第3話 メッセージ
◇真霧side◇
家に帰った俺は、色々とあったがこれでようやく一息つける────と思ったが、靴を脱いで玄関に上がった瞬間にスマホから通知音が鳴った。
俺はスマホの画面を見てみると、そこには七星からのメッセージが届いたことが記されていた。
「連絡先を交換して早速メッセージか……何かまた変に話が広がったりしたら厄介なことになるから、できることならあまり話したくは無いが……」
もしかしたらさっきのこと関連で何かあったのかもしれないため、見てしまった以上少なくとも今日ばかりは無視するわけにはいかない。
そんな考えのもと、俺が七星からのメッセージを開くと、そこにはこうメッセージが来ていた。
『さっきは助けてくれて、本当にありがとうございました!』
お礼か……俺はしなくても良いと言ったはずだが、俺に一度ご馳走しないと気が済まないと言っていたぐらいだから、メッセージでも改めてお礼を伝えておかないと気が済まないんだろう。
俺は、七星が案外律儀な性格をしているということを知りながらもメッセージを返信した。
『気にしなくていい』
そう返信すると、メッセージ画面をずっと開いていたのかすぐに既読が付いて七星はメッセージを送ってきた。
『明日になったら予定わかると思うので、また明日連絡しますね!』
『わかった』
これで話も一区切りついたため、俺がメッセージを終わろうとした────その時。
『ところで、気になったんですけど人色さんはどうしてあんな夜遅くに外に出ていたんですか?』
と、七星がメッセージを送ってきた。
もしこれが通知で来ただけだったら、ジム帰りで汗をかいているからお風呂に入ることを優先していたが、既読を付けてしまっているためここで無視をするわけにはいかない。
俺は、仕方なくそれに返事をする。
『ジム帰りだ』
『ジム行くんですね!私もたまにダイエットでランニングマシンだけ使うことありますよ!』
七星もジムに行くことがあるのか……高校生の女子だと少し珍しい────と思ったが、そもそも七星は特待別世高校という普通の物差しでは測れない生徒の一人なため、そんな珍しい存在であることも当然なのかもしれない。
俺は、それに納得した上で七星の話に関する感想も加えて返信を送った。
『そうなのか、十分細いと思ったが七星もダイエットなんてするんだな』
俺が思ったことをそのまま伝えると、七星は少し間を空けてからメッセージを送ってきた。
『私なんて全然ですよ!甘いものが好きで、好きなお店の新作とか出たらダメだとわかっててもついつい食べちゃったりするので!」
……このまま話を続けると、かなりの間話が続いて俺がお風呂に入れる時間がいつになるかわからなくなりそうだったため、俺は話を終わらせるために文字を打ってそれを送った。
『そうか、ジム帰りで一刻も早くお風呂に入りたいから、また明日な』
そう送って俺が強引にメッセージを終えようとすると、七星もそれに合わせてメッセージを送ってきた。
『わかりました!また明日連絡します!今日はおやすみなさい!』
『おやすみ』
メッセージを終えた俺は、なんだか一気にエネルギーを使ったような感覚に陥り一度ため息を吐くと、シャワー浴びて湯船に浸かって、その日は眠りについた。
そして、次の日。
朝起きると、俺はいつも通り特高へ通う準備を終えて朝食を食べると、学校に向かって自分の席に着いた。
俺は基本的に学校では平凡なため、友達は居なくてただ一人席に座っているだけだ。
平凡なら友達が一人や二人居る方が自然かもしれないが、この特高では平凡な俺が平凡でない人物と友達になる方が異端なため、俺のしていることは間違いなく平凡だ。
そんな風に、俺が平凡で居ることに安堵感を覚えていると────
「ねぇ真霧、ちょっと話し相手になってくれない?」
とても平凡とは言えない人物────モデルでもありドラマ出演もしていて、ついでに今できることなら真霧色人としては関わりたくない人物、七星一羽が俺に話しかけてきた。
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