第148話 一羽とクリスマス
冬休みに入ってからも、俺たち三人は毎日のように一緒に楽しい時間を過ごしていた……が、今日。
12月24日のクリスマスイブは、俺たちが恋人になってから初めて、三人ではなく一羽と二人で過ごす日だった。
明日の12月25日は、葵先輩と二人で過ごす日だ。
ということで、俺は髪を上げたヘアセットをすると、一羽との待ち合わせ場所まで向かった。
「……」
相も変わらず、待ち合わせ場所で見えた一羽は一目を集めていたが、俺は気にせずに一羽に近付く。
今日の一羽は、白のモコモコとしたファーショールコートに、ベージュでチェック柄のミニスカートを履いているようだ。
「一羽、待たせたか?」
「っ!色人〜!全然待ってないから大丈夫だよ!」
俺の顔を見た途端、嬉しそうな表情をした一羽は、明るく言うとその勢いで俺と腕を組んできた。
「えへへ……三人でも良いけど、やっぱりこうして二人きりで色人と腕組んだりできるのも嬉しい〜!」
「いつもだが、今日は特に最初からテンションが高いな」
「当たり前だよ!色人と二人きりでのクリスマスデートなんだから、これでテンション上がらないなんて絶対無理!!」
「そうか……今までクリスマスなんてあまり気にしたことは無かったし、柄じゃないと自分でもわかっているが、このクリスマスという日に好きな相手と一緒に過ごせるっていうのは、確かに良いものだな」
「っ!色人がそう言ってくれて嬉しい!ていうか、色人って意外とそういうところ気にしてくれるよね!この前色人の手料理で初めて出かけた時の料理が出て来た時なんて、私本当にドキッとしちゃったし!」
「喜んでもらえたなら、それが何よりだ」
俺がそう答えると、一羽は俺と腕を組む力を少し強めて頬を赤く染めながら、優しい声色で言った。
「うん……本当に、嬉しかったよ……」
「……」
それから、俺たちは互いの温もりだけを感じ合っていると、一羽が少し間を空けてから少し慌てた様子で言った。
「こ、こんなところでずっと立っててもあれだから、そろそろ行こっか!私、まずはデパート行きたい!」
「わかった」
一羽の言葉に返事をすると、俺たちは当初予定していた通り二人で街のショッピングモールに向けて歩き出す。
「街並みも本格的にクリスマスって感じで良いよね〜!そうだ!色人!夜になったら絶対二人でイルミネーション見ようね!私超綺麗なところ知ってるから!!」
「それは楽しみだな」
「うん!!」
そんなクリスマスならではの会話をしながら歩いていると、やがて俺たちは二人で一緒にショッピングモールの中に入った。
「中はよりクリスマスって感じで良いね!外寒かったし、カフェで一緒に温かいの飲んで行こ?」
「そうしよう」
一羽の提案に頷くと、俺たちは二人でカフェに行って俺がホットコーヒー、一羽は俺からしてみれば呪文としか思えないような文字の羅列のものを、しっかりと細かいカスタマイズまでして注文していた。
そして、受け取ったドリンクを手に二人席に座ると、一羽はドリンクに両手で触れて言う。
「あったか〜!冬のホットドリンクって、温かい容器触ってるだけで満足しちゃいそうになる時ない?」
「そういうことも、たまにあるかもしれないな」
「だよね〜!しかも、触って温かいだけじゃなくて飲んでも美味しいとか本当に最強って感じ!」
そう言ってからドリンクを飲むと、一羽はとても美味しそうにしていた。
それから、俺たちはカフェで楽しく話して過ごし、デパート内でクリスマス菓子を見て周り気になったものを購入すると、デパートから出た。
「もう日が落ちそうになってる!楽しい時間って本当あっという間だよね〜!」
「そうだな……そろそろ一羽の言ってたイルミネーションのところに向かうか」
そう言いながら、俺は一羽に手を差し出す。
「っ!」
すると、一羽は嬉しそうな声を上げてから俺の手を握ると笑顔で言った。
「うん!行こ!」
その後、俺と一羽はクリスマスの雰囲気に包まれた街中を恋人繋ぎで歩くと、二人で綺麗なイルミネーションが見れるという場所に向けて足を進めた。
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