第25話 良い話
────月曜日。
この土日はゆったりとした時間を過ごすことができ、まさに休日といった感じの過ごし方をできた。
そして、いくらまた月曜日になって学校が始まるからと言っても、それだけでゆったりできないわけではない。
学校が始まると言っても、あるのは授業ぐらいで、俺にとって本当に忙しいのは今週の土日だ。
何せ、土曜日には水泳大会を観に行き、日曜日には七星のモデル撮影の打ち上げ。
なかなかのハードスケジュールだ、だから平日ぐらいは前回の土日ほどとはいかないまでもゆったりと過ごしたい。
そんなことを思っている俺の声というのは、神様には全く届いていないらしく、月曜日登校して早々────というか、今はまだ校門前のため、言うなれば登校前……そんな時から、俺にとってゆったりとは間反対のような人物が校門前に立っていたため、俺はできるだけその人の視界に映らないよう心がけて校門を潜ろうとした……が、学校の校門という簡単に周りを見渡せてしまう場所でかつ今は周りに人がほとんど居なかったため、バレないように潜り抜けることは非常に難しく、その人物は俺に話しかけてきた。俺に話しかけてきた。
「おはよ〜色人くん」
「……おはようございます」
俺に話しかけてきたのは、例の水色髪を一つ括りにした女性だ。
俺が校門を潜り抜けると、この人も俺についてくるように校門を潜り抜けてきた。
「……もしかして、朝から俺のことを待ち伏せしてたんですか?」
「そんなに人聞きの悪い話でもないよ〜?むしろ、君にとっては良い話だから」
「俺にとって良い話、ですか?」
「うん、きっと喜んでくれるんじゃ無いかな」
「聞かせてください」
俺がこの人から聞かされて嬉しいことと言えば「やっぱり君は水泳大会来なくていいよ〜、無理言ってごめんね〜」とかで、俺が水泳大会を観に行かなくても良くなることだ。
俺は、次のこの人の言葉からそんな言葉が出ることを期待した、が……
「それはまだ内緒、今日の放課後二階真ん中にある階段の前に来てくれたら教えてあげる、じゃあね〜!」
それだけ言うと、水色髪の女性は俺の元を去って行ってしまった。
……まだ出会ってからほとんど会話したことが無いのに、よくあんなにフランクに接することができるな。
とてもじゃないが、俺にはできない芸当だ……あれが年上の余裕というやつなんだろうか。
「……」
おそらくそれとは何かが違うだろうなと思いながらも、俺は教室に入って、ひとまずは今日の放課後を待つことにした。
────そして、放課後になると、俺はあの人から言われた通りに二階中央にある階段の前へやって来た。
すると、もうそこには水色髪の女性が先に居て、水色髪の女性は言う。
「あ、来た来た〜、じゃあ行こっか」
「行く……?俺にとって良い話があるって言ってませんでした?」
「そうそう!だから、君にとって良いこと!」
「……」
よくわからないが、今の俺にそれが何なのかわかっていないということは、もしかしたら俺の想像を超えるほどに良い話なのかもしれない。
そう考えた俺は、水色髪の女性についていくことにした。
ついて行った先は、主に水泳部の人が使う屋内プールで、水色髪の女性は水泳部の部室部屋の前で足を止めた。
「ちょっと待っててね」
「はぁ」
俺は、本当に一体良い話とはどんな話なのかわからずに、水色髪の女性が部室から出てくるのを待つことにした。
水泳選手ということは、当然水泳部に所属しているだろうから、水泳部の部室に入るのは何も問題無いんだろうが……一体それが俺にとっての良い話とどう関係があるんだ?
それから、十分弱ほど水色髪の女性が出てくるのを待っていると────部室のドアが開いた。
「お待たせ〜」
そして、俺が部室から出てきた水色髪の女性の方に視線を向けると────
「……え?」
水色髪の女性は、スクール水着に身を包んでいた。
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