「良い家だな」
「人色さんにそう言ってもらえて嬉しいです……!」
七星は言葉通り嬉しそうな表情でそう言うと、目の前にあるソファに手を向けて言った。
「早速なんですけど、私今から料理作って来るので人色さんはこのリビングでくつろいで待っててください!」
「わかった、そこにある雑誌とかは見てもいいのか?」
「え!?えっと……ちょ、ちょっと恥ずかしいですけど、良いですよ!」
恥ずかしい……?
「そうか」
その言葉の意味はわからなかったが、とりあえず見ても良いということらしい。
「じゃあ、行ってきます!」
「あぁ、待ってる」
俺がそう伝えると、七星は足早にリビングから去ってリビング横に見える綺麗そうなキッチンへ歩いて行った。
……やはり、少し今日の七星は様子がおかしいような気がするな。
「でも、気にしすぎてもしょうがないか」
俺はそう結論付けて、七星が料理を作っている間、このリビングのオシャレな本棚にある雑誌を読んでみることにした。
◇七星side◇
キッチンに着いて料理に必要な具材を一通り出し終えた七星は────頬を赤く染めて、心臓の鼓動を早めながら呟く。
「人色さんが私の家に、私の家のリビングに……」
七星は、キッチンから少し顔を覗かせてリビングに居る霧真のことを見る。
霧真は、ソファに座っていつも通り落ち着いた表情で雑誌を読んでいた────それを見た瞬間、七星はキッチンから顔を覗かせるのをやめて、小さく飛び跳ねながらさらに続けて呟く。
「か、かっこいい……!雑誌読んでるだけで絵になる……!待って、待って、人色さんが私の家に居るって考えたら、私……!ていうか、この後のこととかもあるし……こ、こんな状態で料理できるの!?」
小さく飛び跳ねるのをやめると、七星は首を横に振る。
「でも、人色さんに私が料理できないって思われたくないし……ううん、それ以上に人色さんには美味しいもの食べて欲しいから、ちゃんと作らないと!うん!そうだよ!!」
そう意気込んだ七星は、霧真のことを脳内で考えながらもどうにか集中して料理を作り始めた。
◇真霧side◇
俺が雑誌のページをめくっていると────あるページで、七星の姿があった。
「人気急上昇中、複数のドラマ出演、女子が憧れる女子ランキングTOP3……思ってる以上に有名────」
「あ〜!!」
俺が一人でそんなことを呟いていると、料理を載せたお皿を両手に持っている七星が、そのお皿を丸いテーブルの上に置いてから慌てて俺の方に来て言った。
「そ、それ!なんかすごいこと書かれちゃってますけど、私本当に全然そんなにすごく無いですから!人気とかドラマ出演とか言ってもらってますけど、それは本当に私の力じゃなくてただ優しい人たちに色んなところに出させてもらってるだけなので……!」
「それも七星の努力あってのものだ、そこまで謙遜する必要は無いと思う」
そう伝えると、七星は頬を赤く染めて照れた様子で「ありがとうございます……」と言った。
そして、その照れを隠すように慌てた様子で言う。
「えっと……と、人色さん!私、料理作ったので、今から一緒に食べませんか?」
「そうしよう」
ということで、俺は七星と隣り合わせになってソファに座ると早速一緒に七星の作ってくれた料理を食べることにした。
とても健康そうなサラダの料理で、盛り付けなんかもとてもオシャレだった。
俺は、早速それに口を付けて喉に通す。
「ど、どうですか?」
不安そうにそう聞いてきた七星に対して、俺は感想を口にした。
「毎日食べたいほどの美味しさだ」
「っ!?」
俺がそう答えると、七星は急激に頬を赤くして俺のことを見つめてきた。
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